「ブドウ糖と砂糖の違い」とは?ブドウ糖に何の効果があるのか管理栄養士が解説!

ブドウ糖と砂糖の違いとは?メディカルドック監修管理栄養士がブドウ糖と砂糖の違い・ブドウ糖の一日の摂取量・多い食品・効果・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
鈴木 友美(管理栄養士)
健診センターでの特定保健指導・栄養相談の経験を生かして、より多くの方々の健康をサポートできるように知識を深めています。
目次 -INDEX-
「ブドウ糖」とは?

ブドウ糖は、穀類やバナナなどの果実、はちみつに豊富に含まれる単糖の一種で、自然界に最も多く存在する糖のひとつです。 身体の主要なエネルギー源として重要で、特に脳では通常、ブドウ糖を主なエネルギー源として利用しています。ただし、絶食時や糖質制限中など、ブドウ糖が不足すると、脳は代替的にケトン体をエネルギーとして利用することもあります。 また、ブドウ糖は分子構造が小さく、体内への吸収が速いため、勉強や運動前のエネルギー補給にも適しています。 なお、日本ではブドウから発見されたことに由来して「ブドウ糖」と呼ばれていますが、化学的には「グルコース」とも呼ばれます。
「砂糖」とは?

砂糖とは、ショ糖を多く含むサトウキビやてん菜(ビート)を原料に用いて作る甘味料のことです。これらの植物から搾り取った汁を煮詰めて結晶化させることで砂糖が作られます。製造方法や精製度によって、「白砂糖」「グラニュー糖」「三温糖」「黒糖」など、さまざまな種類がありますが、どれも主成分は同じショ糖です。「蔗(しょ)」は漢字でサトウキビを意味し、そこから「蔗糖(ショトウ)」=サトウキビから得られる糖、という名前がつけられました。日本語では「蔗糖」と書いて「ショ糖」と読みますが、英語では「スクロース(sucrose)」と呼ばれています。
「ブドウ糖」と「砂糖」の違いとは?

ブドウ糖と砂糖はどちらも「糖」ですが、構造や体内での働きに違いがあります。ブドウ糖(グルコース)は、これ以上分解されない最小の糖である単糖類に分類されます。体内にすぐ吸収され血糖値を素早くあげ、脳や筋肉のエネルギー源になります。砂糖(ショ糖)は、2つの単糖が結合した二糖類に分類され、ブドウ糖と果糖がくっついた形をしています。
ブドウ糖の一日の摂取量

ブドウ糖そのものに摂取基準はありませんが、炭水化物(糖質+食物繊維)の推奨摂取量が設けられています。炭水化物としては1日250~325g(2000kcalの場合)が目安です。
◎目標量(男性)
18~29歳:50~65%/日
30~49歳:50~65%/日
50~64歳:50~65%/日
◎目標量(女性)
18~29歳:50~65%/日
30~64歳:50~65%/日
ブドウ糖の効果

集中力を高める
ブドウ糖は、脳にとって主要なエネルギー源であり、日常の思考や判断を支える役割を担っています。 血糖値が低下してブドウ糖の供給が不十分になると、集中力が続きにくくなることがあります。適切に補給することで、脳の働きをサポートし、集中力や判断力の維持に役立つと考えられています。
記憶力の向上
ブドウ糖の摂取が記憶機能に及ぼす影響については、動物実験や人を対象とした研究で一部の効果が報告されています。 たとえば、高齢のラットやマウスにブドウ糖を与えた研究では、記憶機能の改善がみられたとされています。 また、人においても、若年層を対象とした研究の一部で、ブドウ糖摂取後に記憶力や学習成績の向上がみられたという報告がありますが、効果には個人差があり、持続的な影響を示すにはさらなる検証が必要です。
疲労回復のサポート
勉強や仕事で頭を使ったり、激しい運動をした後は血糖値が下がっていることがあります。そんなときは、ブドウ糖を素早く補給することで、エネルギーが効率よくチャージされ、スムーズな回復につながります。
気分の安定に役立つ
ストレスを感じたときには交感神経が優位になり、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が過剰に分泌されることで、心拍数の上昇やイライラなどの症状があらわれやすくなります。 こうした状態を和らげる役割を担うのが「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質です。セロトニンの原料であるトリプトファンは、糖質と一緒に摂取することでインスリンの働きにより脳内に取り込まれやすくなり、セロトニン合成をサポートすると考えられています。 また、甘みのある食品を摂取することで「β-エンドルフィン」と呼ばれる物質が分泌されると、気分がやわらぎ、幸福感や鎮痛作用が得られる可能性もあります。
筋肉の働きをサポート
ブドウ糖は、運動時のパフォーマンスを支える“燃料”のような存在です。
筋肉は活動時に大量のエネルギーを必要とし、そのエネルギーの多くがブドウ糖から供給されます。
運動の前後に適切にブドウ糖を摂取することで、筋肉の疲労回復を助け、持久力やパワーの維持にもつながります。
ブドウ糖の多い食品

ご飯・パンなどの穀類
ご飯やパンなどの穀類は、炭水化物が多く含まれており体内で消化されると、ブドウ糖へと分解され、エネルギー源として利用されます。
特に、白米や食パンのような精製された穀類は、消化吸収が速いため、ブドウ糖に変わるスピードも早く、すばやく体や脳にエネルギーを供給するのに役立ちます。
じゃがいも・さつまいもなどのいも類
じゃがいもやさつまいもなどのいも類は、穀類と同じく炭水化物が豊富に含まれており、体の中で消化されると、ブドウ糖というエネルギー源に変わります。
ブドウやバナナなどの果実類
ブドウは、ブドウ糖の代表的な供給源で、吸収の早い単糖類が多く含まれているため、疲れた体や脳にすばやくエネルギーを届けてくれます。
バナナはブドウ糖のほかにも、カリウムやビタミンB群、食物繊維も豊富で、朝食や運動前後の栄養補給にも最適です。
はちみつ
主成分のひとつがブドウ糖で、体内に入るとすぐに吸収され、脳や筋肉のエネルギーとして素早く働いてくれます。
ヨーグルトに入れたり、レモンのはちみつ漬けなどにして取り入れると疲れたときや集中力を高めたいときに手軽に補えるのでおすすめです。
ラムネ
一部のラムネ菓子にはブドウ糖を主成分とするものがあり、吸収が早いため、素早いエネルギー補給に役立ちます。
ブドウ糖が不足すると現れる症状

交感神経症状
血糖値が70.0mg/dL以下になると、体は血糖を上げようとしてアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンを分泌し、交感神経を活性化させます。
主な症状として、発汗、動悸、手足の震えなどが起こります。
中枢神経症状
血糖値が50.0mg/dL以下になると、脳のエネルギー供給が著しく低下するため、集中力の低下や脱力感、ふらつき、ろれつが回らないなどさまざまな神経異常が起こります。
意識昏睡
血糖値が30.0mg/dL以下になると、異常行動やけいれんのほかに意識がなくなることもあり、命に関わる状態となります。
ブドウ糖を過剰摂取すると現れる症状

高血糖
余分なブドウ糖は脂肪として蓄積され、肥満やインスリン抵抗性を引き起こす原因になります。これが進行すると、糖尿病や動脈硬化、脂質異常症などの生活習慣病につながることがあります。
肥満、生活習慣病のリスクを高める
ブドウ糖を過剰に摂取すると、使いきれなかったエネルギーが中性脂肪として蓄積され、肥満の原因になります。
これが続くとインスリンの働きが悪くなり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まります。適量を守り、バランスの取れた食生活が大切です。
疲労感・集中力の低下
血糖値が急上昇し、その後急降下することで低血糖状態に陥りやすくなります。
その結果、だるさ・眠気・集中力の低下などが起こることがあります。
ブドウ糖の効率的な摂取方法

ブドウ糖と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変えるときに必要なビタミンです。
豚肉、うなぎ、大豆製品に豊富に含まれています。
また、未精製に近い穀類に豊富に含まれているので、ご飯やパンを玄米やライ麦パンなどに変えてみると摂取量を増やすことができます。
ブドウ糖と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
食物繊維には、糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。これは健康維持の面では望ましい効果ですが、運動前や勉強前など、即効性のあるエネルギー補給を目的とする場面では、ブドウ糖の吸収速度が遅くなるため、効果がやや弱まる可能性があります。 特に、水溶性食物繊維は胃腸内での粘性を高め、糖質の吸収をさらに緩やかにすることが知られています。目的に応じて、食物繊維の摂取タイミングを工夫することが大切です。
ブドウ糖の効果を高める摂取タイミング
起床時は血糖値が低下しており、脳に十分なエネルギーが供給されていない状態になりやすいため、朝食でのブドウ糖補給はとても重要です。
ご飯やパンなどの炭水化物をしっかりと補うと同時に、果物などのビタミン類も一緒に摂ることで糖代謝をサポートしてくれるため、相乗効果が期待できます。
また、運動時や集中したい時には30分~1時間前に果物やラムネなどブドウ糖を多く含むものを摂ることでパフォーマンスの向上が期待できます。
「ブドウ糖と砂糖の違い」についてよくある質問

ここまでブドウ糖と砂糖の違いについて紹介しました。ここでは「ブドウ糖と砂糖の違い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ブドウ糖は体に悪いのでしょうか?
鈴木 友美
ブドウ糖は、人間の生命活動に欠かせないエネルギー源です。
特に、脳はブドウ糖を主な燃料として使っており、血糖値が低くなりすぎると、集中力の低下やめまい、意識障害などを引き起こすこともあるため注意が必要です。
現代の食生活では「意識しなくても糖質過多になりやすい」環境があるので、適量を目的に応じて摂るというのが大切です。
まとめ
ブドウ糖は、自然界に多く存在する吸収の早い単糖で、特に脳や筋肉にとって重要なエネルギー源です。
集中力や記憶力、疲労回復などに効果があり、起床時や運動前後の補給が推奨されます。
一方、砂糖(ショ糖)はブドウ糖と果糖が結合した二糖類で、体内で分解されてから吸収されます。
どちらも体に必要な糖質ですが、過剰摂取は血糖値の乱高下や生活習慣病リスクを高めるため、目的に応じた摂り方とバランスが大切です。
「ブドウ糖と砂糖」と関連する病気
「ブドウ糖と砂糖」と関連する病気は3個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 糖尿病
- 肥満
歯科の病気
「ブドウ糖と砂糖」と関連する症状
「ブドウ糖と砂糖」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 口渇
- 多飲
- 多尿
- 急激な体重増加
- 肥満
- だるさ
- 眠気
- 集中力の低下
- 皮膚トラブル
- 気分の不安定
- 手足の震え
- 動悸
- 発汗
- ふらつき




