卵などに含まれる「ビタミンB12を過剰摂取」するとどうなる?管理栄養士が徹底解説!
公開日:2025/11/19

ビタミンB12を過剰摂取するとどうなる?メディカルドック監修医がビタミンB12の一日の摂取量・効果・過剰摂取すると現れる副作用・対処法・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
越川 愛子(管理栄養士)
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保育園で食育や給食管理、栄養管理業務に従事しました。管理栄養士の資格取得後は、ドラッグストアを運営する会社でお客様への栄養相談や特定保健指導に携わりました。現在は保育園で子どもたちに食の楽しさや大切さを伝えられるよう、心を込めて給食づくりを行っています。
目次 -INDEX-
「ビタミンB12」とは?

ビタミンB12の一日の摂取量

ビタミンB12の効果

造血作用
ビタミンB12は、葉酸とともにDNAの合成を助け、正常な造血作用に不可欠な役割を果たしています。特に赤血球の成熟に関わっています。ビタミンB12が不足することで、細胞分裂がうまくいかなくなり、異常に巨大で未熟な赤血球が作られる、巨赤芽球貧血を引き起こすことがあります。胃を広範囲に切除した人や、回腸を切除した人ではビタミンB12の吸収が悪くなり、欠乏症を起こしやすくなります。神経機能の維持・修復
ビタミンB12は、神経細胞を構成するたんぱく質やリン脂質の合成を助け、末梢神経の修復を促します。また神経の保護や、再生に重要な役割を果たすミエリン鞘を健全に保つ働きがあり、神経機能を維持します。手足のしびれ、肩こり、腰痛などの改善にも効果が期待できます。動脈硬化予防
アミノ酸の一種であるホモシステインは血中濃度が高くなると、動脈硬化を引き起こしやすくなります。ビタミンB12は、葉酸、ビタミンB6とともに、ホモシステインの代謝をサポートし、血中濃度を適正に保つことで、動脈硬化の予防につながります。精神状態の安定
ビタミンB12は、セロトニンやドーパミンなどの脳内神経伝達物質の生成をサポートし、気分や精神の安定効果があると考えられています。 自律神経の働きを整え、睡眠の質にもよい影響を与えることが期待されています。眼精疲労の緩和
ビタミンB12は、末梢神経を修復する働きや、視神経の代謝を活発にする働きがあります。眼精疲労の原因となる視神経のダメージを軽減し、目の疲れの軽減に効果が期待できます。ビタミンB12を過剰摂取すると現れる副作用

頭痛
ビタミンB12は、胃から分泌される内因子によって、小腸での吸収量が調整されています。そのため通常の食品の摂取で、過剰摂取による健康障害の報告はありません。ただし、短期間にサプリメントなどの高用量のビタミンB12を摂取した場合、ごく稀に頭痛が現れるとの報告があります。胃の不快感
ビタミンB12は、過剰に摂取しても体内に蓄積されにくく、余分な分は尿中に排泄されるため、現時点で、過剰摂取が健康障害を示す科学的根拠はありません。医薬品やサプリメントとして高用量を短期間に摂取した場合、ごく稀に胃の不快感や、食欲不振などの消化器症状が現れることがあります。しびれ
短期間に医薬品やサプリメントとして高用量を摂取した場合、しびれが起こる恐れがあります。 ビタミンB12は、通常の食品の摂取をしている人で、過剰症は認められていません。過剰摂取による健康障害を示す科学的根拠がないため、日本人の食事摂取基準(2025年版)においても、健康障害をもたらすリスクがないと見なされる習慣的な摂取量の上限「耐容上限量」は設定されていません。 ごく稀ではありますが、サプリメントなどの過剰摂取により健康障害が起こる可能性が示唆されています。医薬品やサプリメントは、用法用量を守りましょう。過敏症、発疹
医薬品として高用量で使用されるメコバラミン製剤では、発疹やかゆみといった過敏症が現れる場合があります。 メコバラミンは、神経の修復や再生を助けるビタミンB12製剤です。末梢神経の傷が原因で起こるしびれや痛みなどの症状改善や、巨赤芽球貧血の治療薬として用いられます。下痢
発症頻度はとても低いですが、メコバラミンの副作用で下痢が生じるとの報告があります。多くは軽度で、一時的と言われています。空腹時の服用を避けることで軽減するとも考えられていますが、症状が続く場合は医師に相談しましょう。ビタミンB12を取りすぎてしまった際の対処法

摂取を中止する
食品からの過剰摂取は、ほとんど心配ありません。サプリメントを利用している場合は、摂取を中止しましょう。また、サプリメントは同じ成分が重複しないように注意し、飲み合わせが心配な場合は薬剤師や登録販売者に相談しましょう。製品に記載されている摂取方法や量を守ることも重要です。水分を十分に摂る
ビタミンB12は水に溶けやすい水溶性ビタミンであり、体内で余った分は尿とともに自然に排出されます。 そのため、特別に大量の水を飲む必要はありませんが、普段からこまめに水分を摂り、体内の代謝を整えておくことが大切です。 過剰に摂取した心配がある場合も、通常の水分補給を意識すれば十分です。安静にする
頭痛やめまいなどの症状がある場合は、無理をせず安静にしましょう。食事から摂取する
サプリメントはあくまで不足を補うための手段とし、基本は毎日の食事からビタミンB12を摂取するようにしましょう。 ビタミンB12は、魚介類、肉類、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれています。中でも、しじみやあさりなどの貝類、イワシやサバなどの青魚、牛や鶏のレバーは特に豊富な供給源です。 一方、植物性食品にはほとんど含まれていません。一部の海藻類(海苔など)にビタミンB12が検出されることがありますが、これらは体内で利用されにくい「類似体(アナログ)」である場合が多く、信頼できる供給源とは言えません。 そのため、動物性食品をバランスよく取り入れることが、ビタミンB12を効率よく摂取するためのポイントです。医療機関に相談する
医師から処方された薬の場合は、自己判断で中止せず、医師に相談しましょう。 また、長期にわたって症状が続く場合や、症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。ビタミンB12の効率的な摂取方法

ビタミンB12と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
・葉酸葉酸は赤血球を作る役割を担っています。ビタミンB12は葉酸と協力して、赤血球の正常な生成を助ける働きがあり、貧血の予防・改善につながります。またビタミンB12は、一度使われた葉酸を再利用可能な状態に活性化する役割もあります。 ビタミンB12は、しじみやあさりなどの貝類、牛や鶏のレバー、イワシやサバなどの青魚、卵や、乳製品に多く含まれます。 葉酸は、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、いちごやアボカドなどの果物、きのこや、豆類、鶏や牛のレバーなどに多く含まれています。ビタミンB12と葉酸は、どちらも水溶性であるため、スープなど汁ごと食べられる調理法にしたり、茹でるよりも電子レンジ調理や蒸し料理にすると損失が少なく、効率よく摂取できます。
ビタミンB12と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
ビタミンB12は水溶性ビタミンであり、通常の食事や飲み物によって吸収が大きく妨げられることはほとんどありません。 ただし、お茶やコーヒーなどカフェインを多く含む飲み物を過剰に摂取すると、利尿作用によって水溶性ビタミンが体外に排出されやすくなる可能性があります。 そのため、ビタミンB12を効率よく摂りたい場合は、食事と同時に大量のカフェインを摂ることは避け、コーヒーやお茶は食後1〜2時間ほどあけて飲むとよいでしょう。 また、食事のバランスを整え、ビタミンB12を含む食品を継続的に摂取することが大切です。ビタミンB12の効果を高める摂取タイミング
ビタミンB12は、食事1回当たり2.0μg程度になると、内因子を介した吸収のしくみが飽和状態となり、それ以上吸収されなくなります。一度に多量のビタミンB12を摂取するよりも、1日数回に分けて摂取することが望ましいと考えられています。 サプリメントを飲むタイミングは、食事と同時、または食後がおすすめです。朝、昼、夕食と1日数回に分けて摂ることで、効率よく摂取できます。「ビタミンB12の過剰摂取」についてよくある質問

ここまでビタミンB12の過剰摂取について紹介しました。ここでは「ビタミンB12の過剰摂取」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ビタミンB12サプリの一日の摂取量について教えてください。
越川 愛子
日本人の食事摂取基準(2025年版)で推奨される成人のビタミンB12の1日の摂取量は、男女ともに4.0μgです。 サプリメントは、たくさん飲めば飲むほど効果が増すといったものではありません。製品の中には、1日に必要な量を超えて配合されているものもありますので、過剰摂取には注意が必要です。用法用量を必ず守りましょう。 ビタミンB12は、主に動物性食品に含まれています。まずは毎日の食事からの摂取を心がけ、サプリメントは不足分を補うものとして活用しましょう。
まとめ
ビタミンB12は、主に赤血球の形成を助ける、神経機能を正常に保つなど、身体機能の維持に重要な働きをしています。通常の食品の摂取では、過剰摂取による健康障害はありません。ビタミンB12は貝類、魚介類、肉類、卵、乳製品などに多く含まれています。毎日の食事に色々な食品から意識的に摂り入れ、バランスのよい食事を心がけましょう。サプリメントなどの高用量を短期間に過剰摂取した場合は、ごく稀に副作用が現れる可能性があります。サプリメントは不足を補うものとし、用法用量を守って正しく使いましょう。「ビタミンB12」と関連する病気
「ビタミンB12」と関連する病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。循環器系の病気
- 動脈硬化
- 高ホモシステイン血症
神経系の病気
- 末梢神経障害
- 亜急性連合性骨髄変性症
- 悪性貧血
- 巨赤芽球貧血
- ハンター舌炎
「ビタミンB12」と関連する症状
「ビタミンB12」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- ふらつき
- めまい
- 動悸、息切れ
- しびれ
- 腰痛
- 神経痛
- 肩こり
- 疲労感
- 脱力感、倦怠感
- 集中力、記憶力の低下
