～新型コロナ闘病体験記～「いつもの風邪と変わらない」からこそ拡散させてしまう可能性
新型コロナウイルス感染症はよく「若い人だと重症化しにくい」と言われているように、30代と比較的若い闘病者・こぶたちゃんさん（仮称）は、本当に軽傷で済んだようです。感染経路は不明。日々、感染対策を意識して生活していたと言います。私たちは、自身が感染しないため、そして万が一感染しても他人に移してしまわないようにするためにも、実際の声に耳を傾ける必要がありそうです。
体験者プロフィール：
こぶたちゃんさん（仮称）
東京都在住。1988年生まれ。独身（1人暮らし）。診断時の職業は医薬品開発会社勤務。2021年初頭に頭痛、のどの違和感、鼻水、耳の痛みが現れ、かかりつけ医を受診。唾液PCR検査で新型コロナウイルス陽性判明。その後は自宅療養。感染判明以降も症状が悪化することなく、1か月ほどで症状は消退。現在も在宅勤務を行っている。
記事監修医師：
楯 直晃 先生（宮本内科小児科医院 副院長）
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
目次 -INDEX-
【コロナ闘病記・感染経路】どこで感染したのか、全く見当がつかない
編集部
新型コロナウイルスに感染した経緯について教えてください。
こぶたちゃんさん
2021年初頭、朝目覚めると激しい頭痛とのどの違和感があり、体温を測ってみたものの、その時は36.8℃で平熱でした。その日は自宅にあった鎮痛剤を服用し、様子を見ることにしたんです。翌日も36.5℃で、頭痛は治まっていました。ただ、その日から軽い咳が出始め、ときにくしゃみ、そして鼻水が止まらなくなりました。
編集部
最初からコロナだと思いましたか？
こぶたちゃんさん
意識していませんでした。もともとアレルギー持ちなので、モーニングアタックだと思い、抗アレルギー薬を飲みました。その後は症状が良くも悪くもならず1週間程度経ちました。咳はほとんど無くなり、鼻水は常に出ている状態でティッシュが離せず、鼻をかむと耳が強く痛むようになりました。
編集部
その後どうしましたか？
こぶたちゃんさん
中耳炎ではと思い、まずかかりつけの先生に受診できるか事前に電話確認したところ、すぐ来院するよう言ってくれました。まず診察で症状を告げ、心音や呼吸音を診てもらいましたが、そこでは特に問題はありませんでした。ただ、新型コロナウイルス感染症の検査として、PCR検査を行い、それで2日後に陽性が判明しました。
編集部
感染症が判明したときの心境について教えてください。
こぶたちゃんさん
「まさか自分がコロナになるなんて」とショックでしたね。その頃は、会社もずっと在宅勤務でしたので、めったに外出していない時期でした。保健所から発症日とされた日の1週間前までの外出は1度だけ、自動車免許の更新のために公共交通機関を使用して外出をしただけです。特定の人と長時間接することもなかったので、どこで感染したのかとにかく不思議でした。
【コロナ闘病記・治療期間】在宅勤務をしながらの自宅療養
編集部
どのような治療方針となりましたか？
こぶたちゃんさん
もともと風邪をひくと、よくこじらせて肺炎になりやすかったので、PCR検査の結果が出る前から使っていた肺炎予防のための咳止めと気管支炎の薬、そして症状があった中耳炎用の抗生物質を服用しながら自宅療養となりました。薬はそれぞれ7日分処方されました。また万一症状が悪化した場合はすぐに電話をするように、とも言われていました。
編集部
治療開始後は、どう過ごしましたか？
こぶたちゃんさん
会社はコロナ禍になって在宅勤務を推奨されていました。ただ、どうしても出社しなければいけないときもありましたが、最初に症状を自覚してからは、万一のことがあってはいけないと思い、会社には一切出社せず在宅勤務をしていました。普段はジムに通っているのですが、それも休みました。結果的にその判断をして良かったと思っています。症状が出始めてから外に出るのも億劫だったので、ネットスーパー等を利用し、全く外には出ていません。
編集部
お仕事には変化がありましたか？
こぶたちゃんさん
仕事ができないほどのつらさもなく、ちょうど仕事が少し忙しい時期だったので、少しつらくなったときは横になり、早めに切り上げるなどして調整しながら働いていました。当時、保健所から発症後の自宅療養期間は10日間と言われていましたが、陽性判明した時が既に8日目だったため、実質コロナが原因で完全に休んだのはトータルで2日間だけです。
編集部
感染してしまったことで、不安などはありましたか？
こぶたちゃんさん
軽症だったので、かなり楽観的でした。発症からだいぶ経ち、薬を服用してから数時間後には症状が改善したので、コロナ陽性の結果を聞いた時はすでに症状がほぼ治まっていました。検査結果が出るまではもちろん不安でしたが、私の場合いつもの風邪と大差なかったという印象です。
【コロナ闘病記・ふり返り】外出を抑制し、かつ手洗いとマスクをしていたのに
編集部
あえてコロナ感染の可能性として考えるとしたら？
こぶたちゃんさん
あくまで私の推測ですが、当時不織布マスクで肌が荒れたので、布マスクを使用していました。これが原因なのかもしれません。ほかには手洗いなどを見直すことくらいでしょうか。症状が出る前から複数の人と会話する機会や人混みに入ることもなく過ごしていましたし、周囲に感染者もおらず、どこで感染したのか全く分からないのです。ですから、手洗いや手指消毒が甘かったのかな、としか考えつきません。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
こぶたちゃんさん
感染前と変わらない生活をしています。自宅療養期間後は少し咳が残っていたり、鼻づまりがあったりしました。そのため味覚・嗅覚が鈍くなったと感じたのですが、1か月経ったころには元の体調に戻りました。幸運なことに一切後遺症もありません。仕事は今も在宅勤務ですが、必要な時だけ出社しています。必要以上に外出することもありません。健康で過ごせるように食事や運動を意識するようになりました。
編集部
コロナウイルスにまだ感染していない人に一言お願いします。
こぶたちゃんさん
私のように知らないうちに感染者になることがあり得ます。自分なりに感染対策をしていたつもりですし、感染リスクが高い場所に出歩くこともありませんでした。ここまで警戒しても感染したので、自分もいつか感染者になるかもしれないと意識してほしいですね。これなら知らぬ間に拡散してしまっている人がいても不思議ではないと思います。
編集部
医療関係者に伝えたいことはありますか？
こぶたちゃんさん
かかりつけ病院があって良かったと思っています。また先生は私の病気癖も理解していましたので、先回りで適切な対処をしていただきました。先生には本当に感謝しています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
こぶたちゃんさん
耳の痛みがなければ、ただの風邪と思って病院を受診しなかったと思います。当初、コロナ感染による味覚異常が報道されていましたが、私のように最初から味覚異常もなく、熱もなく、息苦しさもない場合があります。少しでも体調がおかしいと思った時には新型コロナウイルスの感染を疑うことも大事だと思います。今回の経験が誰かの役に立てば幸いです。
編集部まとめ
今回の例は軽症ですみましたが、若年者の重症化率が増加しています。また、治療薬は開発中の段階であり、いまだにコロナ感染者への偏見を見聞きします。誰でもどこでもかかる可能性があると認識してマスクと手洗いを励行していきましょう。
