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「豚肉でタンパク質量」の多い部位がどこかご存じですか?健康効果も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/12/12

豚肉のタンパク質はどれくらい?メディカルドック監修医が豚肉1gや100g辺りのタンパク質量・効果・カロリーが低い食品・カロリーを抑えて摂取する方法などを解説します。

山口 恵里

監修管理栄養士
山口 恵里(管理栄養士)

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病院や高齢者施設で5年、給食管理、栄養管理業務に従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は育児をしながらフリーランスとして地域の方の家事・育児サポートをさせていただいています。日々の生活を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

豚肉とは?

豚肉とは?

豚肉とは、豚を食用に加工した肉を指し、牛肉や鶏肉と並ぶ主要な食肉です。豚は生後約180日前後で食肉として出荷されます。黒豚は発育が遅いため約240日かかります。世界的に消費量が多い肉で、日本でも日常的に利用されます。
また、栄養価が高く、たんぱく質をはじめ、脂質や鉄、亜鉛を含み、特にビタミンB1が豊富に含まれています。そして、部位ごとに肉質や脂質の量が異なり料理の用途が大きく変わります。

豚肉1g辺りのタンパク質量はどれくらい?

豚肉1g辺りのタンパク質量はどれくらい?

豚肉1gあたりのたんぱく質量は、肩ロース(脂身つき、生)が0.17g、ロース(脂身つき、生)は0.19g、バラ(脂身つき、生)は0.14g、ヒレ(赤肉、生)は0.22g、もも(脂身つき、生)は0.20gです。

豚肉100g辺りのタンパク質量はどれくらい?

豚肉100g辺りのタンパク質量はどれくらい?

豚肉100gあたりのたんぱく質量は、肩ロース(脂身つき、生)が17.1g、ロース(脂身つき、生)は19.3g、バラは(脂身つき、生)14.4g、ヒレ(赤肉、生)は22.2g、もも(脂身つき、生)は20.5gです。

細切れのタンパク質量はどれくらい?

細切れのタンパク質量はどれくらい?

細切れの肉は、肩・もも・バラなど複数の部位を組み合わせて作られることが多く、含まれる部位の割合によって栄養価が変わります。特に、脂身の多いバラ肉の割合が多くなると脂質が増え、相対的にたんぱく質量は少なくなる傾向があります。
一般的な細切れ肉のたんぱく質量は、100gあたり約17.0〜18.0gが目安です。ただし、実際の数値は使用されている部位によって前後するため、“あくまで平均的な値”として参考にしてください。

タンパク質量が多い部位は?

タンパク質量が多い部位は?

ヒレ

たんぱく質が多い部位の1つがヒレです。ヒレは最もたんぱく質が高く、脂質は低めのため、トレーニング中の方やダイエットをしている方に向いています。
ヒレ(赤肉、生)は100gあたり22.2gのたんぱく質を含んでいます。

もも

もも肉は赤身が多く、脂質が少なく、価格が比較的安いため、日常的に使いやすい部位となります。もも(脂身つき、生)は100gあたり20.5gのたんぱく質を含んでいます。

肝臓

肝臓(生)にはたんぱく質が100gあたり20.4g含まれます。他には鉄や亜鉛、ビタミンが豊富に含まれ、特にビタミンAが過剰になりすぎる可能性があり、食べ過ぎには注意が必要です。

豚肉の健康効果

豚肉の健康効果

疲労回復

豚肉には糖質の代謝を促すビタミンB群が豊富です。糖質は消化・吸収に優れており、利用されやすいエネルギー源のため運動後や夏バテ時に効果的です。ビタミンB群と糖質を一緒に摂取することで疲労の回復が期待できます。また、豚肉に含まれる鉄には全身に酸素を供給する働きがあるため、疲労回復につながります。
しかし、豚肉を摂取しても疲労感や疲れやすさがとれない場合、たんぱく質を摂りすぎている可能性があります。たんぱく質は分解されるとアンモニアや尿素などが発生します。これを処理する腎臓や肝臓に負担がかかり疲労感が増す場合があります。

免疫力向上

豚肉に含まれる良質なたんぱく質と亜鉛は免疫細胞を強化します。必須アミノ酸であるリジンやヒスチジンといったアミノ酸が抗体生成や成長に関与しており、免疫力の向上につながります。また、亜鉛の多くはたんぱく質と結合しており、細胞が新しくなったり、たんぱく質が合成される際に補酵素として働きます。

美容効果

豚肉はアミノ酸のバランスが良く、高品質のたんぱく質が含まれています。そのため、期待できる効果として肌や髪、爪の材料となり、コラーゲン生成を助け、ハリや弾力を維持することが挙げられます。また、豚肉に含まれるビタミンB2が肌の新陳代謝を高めるので、ニキビ予防や美肌になる効果があります。

脳の活性化

豚肉にはビタミンB群が含まれており、特にビタミンB1は糖質をエネルギー源に変える補酵素です。脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源とするため、脳の疲労や集中力の向上が期待できます。また、ビタミンB6・B12は神経伝達物質の合成に関与しており、神経細胞の働きを助け、子供の学習能力向上につながる可能性があるといわれています。

老化防止効果

カルノシンは筋肉や脳に多く存在する「抗酸化・抗疲労」が期待できる成分で、加齢とともに減少するという報告があります。豚肉にはこのカルノシンが含まれています。カルノシンの抗酸化物質が疲労の回復や老化予防に効果があると言われており、大豆などの植物性たんぱく質に比べ量・質ともに優れています。

豚肉に含まれている栄養素

豚肉に含まれている栄養素

ビタミンB群

豚肉には、糖質をエネルギーに変える際に重要な役割を担うビタミンB1が豊富に含まれています。特に、豚肉のビタミンB1含有量は肉類の中でも多く、牛肉や鶏肉と比べて高い傾向があります。また、脂質やたんぱく質の代謝に関わるビタミンB2、赤血球の生成に必要なビタミンB12も含まれています。
そのほか、エネルギー産生を助けるナイアシンや、脂質の代謝・ホルモン合成に関与するパントテン酸など、さまざまなビタミンB群をバランスよく含んでいるのが特徴です。

鉄はおもに動物性の食品に含まれています。特に鉄が貯蔵されている肝臓に多く含まれ、赤身の肉にも豊富に含まれています。豚の「肝臓(生)」には100gあたり13.0mgの鉄が含まれています。鉄は酸素の運搬、エネルギー生産に重要なATPの生成に関与しており、酵素の成分としても重要な栄養素です。

亜鉛

亜鉛は豚の肝臓に多く含まれ、補酵素の構成成分としてDNAやインスリンなどの合成に関与しています。また、免疫機能の維持や味覚の維持、皮膚や毛髪の健康に役立ち、骨の代謝に関与するアルカリホスファターゼの構成成分にもなります。

脂質

豚肉の脂質は部位によって大きく異なります。「ヒレ(赤肉、生)」には100gあたり3.7g(飽和脂肪酸は100gあたり1.29g、不飽和脂肪酸は100gあたり1.83g)、
「ばら(脂身つき、生)」には100gあたり35.4g(飽和脂肪酸は100gあたり14.6g、不飽和脂肪酸は100gあたり18.76g)、「かたロース(脂身つき、生)」には100gあたり19.2gの脂質(飽和脂肪酸は100gあたり7.26g、不飽和脂肪酸を10.27g)を含みます。
脂質は少量でも多くのエネルギーを得ることができる効率の良いエネルギー源です。
脂質を構成する成分に脂肪酸があります。豚肉は一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を含み、このオレイン酸は悪玉コレステロールを減らす働きがあります。そして必須脂肪酸であるリノール酸(n-6系多価不飽和脂肪酸)も含みます。必須脂肪酸はヒトの体内では合成できないため、食品から摂取する必要があります。

カルノシン

カルノシンは2つのアミノ酸が結合したイミダゾールペプチドの一種です。イミダゾールペプチドは、筋肉の中でつくり出される物質で、活性酸素を抑える働きがあります。最近の研究で、体内の活性酸素の発生を抑えることで疲労感を改善するという報告があります。カルノシンは疲労回復に優れた効果を持つといわれています。

豚肉のタンパク質を効率的に摂取する方法

豚肉のタンパク質を効率的に摂取する方法

部位の種類

ヒレ肉やもも肉、ロース肉は脂質が少なく、100gあたりのたんぱく質が19.0~20.0gのため、効率的に摂取するためにはおすすめの部位です。
逆に、ばら肉や肩ロース肉は脂質が多いため、たんぱく質を効率的に摂取したい場合はヒレやもも、ロースがおすすめです。

調理方法

「茹でる」や「蒸す」調理方法は、余分な脂質をおとし、たんぱく質を保持するため、効率的にたんぱく質を摂取するにはおすすめの方法です。
また、豚汁やシチューなどの「煮込み料理」は汁・スープごと食べることで効率的に栄養を摂取することができます。

組み合わせ

たんぱく質の代謝にはビタミンB群が欠かせません。なかでもビタミンB6はたんぱく質を代謝する上で重要な補酵素となります。食品から摂取したたんぱく質はアミノ酸に分解されて吸収された後、再びアミノ酸同士が結合して必要なたんぱく質として再合成されます。ビタミンB6は補酵素としてこの過程をサポートしています。
ビタミンB6は玄米やニンニク、赤ピーマンなどに多く含まれているので、これらの食品と一緒に摂ることで体内でうまく利用されます。

「豚肉のタンパク質」についてよくある質問

「豚肉のタンパク質」についてよくある質問

ここまで豚肉のタンパク質量について紹介しました。ここでは「豚肉のタンパク質量」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

タンパク質が多いお肉はなんでしょうか?

山口 恵里山口 恵里

たんぱく質の量は肉の種類や部位によって大きく異なりますが、一般的には鶏肉のささみやむね肉、豚肉のヒレ肉などが高たんぱくで脂質が少ない部位として知られています。例えば、鶏肉ではささみ(生)が100gあたり23.9g、むね肉(皮付き、生)が21.3gと比較的高いたんぱく質量を持ちます。牛肉の場合、もも(赤肉、生)が100gあたり19.3g、ヒレ(赤肉、生)が19.0gとなっており、鉄や亜鉛などのミネラルを多く含む点が特徴です。豚肉では、ヒレ(赤肉、生)が100gあたり22.2g、もも(脂身つき、生)が20.5gと高たんぱくで、脂質も比較的控えめなため、ダイエットや筋力アップを目的とした食事に適しています。

まとめ

豚肉は世界的に消費量が多い食肉で、日本でも牛肉・鶏肉と並ぶ主要なたんぱく源です。
たんぱく質は必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、高たんぱくでビタミンB1が豊富なため疲労回復などの効果が期待できます。また、鉄や亜鉛も含んでいるため貧血の予防や免疫機能向上に効果的とされています。
たんぱく質を適量とることで疲労回復や免疫力の向上が期待できますが、逆に、摂りすぎることで腎臓や肝臓に負担がかかってしまい、むくみやすくなったり、疲労感がとれないこともあります。
豚肉は部位ごとに栄養や味わいが異なり、料理の幅が広いのが特徴です。筋トレやダイエットにはヒレが、赤身中心で日常的に使う場合はももやロース、コクがある煮込み料理には肩ロースなどと使いわけると良いでしょう。調理の際には充分に加熱をし、食中毒の予防をしましょう。

「豚肉」と関連する病気

「豚肉」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

豚肉と関連する病気

  • サルモネラ症
  • カンピロバクター感染症
  • E型肝炎ウイルス(急性肝炎・劇症肝炎)
  • 旋毛虫症
  • 有鉤条虫症
  • 豚丹毒(類丹毒)

「豚肉」と関連する症状

「豚肉」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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この記事の監修管理栄養士