「尖圭コンジローマ」とは?男女別の症状・原因についても解説!【医師監修】
更新日:2023/07/13
尖圭コンジローマは性病の1種で、性器に特徴的なイボがあらわれます。
性病の中では比較的重い症状が出にくい病気ですが、放置すると周囲の方を危険にさらしたり、自身・パートナーの不妊の原因になったりすることもあります。
自分やパートナーを守るには、正しい予防知識を持ち、症状があらわれた場合はすぐに病院を受診することが大切です。
本記事では、尖圭コンジローマの症状・受診の目安・予防方法を解説致します。ぜひ参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
目次 -INDEX-
尖圭コンジローマの原因と症状
尖圭コンジローマはどのような病気ですか?
- 尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスに感染して起こる性病です。
- 多くは良性で、自然経過で治癒することも少なくありません。感染すると身体の免疫力が下がるため、HIVや感染症のリスクが高まります。
- あるいは、不妊の原因となることもあります。
- 感染症・不妊のリスクを避けるためにも、罹患に気づいたらすぐに病院を受診することが大切です。
尖圭コンジローマの原因を教えてください。
- 尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。なお、この病気を引き起こすのは、ヒトパピローマウイルスの中でも「ローリスク型」と呼ばれる6型と11型です。
- ヒトパピローマウイルスの感染経路の多くは、性交渉です。性交渉には、膣交渉・肛門交渉・口腔交渉などが含まれます。
- 性行為中に性器同士の接触などによって皮膚や粘膜に傷が入ると、そこからウイルスが侵入して感染に至ります。
どのような症状がみられますか?男女で違いがあれば教えてください。
- 性器に三角形の小さなイボができるのが特徴的です。イボは数ミリから数センチ程度で、「鶏のトサカ」「カリフラワー」などと形容されることもあります。
- イボができる場所は、男性の場合は陰茎・包皮の表面、女性は大小陰唇や膣前庭の表面が一般的です。
- イボは基本的にウイルス感染した部位に発生するため、性交渉の内容によっては肛門内部・尿道・口腔・のどなどに症状があらわれることもあります。
- イボの色は灰色・ピンク・白・黒・などさまざまで、かゆみ・痛みはないケースがほとんどです。人によってはかゆみ・違和感などを感じることもあります。
- 症状をし大型になると、疣状癌という悪性腫瘍に発展することがあります。
- この病気は潜伏期間が長く、感染から症状が出るまでには2〜3ヶ月ほどかかります。
尖圭コンジローマの診断と治療
セルフチェックの方法や受診の目安を教えてください。
- セルフチェックするには、性器に小さなイボができていないか確認しましょう。男性の場合は陰茎・包皮表面をチェックしてください。
- 女性は大小陰唇・膣前庭・尿道の入り口を重点的に調べましょう。
- イボの形状が次に当てはまる場合は、尖圭コンジローマの可能性が高いといえます。
- イボの先が尖っている(三角形のような形)
- 表面がザラザラしている
- 痛み・かゆみはさほどない
- 灰色・白・ピンク・黒色など
- 性器のイボは、その他の性病で発生することもあります。イボの形状が上記のような特徴に当てはまらない場合は、その他の病気が疑われます。
- しかし一般の方には、イボの形を正確に見分けるのは難しいものです。
- 性器に気になる出来物がある場合は、形・症状などにかかわらず、念のため病院を受診してください。
何科を受診すればよいですか?
- 診療科は、男女でやや異なります。男性ならば泌尿器科・皮膚科で診てもらいましょう。
- 女性は膣内部に症状があらわれることもあるため、婦人科の受診がおすすめです。
診断のためにどのような検査を行いますか?
- 尖圭コンジローマの診断では、多くの場合、特別な検査は行いません。診断は問診・視診・触診によって行うことが一般的です。
- 視診とは、医師が患部を直接目で見る方法です。触診では、医師が指などで患部に触れます。ちなみに、尖圭コンジローマは感染しても発症しないケースもみられます。
- 症状がない場合、視診・触診では診断できません。そのため症状がない方に対しては、「低リスクHPV検査」を行うこともあります。
- 低リスクHPV検査とは、陰茎・膣などの粘膜を綿棒でこすりとり、ウイルスの有無を調べる検査方法です。検査結果が出るまでに1週間ほどかかります。
- 低リスクHPV検査に対応しているかどうかは病院によって異なるため、受診前に電話などで確認しておくのがおすすめです。
尖圭コンジローマの治療方法が知りたいです。
- 尖圭コンジローマの治療法は主に3種類あります。
- 軟膏:免疫力を高める軟膏を患部に塗って、ウイルスの増殖を抑える
- 液体窒素:液体窒素を浸した綿棒をイボにあてて凍らせる
- 炭酸ガスレーザー・電気メス:イボを焼き切る
- 軟膏による治療と、液体窒素・電気メスなどの外科手術を併用することもあります。
- 外科手術はイボを取り除く効果は高いですが、体内に潜伏したウイルスにはアプローチできません。よって、ウイルスを抑制するために軟膏治療が併用されます。
尖圭コンジローマの注意点と予防方法
治療中に気をつけることを教えてください。
- 治療中は、他人との性的接触は避けてください。性病は治療中も感染するためです。
- コンドームをつけていても感染リスクはゼロではありません。感染を広げないためにも、医師の許可が下りるまでは他人との性交渉は控えましょう。
- また、非感染者とのお風呂の椅子・ウォシュレット・バスタオルなどの共有も避けるのが無難です。
- ウイルスが付着したタオルなどを非感染者が使用すると、その方もウイルスに感染するおそれがあるためです。
尖圭コンジローマはどれくらいで治りますか?
- 治療期間は個人差があります。早ければ1~2ヶ月で治療が終わりますが、人によっては半年~1年ほどかかることもあります。
- 。軟膏治療の場合は外用できる期間が決まっており、最長16週間です。
- 液体窒素・電気メスなどによる治療は、1回で終わることはほとんどありません。
- 多くの場合、1~2週間ほどの間隔を開けて、数回にわたって処置を受けていただく必要があります。
再発することはありますか?
- この病気は再発リスクが高い性病です。具体的な再発率は20~30%といわれています。
- 再発を防ぐには、まず第1に医師の指導に従って治療を受けることが大切です。尖圭コンジローマは、たとえイボがきれいに消えても、体内にはウイルスが残っている可能性が高い病気です。
- この状態で治療をやめてしまうと、ウイルスの再活性化につながりかねません。
- ウイルスを完全に死滅させるためには、医師が終了の判断を下すまで治療を続ける必要があります。くれぐれも自己判断で治療を中止することは止めましょう。
予防方法があれば教えてください。
- 尖圭コンジローマをはじめ性病を予防するには、コンドームを装着することが大切です。
- 原因ウイルスであるヒトパピローマは、ほんの些細な傷からでも感染するためです。ただしコンドームを装着しても、感染を100%予防できるわけではありません。
- 近年は子宮頸がんの予防に用いられる「HPVワクチン」が、尖圭コンジローマの予防にも有効だと分かってきました。
- 感染リスクを下げるためにも、女性だけでなく男性も接種を受けることが可能ですので、ワクチンを接種するのもよい方法です。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
- 尖圭コンジローマは、梅毒・クラミジアなどに比べると症状が軽い性病です。そのため感染に気づいても放置する方は少なくありません。
- また、性病になって恥ずかしいという気持ちから、なかなか病院を受診できない方も多くいらっしゃいます。
- しかし、この病気は放置すると他人に感染を広げるだけでなく、不妊に発展する可能性がある病気です。あるいは、治療できないほど重篤化する場合もあります。
- 自分や周囲の方を守るためにも、性器の異変に気づいたら、勇気を出して病院に足を運んでください。
編集部まとめ
尖圭コンジローマは性病の中では比較的重い症状が出にくい病気ですが、放置すると重篤化・不妊のおそれがあります。
もし性器に小さなイボができていたら、早めに病院を受診しましょう。
あわせて、HPVワクチンの接種や、妊娠を希望しない性交渉ではコンドームをつけるといった日々の予防対策も大切です。
参考文献