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高齢者の悪性腫瘍と消化器救急疾患について

 更新日:2023/03/27

高齢者の悪性腫瘍ではどんな病気が考えられるのでしょうか?その原因や主にみられる症状、一般的な検査や治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

高齢者の悪性腫瘍と消化器救急疾患とは

高齢者では約60%に、身体のどこかに悪性腫瘍が存在することがわかっています。そのうち悪性腫瘍が死因となるものは約半数、全体の約30%です。残りの約30%は亡くなられてからの病理解剖という検査で偶然発見されるもので、患者さんの命を奪う原因となるものではありません。
消化器疾患が死因となる頻度は約33%と最も多く、心血管疾患の約15%、脳神経疾患の約13%などに比較して高率です。その消化器疾患の大部分は悪性腫瘍です。したがって高齢者の消化器疾患を考える時は、主として悪性腫瘍に焦点が当たってくるのです。

引用:gooヘルスケア
https://health.goo.ne.jp/medical/10260200

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
悪性腫瘍の場合、早期発見で治療可能な場合も多いです。早期では症状が出ないことがほとんどであり、定期的ながん検診が必要です。

高齢者の悪性腫瘍と消化器救急疾患の症状

がんは高齢者に好発する疾患であるが,年齢・臓器により発生頻度が変化する。高齢者に罹患率の高いがんは,男性では胃癌,肺癌,大腸癌,前立腺癌,女性では大腸癌,胃癌,肺癌,胆嚢・胆管癌である。若年者がんと比べ,高齢者がんのなかには発生部位,組織型,臨床病理像,発生機序の異なるがんが存在する。また,加齢に伴い多発がん・重複がんの増加がみられる。一般に高齢者がんは高分化で増殖が遅く,転移率も低く,比較的予後良好と認識されているが,必ずしも予後良好という訳ではない。高齢者がんの悪性度に関しては,がん細胞の特性とともに,がんの浸潤増殖を防御する間質成分の脆弱性,腫瘍に反応する免疫能の低下など宿主側の加齢による影響も考慮すべきである。

引用:癌と化学療法 Volume 38, Issue 10, 1571 – 1576 (2011)
http://www.pieronline.jp/content/article/0385-0684/38100/1571

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
重複がんとは、異なる臓器に異なる「がん」が発生することいいます。ひとつのがんが他の臓器に転移をする場合(大腸がんの肝転移など)や、同じ臓器にいくつものがんができる多発がん(多発性肝細胞がん)とは、異なる概念です。重複がんには、それぞれのがんが発生する時期が1年以内の「同時性重複がん」と、1年以上の「異時性重複がん」があります。頻度は研究結果によって差が出ますが、おおよそ同時性重複がんが1-10%くらい、異時性重複がんが1-15%くらいといわれています。重複がんの誘因として、①危険因子の共通する、②同じ遺伝子の異常が原因となる、の2点があげられます。危険因子の共通するがんには、たとえば喫煙による喉頭がん、咽頭がん、肺がん、食道がん、膀胱がんなどが知られています。また同じ遺伝子異常が原因になる場合では、「腺がん」という同じがんの種類を発生する胃、大腸、肺などのがんがおこる場合があります。特に胃がんと大腸がんは重複しやすいがんと知られており、実際に胃がんを指摘された患者様に大腸内視鏡検査を行うと2-5%程度の頻度で大腸がんが発見されることが知られています。
がん治療後の患者様は、どうしてもそのがんの再発・転移に注意を奪われがちです。しかし重複癌の存在も念頭に置き、他のがんの検診もしっかり受けることをお勧めいたします。

高齢者の悪性腫瘍と消化器救急疾患の原因

消化管の病気の中には生命を脅かすものがあり、緊急の治療を要することがあります。多くの場合、緊急治療では手術が行われます。

腹痛は通常は消化管の緊急事態に伴って発生し、しばしばひどい痛みがあります。腹痛がある場合、医師は原因を突き止めて治療を行うための手術が直ちに必要か、それとも診断のための検査結果が出るまで手術を待ってもよいかを判断する必要があります。腹痛の原因が以下のものであると考えられる場合は、腹部の緊急手術がしばしば行われます。

・腸閉塞
・胃、虫垂(虫垂炎を参照)、腸などの臓器の破裂または穿孔(せんこう)
・血流があまりに少ないヘルニア
・血流の遮断(急性腸間膜虚血症および虚血性大腸炎を参照)
・腹腔内膿瘍(感染による膿がたまった空洞)

消化管の病気は、すべてが手術により治療されるわけではありません(イレウスを参照)。

消化管出血は、典型的には痛みを伴わず、これも生命を脅かすことがあります。通常は、出血の位置を特定し治療を行うために、内視鏡検査(観察用の柔軟な管状の機器を用いて体内の構造物を調べる検査)が行われます。出血の位置が特定できず、治療できない場合は、ときに手術が必要になります。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/消化管の救急疾患/消化管救急疾患の概要

高齢者の悪性腫瘍と消化器救急疾患の検査法

高齢者では炎症があっても血液生化学的所見で白血球増多のみられない例や、腹膜炎(ふくまくえん)があっても筋性防御(きんせいぼうぎょ)やブルンベルグ徴候(盲腸(もうちょう)部に圧迫を加え、それを離すと痛みがある症状)などの腹膜刺激症状を示さない例がみられるなど、理学的所見が典型的ではなく、患者さん本人の訴えが非高齢者に比較して乏しいことがあります。高齢者ならではの生体反応・精神活動の低下が病状を隠していることが原因で、手術に踏み込むことが遅れないよう、このようなことを念頭においた鑑別診断や的確な手術を行わなくてはなりません。

引用:gooヘルスケア
https://health.goo.ne.jp/medical/10260200

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
高齢者の方の場合、実際に症状が乏しい場合が非常に多いです。何か異変があれば、軽微なことでもかかりつけの先生に御相談ください。

高齢者の悪性腫瘍と消化器救急疾患の治療方法

手術を含めた治療法の選択にあたっては、さまざまなリスクを具体的に検討します。高齢者の消化器疾患の特徴として、高血圧、糖尿病、動脈硬化など慢性疾患を高率に合併すること(表8)、およびがんが関与する場合が多いことがあげられます。侵襲に対する調節機能低下、感染防御などの免疫機能低下もみられます。したがって手術・麻酔の侵襲による循環器系、呼吸器系の影響を的確に判断し、術後合併症の頻度を低くする努力をします。
高齢者の場合にはとくに予後と生活の質(QOL)との関係を常に念頭に置いた対応が重要です。原疾患だけでなく患者さんの全身状態を考慮したバランスのとれた治療が選択されなくてはなりません。
たとえば、S状結腸や直腸のがんや穿孔(せんこう)でひどい腹膜炎を併発していたり、全身状態が非常に悪かったりする時の緊急手術では、病変を切除して人工肛門を形成するハルトマン手術を行えば、術後の吻合部縫合(ふんごうぶほうごう)不全のおそれはなく、排ガスとともに早期の経口摂取も始められます。つまり、安全に命を救える手術になるのです。人工肛門はのちに全身状態がよくなってから元にもどすことができます。
また、腫瘍切除による侵襲が大きいと考えられる場合には、腫瘍を切除せずに人工肛門造設のみにとどめることもあります。急性胆嚢炎(たんのうえん)に対する経皮経肝胆嚢(けいひけいかんたんのう)ドレナージ術(PTGBD)は、それのみで根治性を獲得する場合も多いのです。
すなわち、全身状態の悪い患者さんに対しては以上のような縮小手術、緊急避難的処置の可能性を十分に考慮しなくてはなりません。これらの方法を知って対応することによって、救命率も上昇します。

引用:gooヘルスケア
https://health.goo.ne.jp/medical/10260200

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
高齢者の場合、すでに高血圧や糖尿病、心疾患、慢性腎不全をもっている患者さんが多く、手術や化学療法に対して忍容性がない(耐えられない、リスクが高い、感染などの合併症のリスクが高くなる)ことや、手術などで長期の安静期間を必要とするため下肢の筋力低下(歩けなくなる)や、認知機能低下を起こしやすいことがあります。よって、上記を踏まえ治療を選択する必要があります。例えば、歩行も困難、認知症も強い高齢者の方に胃がんが見つかった場合に、リスクを考慮して手術をせず、緩和ケアのみ行うなどといったことです。一般に緩和ケアは、原因疾患に治療は行わず、痛みに対して痛み止めなどを使用し、できるだけ生活の質を落とさずに余生を過ごすことを目的にしています。
高齢者の治療は、併存疾患の存在やご本人自身の全身状態によって、リスクの高い処置にならざるを得ない場合が多いです。可能であれば、ふだんからかかりつけの医師をもち、早期のうちに体の不調をご相談いただき、早期発見につとめるようにしてください。


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