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「味覚障害」とは?治し方や原因についても解説!

 更新日:2023/03/27
「味覚障害」とは?治し方や原因についても解説!

「味を感じにくい」「変な味がする」といった、味覚の変化や違和感があらわれる「味覚障害」。高齢者に多くみられる症状ですが、ストレスや偏食などの影響によって、若い世代でも生じることがあります。

味覚障害を発症する人の数は、高齢化やストレスを感じやすい社会のなかで増加傾向にあります。

今回は、味覚障害の症状や原因、受診科目などを紹介します。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

味覚障害とは

味覚障害とは

味覚障害とは、どのような病気なのでしょうか?

味に対する感度が鈍くなり、味を感じなくなったり、味が分かりづらくなったりする症状全般を「味覚障害」と呼んでいます。口に入れた食べ物の味を脳に伝達するのが、「味蕾」という味覚受容器です。この味蕾の数が減少すると、味覚が減退し、味覚障害を生じます。

味覚異常の原因のうち、ほとんどが味蕾の減少によるものです。しかし、脳腫瘍や外傷・手術などが原因で神経に異常が生じて味が分からなくなる、神経性の味覚障害も稀に存在します。

味覚障害の症状

味覚障害では、どのような症状がでますか?

症状は「味覚低下」と「異味覚」の大きく2つに分けられます。味覚には、以下の5種類が存在しています。

  • 甘味
  • 酸味
  • 塩味
  • 苦味
  • うま味

味覚低下とは、これらの味覚が減退したり、全く感じなくなったりする症状のことです。ある特定の味だけを感じなくなることもありますが、ほとんどのケースで5つの味覚全ての感度が低下します。

異味覚とは、本来は感じるはずのない味を感じる症状です。例えば、口の中で常に「渋味」が感じられるといった症状があります。

味覚障害の原因

味覚障害の原因には、どのようなことが関係しているのでしょうか?

味覚障害の原因については、未だ解明されていない点も多くあります。特定の原因だけでなく、いくつかの原因が複合的に影響し合っているケースもあると考えられています。

現時点で判明している代表的な原因としては、以下の通りです。

  • 加齢
  • 栄養不足
  • 薬の副作用
  • 病気

加齢

味覚障害の原因のうち、特に多いのはどれでしょうか?

加齢が原因の味覚障害が多くみられます。高齢者では、加齢によって味蕾の数が減少します。また、味蕾が味を感じる機能そのものも加齢とともに低下するため、高齢者では味覚障害を生じやすい傾向にあります。

味覚障害は、若い人では起こらないのですか?

若い世代でも、ストレスや偏食などのさまざまな要因によって、味覚障害を起こす場合があります。

栄養不足

栄養不足が原因の味覚障害について、詳しく教えてください。

ダイエットや偏った食生活による栄養不足が原因で、味覚障害が引き起こされることがあります。

味蕾の新陳代謝に必要不可欠なのが、「亜鉛」という栄養素です。そのため、食事からの亜鉛の摂取量が不足すると、味蕾に異常が生じ、味覚に異常が出る場合があります。

亜鉛以外の栄養不足は関係ないのでしょうか?

亜鉛以外にも、鉄分の摂取不足で「鉄欠乏性貧血」の状態になると、舌の表面が赤くつるつるになり、味覚障害が起こる場合もあります。だるさや倦怠感、めまいといった鉄欠乏性貧血特有の症状が出る前に、味覚障害が先行して生じることもあります。

また、鉄の吸収には「ビタミン」が関連しています。そのため、亜鉛や鉄だけでなく、ビタミン不足にも注意する必要があります。ビタミンのなかでも特に「ビタミンB12」の摂取が不足すると、舌の粘膜に異常を生じ、味覚障害の原因になることがあります。

ほかにも、ビタミンB2の摂取不足では、口内炎や舌炎といった症状が引き起こされることがあり、これらが原因で味を感じにくくなることもあります。

その他

加齢と栄養不足以外に原因はありますか?

病気の治療のために薬を服用している場合、薬の副作用で味覚障害を生じることもあります。

副作用で味覚障害を生じる可能性のある薬は多数存在しますが、代表的な薬としては以下の病気の治療薬が挙げられます。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 関節リウマチ
  • パーキンソン病
  • 消化性潰瘍

これ以外にも、さまざまな薬の副作用で味覚障害が報告されています。

薬の副作用が原因の味覚障害は、薬を飲むのを止めれば治るのでしょうか?

多くの場合で、服薬の中止と共に徐々に味覚が改善してきます。しかし、服薬とは関係なく、病気そのものが原因で味覚障害が生じる場合もあります。

特に以下の病気では、味覚障害を合併する可能性があると知られています。

  • 糖尿病
  • 腎臓病
  • 舌に関連する病気
  • 風邪
  • がん
  • 中耳炎
  • 精神疾患

また、近年では新型コロナウイルス感染症に伴う嗅覚低下・味覚低下の合併例が報告されております。

味覚障害の発生数や性差

味覚障害は稀な症状ですか?

日本における味覚障害の発生数は、2003年の全国調査で年間約24万人と報告されています。決して少ない人数ではなく、誰にでも生じる可能性のある症状といえるでしょう。

発生数に性別差はありますか?

男女比では、女性のほうが多いとされています。

特に「心因性味覚障害」については、60代の女性に圧倒的に多く発症するとされています。心因性味覚障害とは、味覚障害のなかでも、心身症、神経症、うつ、人格障害などが関係しているものを指します。

味覚障害の受診科目

味覚障害を疑ったら、何科を受診したらよいでしょうか?

味覚障害の診療は、以下の診療科を中心に行われています。

  • 歯科
  • 耳鼻咽喉科
  • 内科
  • 口腔外科

亜鉛不足や鉄分不足などの栄養状態は、血液検査で調べることができます。また、味覚障害の原因として何らかの病気が存在している場合には、原因となっている病気そのものの治療が必要不可欠です。

顔面神経麻痺などの合併のために、頭部MRIの撮影など、神経内科の診療を必要とすることがあります。
鉄欠乏性貧血が長期化すると、舌炎による味覚異常もあり、ひどい例では氷や鉄のさびを食べるようになる異食症を発症する可能性も考えられます。

これらを考慮した上で、適切な診療科を選択しましょう。

味覚障害の治療方法

味覚障害の治療方法

味覚障害の治療をする場合、どのような方法がありますか?

亜鉛不足と診断された場合には、亜鉛を含む薬が処方されるケースが多くなっています。ほかにも、鉄分不足には鉄剤、ビタミン不足にはビタミン剤が処方されます。原因が特定できない味覚障害に対しては、漢方薬の使用が検討されることもあります。

栄養不足が原因の味覚障害では、不足している栄養素を補給することで、すぐに症状の改善がみられるケースもあります。

亜鉛の内服薬には、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。市販薬などを併用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。

また、薬の副作用が原因の味覚障害では、服薬を一時的に中断することで味覚が戻る場合がほとんどです。ただし、自己判断での服薬中断は危険を伴います。医師とよく相談したうえで、薬の変更も含めて検討する必要があります。

生活習慣では、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

味覚障害予防のためには、日々の食生活が重要です。

日々の食生活で心がけたいことは、以下の通りとなります。

  • 栄養バランスよく食べる
  • 亜鉛や鉄分が多く含まれる食品を積極的に摂取する
  • たんぱく質やビタミンを同時に摂取し、鉄分の吸収率を上げる
  • 食前に口を潤わせ、味を感じやすくする

編集部まとめ

味を伝達する味蕾の数が減少すると、味覚障害を生じます。味覚障害の症状は主に、味を感じにくくなる「味覚低下」と、異常な味を感じる「異味覚」の2つに分けられます。

加齢が原因の味覚障害が多いですが、若い世代でもストレスや偏食などが原因で症状が出ることがあります。

「味を感じにくい」「変な味がする」「食べ物の味が以前と変わった」「食事がおいしくなくなった」などの気になる症状がある場合は、早めの受診を検討しましょう。

この記事の監修医師