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「こびと症候群(小人症)」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/08/06  更新日:2022/08/05
「こびと症候群(小人症)」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

※近年ではこびと症候群の用語は使用しないため、こびと症候群(小人症)と表記しています。

お子さんが周りの友達と比べて、少し身長が低いのでは?と悩んでいる人はいませんか?

一般的に人の身長は人ぞれぞれであり個性として見られることが多いですが、同年齢の人と比較して明らかに身長が低い場合は心配になりがちです。

何らかの原因があって身長が伸びず成長できない状態にあり、そのような人を「こびと症候群(小人症)」といいます。

そこで今回はこびと症候群(小人症)はどんな病気なのか、症状や原因・治療法を詳しくご紹介します。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】 平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。 日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医 医師+(いしぷらす)所属

こびと症候群(小人症)の特徴

こびと症候群(小人症)の特徴

こびと症候群(小人症)はどんな病気ですか?

  • こびと症候群(小人症)は「小人症」とも呼ばれており、何らかの原因によって、幼少期から成長が遅い状態をいいます。しかし、こびと症候群(小人症)自体が病気というわけではなく、さまざまな原因により低身長になる疾患群のことを指すのです。
  • 例えば、こびと症候群(小人症)の中には、骨の病気や染色体異常などが原因で低身長を引き起こすものもあります。また、甲状腺機能低下症などで見られる甲状腺ホルモンが低下する場合も同様です。子宮内発育不全(SGA性低身長症)で生まれた場合は、3歳まで身長の伸びが見られますが、身長の伸びが低下する事例もあります。さらに、癌治療などが原因の後天的なこびと症候群(小人症)もあるのです。
  • このように、同じこびと症候群(小人症)でもいくつかの原因疾患があります。こびと症候群(小人症)の具体的な症状としては、同性・同年齢の子どもの平均身長と比較して明らかに身長が低いことです。

どのような症状がみられるのですか?

  • こびと症候群(小人症)は人によって症状が違いますが、最も多く見られる症状は低身長です。また、その他の症状は以下の通りです。
  • 身長の伸びが不良となる
  • 成長障害
  • また、これらの症状以外にも疾患によっては手足が短い、頭囲が大きいなどの身体的特徴があります。

どのくらいの割合で発症しますか?

  • こびと症候群(小人症)を発症する割合は、100人にわずか2人程度です。
  • しかし、この2人がずっとこびと症候群(小人症)のままでいるということではなく、治療をして標準身長になることも考えられます。
  • そのため、こびと症候群のまま大人になった人の割合はさらに低いと考えられるのです。

子どもの身長が低い場合、こびと症候群(小人症)の可能性があるのでしょうか?

  • 子どもの身長が少し低いというだけで、必ずしもこびと症候群(小人症)であるとは限らないのです
  • 特に、目に見える疾患にかかっていない場合、成長に何らかの問題があるか否かの判断は子どもの身長の伸び率などが基準になります。

こびと症候群(小人症)の原因と診断方法

こびと症候群(小人症)の原因と診断方法

こびと症候群(小人症)の原因はなんですか?

  • こびと症候群(小人症)の原因ははっきりとはわかっていませんが、ほとんどが突発性のものと考えられています。まれに成長ホルモンの分泌不全などが原因でなることがありますが、主な原因と考えられる疾患は以下の通りです。
  • 成長ホルモンの分泌不全
  • 内分泌の異常
  • 骨や軟骨の異常
  • 臓器の異常(心臓・腎臓など)
  • 胎内発育不全
  • 染色体異常(ターナー症候群)
  • ステロイド治療
  • 愛情不足などの心理社会的要因
  • 栄養状態の悪さ
  • 成長ホルモンの分泌不全の低身長は、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」という疾患です。成長ホルモンは下垂体から分泌されるため、かつては「下垂体性小人症」と呼ばれていました。また、軟骨の異常により低身長になった場合は、「軟骨無形成症」に該当します。低身長が気になる場合は、何らかの病気が隠れていないかをしっかり検査する必要があります。そして、低身長の検査をすることで、隠れている重篤な疾患が見つかることがあるのです。

原因がはっきりしないケースも多いのですね。

  • こびと症候群(小人症)は原因がはっきりしないケースが多いです。こびと症候群(小人症)の多くは突発性で原因がわからないものが95%、成長ホルモン分泌不全によるものが5%以下です。
  • また、こびと症候群(小人症)の原因として、まれに遺伝性が考えられますが、その頻度はわかっていません。遺伝性の低身長は特発性よりさらに低い身長になる傾向があります。
  • また、こびと症候群(小人症)は個々の原因によって合併症を伴うことがあり、さまざまな症状として現れることがあるのです。

こびと症候群(小人症)の診断方法について教えてください。

  • こびと症候群(小人症)の診断方法として、SDスコアによってSD値を見る方法があります。SD値とは、同性・同年齢の子どもの身長の平均値からのばらつきの幅を数値で表すものです。低身長の子どもと同性・同年齢の子どもの身長と比較することで、子どもの成長度合いがひと目でわかります。 SDスコアがマイナス2.0SD以下である場合に低身長であると判断できます。
  • 他の診断方法としては、レントゲンで骨の年齢を診断したり血液検査をします。血液検査では子どもの血中の成長ホルモンの濃度の増加や栄養状態を見るのです。また、これらの検査にプラスして頭部のCTやMRI検査をして、他の疾患がないか調べることもあります。また成長ホルモンや甲状腺機能の検査、ホルモン負荷試験(インスリン負荷試験など)で、成長ホルモンの分泌が促されているかどうかを検査します。
  • そして、こびと症候群と診断された場合には、精密検査を踏まえて本人・家族と協議して治療方針を決定します。日本人は外国人と比較してもともと小柄な人が多く、この病気がわかりにくいです。そのため、疾患が疑われる場合は、速やかに専門医による検査を受けて診断してもらうことをおすすめします。

治療法や治療中に気をつけるべきこと

治療法や治療中に気をつけるべきこと

こびと症候群(小人症)の治療法はあるのですか?

  • こびと症候群(小人症)の治療法は、専門科医により成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きをもとにして行われます。
  • 診断の結果、成長ホルモンの不足が原因の場合は、毎日自宅で成長ホルモン注射を打ってホルモンを補充をするのです。ホルモン注射の期間は目標の身長に達するまで、何年も続けなければなりません。
  • しかし、他の原因によってこびと症候群(小人症)を発症した場合は、まずはそちらの治療を優先的に行っていくことになるでしょう。ちなみに、遺伝による低身長の場合は、治療の必要はありません。

長期間の治療は大変ですね。

  • こびと症候群(小人症)の治療では、目標の身長に至るまで毎日、何年間も成長ホルモンの注射を打ち続ける必要があります。
  • こびと症候群(小人症)は治療に期限がある疾患のため、とにかく早期発見でできるだけ早く治療を開始することが大切です。早期の治療を開始することで、身長の増加や「思春期」と言われる第二次性徴がスムーズになります。また、こびと症候群(小人症)の治療は開始してからすぐに目に見えて効果が現れるものではありません。
  • 年月をかけて焦らずじっくりと、子どもの成長とともに気長に治療に取り組むことがとても重要なのです。

こびと症候群(小人症)の治療中はどのようなことに気をつければよいですか?

  • こびと症候群(小人症)の治療での身長の伸びには個人差があり、時期によっては効果が現れないこともあるのです。
  • また、こびと症候群(小人症)は、さまざまな合併症を発症することがあります。例えば、先天的な成長ホルモン分泌異常によるこびと症候群(小人症)の場合、低血糖や骨の代謝異常が現れます。また、子どもから大人へと心体的な変化のある第2次性徴期が来ないこともあるのです。
  • このような合併症に十分注意をしながら、しっかり治療を進めていくことがとても大切です。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

  • こびと症候群(小人症)の治療には期限があり、とにかく早期に発見し早期に治療を開始することがとても重要です。
  • 大人に成長してしまった骨に治療で成長ホルモンをいくら投与しても、身長はそれ以上に伸びない可能性があります。また、成長ホルモンの分泌以外に他の疾患が原因の場合もあるため、まずは早期発見で診断を受けることが大切です。
  • そのために少しでも不安に感じた時は、できるだけ早い段階で小児科などの専門の医療機関に相談・受診することをおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ
こびと症候群(小人症)では、成長ホルモン分泌異常や内分泌の異常などの疾患にかかっている可能性があります。

また、心理的要因が原因で低身長になることもあるため、治療でゆっくりと疾患と向き合い続けていくことが必要です。

治療をしている人の多くは、治療後約1年程度で8㎝程度の身長の伸びが確認されています

しかし、それ以後の身長の伸びはあまり期待できず、それだけこの疾患は早期発見・早期治療が大切です。

新たな症状が出たり重篤な症状が発生している場合は、速やかに医療機関にお問い合わせください。