「水分が不足すると現れる症状」は何かご存じですか?対処法も管理栄養士が解説!

水分が不足すると現れる症状とは?メディカルドック監修医が水分が不足すると現れる症状・一日の摂取量・水分摂取の効果・対処法・予防法などを解説します。

監修管理栄養士:
曽田 久美子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「水分」とは?

水分の一日の摂取量

水分摂取の効果

血流の改善
血液の半分は血漿という液体成分でできています。水分が不足すると血漿の量が減り、血液の粘度が高くなります。これにより血流が滞り、いわゆる“ドロドロ血液”の状態になりやすくなります。 水分が十分に摂れていると、血管の中で血液はさらさらと流れます。 十分に水分が足りている場合は、さらに水分を摂取しても血流が改善することはありません。 血液は酸素を運搬しているので、血液の流れが悪くなると細胞に酸素がいかず、免疫力の低下、脳や内臓の機能の低下などを引き起こします。体温調節
体内の水分が不足すると体温が上昇しやすくなります。 人間の体温は高くなると、血流量を増やし汗をかくことで体温をさげることができます。水分が不足すると、血流量が減少し、汗をかいて体温をさげることができなくなります。 水は比熱(物質1gの温度を1℃あげるのに必要な熱量のこと)が大きいため、温度変化が少なく、体温を一定に保つのに役立ちます。老廃物の排泄をスムーズにする
血液は全身に酸素や栄養素を運んだり、老廃物の運搬も担っています。血液に十分な水分があると、体の中の老廃物は血管やリンパ管を通じて、水分と共に回収され、腎臓でろ過されて尿に排出されます。 体内の水分が不足すると、血の巡りが悪くなり、老廃物の排泄が正常に行われなくなります。自律神経のバランスを整える
自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、私たちの意思とは無関係にバランスを取りながら体の機能を調整しています。交感神経は緊張や活動時に優位となり、血圧や心拍数を上げ、体を活動モードにします。一方、副交感神経はリラックス時に優位となり、消化機能を活性化させ、体を休息モードに導きます。 このバランスが乱れると、体調不良や心身の不調につながる「自律神経失調症」の一因となることがあります。 起床時は、就寝中の副交感神経優位の状態から、交感神経が優位に切り替わるタイミングです。このときにコップ一杯の水を飲むことで、胃腸が刺激され、体内リズムが整いやすくなります。水分補給を習慣にすることで、自律神経のスムーズな切り替えを助け、1日の良いスタートを切るきっかけにもなります。水分が不足すると現れる症状

のどの渇き
体内の1%の水分がなくなると、のどの渇きを感じます。2%の水分がなくなると、強い渇き、めまい、吐き気が現れます。のどが渇いた、という症状ですでに脱水の状態ですので、すぐに水分の補給をしてください。運動時や、高温下にいる場合で大量に汗をかいている場合などは、スポーツドリンクや、経口補水液がお勧めです。頭痛や、めまい
体内の水分が不足すると血液の量が減少し、血流が悪くなり、血液によって運搬されていた酸素や栄養分などが体の隅々まで届かなくなり、脳が酸欠状態になり頭痛やめまいが起きることがあります。また、脳の電解質バランスの乱れが原因になることがあります。そのため、水分を補給するときには、スポーツドリンクや経口補水液を摂取してください。疲労感
体内の水分が不足すると血液の量が減少し、血流が悪くなり、血液によって運搬されていた酸素や栄養分などが体の隅々まで届かなくなり、細胞への水分供給が不足し、様々な不調につながり、疲れを感じるようになります。また、消化管への血流が悪化すると、消化吸収が悪くなることにもつながります。食べたものが体に吸収されにくく、体力が回復できなくなり疲労を感じるようになります。少ない尿量または、尿が濃い色をしている
尿は水分不足になると、これ以上体から水分が出ていかないように腎臓で管理され、濃く少ない尿量になります。また、尿意を感じなくなることもあるかもしれません。腎臓では、体内に不要な老廃物を、尿として排出する役目があります。水分不足になると、尿量が減り、体内に老廃物が増えてしまいます。しっかり水分を摂ることは、体にとって不要なものを外に出すことにもつながります。眠気
体内の水分が不足すると、血液の量が減少し血流が滞るため、酸素や栄養素が体の隅々まで届きにくくなります。こうした血流低下により、脳への酸素供給が不十分になると、眠気や集中力の低下を感じることがあるとされています。ただし、眠気には睡眠不足やストレス、環境要因なども関係するため、水分不足だけが原因とは限りません。特に勉強中や長時間座っているときなどに眠気を感じた場合は、意識的にこまめな水分補給を心がけるとよいでしょう。水分が不足する原因

水分摂取不足
人体の55%~60%は水分です。飲料から摂るべき水分は一日1200mLとされています。意識して水分を摂取しないと、摂取不足になることが多いです。喉が渇いた、と感じる前に飲むようにすると、水分不足を防ぐことができそうです。大量の発汗
運動や暑い天候の下での活動により、大量の汗をかくことで体から水分が失われます。その時に、水分の摂取が追いつかないと、水分不足の状態になります。 水分と一緒に血液中のミネラルが不足してしまう状態の低張性脱水と、体内の水分だけが不足する状態の高張性脱水があります。下痢や嘔吐
ウイルスや細菌による感染性胃腸炎などにより、下痢や嘔吐が続く場合は水分不足の状態になりやすいです。 症状が強く出ているときにたくさんの水分を摂ると、胃腸を刺激してしまうので、最初は口を濡らす程度の量から、少量ずつ増やして摂取してください。利尿作用のある飲み物
水分を摂るときに、利尿作用のある飲み物ばかりをのんでいると、体から尿として排泄される量が増えてしまうことがあります。コーヒーや紅茶、緑茶は嗜好飲料として考え、水分を摂るときは意識して、カフェインの含まれない水、麦茶、ルイボスティーなどを積極的に摂取してください。「水分不足」のセルフチェック法

・頭がぼーっとする場合
・立ちくらみがする場合
水分不足の対処法

水分摂取
水分不足を感じたら、まず、水分を摂取してください。のどが渇いたと感じる程度の時には、水やお茶で補給することで良いですが、大量に汗をかいたり、高温下に長時間いた場合などは、体内のミネラルが不足していることが考えられるので、スポーツドリンクや経口補水液を摂取してください。 水分不足は我慢すると、急速に悪化することがありますので、のどが渇いた、という感覚があるうちに水分摂取しましょう。食事からも水分摂取を意識する
水分不足を感じたら、食事からも水分を意識して摂取すると良いでしょう。味噌汁、スープなどの汁物、また生野菜サラダ、果物なども水分の摂取源となります。普段の食事をしっかり摂っていると、熱中症の予防にも効果があります。水分が不足しないための予防法

こまめな水分摂取
意識して、こまめな水分摂取をお勧めします。 のどが渇いたと感じた時には、すでに水分が不足しています。のどが渇いていなくても、時間を決めて飲む、起床時・就寝前・運動前後・飲酒前後は、特に水分摂取しておくと、水分不足を防ぐことができます。食事にも汁物をつける
食事からの水分も体内に取り込まれる大切な水分になりますので、一日三食の食事は大切です。味噌汁、すまし汁、スープなどを取り入れてみてください。具材に野菜、わかめ、卵などをいれることにより、水分だけでなく、体に必要なビタミン、ミネラルも同時に摂れて一石二鳥です。ただし、高血圧などにより塩分を控えたい方は注意が必要です。カフェインが入っていない飲料の摂取
カフェインが入っている飲料は、利尿作用が働くため、それらは嗜好飲料としてとらえ、水分摂取をする時には、水、麦茶、ルイボスティー、ハーブティーなどがおすすめです。「水分不足」についてよくある質問

ここまで水分不足について紹介しました。ここでは「水分不足」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
水とお茶ではどちらが体に良いですか?
曽田 久美子
体に負担がなく水分として取り入れられるのは、水です。お茶の中でも緑茶や紅茶はカフェインが多く利尿作用があったり、タンニンが鉄の吸収を阻害するため、体には少なからず負担はあります。お茶は嗜好飲料として摂取される程度が良いかと思います。
水の代わりになる飲み物はありますか?
曽田 久美子
水は無味で飲みにくさを感じる方もいらっしゃいます。その場合は、麦茶やルイボスティーなどノンカフェインの飲料がおすすめです。緑茶や紅茶、コーヒーなどカフェインを含む飲み物には軽度の利尿作用がありますが、日常的に適量を飲む分には水分補給としても問題ありません。ただし、カフェインの影響を受けやすい方や、大量に摂取する場合には注意が必要です。お茶の中では、ほうじ茶や番茶などは比較的カフェイン量が少ないため、飲みやすい選択肢です。少しずつでも意識的に水を取り入れる習慣をつけていくことで、抵抗感も減っていきますので、ご自身に合った飲み方を見つけてみてください。
まとめ
人体の55~60%は水分ですので、不足するとさまざまな不調が出てきます。頭痛、めまい、立ちくらみ、肌の乾燥など、気になる体の状態、お肌の状態など、改善する鍵が水分にあるかもしれません。身近な水分の種類、摂取するタイミング等を変えて、体の変化を感じてみてください。「水分不足」と関連する病気
「水分不足」と関連する病気は3個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。「水分不足」と関連する症状
「水分不足」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- のどの渇き
- 頭痛やめまい
- 疲労感
- 眠気
- 足がつる




