「ミネラルの過剰摂取」で現れる症状とは?サプリや食事で陥る“落とし穴”を解説!

ミネラルを過剰摂取するとどうなる?メディカルドック監修管理栄養士が一日の摂取量・効果・過剰摂取すると現れる症状・不足すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
都々地尾 ゆき(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ミネラル」とは?

生体を構成する主要な4元素のうち、酸素・炭素・水素・窒素以外の元素の総称で無機質とも呼ばれ、五大栄養素の1つです。
1日の摂取量が100mg以上の多量ミネラルと、100mg未満の微量ミネラルに分類されていて、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
多量ミネラルとして、カルシウム・リン・マグネシウム・ナトリウム・カリウムの5種類、微量ミネラルとして、鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンの8種類があり、基準が設定されています。それぞれのミネラルがお互いに影響を与え、吸収を阻害することもあるので、バランス良く摂取することが大切だといわれています。
ミネラルの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、ミネラルの種類により、1日の目安量や目標量、また耐容上限量(健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限)が、年齢や性別ごとに定められています。
例えば、ナトリウムは食塩相当量としての目標量が、18〜64歳で、男性7.5g未満、女性6.5g未満、カリウムは目標量として男性3000mg以上、女性2600mg以上。また、リンの目安量は18~64歳で男性1000mg/日、女性800mg/日、耐容上限量として男女ともに3000mg/日と設定されており、不足した場合だけでなく、摂り過ぎた場合にも身体への不調が起こる可能性があるため注意が必要です。
| ミネラル名 | 男性(目安・目標量) | 女性(目安・目標量) | 耐容上限量 |
|---|---|---|---|
| ナトリウム(食塩相当量) | 7.5g 未満 | 6.5g 未満 | - |
| カリウム | 3,000mg 以上 | 2,600mg 以上 | - |
| リン | 1,000mg | 800mg | 3,000mg |
ミネラルの効果

骨・歯の形成、血液に関与
カルシウムやリン、マグネシウムは骨や歯の形成に関わるほか、血液凝固や細胞内の情報伝達などの働きもあります。また、鉄が血液のヘモグロビンを構成して全身に酸素を運ぶなど、ミネラルは身体の構造を維持するのに不可欠な材料となります。
浸透圧の調整
ナトリウムやカリウムなどが細胞の内外で連携し、体内の水分や浸透圧の調節に関与しています。血液のpHを一定に保つことで、体内環境を常に最適な状態に維持しています。
酵素やホルモンの構成成分
亜鉛や銅は多くの酵素の構成成分として働き、体内のさまざまな代謝反応を支えています。また、ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成に必要なミネラルで、エネルギー代謝の調整に関与しています。このように、ミネラルは酵素やホルモンの働きを通じて体の機能維持に重要な役割を果たしています。なお、クロムについては糖代謝との関連が報告されていますが、その作用や有効性については十分に一致した科学的根拠があるとはいえないため、過度な期待は避ける必要があります。バランスの良いミネラル摂取を心がけることが、健康維持や生活習慣病予防につながると考えられています。
ミネラルの多い食品

乳製品・海藻・野菜
カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、小松菜に多く含まれます。乳製品のカルシウムは吸収率が高いのが特徴です。また、マグネシウムはアーモンドなどのナッツ類やほうれん草、カリウムはバナナや里芋、アボカドにも豊富に含まれています。
カルシウム: 牛乳コップ1杯(200ml)に約220mg。小松菜1/4束(70g)に約119mg。
マグネシウム: アーモンド10粒(約12g)に約37mg。
カリウム: バナナ1本(正味100g)に約360mg。アボカド1/2個(正味70g)に約413mg。
肉・魚介・レバー
鉄分は豚レバーや赤身の牛肉(ヘム鉄)、小松菜やほうれん草(非ヘム鉄)に多く含まれます。亜鉛は牡蠣(カキ)が代表的で、他にも赤身肉やカシューナッツに含まれます。
鉄: 豚レバー(50g)に約6.5mg。赤身の牛肉(100g)に約2.8mg。
亜鉛: 生牡蠣1個(約20g)に約2.8mg。
加工食品・インスタント食品
ナトリウムは食塩、醤油、味噌などの調味料のほか、ハムやソーセージ、カップ麺などの加工食品に多く含まれています。また、リンは添加物として加工食品に広く使われており、摂りすぎるとカルシウムの吸収を妨げるため、便利な食品に頼りすぎない工夫が必要です。
ナトリウム: カップ麺1個に食塩相当量として約5~6g含まれるものもあります。
リン: ハムやソーセージ、練り物、スナック菓子などの保存料(結着剤)として多く含まれています。
| ミネラル | 代表的な食品 |
|---|---|
| カルシウム | 牛乳、チーズ、小魚、小松菜 |
| マグネシウム | ナッツ類(アーモンド等)、ほうれん草 |
| カリウム | バナナ、アボカド、里芋 |
| 鉄 | レバー、赤身肉、小松菜 |
| 亜鉛 | 牡蠣、カシューナッツ |
ミネラルを過剰摂取すると現れる症状

むくみ・高血圧
塩分(ナトリウム)をたくさん摂取すると、体の塩分濃度を薄めようと体内に水分を溜め込みます。それが原因でむくみが起こるため、塩分の摂り過ぎには注意が必要です。また、カリウムは余分なナトリウムを尿として排泄する役割があるため、むくみの解消に役立ちます。
下痢・便秘
ミネラルをサプリメントなどで一度に多量に摂取すると、消化器症状が現れることがあります。特にマグネシウムは腸内に水分を引き込む作用があるため、過剰に摂取すると下痢を起こすことがあります。また、鉄を多量に摂取した場合には、便秘や胃の不快感がみられることもあります。通常の食事で過剰になることは多くありませんが、サプリメントを使用する際は摂取目安量や耐容上限量を確認し、自己判断で多量摂取しないよう注意しましょう。
吐き気・嘔吐
亜鉛のサプリメントを過剰に摂取すると、吐き気・嘔吐などを引き起こす可能性があります。症状が出た場合は、サプリメントを中止し、内科や消化器科を受診すると良いでしょう。
胃腸障害や色素沈着
サプリメントなどで鉄を過剰に摂取すると、便秘や胃の不快感が起こることがあります。また、長期的な過剰摂取は、肝臓などの臓器に鉄が沈着する「ヘモクロマトーシス」の原因となり、臓器障害を招く恐れがあるため、自己判断での多量摂取には注意が必要です。
甲状腺機能への影響
ヨウ素は、甲状腺ホルモンの構成成分のため、不足しても摂り過ぎても甲状腺機能に影響を及ぼす可能性があります。特に、サプリメントの継続的な使用は、過剰摂取につながる可能性があるため注意が必要です。
ミネラルが不足すると現れる症状

骨や歯がもろくなる
カルシウムやマグネシウムが慢性的に不足すると、骨量が減少し、骨や歯がもろくなる可能性があります。特にカルシウム不足は、成長期では骨の発達に影響し、成人以降では骨粗しょう症のリスクを高める要因の一つとされています。また、これらのミネラルは神経や筋肉の働きにも関わっているため、著しく不足した場合には、筋肉のけいれんやしびれなどの症状がみられることがあります。血圧や免疫機能との関連も報告されていますが、これらは複数の栄養素や生活習慣が関与するため、特定のミネラル不足のみで起こるとは限りません。
めまいや疲労感
鉄が不足すると、頭痛・めまい・動悸・息切れ・集中力低下・食欲不振といった症状が見られます。また、筋肉中のミオグロビンが減ることで、筋力が低下したり、疲労感が生じたりします。
味覚障害の可能性
亜鉛は味を感じる味蕾(みらい)の産生に必要であるため、亜鉛不足になると、味を感じにくくなる可能性があります。
ミネラルの効率的な摂取方法

ビタミンと一緒に摂取する
ミネラルの中には、特定のビタミンと組み合わせることで吸収率が高まるものがあります。例えば、非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取することで吸収が促進されます。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の形成や維持に関与しています。このように、栄養素同士の相互作用を理解し、食品を組み合わせて摂取することが、効率的な栄養補給につながります。
調理の工夫
カリウムやマグネシウムなどの水溶性の性質を持つミネラルは、茹でる調理で水に溶け出しやすい性質があります。効率的に摂るには、「生で食べる」「蒸す」「スープにして汁ごと飲む」と、ミネラルも一緒に摂れるためお勧めです。
吸収を阻害する組み合わせを避ける
ミネラルは組み合わせによって吸収率が変わります。例えば、加工食品に多い「リン」や、コーヒー・緑茶に含まれる「タンニン」は、鉄やカルシウムの吸収を阻害することがあります。食事中や食後すぐの大量のコーヒーは避け、ビタミンCを多く含む果物や野菜と一緒に摂ると、鉄やカルシウムの吸収効率が高まります。
「ミネラルの過剰摂取」についてよくある質問

ここまでミネラルを紹介しました。ここでは「ミネラルの過剰摂取」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
日本人が多く摂取しているミネラルは何でしょうか?
都々地尾 ゆき
日本人が目標量を上回って摂取している傾向があるミネラルとして、特にナトリウム(食塩)が挙げられます。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、1日あたりの食塩摂取量の平均値が、食事摂取基準で示されている目標量(18~64歳:男性7.5g未満、女性6.5g未満)を上回る状況が続いています。醤油や味噌、漬物などの調味料に加え、加工食品や外食の利用増加が背景にあります。また、リンについても注意が必要です。リンは肉や魚などの食品に自然に含まれるほか、加工食品には食品添加物として使用されることが多く、知らないうちに摂取量が増えやすいミネラルです。通常の食事でただちに健康障害が生じるケースは多くありませんが、加工食品への依存が高い食生活では過剰傾向になる可能性が指摘されています。ナトリウムだけでなく、リンの摂取状況にも目を向けることが大切です。
一番摂取に気を付けた方が良いミネラルはありますか?
都々地尾 ゆき
一番気を付けた方が良いというミネラルは断定できませんが、健康維持のために「過剰摂取」と「不足」の両面で気をつけたいのは、ナトリウムとカリウムのバランスです。ナトリウム(塩分)の過剰摂取は、血管に負担をかけ、高血圧や循環器疾患のリスクを高めることが知られています。余分なナトリウムの排出を助けるために、カリウムを十分に摂取することが推奨されています。
また、サプリメントを利用している方の場合は、亜鉛や鉄、銅などの微量ミネラルにも注意が必要です。これらは互いに吸収を阻害し合う性質があるため、一つの成分だけを多量に摂取すると、他のミネラルが欠乏するという二次的な問題が起こる可能性があります。特定の成分に偏らず、食事からバランス良く摂取するのが理想です。
まとめ
ミネラルは骨や血液の材料になるだけでなく、血糖のコントロールや代謝の維持にも深く関わっています。過剰摂取によるリスクを避けつつ、日々の食事から取り入れることが、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を遠ざけることに繋がります。
3食の食事を基本とし、不足しがちな野菜や海藻、乳製品を組み合わせるなど、無理のない範囲でバランスの良い食生活を楽しめると良いですね。
「ミネラル」と関連する病気
「ミネラル」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
- 便秘
- 下痢
- 嘔吐
婦人科・血液系の病気
- 貧血
- むくみ
整形外科の病気
- 軟骨の変形
「ミネラル」と関連する症状
「ミネラル」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。




