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「ビタミンBを取りすぎる」と何の症状が出る?一日の摂取量も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/09/23
「ビタミンBを取りすぎる」と何の症状が出る?一日の摂取量も管理栄養士が解説!

ビタミンBを取りすぎるとどうなる?メディカルドック監修医がビタミンBを過剰取りすぎると現れる男女別・一日の摂取量・効果・多く含む食品・効率的な摂取方法などを解説します。

落合 晴美

監修管理栄養士
落合 晴美(管理栄養士)

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普通の事務職として働いていたが、体調を崩したことをきっかけに一念発起。栄養士の道へと転身。専門学校を卒業後、給食委託会社での栄養業務を経て、管理栄養士の資格を取得。健康の大切さを身をもって実感した経験を活かし、食事や生活習慣の改善を通じて、多くの人が健やかに過ごせるよう、サポート業務に従事している。

「ビタミンB」とは?

「ビタミンB」とは?

ビタミンBとは、水溶性ビタミンの一群で、一般的にはB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類をまとめて「ビタミンB群」と呼びます。いずれも体内の代謝を助ける酵素の働きに欠かせない栄養素です。一部のビタミンB群は体内でもわずかに合成されますが、必要量をまかなうには不十分なため、基本的には食品から摂取する必要があります。なお、文献によってはコリンやイノシトールなどを含め、より広く捉える場合もあります。

ビタミンBの一日の摂取量

ビタミンBの一日の摂取量

ビタミンBの一日の摂取量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で推奨されています。ビタミンBは8種類あり、年齢や性別によって推奨量が異なります。 例えばビタミンB1は、30~49歳で男性1.2 mg/日、女性0.9 mg/日となっています。 水溶性ビタミンのため、過剰に摂っても、体に必要のない分は尿として排出され、影響は受けにくいとされていますが、サプリメントなどで極端に大量に摂ると、まれに体調不良を起こすことがあるため、用量は守ることが大切です。

ビタミンBの効果

ビタミンBの効果

エネルギーを効率的に作る

ビタミンB1・B2・B6・ナイアシン・パントテン酸・ビオチンは、糖質・脂質・たんぱく質からエネルギーを作る代謝に欠かせません。十分に摂ることで、エネルギーを効率よく使えるようになり、日々の活動を支える働きが期待できます。

脳や神経を守る

ビタミンB1は神経の働きを助け、B6は神経伝達物質の合成を支え、B12は神経を保護する役割があります。これらを十分に摂ることで、集中力や記憶力の維持、気分の安定に寄与するとされています。また、しびれや手足の違和感を防ぐ働きが期待できます。

血液や皮膚を健康にする

葉酸とビタミンB12は、赤血球をつくるために欠かせない栄養素です。十分に摂ることで、貧血の予防に役立つとされています。 また、ビタミンB2・B6・ナイアシン・ビオチンは、皮膚や粘膜、髪や爪の健康維持に関わっています。これらが不足すると、口内炎や肌荒れ、抜け毛などの不調につながることがあります。

ビタミンBを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンBを過剰摂取すると現れる症状

通常の食品を摂取している人には、過剰摂取による健康障害の報告は見当たりませんので、過剰症の心配はほとんどありません。ただし、サプリメントや強化食品など「食品以外のかたち」で多量に摂った場合には、一部のビタミンで症状が出ることがあります。

ビタミンB1を過剰摂取すると現れる症状

1日10g以上のビタミンB1(チアミン塩酸塩)を、2週間半摂取し続けた場合に頭痛やいらだち、不眠、速脈などの症状が確認されています。ただ、摂取を中止すると2日程度で症状は消えたと報告されています。

ビタミンB6を過剰摂取すると現れる症状

大量摂取により、感覚性ニューロパシー(手足の痺れなどの神経障害)への関与が報告されています。

ナイアシンを過剰摂取すると現れる症状

ナイアシンの強化食品やサプリメントには、ニコチン酸、あるいはニコチンアミドが使用されています。ニコチンアミドは1型糖尿病患者へ、またニコチン酸は脂質異常症患者への治療薬として大量投与され、消化器系(消化不良、重篤な下痢、便秘)や肝臓に障害(肝機能低下、劇症肝炎)を生じた例が報告されています。

葉酸を過剰摂取すると現れる症状

葉酸そのものによる明確な毒性はほとんど報告されていませんが、大量に摂取すると別の病気が見つかりにくくなるリスクがあります。葉酸はビタミンB12と同様に赤血球の生成を助けるため、ビタミンB12不足で起こる「巨赤芽球性貧血」を一時的に改善してしまうことがあります。その結果、ビタミンB12欠乏による神経障害(しびれや感覚異常など)の診断が遅れ、症状が進行してしまう可能性があるため注意が必要です。

ビタミンBを多く含む食品

ビタミンBを多く含む食品

ビタミンB1を多く含む食品

豚肉、玄米、豆腐などに多く含まれます。 水に溶けやすく、熱にも弱いため、調理は短時間で蒸したり炒めたりするのがおすすめです。ゆで汁を使う料理にすると、栄養をより無駄なく取り入れられます。

ビタミンB2を多く含む食品

レバー、牛乳、卵、納豆などに多く含まれます。 光(特に紫外線)に弱いため、長時間光に当てないようにし、保存は冷暗所がおすすめです。

ビタミンB6を多く含む食品

ヒレ肉(豚・牛)、魚(まぐろ、かつお)、バナナ、いも類などに多く含まれます。 水に溶けやすく熱にも弱いため、炒め物や煮物は手早く仕上げると取り入れやすくなります。

ビタミンB12を多く含む食品

レバー(牛・鶏)、貝類、魚(さんま、さば)、のりなどに多く含まれます。 水に溶けやすいため、スープや煮込み料理などにすると摂りやすくなります。植物性食品にはほとんど含まれないので、菜食中心の方は不足になりがちです。

ナイアシンを多く含む食品

たらこ、魚(かつお、まぐろ)、落花生、きのこなどに多く含まれます。 ナイアシンは、トリプトファン(肉・乳製品など)からも体内で作られるため、一緒に食べるとより取り入れやすくなります。

パントテン酸を多く含む食品

レバー(鶏、豚)、たらこ、納豆、玄米、牛乳、アボカドなどに多く含まれます。 幅広い食品に含まれるため、いろいろな食品から摂ると摂取しやすくなります。加熱で流出しやすいため、生のままや汁ごと取り入れるとよいでしょう。

葉酸を多く含む食品

レバー(鶏・牛・豚)、えだまめ、のり、ほうれん草、ブロッコリーなどに多く含まれます。 水に溶けやすく熱に弱いため、生のまま食べるか、短時間の加熱にし、汁も一緒に摂ると取り入れやすいでしょう。

ビオチンを多く含む食品

レバー(鶏・豚)、まがれい、さんま、卵、落花生、アーモンド、納豆、ブロッコリーなどに多く含まれます。 生卵の白身に含まれるアビジンはビオチンと結合して吸収を妨げますが、加熱するとその働きは失われます。通常の食事では心配ありませんが、効率よく摂りたいときは加熱して食べると安心です。

ビタミンBを効率よく摂取する方法

ビタミンBを効率よく摂取する方法

ビタミンBを多く含む食品の摂取

豚肉やレバーなどの肉類、ウナギやマグロ、サバなどの魚類、卵や乳製品などの動物性食品に多く含まれます。 また、玄米、豆類、きのこ、緑黄色野菜などの植物性食品にも含まれるため、バランスよく摂ることが大切です。

ビタミンBと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンB1を摂取する際は、アリシンを一緒に摂ると吸収が高まりやすいとされています。例えば、ご飯を食べる際に、豚肉のしょうが焼き(ビタミンB1)に玉ねぎ(アリシン)を添えると、アリシンの働きでB1がより吸収されやすくなり、糖質をエネルギーに変えるのにも役立ちます。

ビタミンBの効果を高める摂取タイミング

水溶性ビタミンは、体に必要のない分は尿として排出されます。 余剰分を蓄えておくことができないため、一度に大量に摂るよりも、朝・昼・夜の食事ごとに分けて摂るのが効率的です。

「ビタミンBの取りすぎ」についてよくある質問

「ビタミンBの取りすぎ」についてよくある質問

ここまでビタミンBの取りすぎを紹介しました。ここでは「ビタミンBの取りすぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ビタミンBサプリの副作用となる症状について教えてください。

落合晴美落合 晴美

通常の食事から摂る分には副作用はほとんどありませんが、サプリメントで高用量を長期間摂取すると副作用が出ることがあります。特に、ナイアシンは消化器系や肝臓に障害、ビタミンB6は神経障害を起こすことがあるので注意が必要です。サプリメントを併用する場合は、成分の重複に気をつけ、必ず用量・用法を守りましょう。

まとめ

ビタミンB群は、糖質・脂質・たんぱく質の代謝をはじめ、神経・皮膚・血液の健康維持や、エネルギー産生・神経伝達物質の合成など、さまざまな体の働きを支える“チーム”のような栄養素です。単体で摂るよりも複合的に摂ったほうが効率よく働きます。また、水溶性のため体内に蓄積されにくく消費も早いため、不足しやすく、毎日欠かさず摂取することが理想的です。ビタミンB群は水溶性ビタミンであるため、通常の食事から摂取する分には過剰症の心配はほとんどありません。サプリメントなどで大量に摂取した場合のみ、一部のビタミンBで症状が出ることがありますが、一般的には安全に摂取できます。バランスの良い食事で適量を摂ることが基本です。

「ビタミンB」と関連する病気

ビタミンB群は、代謝や神経機能に深く関わっているため、さまざまな病気につながります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • クローン病、糖尿病
  • ペラグラ
  • ビオチン欠乏症

神経内科の病気

血液内科の病気

産婦人科の病気

  • 胎児の神経管閉鎖障害
  • 無脳症

「ビタミンB」と関連する症状

ビタミンB群は、代謝や神経機能に深く関わっているため、さまざまな症状につながります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲労
  • 頭痛
  • 手足のしびれ・灼熱感
  • いらだち
  • 不眠
  • 憂鬱感、眼精疲労
  • 食欲不振
  • 下痢・便秘
  • 消化不良
  • 咽頭痛
  • 皮膚炎
  • かゆみ
  • 肝機能低下
  • 劇症肝炎

この記事の監修管理栄養士