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「ビタミンDの多い食べ物」はご存じですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/11/05
「ビタミンDの多い食べ物」はご存じですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

ビタミンDの多い食べ物とは?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

山口 恵里

監修管理栄養士
山口 恵里(管理栄養士)

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病院や高齢者施設で5年、給食管理、栄養管理業務に従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は育児をしながらフリーランスとして地域の方の家事・育児サポートをさせていただいています。日々の生活を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

「ビタミンD」とは?

「ビタミンD」とは?

ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつで、植物性由来のビタミンD2と動物性由来のビタミンD3があります。きのこ類など一部の食品では、紫外線を浴びることで、ビタミンDの前駆体からビタミンDに変換されます。また、紫外線にあたることで人の皮膚でも生産されるという特徴があり、その両方が体内でビタミンDとして利用されます。 そして、ビタミンDは骨や歯の健康維持に欠かせない栄養素でカルシウムの骨への沈着をサポートします。さらに、体内でのカルシウムやリンの吸収を助ける働きや免疫力の向上や筋肉の維持・強化にも関わっています。

ビタミンDの一日の摂取量

ビタミンDの一日の摂取量

ビタミンDの一日の摂取量については男女差はなく、目安量が決まっています。目安量とは、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量のことをいいます。 0ヶ月〜11ヶ月  5.0μg/日 1歳〜11歳    3.5〜8.0μg/日 12歳以上     9.0μg/日 (妊婦・授乳婦も含む)

ビタミンDの効果

ビタミンDの効果

骨や歯の強化

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を促進します。特にビタミンD3は活性型に変換され、カルシウムとリンの吸収力を高めます。 また、カルシウムはリンと結合し骨や歯の主成分である『リン酸カルシウム』として構成されています。

免疫力の向上

ビタミンDは免疫系の細胞における分化を促します。 免疫細胞は体の防御システムを作っている重要な細胞です。また、細胞の分化とは造血幹細胞という全てのスタートとなる細胞がT細胞やB細胞、好中球やマクロファージといった免疫細胞に作り出されることなどをいいます。

筋肉の維持・強化

筋力トレーニングやランニングなどによって筋肉の繊維が損傷すると、体はそれを修復しようとします。この過程で新しい筋たんぱく質が合成されます。この時、ビタミンDはたんぱく質合成や炎症抑制を通じて回復をサポートします。筋肉細胞には『ビタミンD受容体』が存在し、活性化により筋肉の再生が促進されると考えられています。

腸内環境を整える

ビタミンD(および受容体VDR)は、腸上皮のバリア機能(タイトジャンクションなど)の維持に関与する可能性が指摘されています。ただし、ヒトで「腸漏れ(腸管透過性の亢進)を防ぐ」と断定できる十分なエビデンスはまだありません。

心血管系疾患の予防

観察研究では、血清25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)の低値と心血管疾患リスクの上昇が関連する報告があります。一方で、一般成人を対象にした大規模ランダム化比較試験(VITAL)や近年のメタ解析では、ビタミンD補給によって主要な心血管イベントが有意に減少するという一貫した効果は確認されていません。したがって、現時点ではビタミンDサプリメントを「心血管疾患の予防目的」で用いることは推奨できる段階ではありません。

ビタミンDの多い食品

ビタミンDの多い食品

【1位】きくらげ

乾燥した『あらげきくらげ』には100gあたり130.0μgのビタミンDが含まれます。 調理に使用するキクラゲは中華炒めなどには約2〜3g使います。 さらに、ビタミンDを増やしたい時には黒色のツルツルした面に日があたるようにすると効率的にビタミンDが増えます。

【2位】しらす

半乾燥品のしらすには100gあたり61.0μgのビタミンDが含まれています。 生のしらすには100gあたり6.7μg、釜揚げしらすには100gあたり4.2μgのビタミンDが含まれています。ご飯にのせる場合は30〜50gが目安になります。

【3位】いかなご

いかなごの煮干しには100gあたり54.0μgのビタミンDが含まれています。 生のいかなごには100gあたり21.0μg、つくだ煮には100gあたり23.0μgのビタミンDが含まれています。いかなごの煮干しは出汁をとったり、ふりかけに使用されることが多く約10g/回です。

【4位】まいわし

まいわしのみりん干しには100gあたり53.0μg、まいわしの丸干しには100gあたり50.0μgのビタミンDが含まれています。まいわしはスーパーでも手に入りやすく、1匹約100gです。

【5位】まいたけ

乾燥したまいたけには100gあたり20.0μgのビタミンDが含まれています。 きのこ類に含まれるビタミンDは、エルゴステロールというビタミンD前駆体が紫外線に当たることでできます。最近は天日干しで作られる干しきのこは少なくなっているため、干しきのこからビタミンDを摂取するなら食べる前に一旦、日光に当てて成分を増やしてから調理すると効果的です。 上記ランキングの他に次のような食品にビタミンDが含まれています。 一覧にしましたので普段の食事に取り入れる際の参考にしてみてください。 卵(卵黄 ゆで)には7.1μg/g <卵黄1個は約20g> うなぎ(かば焼)には19.0μg/g <鰻蒲焼1本は約180g> 鮭(しろさけ 焼き)には39.0μg/g <鮭の切り身1切は約100g> 秋刀魚(皮付き 焼き)には13.0μg/g <秋刀魚は1匹は約120g> 鯖(まさば 焼き)には4.9μg/g <鯖の切り身1切は約90g> ツナ(まぐろ 缶詰 水煮 フレーク ライト)には2.0μg/g <ツナ缶1缶は約60g>   (かつお 缶詰 油付け フレーク)には4.0μg/g 椎茸(乾しいたけ ゆで)には1.4μg/g <椎茸1個は約20g>

ビタミンDが不足すると現れる症状

ビタミンDが不足すると現れる症状

骨折しやすくなる

ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を促進します。骨は組織にカルシウムやリンなどのミネラルが沈着して硬く強くなります。 また、血中のカルシウム値が低下することでリンが上昇し、副甲状腺が刺激され副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。これにより骨代謝に異常がおき、骨が柔らかく、もろくなり骨折しやすくなります。

筋力低下

筋肉細胞にはビタミンD受容体が存在し、活性型ビタミンDが結合することで筋収縮に関わる遺伝子の発現を調整します。 また、血中ビタミンDの濃度が低い人は将来的に筋力低下になるという疫学研究があります。ビタミンDの不足によって筋力が低下し、立ち上がるのに時間がかかったり、長時間の歩行ができない、すぐ疲れるようになります。

成長障害

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助け、骨を強くする働きがあります。 小児期にビタミンDが不足すると成長軟骨帯の軟骨が骨に置き換わる過程が障害されます。 それにより、身長の伸びが悪くなったり、歩行開始の遅れや歩行障害などが現れます。

ビタミンDが不足しやすい人の特徴

ビタミンDが不足しやすい人の特徴

日光を浴びる時間が少ない人

ビタミンDは、皮膚にある7-デヒドロコレステロールという成分が紫外線に当たることで合成されます。そのため、日光に当たらない人はビタミンDが不足しやすいため、食物からしっかり摂取する必要があります。

食生活に偏りのある人

ビタミンDは魚や卵に多く含まれています。野菜中心の食生活の方は不足しやすくなります。

肥満の人

ビタミンDは脂溶性のため、体脂肪が多いと脂肪組織に蓄積されやすく、体内に吸収されにくくなるため、肥満の人は不足しやすい傾向にあります。

ビタミンDを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンDを過剰摂取すると現れる症状

健康障害をもたらすリスクがないと見なされる習慣的な摂取量の上限として耐容上限量という指標があります。ビタミンDの耐容上限量に男女差はなく妊婦や授乳婦については基準は定められていません。 0〜2歳   25μg/日 3〜9歳   30〜40μg/日 10〜17歳  60〜90μg/日 18歳以上  100μg/日

嘔吐や倦怠感

ビタミンDは腎臓で活性型ビタミンDに変換されます。活性型ビタミンDによってカルシウムの吸収が促進されます。過剰摂取によりビタミンDが多くなることで血中のカルシウム濃度が高くなり、高カルシウム血症になります。その結果、消化管の運動が低下し、嘔吐や倦怠感などの症状が現れます。

尿の異常やむくみ

ビタミンDを過剰摂取すると腸管からのカルシウム吸収が亢進します。血中カルシウム濃度が高くなると、尿へのカルシウム排出量も増えます。カルシウムの大量排泄が長期に渡り続くと腎臓に負担がかかり、尿の異常やむくみといった症状が現れます。

軟部組織の石灰化

過剰なビタミンDにより腸管でのカルシウム吸収が亢進して血中カルシウム(しばしばリンも)が上昇し、副甲状腺ホルモン(PTH)は通常は抑制されます。高カルシウム血症が持続すると腎臓や血管など軟部組織に石灰化を来すことがあります。

ビタミンDの効率的な摂取方法

ビタミンDの効率的な摂取方法

ビタミンDと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンDは脂溶性のため、脂質と一緒に摂取することで吸収率が良くなり、効果を高めることができます。

ビタミンDと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

過剰なアルコール摂取は肝機能を低下させることがあり、その結果、ビタミンDの活性化に影響する可能性があります。適量を守ることが重要です。また、コーヒーや紅茶に含まれるカフェインにはカルシウムの排出を促す作用があると報告されています。ただし、通常の範囲での摂取では骨への影響は小さいとされており、カルシウムを十分に摂っていれば大きな問題はないと考えられます。いずれも過剰に摂らないことが大切です。

ビタミンDの効果を高める摂取タイミング

ビタミンDは脂溶性のため、脂質を含む食事と一緒に摂取することで吸収が良くなると考えられています。時間帯については朝や昼が良いとする説もありますが、明確な科学的根拠は十分ではありません。そのため、毎日の食事の中で継続して摂取することが重要といえます。

「ビタミンDの食べ物」についてよくある質問

「ビタミンDの食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンDの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンDの食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ビタミンDを手軽に摂取できる食べ物について教えてください。

山口 恵里山口 恵里

卵(特に卵黄)にはビタミンDが含まれており、ゆで卵や卵焼きにして手軽に摂取することができます。 また、しらす干しや鮭フレークはご飯にのせたり、おにぎりの具として中に入れるだけで手間がなく、ツナ缶やサバ缶は常備できる上、サラダやパスタにして簡単にビタミンDを摂取できます。さらに、干し椎茸は味噌汁や煮物に入れるだけで手軽にビタミンDを摂取することができます。

まとめ

ビタミンDは骨や歯の発育促進だけでなく、筋肉の維持や免疫調整にも関わっています。骨を強くし、筋肉を維持できると骨粗鬆症の予防になり、転倒予防も期待できます。『ビタミンDの多い食品』の項で紹介したような食材を取り入れ、ビタミンDだけではなく糖質・たんぱく質・脂質・ミネラルを摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。さらに、日光にあたることでビタミンDが作られますので天気の良い日には外にでて、散歩や運動をするのもお勧めです。

「ビタミンD」と関連する病気

「ビタミンD」と関連する病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

代謝系の病気

循環器系の病気

泌尿器系の病気

  • 腎障害

「ビタミンD」と関連する症状

「ビタミンD」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 骨痛
  • 筋力低下
  • 骨折しやすい
  • 歩行困難
  • 脱力感
  • 冷え
  • むくみ
  • 多尿
  • 乏尿
  • 無尿

この記事の監修管理栄養士