コロナウイルス後遺症の医療関係者向け手引きを公開

公開日:2021/12/14

新型コロナウイルス感染後の後遺症について、厚生労働省は診療のポイントや患者への対応方法などをまとめた医療関係者向けの手引きを公表しました。このニュースについて上医師に伺いました。

上昌広 医師

監修医師
上 昌広(医師)

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東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

今回報じられた内容は?

まず、今回報じられた内容について教えてください。

上昌広 医師上先生

厚生労働省が、新型コロナウイルスの後遺症についての診療のポイントや患者への対応方法などをまとめた医療関係者向けの手引きを公表しました。

今回の手引きは、感染症の専門家などで組織されている委員会が暫定版としてまとめたもので、12月1日に開かれた厚生労働省の専門家会合で示されました。後遺症については明らかになっていない点が多いものの、一部の患者において様々な後遺症が起こることが分かってきたとして、こうした症状を「罹患(りかん)後症状」と名付けています。

後遺症の医療関係者向け手引きの内容とは?

新型コロナウイルス後遺症の医療機関向け手引きには、どのような内容が書かれているのでしょうか?

上昌広 医師上先生

手引きは医師らで構成される罹患後症状のマネジメント編集委員会が、2021年11月26日の情報をもとに作成しました。

(1)罹患後症状、(2)罹患後症状を訴える患者へのアプローチ、(3)呼吸器症状へのアプローチ、(4)循環器症状へのアプローチ、(5)嗅覚・味覚症状へのアプローチ、(6)精神・神経症状へのアプローチ、(7)“痛み”へのアプローチ、(8)小児へのアプローチ、(9)罹患後症状に対するリハビリテーション、(10)罹患後症状と産業医学的アプローチの10項目に分かれています。

今回定義された罹患後症状については「感染症は消失したにもかかわらず、ほかに明らかな原因がなく、急性期から持続する症状や、あるいは経過の途中から新たに、または再び生じて持続する症状全般をいう。罹患後症状が永続するかは不明である」とされています。

代表的な症状としては、咳や痰(たん)、倦怠感、関節痛、筋肉痛、息切れ、胸痛、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抗うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛が挙げられています。各症状へのアプローチでは文章だけでなく、フローチャートなども添付してわかりやすく説明しています。

この手引きの有用性は?

医療従事者の立場から見て、今回発表された手引きはどれくらい有用性があるものなのでしょうか?

上昌広 医師上先生

罹患後症状の実態や治療については、十分に研究が進んでいません。しかし「罹患後症状の手引き」は、現状が簡潔にまとまっており、多くの臨床医にとって有用と考えます。

まとめ

コロナウイルスの後遺症について、厚生労働省がはじめて医療関係者向けの手引きを公表したことが今回のニュースでわかりました。医療関係者だけでなく、一般の人々が見ても役に立つ情報が掲載されているので一度手引きを確認してもいいかもしれません。