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いちごなどに含まれる「葉酸の効果」とは?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

 更新日:2025/11/04
いちごなどに含まれる「葉酸の効果」とは?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

葉酸の多い食べ物とは?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

山口 恵里

監修管理栄養士
山口 恵里(管理栄養士)

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病院や高齢者施設で5年、給食管理、栄養管理業務に従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は育児をしながらフリーランスとして地域の方の家事・育児サポートをさせていただいています。日々の生活を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

「葉酸」とは?

「葉酸」とは?

葉酸はビタミンB群の一種で水に溶ける『水溶性ビタミン』に分類されます。科学名ではプテロイルグルタミン酸といいます。
葉酸は遺伝情報をもつDNAの合成にかかわり、新しい細胞を作る際に重要な役割を担っています。この作用は胎児の発育に必要で、妊娠を計画している方や妊婦の方には特に重要になります。
また、葉酸は新たな赤血球が正常に作られるときにも必須の栄養素です。赤血球の合成にはビタミンB12も必要で、ともに働き貧血を防ぎます。さらに、葉酸は必須アミノ酸の一つであるメチオニンの代謝に関与し、動脈硬化を防ぎます。

葉酸の一日の摂取量

葉酸の一日の摂取量

健康を維持するためにほとんどの人が1日に必要とする量として厚生労働省が定めた基準に推奨量があります。以下は葉酸の推奨量になります。
0ヶ月〜11ヶ月の男女は摂取不足の予防のため目安量(40〜70μg)が定められています。

1〜9歳(男女)          90〜150μg
10〜14歳(男女)         180〜230μg
15〜74歳(男女)         240μg
74歳以上(男女)         240μg
妊婦(付加量)中期・後期     +240μg
授乳婦(付加量)         +100μg

妊娠を計画している女性、妊娠の可能性のある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品(サプリメントや栄養補助食品など)に含まれる葉酸を400μg/日摂取することが望まれます。

【男性】葉酸の効果

【男性】葉酸の効果

動脈硬化の予防

葉酸はアミノ酸の一種であるホモシステインを分解・無害化し血中の濃度を下げます。
ホモシステインの濃度が高いと血管を傷つけ、炎症や血栓の原因になります。
また、ホモシステインの血中濃度が高いと血液が固まりやすくなり、さらにLDLコレステロールの沈着を促します。コレステロールが沈着することで動脈硬化は進行します。

認知症の予防

葉酸には血中のホモシステインというアミノ酸の濃度を下げる働きがあります。
ホモシステイン濃度が高いと脳の血流が悪化し、認知症のリスクが高まるとされています。

毛髪の健康を支える可能性

葉酸は赤血球の生成を助けることで酸素や栄養素の供給をサポートし、全身の血流を良好に保つ働きがあります。このことから、頭皮の健康維持や毛髪が育つ環境づくりに役立つ可能性があると考えられています。ただし、葉酸そのものが直接的に発毛を促進するという明確な科学的根拠はありません。バランスのとれた食事の一部として取り入れることが大切です。

【女性】葉酸の効果

【女性】葉酸の効果

胎児の発育促進

葉酸はDNAの合成にかかわり細胞の生産や再生を助ける働きがあります。
妊娠初期の胎児の神経や脳など、身体の重要な部分が形成されるときに大切な役割を担っています。

貧血の予防

葉酸は新たな赤血球を正常に作り出す時に必要な栄養素で、赤血球のもとになる赤芽球をつくり出す時に作用しています。赤血球の合成にはビタミンB12の作用も必要で、ともに働いて貧血を防ぎます。

美肌効果

葉酸はDNAの合成を促進する働きがあり、古い細胞と新しい細胞の入れ替わりが正常に行われる時に役立ちます。細胞の入れ替わり(ターンオーバー)が正常に保たれるため、くすみや肌荒れを防ぎ透明感のある肌に導いてくれます。

葉酸が不足すると現れる症状

葉酸が不足すると現れる症状

動脈硬化

葉酸の働きによって分解・再利用されるホモシステインというアミノ酸があります。
葉酸が不足することでこのホモシステインが蓄積され、血液中のホモシステイン濃度が上昇します。血中のホモシステインの濃度が高くなると血管を傷つけ動脈硬化のリスクが高くなります。

貧血

葉酸は赤血球の生成に不可欠な栄養素です。不足すると赤血球の成熟がされず酸素を運ぶことができないため貧血を引き起こします。摂取不足の他に、アルコールや服薬などによる葉酸の吸収障害、妊娠や授乳などによる需要増加などによって葉酸が不足し、貧血になることもあるためバランスの良い食事とともに意識的に葉酸を摂取することが大切になります。

味覚低下

葉酸は細胞分裂の促進や赤血球の成熟に関わる重要な働きをしています。また脳や神経の働きにも関与しています。不足すると細胞分裂がうまくできなくなり舌の粘膜が荒れ、味を感じるための感覚受容器である味蕾の再生がうまくいかなくなり味覚障害がおこるとされています。

発育不全

妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の脳や脊髄の元になる神経管が正常に形成されず、無脳症や二分脊椎(脊椎が背骨の外に露出してしまう先天性疾患)などの先天異常がおこるリスクが高まります。

精神的な不調

葉酸はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の合成に必要な栄養素です。これらの物質は気分や情緒の安定に関わっており、葉酸が不足するとその合成がうまくいかず、精神的な不調につながる可能性があります。

葉酸を過剰摂取すると現れる症状

葉酸を過剰摂取すると現れる症状

葉酸には日常的に摂取しても健康に悪影響を及ぼさない最大の量である許容上限量が設定されています。過剰摂取による健康障害を防ぐために厚生労働省が設定した基準になります。
葉酸の過剰摂取は稀ですが、サプリメントや栄養補助食品の摂取により許容上限量を超えてしまう場合には注意が必要です。

葉酸の許容上限量は
1〜9歳    200〜500μg 
10〜17歳   700〜900μg
18〜29歳   900μg
30〜64歳   1000μg  
※通常の食品以外の食品(サプリメントや栄養補助食品など)に含まれる葉酸に適用されます

皮膚や粘膜の不調

葉酸の過剰摂取が直接的に皮膚炎を引き起こすという明確な根拠はありません。ただし、葉酸をサプリメントで多量に摂ると、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の症状(舌や口内の炎症、皮膚の変化など)が一時的に隠れてしまい、診断や治療が遅れる可能性があります。その結果、皮膚や粘膜の不調が進行することがあるため注意が必要です。

動悸・息切れ

葉酸が過剰にあることで一時的に造血機能が保たれてしまい、ビタミンB12欠乏の発見が遅れ、赤血球の生成がされず悪性貧血になる可能性があります。
その結果、動悸や息切れといった貧血の症状が出ることがあります。

神経症状

葉酸が多すぎることでビタミンB12が不足しDNA合成や修復が不完全になり神経伝達がうまく行かなくなることがあります。また葉酸が過剰にあることでビタミンB12が不足していることに気づきにくく悪性貧血が進行することもあり、進行すると手や足が痺れ感覚麻痺になる可能性もあります。

細胞や組織の異常促進

葉酸の過剰摂取により、前がん病変の進行が加速し、特定の人ではがんの発症リスクが上昇するのではないかという報告があります。
前がん病変は『がん』ではないものの、放置すると将来的にがんに進行する可能性がある細胞や組織の異常を指します。

認知発達への影響の可能性

妊娠期間中にサプリメントから1日1,000μg以上の葉酸を摂取した場合、400〜999μgを摂取した母親の子どもに比べて、4〜5歳時点での認知発達テストのスコアが低い傾向が報告された研究があります。ただし、これは一部の観察研究によるものであり、因果関係が明確に証明されているわけではありません。葉酸は胎児の発育に不可欠な栄養素である一方、サプリメントを利用する際は過剰摂取を避け、推奨量を守ることが大切です。

葉酸を多く含む食品

葉酸を多く含む食品

葉酸は熱に弱く水に溶ける水溶性のため、茹ですぎないよう調理することが損失を防ぐコツになります。少量の水で蒸らし炒めやレンジ加熱、短時間オーブンで焼くなど工夫することで栄養を摂取することができます。

のり

おにぎりや手巻き寿司にそのまま使用できる焼きのりには100gあたり1900μgの葉酸が含まれます。
味付けのりには100gあたり1600μg、磯の香りが強く焼く前はややしっとりしているほしのりには100gあたり1200μgの葉酸が含まれています。
焼きのりや味付けのりは重さは1枚1.5g〜3g程度になります。推奨量の240μgをのりだけで摂取しようとすると4枚〜8枚程度になります。毎日のりをたくさん食べるというわけにもいきませんので、食事にプラスしたり他の食品と組み合わせることをお勧めします。

肉類の肝臓

にわとりの肝臓には100gあたり1300μg、うしの肝臓には100gあたり1000μg、ぶたの肝臓には100gあたり810μgの葉酸が含まれます。肝臓は鮮度が大切になりますし、下処理にやや手間がかかります。たまにはお惣菜を買って食卓に並べることで簡単に葉酸が摂取できるためお勧めです。

ブロッコリー

焼きブロッコリーには100gあたり450μg、ブロッコリーの油いためには100gあたり340μgの葉酸が含まれています。少量の水で蒸し焼きや、カットを小さくし火を通りやすくしたり、レンジで加熱してから炒めることで葉酸の損失を防ぐことができます。

大豆製品

大豆のはいが部分には100gあたり460μgの葉酸が含まれます。
また肉に近い食感が楽しめる大豆ミートやソイミートなどの粒状大豆タンパクには100gあたり370μgの葉酸が含まれます。
黒大豆には100gあたり350μg、青大豆や黄大豆にも100gあたり260μgの葉酸が含まれます。

えだまめ

えだまめには生の場合100gあたり320μg、ゆでた場合は100gあたり260μg、冷凍でも100gあたり310μgの葉酸が含まれています。旬の時期に新鮮なものを食べることが一番ですが、冷凍でもスーパーで一年中手に入り手軽に葉酸を摂取することができます。

葉酸の効果的な摂取方法

葉酸の効果的な摂取方法

葉酸を多く含む食品の摂取

名前の通り野菜に多く含まれているため、ほうれん草やブロッコリー、小松菜やアスパラガスなどを日常的に取り入れることで自然に葉酸を摂取できます。
果物ではいちごやマンゴー、オレンジに多く、豆類では納豆やえだまめ、ひよこ豆やきな粉に多く含まれます。のりやわかめなどの海藻類にも比較的多く含まれています。

葉酸と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンCは葉酸を活性型に変換させる作用があります。
一緒に摂ることでDNAの合成促進や血中ホモシステイン濃度の低下が期待できます。
また、葉酸はビタミンB12と相性が良く赤血球の生成やDNAの合成など、ともに働き効果を発揮します。

葉酸の効果を高める摂取タイミング

直接的な効果を高めるタイミングは科学的根拠が充分に確認されていません。ですが、他の栄養素と合わせて摂ることで胃腸への負担や吸収効率を高める効果が期待できるため、食前よりは一緒に摂る、サプリメントであれば食後に摂取することをお勧めします。
また、妊娠を計画している、または妊娠の可能性がある女性は1日に400μgの葉酸を摂取するよう推奨されています。妊娠前から摂取することで胎児の発育に効果的です。

「葉酸の効果」についてよくある質問

「葉酸の効果」についてよくある質問

ここまで葉酸の効果を紹介しました。ここでは「葉酸の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

葉酸サプリの効果について教えてください。

山口 恵里山口 恵里

葉酸サプリメントには健康や美容、妊娠サポートなど幅広い効果が期待されています。
葉酸はビタミンB12とともに赤血球の生成を助け巨赤芽球性貧血の予防に役立ちます。美容の観点からも細胞の新陳代謝を促進するため肌のターンオーバーが整い、くすみや肌荒れの改善が期待できます。また妊娠前から葉酸サプリメントを摂取することで胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げます。
ただし、サプリメントの摂取は過剰になることもあるため含有量を確認し適量を摂取しましょう。そして食事との併用が理想的ですのでサプリメントだけに頼らず、サプリメントは食事では補えない場合の補助として摂取することをお勧めします。

まとめ

葉酸は赤血球の生成を助けて貧血を予防したり、DNA合成に関与して細胞分裂や成長を支える重要な栄養素です。特に胎児の正常な発育に不可欠であるため、妊娠を計画している方や妊婦の方は意識的に摂取することが推奨されています。 通常の食事から過剰に摂取する心配はほとんどありませんが、サプリメントや栄養補助食品を利用する場合には、厚生労働省が定める許容上限量を超えないよう注意が必要です。一部では美容や発毛などへの効果が取り上げられることもありますが、現時点では十分な科学的根拠が確立していないため、健康維持や妊娠期の栄養補給を目的にするのが望ましいでしょう。
不足を防ぐためには、葉酸を多く含む野菜・豆類・果物などを日々の食事に取り入れることが基本です。さらに、ビタミンB12やビタミンCと一緒に摂取することで葉酸の働きをより効果的に活かすことができます。

「葉酸」と関連する病気

「葉酸」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

血液系の病気

神経系の病気

  • 神経管閉鎖症

循環器系の病気

代謝系の病気

  • 高ホモシステイン血症

「葉酸」と関連する症状

「葉酸」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

この記事の監修管理栄養士