「腹膜炎」とは?症状・原因・治療法についても解説!
腹水がたまってくるだけでなく、ときには激しい痛みを伴い命に関わることもある腹膜炎をご存じでしょうか。比較的緩やかに進むものや、急激に悪化するものなど様々なので、違和感を覚えたら医療機関を受診することがのぞましい症状です。
今回は、腹膜炎の状態・症状や原因、受診科目などを紹介します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
腹膜炎とは
腹膜炎とはどのような症状でしょうか?
症状の出方には違いがあり、急に症状が進行する「急性腹膜炎」と徐々に進行する「慢性腹膜炎」の二通りに分けられます。
腹膜炎は、臓器に生じた炎症が原因となることが多く、早期発見、そして早めの手術が必要なケースもある病気です。局部的にみられる炎症であれば、抗菌薬による治療をしていく場合もあります。
腹膜炎の症状は
腹膜炎の症状は具体的にどのようなものでしょうか?
症状の出方として炎症が狭い範囲で限定していれば「限局性腹膜炎」といい、腹部全体に広がるものは「汎発性腹膜炎」といいます。範囲によって呼び方が変わります。
汚染が持続的でなければ炎症部分は局所にとどまることがあります。消化管・胆嚢に穴があいた場合や、虫垂炎、憩室炎などでは、周りの炎症性反応で広がらずに被覆されることもあり、その結果狭い範囲でとどまります。
ですが、内臓の炎症が全体に広がる汎発性腹膜炎であることが多いので、症状を軽く考えずに受診しましょう。
急性腹膜炎
急性腹膜炎にはどのような症状がありますか?
腹膜に穴があき内容物が腹腔内に広がっていくと、腹膜全体に炎症が起こります。その場合激烈な痛みが現れ、耐えられずにショックに陥ることもあります。急性腹膜炎の場合、無症状であることはないでしょう。
慢性腹膜炎
慢性腹膜炎にはどのような症状がありますか?
ですが、だんだんと腹水がたまるのでお腹あたりが膨らんできます。
がんが腹膜へ広がり発生するがんの末期症状であるがん性腹膜炎の場合もあるので、食欲低下や吐き気などを併発しているなら、腹膜炎の症状が強く出ていなくても気をつけましょう。
腹膜炎の原因
腹膜炎の原因としてどのようなことが関係しているのでしょうか?
急性腹膜炎
急性腹膜炎の原因はなんでしょうか?
胃・十二指腸など消化管に穴があくことによって腹腔内に細菌が感染し、炎症が起こることで発症します。胃穿孔、十二指腸潰瘍穿孔、大腸穿孔がそれにあたります。また、虫垂炎、胆嚢炎、急性膵炎,骨盤腹膜炎などが原因となり穿孔を起こすことでも急性腹膜炎は発症します。
慢性腹膜炎
慢性腹膜炎の原因はなんでしょうか?
結核の場合、結核性腹膜炎となり、血液やリンパ管を介して感染します。がんが原因であれば、がん細胞が転移して炎症を起こしたところが腹膜炎を発症します。
また、開腹手術後に腸管が癒着した場合に起こる慢性腹膜炎もあります。様々な原因が潜んでいるので、見極めるために検査が必要です。
腹膜炎の受診科目
腹膜炎のような症状が現れたら何科を受診すればよいでしょうか?
我慢できないような激しい腹痛の場合はなるべく早めに受診するほうがよいでしょう。
腹膜炎はどんな検査を行う?
腹膜炎はどのような検査を行いますか?
腹部CT検査では、遊離ガスの有無や消化管穿孔の部位、臓器の炎症性変化、感染部位など多くのデータがとれるので、腹膜炎の診断には不可欠です。腹部超音波は、患者の負担が少なく簡単なので、より多くの情報を得るために併用される場合もあります。
腹膜炎の性差・年齢差など
腹膜炎には性差や年齢差などはあるのでしょうか?
また、女性では子宮から感染する骨盤腹膜炎もあるので注意が必要です。その場合、子宮頸管の炎症からはじまり、子宮内膜、卵管、そして骨盤内の腹膜に広がっていきます。
腹膜炎の治療法は
腹膜炎と診断されたらどのように治療していくのでしょうか?
発症から手術までの時間が長いほど死亡率は上昇するので、痛みがある、体調の変化があるなど気になる症状があればすぐに受診しましょう。
術前の全身管理
手術前の全身管理はどのようなものがありますか?
手術
手術ではどのようなことをしますか?
お腹の中の処置としては、汚染された消化液を十分な量の生理食塩水などで洗浄することが大切です。術後も腹腔ドレーンという管をつけて体外へ汚染液を排出します。
手術は感染対策をしっかりと行いながら進めます。
編集部まとめ
腹膜炎は急に痛みを感じるもの、徐々に進行し腹水がたまるものなど原因によって症状の出方にも違いがみられます。ですが、悪化していった場合、かなり大掛かりな手術が必要になるので、できるだけ早期発見、早期治療をすることが大切です。少しでも痛みや体調の変化を感じることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。