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「副鼻腔炎の治療薬」はどんな種類があるの?副作用となる症状も解説!【医師解説】

 公開日:2025/10/31
「副鼻腔炎の治療薬」はどんな種類があるの?副作用となる症状も解説!【医師解説】

副鼻腔炎は、風邪の後に起こりやすい身近な病気です。自然に回復することもありますが、治らずに続くと集中力の低下や睡眠の質の悪化などにつながり、毎日の生活に影響を及ぼすことがあります。

治療には病院で処方される薬と市販薬の両方があります。軽い不調であれば市販薬で一時的に症状をやわらげられますが、強い症状や長引く場合には処方薬による治療が必要です。

この記事では、副鼻腔炎の原因や治療の基本を押さえながら、処方薬と市販薬の効果や副作用、それぞれを選ぶときのポイントを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
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皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

副鼻腔炎について

副鼻腔炎について

副鼻腔炎の症状を教えてください

副鼻腔炎では鼻づまりや、膿のような黄色や緑色の鼻水が出ることがよくあります。鼻水がのどに流れる後鼻漏が起きると、咳や、のどの違和感を引き起こします。

さらに、顔の頬やおでこに重苦しい痛みや圧迫感が出ることもあり、頭を下げたときに痛みが強くなるのが特徴です。長く続くと、においが感じにくくなる嗅覚障害や、頭痛、集中力の低下につながることがあります。

発熱全身のだるさを伴うことがあり、急性の副鼻腔炎では38度を超える高熱になる場合もあります。

なぜ副鼻腔炎になるのですか?

副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染がきっかけになることが多いです。ウイルスで炎症が起こった後、副鼻腔に細菌が入り込むと、膿がたまって炎症が長引きます。

また、アレルギー性鼻炎のある方は、鼻の粘膜が腫れて空気や分泌物の通りが悪くなり、副鼻腔炎を起こしやすいです。花粉症の季節やハウスダストが多い環境では、発症のきっかけになることがあります。

さらに、鼻中隔が曲がっている鼻ポリープ(鼻茸)があるなど構造的な問題があると、副鼻腔の換気が悪くなり、炎症が繰り返されやすくなります。喫煙習慣や疲労の蓄積、免疫力の低下もリスクを高める要因です。

副鼻腔炎の主な治療法を教えてください

急性の副鼻腔炎は、軽い場合には数日から1週間ほどで自然によくなることがあります。そのようなときは、頭痛や顔の痛みをやわらげる薬や、鼻づまりを軽くする薬を使いながら経過をみるのが一般的です。ただし、顔の痛みや発熱が強かったり、膿のような鼻水が長く続いたりする場合には、抗菌薬を使って感染を抑えます。

慢性の副鼻腔炎では、薬を長く使いながら症状をコントロールすることが多いですが、それでも十分な改善がみられないときには、内視鏡を使った手術で副鼻腔の通気や排膿をよくする方法を検討します。

病院で処方される副鼻腔炎の治療薬

病院で処方される副鼻腔炎の治療薬

病院で処方される副鼻腔炎の治療薬にはどのような種類がありますか?

病院で処方される薬には、細菌感染を抑えるための抗菌薬(アモキシシリンやクラリスロマイシンなど)、痛みや発熱をやわらげる消炎鎮痛薬(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど)、粘り気のある鼻水や痰を出しやすくする去痰薬(カルボシステインやアンブロキソールなど)、さらに粘膜の腫れや炎症を局所的に抑えるステロイド点鼻薬(モメタゾンやフルチカゾンなど)があります。

これらの薬は単独で使われることもあれば、症状の程度や急性か慢性かといった背景に応じて複数を組み合わせて処方されることもあります。

薬の種類別に期待される効果を教えてください

抗菌薬は、細菌感染による炎症を直接抑える作用があり、発熱や膿性の鼻水が続くときに効果を発揮します。特にクラリスロマイシンは、抗菌作用に加えて抗炎症作用も持つため、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎では低用量を長期的に使い、炎症を抑えて症状の安定化や再発予防に役立つことがあります。

消炎鎮痛薬は、頭痛や顔の痛みを軽減し、発熱によるつらさを和らげることで日常生活を送りやすくします。

去痰薬は分泌物をやわらかくして排出を促すため、鼻の通りがよくなり呼吸がしやすくなるほか、咳も減らす効果があります。

点鼻ステロイド薬は、鼻の粘膜の腫れや炎症を抑えることで通気を改善し、においの感覚を取り戻すきっかけになることがあります。

処方される副鼻腔炎の薬には副作用はありますか?

抗菌薬では腹痛や軟便、皮膚の発疹がみられ、まれにアレルギー反応や肝機能の異常を引き起こす場合もあります。強い下痢を伴う腸炎や味覚の変化が現れることもあります。

消炎鎮痛薬では、ロキソプロフェンなどのNSAIDsが胃の不快感や胃潰瘍、腎機能への影響を招く可能性があり、そのため胃薬とあわせて処方されるケースもあります。アセトアミノフェンはNSAIDsに比べて胃への負担が少ないものの、大量に服用すると肝機能障害を起こすリスクがあります。

点鼻ステロイド薬は全身への副作用が少ない一方で、長期間の使用によって鼻出血や粘膜の乾燥が生じやすくなります。

去痰薬は副作用は少ないですが、人によっては消化器の不快感を訴えることがあります。

市販されている副鼻腔炎の治療薬

市販されている副鼻腔炎の治療薬

薬局で販売されている薬でも副鼻腔炎は治りますか?

市販薬は副鼻腔炎による不快感を一時的にやわらげるために利用できますが、あくまで対症療法にとどまり、根本的な治療にはなりません。症状が数日たっても改善しない場合や繰り返す場合、さらに発熱や強い痛みを伴うときには、市販薬だけで対応するのは不十分です。そのようなときは耳鼻咽喉科を受診しましょう。

副鼻腔炎の症状が緩和される可能性がある市販薬の成分を教えてください

 市販薬にはいくつかの成分が配合されており、症状ごとに役立ちます。アセトアミノフェンといった解熱鎮痛薬は発熱や頭痛を改善します。

抗ヒスタミン薬はアレルギー反応を抑えることで鼻水や鼻づまりを軽減します。クロルフェニラミンやジフェンヒドラミンなどの第一世代に加え、フェキソフェナジンやロラタジンなど眠気が少ない第二世代の成分も市販されています。

さらにカルボシステインやアンブロキソールといった去痰成分は、粘り気のある鼻水や痰をやわらかくして排出を助け、呼吸をしやすくしてくれます。

点鼻薬には大きく二つのタイプがあります。ひとつは血管収縮薬を含むタイプで、ナファゾリンやオキシメタゾリンなどの成分が鼻粘膜の腫れを抑え、短時間で鼻づまりを改善します。もうひとつはフルチカゾンやモメタゾンといったステロイド成分を含むタイプです。こちらは炎症そのものを抑える作用があり、効果が出るまでに数日かかりますが、副鼻腔炎による鼻づまりの改善や再発予防に役立ちます。

副鼻腔炎の人が市販薬を服用するリスクはありますか?

市販薬は便利ですが、使い方を誤ると副作用や症状の悪化につながります。血管収縮薬入りの点鼻薬は効果が短く、数日以上続けて使用すると逆に鼻づまりが悪化する薬剤性鼻炎を起こすことがあるため、使用は短期間にとどめましょう。

抗ヒスタミン薬は眠気を引き起こすことがあり、運転や機械作業をする方は使用する際に注意が必要です。また、高血圧や緑内障、前立腺肥大といった持病がある場合や、すでに処方薬を服用している場合は飲み合わせによって副作用が強まる可能性があるため、自己判断での使用は避けましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

 副鼻腔炎は軽ければ自然に回復することもありますが、症状が長引いたり繰り返したりする場合は、市販薬だけでは根本的な解決につながりません。そのようなときには早めに医師の診察を受け、必要に応じて処方薬で適切な治療を受けることが望ましいでしょう。

この記事の監修医師