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「副鼻腔炎の症状」はご存知ですか?原因やなりやすい人の特徴も解説!【医師監修】

 公開日:2025/11/07
「副鼻腔炎の症状」はご存知ですか?原因やなりやすい人の特徴も解説!【医師監修】
副鼻腔炎とは、かつて蓄膿症とも呼ばれ、副鼻腔に炎症が生じる病気です。細菌やウイルスなどが原因で起きると考えられています。 この記事では、副鼻腔炎(蓄膿症)の症状や原因、検査や治療方法などを詳しく紹介しています。 鼻づまりや頭の重さなどの症状がある方は、この記事が参考になれば幸いです。
高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

副鼻腔炎の原因と症状

鼻をかむ女性

副鼻腔炎はどのような病気ですか?

副鼻腔炎は、何かしらの原因により、副鼻腔に炎症が起きる病気です。副鼻腔が腫れたり膿が溜まったりするため、蓄膿症とも呼ばれています。副鼻腔とは、眉や鼻、眼の下などの骨の中にある空洞です。
おでこにある前頭洞(ぜんとうどう)と両眼と鼻の間に位置する篩骨洞(しこつどう)、鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)と頬の内側に位置する上顎洞の4つが副鼻腔です。
副鼻腔の役割は鼻の補助であり、加湿や加温、異物の排出などを行っています。しかし、細菌やアレルギーなどが原因で副鼻腔に炎症が起きると、副鼻腔が腫れたり膿が溜まったりして副鼻腔炎が生じます。

副鼻腔炎の種類について教えてください。

副鼻腔炎には、発症からの期間が異なる急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があります。急性副鼻腔炎は、発症から4週間以内の感染症で、慢性副鼻腔炎は、炎症が12週以上続くものです。さらに、慢性副鼻腔炎では、原因や特徴が異なる2つの種類に分けられます。それが、非好酸球性副鼻腔炎と好酸球性副鼻腔炎です。
2001年に好酸球性副鼻腔炎が、難治性の慢性副鼻腔炎と提唱されました。もともとは、非好酸球性副鼻腔炎と呼ばれているタイプが慢性副鼻腔炎と提唱されていました。しかし、好酸球性副鼻腔炎が増えたため、慢性副鼻腔炎に含まれています。

副鼻腔炎の原因は何ですか?

副鼻腔炎の原因は細菌やウイルス、アレルギーや歯科疾患、鼻茸などです。急性副鼻腔炎では、ライノウイルスなどのウイルスが原因です。ライノウイルスは、風邪の原因になるウイルスです。好酸球性副鼻腔炎の原因は、明確には解明されていません。アレルギー性鼻炎と同じアレルギー炎症ですが、病態のメカニズムは異なります。
現時点では、カビや抗原、ウイルスなどの外的刺激が原因と考えられています。非好酸球性副鼻腔炎では、インフルエンザ菌や肺炎球菌などの細菌感染が主な原因です。ほかにも、歯科領域の疾患や真菌が原因で、慢性副鼻腔炎が生じることがあります。
鼻茸は鼻の中にできるポリープで、大きくなると鼻腔が塞がれ副鼻腔の換気が不十分になるため、副鼻腔炎が生じやすくなります。

副鼻腔炎の主な症状を教えてください。

副鼻腔炎で現れる症状は、以下のとおりです。
  • 鼻づまり
  • 鼻水が多く出る
  • 鼻呼吸がしにくい
  • 汚い色の鼻水が出る
  • 鼻の中に悪臭を感じる
  • 鼻から喉に分泌物が流れる
  • 嗅覚障害
  • 頭痛や頭重感
一人ひとり現れる症状や程度は異なり、なかには自覚症状が乏しい方もいます。

どのような症状が出たら受診すべきですか?

鼻水や鼻づまり、頭痛などの症状が続く場合は、日常生活に支障をきたす前に早めに受診しましょう。急性副鼻腔炎の診断で用いられる指標では、成人であれば鼻水の状況や顔面、前頭部の圧迫感の状態を確認します。子どもの場合は、鼻水に加えて機嫌や湿った咳の有無が観察されます。
これらの症状が原因で、記憶力や思考力の減退、注意散漫や倦怠感につながることがあるでしょう。そのため、受診のタイミングに悩んだ際には、早めに病院の受診が推奨されます。

副鼻腔炎の診断と治療

検査結果

副鼻腔炎の検査方法を教えてください。

副鼻腔炎の診断には、以下のような検査が行われます。
  • 画像検査
  • 鼻腔内視鏡検査
  • 細菌培養検査
  • 鼻腔通気度検査
  • 基準嗅覚検査
  • 静脈性嗅覚検査
  • 血液検査
  • アレルギー検査
単純レントゲンやCT、MRIを用いた画像検査では、炎症の広がりや程度を把握します。
鼻腔内視鏡検査は、内視鏡を使って鼻汁の状態や鼻茸の有無を確認するために行う検査です。細菌培養検査では、原因の菌を特定し治療につなげるために行います。鼻腔通気度検査は、鼻づまりの状態を評価するための検査です。基準嗅覚検査は、5種類の成分で構成された匂いを実際に嗅いで嗅覚の状態を確認します。
静脈性嗅覚検査では、専用の溶液を静脈に注射し、匂いを感じ始めるまでの時間と匂いを感じなくなるまでの時間を測定します。
原因のアレルゲンを特定するために皮膚や血液を調べるのが、アレルギー検査です。好酸球性副鼻腔炎の場合、血液検査で好酸球の値が基準よりも高く現れます。

副鼻腔炎はどのように治療しますか?

副鼻腔炎の治療は、保存的治療と手術です。保存的治療では、まずは症状緩和+経過観察を行います。細菌性が疑われる場合に限り抗菌薬投与を行います。原因に応じてステロイド、生物学的製剤などの薬物療法が行われます。
細菌感染が原因の非好酸球性副鼻腔炎では、マクロライド系の抗菌薬の少量長期の投与は効果が高いとされています。薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡下鼻副鼻腔手術が選択されます。手術では、鼻の中のポリープを取り除き、副鼻腔の中の膿を排出します。
また、副鼻腔の細かい隔壁をすべて除去して大きな空間にすると、再発予防にも効果があるとされています。好酸球性副鼻腔炎の治療も、薬物療法を中心に行い治療効果が得られにくい場合には、手術が行われるでしょう。
その他にも、抗アレルギー薬や去痰薬、鼻噴霧用のステロイドなどを使います。薬物療法以外では、蓄積した膿を吸引して鼻腔内をきれいにする方法や、ネブライザーと呼ばれる器具でステロイドや抗菌薬を吸入する方法があります。歯科領域の疾患には、歯科治療と並行して副鼻腔炎の治療が行われるでしょう。

副鼻腔炎は自然に治りますか?

ウイルス性の副鼻腔炎は自然治癒することが多いですが、放置すると合併症を引き起こす可能性があります。急性副鼻腔炎の場合、眼窩内や頭蓋内などに合併症が生じます。
眼窩は副鼻腔と隣接しているため、炎症が波及しやすい部位です。波及すると、瞼(まぶた)の腫れや眼球突出、眼球運動に障害が生じます。頻度は高くありませんが、視力障害を生じると進行が早く、改善しない場合があるため注意が必要です。頭蓋内に炎症が波及すると脳腫瘍や髄膜炎などが起こり、高熱や頭痛、ふらつきや倦怠感などが生じます。
炎症が特定の脳神経を侵した場合には、さまざまな脳神経症状が現れます。頻度は低いですが重篤な状態になる場合もあるため、症状が続く場合には、早めに病院を受診しましょう。

副鼻腔炎の予防法となりやすい方の特徴

目の付近を押さえる男性

副鼻腔炎の予防方法はありますか?

風邪や疲労による免疫低下を防ぎ、副鼻腔炎の慢性化を避けることが、予防につながります。急性副鼻腔炎の予防は難しいものの、早期の適切な治療により慢性化を防ぐことが可能です。
また、副鼻腔炎は重症化しにくいとされています。しかし、風邪や疲労などで免疫が低下している際には、感染したウイルスや菌は体内で活動的になります。悪化すると、眼窩内や頭蓋内に波及して合併症につながるため、免疫を低下させないように普段から体調管理が重要です。
鼻のケアをしていても慢性化してしまう場合があるため、気になる症状があれば早めに耳鼻咽喉科の受診を推奨します。

副鼻腔炎になりやすい方の特徴を教えてください。

副鼻腔炎になりやすいとされているのは、以下のような方々です。
  • 喫煙歴がある
  • 喘息や慢性気管支炎の既往歴がある
特に、喘息や慢性気管支炎の既往歴がある方は、2.7〜3.8倍ほど副鼻腔炎にかかりやすいのが特徴です。加齢による鼻粘膜の変化で鼻水の量が増えることで、副鼻腔炎にかかりやすくなる可能性があります。また、高齢者や肥満傾向の方も、関連が示唆されています。

編集部まとめ

笑顔の女性 副鼻腔炎は、鼻水や鼻づまり、頭痛などの症状が出る副鼻腔の病気です。細菌やウイルス、アレルギーなどが原因で副鼻腔に炎症が生じることで、副鼻腔炎になる可能性があります。 重症化するのは少ない病気ですが、免疫が低下しているときや副鼻腔炎が慢性化したときに重症化する可能性があります。 そのため、鼻水や鼻づまり、頭痛などの症状がある際には早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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