「副鼻腔炎の治療薬」はどんな種類があるの?副作用となる症状も解説!【医師解説】

副鼻腔炎は、風邪の後に起こりやすい身近な病気です。自然に回復することもありますが、治らずに続くと集中力の低下や睡眠の質の悪化などにつながり、毎日の生活に影響を及ぼすことがあります。
治療には病院で処方される薬と市販薬の両方があります。軽い不調であれば市販薬で一時的に症状をやわらげられますが、強い症状や長引く場合には処方薬による治療が必要です。
この記事では、副鼻腔炎の原因や治療の基本を押さえながら、処方薬と市販薬の効果や副作用、それぞれを選ぶときのポイントを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
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眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
副鼻腔炎について

副鼻腔炎の症状を教えてください
さらに、顔の頬やおでこに重苦しい痛みや圧迫感が出ることもあり、頭を下げたときに痛みが強くなるのが特徴です。長く続くと、においが感じにくくなる嗅覚障害や、頭痛、集中力の低下につながることがあります。
発熱や全身のだるさを伴うことがあり、急性の副鼻腔炎では38度を超える高熱になる場合もあります。
なぜ副鼻腔炎になるのですか?
また、アレルギー性鼻炎のある方は、鼻の粘膜が腫れて空気や分泌物の通りが悪くなり、副鼻腔炎を起こしやすいです。花粉症の季節やハウスダストが多い環境では、発症のきっかけになることがあります。
さらに、鼻中隔が曲がっている、鼻ポリープ(鼻茸)があるなど構造的な問題があると、副鼻腔の換気が悪くなり、炎症が繰り返されやすくなります。喫煙習慣や疲労の蓄積、免疫力の低下もリスクを高める要因です。
副鼻腔炎の主な治療法を教えてください
慢性の副鼻腔炎では、薬を長く使いながら症状をコントロールすることが多いですが、それでも十分な改善がみられないときには、内視鏡を使った手術で副鼻腔の通気や排膿をよくする方法を検討します。
病院で処方される副鼻腔炎の治療薬

病院で処方される副鼻腔炎の治療薬にはどのような種類がありますか?
これらの薬は単独で使われることもあれば、症状の程度や急性か慢性かといった背景に応じて複数を組み合わせて処方されることもあります。
薬の種類別に期待される効果を教えてください
消炎鎮痛薬は、頭痛や顔の痛みを軽減し、発熱によるつらさを和らげることで日常生活を送りやすくします。
去痰薬は分泌物をやわらかくして排出を促すため、鼻の通りがよくなり呼吸がしやすくなるほか、咳も減らす効果があります。
点鼻ステロイド薬は、鼻の粘膜の腫れや炎症を抑えることで通気を改善し、においの感覚を取り戻すきっかけになることがあります。
処方される副鼻腔炎の薬には副作用はありますか?
消炎鎮痛薬では、ロキソプロフェンなどのNSAIDsが胃の不快感や胃潰瘍、腎機能への影響を招く可能性があり、そのため胃薬とあわせて処方されるケースもあります。アセトアミノフェンはNSAIDsに比べて胃への負担が少ないものの、大量に服用すると肝機能障害を起こすリスクがあります。
点鼻ステロイド薬は全身への副作用が少ない一方で、長期間の使用によって鼻出血や粘膜の乾燥が生じやすくなります。
去痰薬は副作用は少ないですが、人によっては消化器の不快感を訴えることがあります。
市販されている副鼻腔炎の治療薬

薬局で販売されている薬でも副鼻腔炎は治りますか?
副鼻腔炎の症状が緩和される可能性がある市販薬の成分を教えてください
抗ヒスタミン薬はアレルギー反応を抑えることで鼻水や鼻づまりを軽減します。クロルフェニラミンやジフェンヒドラミンなどの第一世代に加え、フェキソフェナジンやロラタジンなど眠気が少ない第二世代の成分も市販されています。
さらにカルボシステインやアンブロキソールといった去痰成分は、粘り気のある鼻水や痰をやわらかくして排出を助け、呼吸をしやすくしてくれます。
点鼻薬には大きく二つのタイプがあります。ひとつは血管収縮薬を含むタイプで、ナファゾリンやオキシメタゾリンなどの成分が鼻粘膜の腫れを抑え、短時間で鼻づまりを改善します。もうひとつはフルチカゾンやモメタゾンといったステロイド成分を含むタイプです。こちらは炎症そのものを抑える作用があり、効果が出るまでに数日かかりますが、副鼻腔炎による鼻づまりの改善や再発予防に役立ちます。
副鼻腔炎の人が市販薬を服用するリスクはありますか?
抗ヒスタミン薬は眠気を引き起こすことがあり、運転や機械作業をする方は使用する際に注意が必要です。また、高血圧や緑内障、前立腺肥大といった持病がある場合や、すでに処方薬を服用している場合は飲み合わせによって副作用が強まる可能性があるため、自己判断での使用は避けましょう。
編集部まとめ

副鼻腔炎は軽ければ自然に回復することもありますが、症状が長引いたり繰り返したりする場合は、市販薬だけでは根本的な解決につながりません。そのようなときには早めに医師の診察を受け、必要に応じて処方薬で適切な治療を受けることが望ましいでしょう。
参考文献




