「ビタミンCが一番多い食べ物」は何かご存知ですか?管理栄養士が解説!

ビタミンCの多い食べ物とは?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
曽田 久美子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ビタミンC」とは?

水溶性ビタミンの一つで、化学名をアスコルビン酸といいます。
皮膚・血管・骨などを作るのに不可欠なコラーゲンの生成を助け、肌の健康維持、骨の形成に必要な栄養素です。毛細血管、歯、軟骨を正常に保ち、皮膚のメラニン色素の生成を抑制する働きがあります。
また、強い抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑え細胞の老化を防ぐことから、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、がんなどの酸化ストレスに由来する疾患の予防効果があります。
この他にも、白血球の働きを強化して免疫力を高め、腸管での鉄や銅の吸収を助けます。
ビタミンCは体内で合成することができないので、食事から摂取することが必要です。主に野菜や果物、いも類から摂取することができます。
ビタミンCの一日の摂取量

男女ともに15歳以上は一日あたり100㎎を摂取することが推奨されています。授乳中の女性には付加量が設定されており、妊娠中は一日あたり110㎎、授乳中は一日あたり145㎎摂取することが推奨されています。
喫煙者ではビタミンCの吸収率が低下するため同年代の推奨量以上の摂取が推奨されています。
また、ビタミンCの吸収率は、一日の摂取量が200㎎程度までは90%と高く、1g以上になると50%以下になりますので、たくさん摂取したからといって、すべてが吸収されるわけではありません。
ビタミンCの効果

抗酸化作用
ビタミンCは強い抗酸化作用を持ち、有害な活性酸素の働きを抑えて細胞の老化を防ぐことから、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、がんなど酸化ストレスに由来する疾患の予防効果が期待されています。
免疫力を高める
白血球は免疫力において大きな役割を果たします。白血球にはビタミンCが含まれていて、感染を受けると急激に減少します。
ビタミンCは白血球の機能を高め、機能異常を改善したり、免疫系を効果的に働かせる役割をしています。ビタミンCを十分に摂取すると免疫力を高めることができます。
メラニン生成の抑制
紫外線を浴びすぎるとメラニンが過剰に増え、皮膚表面に蓄積してシミになりますが、ビタミンCがメラニンの過剰生成を抑えてくれます。
また、すでにあるメラニン色素を無色化する働きもあります。
皮膚や骨の健康を維持
ビタミンCは、細胞の組織にあるコラーゲンの合成に不可欠なビタミンで、コラーゲンには肌に張りをもたせる働きがあります。
また、骨の約90%はコラーゲンで構成されており、ビタミンCは不可欠な栄養素です。
ビタミンCを摂取すると、コラーゲンが生成され、皮膚や骨の健康を維持することができます。
ストレスへの抵抗力を高める
ビタミンCは、副腎に多く存在し、ストレス時に分泌されるホルモン「コルチゾール」の合成に必要な栄養素です。
ストレスを感じると、体はコルチゾールを分泌して心身を守ろうとしますが、その過程でビタミンCが多く消費されます。
そのため、ビタミンCを十分に摂取しておくことで、ストレスに対する抵抗力を維持しやすくなります。
ビタミンCの多い食品

ビタミンCの多い身近な食品ランキングは下記の通りです。
【1位】赤ピーマン、黄ピーマン
緑のピーマンに比べて甘みが多いのでサラダとしてそのまま食べるとビタミンCを効率よく摂取することができます。
【2位】ブロッコリー
ビタミンCは茹でると水に流れ出てしまいますので、小房に切り分け電子レンジで加熱すると、効率よくビタミンCを摂取することができます。
茹でる時は、ゆで汁はそのままスープや味噌汁として摂取すると良いでしょう。
【3位】ゴールドキウイフルーツ
そのまま皮をむいてカットするか、皮をむかずに半分にカットしてスプーンで摂取すると良いでしょう。
【4位】柿
皮をむいてカットし、そのまま摂取すると良いでしょう。
【5位】さつまいも、じゃがいも
いも類のビタミンCは、でんぷんで保護されていて、調理後の損失が少ないため積極的に摂取すると良いでしょう。
ビタミンCが不足すると現れる症状

倦怠感や疲労感
原因不明の倦怠感や疲労感、食欲不振などの症状があるときは、ビタミンCが不足している可能性があります。食生活の偏りや乱れ、野菜や果物が摂取できていない、などの自覚があるときは、食事の全体的な量が不足していないか、見直してみることをおすすめします。
お肌のトラブル
肌が乾燥する、できものができるなど、お肌の調子が悪いと感じる時は、ビタミンCが不足している可能性があります。
ビタミンCは活性酸素が体内で増えすぎないように発生を抑えたり取り除いたりする作用や、肌の弾力を保つのに必要なコラーゲンの生成を促進します。
ビタミンCは体内に貯めておくことができないので、毎日摂取するように心掛けると良いでしょう。
筋肉や結合組織の弱化
ビタミンCが不足すると、コラーゲンの生成がうまく行われなくなり、筋肉や腱、関節などの結合組織が弱くなります。その結果、筋肉の痛みや関節のこわばり、出血しやすいなどの症状が現れることがあります。特に高齢者では、ビタミンCの不足により筋力や身体機能の低下が起こりやすくなるため、日常的に野菜や果物から十分に摂取することが大切です。
ビタミンCが不足しやすい人の特徴

ストレスが多い
ストレスを感じると、ストレスから身を守るために、コルチゾールを生成します。
コルチゾールの生成にはビタミンCを必要としますので、ストレスの多い人はビタミンCが不足しやすくなります。
食生活の偏り
新鮮な野菜や果物を十分に摂取できていないと、不足しやすくなります。
ビタミンCは水溶性のため、水に溶けやすく加熱にも弱いので、食べ方によって摂取できる量が減少することがあり、調理の方法に注意が必要です。
また、食事の全体量が少ないことも考えられますので、しっかり食事を摂ることを心掛けることも大切です。
喫煙者
喫煙者はビタミンCの消費量が増えるため、不足しやすくなります。
ビタミンCを過剰摂取すると現れる症状

吐き気、下痢、腹痛
ビタミンCは過剰摂取しても消化管からの吸収率が低下し、尿中に排泄される量が増えるため、健康被害は低いと言われています。
サプリメントで大量に摂取すると、人によっては、吐き気、下痢、腹痛の症状が現れることがあります。
腎蓚酸結石
健康な人が、ビタミンCを過剰摂取しても消化管からの吸収率が低下し、尿中排泄量が増えるため、健康被害は低いと言われていますが、腎機能障害がある人が、数gのビタミンCを摂取すると、腎蓚酸結石のリスクが高まると言われています。
ビタミンCの効率的な摂取方法

ビタミンCと一緒に摂取すると効果を上げる栄養素・食品
全身に酸素を運ぶ働きをする栄養素である鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があり、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」はそのままでは体内に吸収されにくいため、ビタミンCと一緒に摂取すると、鉄の吸収率が高くなります。
ほうれん草や小松菜のおひたしにゆずの果汁をかけたり、食後のデザートに果物を食べたりするなどが、おすすめです。
また、ビタミンEは体内で発生する活性酸素から身体を守る働きがありますが、役割を終えると、効力が弱まります。そこで、一緒にビタミンCを摂取すると、働きが弱くなったビタミンEをビタミンCが再び活性化させてくれるという働きがあります。
ビタミンCと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
ビタミンCは水に溶けやすく熱にも弱いため、長時間水にさらしたり、茹でたりすると大幅に減少します。
野菜は新鮮なものや、旬のものを選ぶようにすると、ビタミンCの含有量が多いので効率よく摂取できます。
ビタミンCの効果を高める摂取タイミング
ビタミンCは水溶性のため、体内に蓄積されないので、朝昼夜の3回の食事でこまめに摂取することが大切です。空腹時に摂取すると、すぐに吸収され代謝されてしまう可能性があるので、食後に摂取することをおすすめします。
また、サプリメントなどで摂取される方も、食事と同じように朝昼夜の3回に分けて、こまめに食後に摂取することをおすすめします。
「ビタミンCの食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンCの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンCの食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ビタミンCが多く含まれているフルーツを教えてください。
曽田 久美子
アセロラには100gあたり1700㎎と多くのビタミンCが含まれていますが、傷みやすいため身近で手に入れにくい果物です。
身近で手に入れやすいものとしては、
キウイフルーツ(ゴールド)100gあたり140㎎
キウイフルーツ(グリーン)100gあたり71㎎
オレンジ 100gあたり60㎎
グレープフルーツ 100gあたり36㎎
など酸味のあるフルーツには比較的多くのビタミンCが含まれています。
また、
柿 100gあたり70㎎
いちご 100gあたり62㎎
に比較的たくさんのビタミンCが含まれています。
ビタミンCが多く含まれている飲み物を教えてください。
曽田 久美子
身近で手に入れやすいものとしては、
アセロラジュース(果汁10%)100gあたり120㎎
グレープフルーツジュース(濃縮還元)100gあたり53㎎
オレンジジュース(濃縮還元)100gあたり42㎎
青汁(ケール)粉末 10gあたり110㎎
玉露(抽出液) 100gあたり19㎎
煎茶(抽出液) 100gあたり 6㎎
などがあります。
毎日の食事時にお茶を取り入れてみると良いでしょう。ジュース類は糖分も多いので飲みすぎには注意が必要です。
まとめ
ビタミンCは気が付かないうちに不足して、なんだか食欲がない、倦怠感がある、などの症状が現れます。その時点で、食事の見直しに目をむけることができたら、その後の症状を防ぐことができます。鉄の吸収率をあげるなど、他の栄養素との相乗効果も期待できます。ストレスを感じることが多い時や、喫煙によってもビタミンCの消費は増加します。皮膚の状態や骨の状態など、色々なところで消費されるビタミンCは、生活を送る上でとても大切だということを少し意識するだけでも、摂取量は変わってくると思います。水溶性のビタミンなので、体に貯めておくこともできません。毎日の食事で摂取するように心掛けてみてください。
ビタミンCの多い野菜や果物が、冷凍食品としてスーパーやコンビニでも手に入りやすくなっていますので、手軽に利用してみても良いでしょう。
「ビタミンC」と関連する病気
「ビタミンC」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
「ビタミンC」と関連する症状
「ビタミンC」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 毛髪や皮膚の乾燥
- 倦怠感
- 食欲不振
- 筋肉の萎縮
- 貧血




