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現代人に不足がちな「不溶性食物繊維」とは?おすすめの食品と効率的な摂取法も解説!

 公開日:2025/12/25
現代人に不足がちな「不溶性食物繊維」とは?おすすめの食品と効率的な摂取法も解説!

不溶性食物繊維とは?メディカルドック監修医が不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の違い・不溶性食物繊維の一日の摂取量・多い食品・効果・効果的な摂取方法などを解説します。

西岡 佳余子

監修管理栄養士
西岡 佳余子(管理栄養士)

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短大卒業後27年以上、医院、保育園で栄養士として、給食管理、調理、食育の経験を積み、保育園勤務中に管理栄養士資格を取得しました。今後は今までの経験を活かし管理栄養士として、特定保健指導や栄養相談など幅広く活動をしていきたいと思っています。

「不溶性食物繊維」とは?

「不溶性食物繊維」とは?

食物繊維は、ヒトが消化できない成分であり、その中で水に対する溶けやすさの違いから不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に大別されます。不溶性食物繊維は水に溶けにくく、糸状のものや多孔質のものがあります。その中でもセルロース(野菜・穀類・豆類など)は、食感がボソボソ・ザラザラで噛みごたえがあるため、よく噛んで食べることができ、食べ過ぎによる肥満防止、虫歯予防、脳の活性化に繋がりやすいです。また、保水性が高いため、便量を増やし、便通や大腸がんの予防に繋がります。

「水溶性食物繊維」とは?

「水溶性食物繊維」とは?

水に溶ける性質を持ち、粘性が高いため、余分な糖や脂質を吸着し体外へ排泄します。

「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の違いとは?

「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の違いとは?

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は、いずれも消化吸収されずに大腸まで到達する点は共通していますが、生理作用は大きく異なっています。どちらも便秘の解消に有効です。摂取するバランスに注意が必要であり、不溶性食物繊維2:水溶性食物繊維1が望ましいと考えられています。
「不溶性食物繊維」は水に溶けにくく便のカサを増やす食物繊維であり、成熟したもので糸状でボソボソ・ザラザラした食感が特徴です。穀類、野菜、豆類、きのこ類などに含まれており保水性が高く体内で水分を吸収して大きく膨らみ、腸を刺激して蠕動運動が活発になり便通を促進します。
「水溶性食物繊維」は水に溶けやすいゲル状の食物繊維であり、ネバネバ・サラサラしたもので、昆布やわかめ、果物、大麦、オーツ麦などに含まれています。粘着性により胃腸内をゆっくりと移動し、腹持ちが良く食べすぎを予防でき糖質の吸収を緩やかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。

不溶性食物繊維の一日の摂取量

不溶性食物繊維の一日の摂取量

生活習慣予防を目指して設定された1日あたりの摂取目標量は
男性:18~29歳、75歳以上は一日20g以上、30~64歳22g以上、65歳~75歳21g以上
女性:18~74歳は一日18g以上、75歳以上17g以上
生活習慣病の発症予防の観点から考えると、成人では、食物繊維を一日25g以上摂取するのが理想とされています。
(厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2025年版)より)

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があります。摂取割合は2:1とされています。総摂取のうち不溶性食物繊維(2/3)と水溶性食物繊維(1/3)となるように摂取すると理想とされています。  

不溶性食物繊維の効果

不溶性食物繊維の効果

有害物質の排出

便が大腸にとどまる時間が長くなると、大腸内で腐敗が起こり悪玉菌が増殖し有害物質を発生させることになります。不溶性食物繊維は水や食べかすを絡めることにより大便を多くします。一緒に有害物質も体外へ排出します。

腸内環境の改善

水溶性食物繊維は腸内で発酵されやすく、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える働きがあります。不溶性食物繊維にはこの発酵性は乏しいものの、便のカサを増やして腸のぜん動運動を促すことで、排便を助け間接的に腸内環境の改善に寄与します。善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)は、悪玉菌の増殖を抑えたり、消化吸収を助けたりするほか、免疫機能の調整にも関わっており、便秘や下痢の改善、感染予防やコレステロール低下などに貢献します。

満腹感の向上

繊維質のものが多く、しっかりと噛み応えのあるもので満腹感を高め時間をかけて食べることで、血糖値の上昇を防ぐ作用が期待でき健康維持に重要な役割をします。

アレルギー抑制

腸内環境を整え腸管免疫が活発化されアレルギー反応を抑制する効果が期待できます。

不溶性食物繊維の多い食品

不溶性食物繊維の多い食品

アーモンド

100gあたり10.2gを含みます。アーモンドの1日の摂取目安量は、約20~25粒(約30g)程度とされています。無塩のアーモンドをおすすめします。

ごぼう

100gあたり可食部で3.4gを含みます。ごぼうなどの根菜類の入ったスープや味噌汁がおすすめ。

全粒穀物(ライ麦やオートミール、玄米)

100gあたりの可食部で4〜7g含みます。朝食なら、小麦粉のパンの場合、ライ麦やオートミールに置き換え、プラスでフルーツヨーグルトを一緒に摂ります。白米の場合、玄米に置き換え、納豆を組み合わせるなどがおすすめです。

大豆

ゆでたもの100gあたりの可食部で5.8gを含みます。大豆や野菜も一緒に摂れる大豆の五目煮がおすすめです。

乾物類(切り干し大根、干し椎茸、乾燥ひじき)

乾物類は水分を含んで戻すことで食べやすくなり、日常の食事に取り入れやすい食物繊維源です。たとえば、切り干し大根の煮物1食分(約30g・戻し後)には約0.5g、干し椎茸(2枚程度・戻し後約20g)には約1.2g、乾燥ひじきの煮物1食分(戻し後約40g)には約1.5gの食物繊維が含まれます。これらの多くは不溶性で、便のかさ増しや腸の蠕動運動促進に役立ちます。小鉢で1品追加したり、スープや炊き込みご飯に加えるなど、日々の食事に無理なく取り入れることができます。

不溶性食物繊維の効果的な摂取方法

不溶性食物繊維の効果的な摂取方法

不溶性食物繊維を多く含む食品の摂取

「不溶性食物繊維の多い食品」でも挙げていますが、穀類、野菜、豆類、きのこ類、果物、海藻類に多く含まれています。その中でも、ごぼう、ブロッコリー、えんどう豆、キウイフルーツ、エリンギ、ひじきが特に多い食品です。

不溶性食物繊維と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

食物繊維を効果的に摂取するためには、不溶性と水溶性の両方をバランスよく取り入れることが重要です。たとえば、ブロッコリーや枝豆は不溶性食物繊維が多めですが、水溶性も含んでおり、腸のぜん動運動を促進する働きがあります。アボカドは水溶性と不溶性の両方をバランスよく含む果物で、腸内環境の改善に役立ちます。また、海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)には水溶性食物繊維が多く含まれ、腸内でゲル状になって余分な糖や脂質を吸着し、体外へ排出するのを助けます。これらの食材をサラダなどで組み合わせることで、便通の改善や腸内環境の正常化といった効果が高まりやすくなります。

不溶性食物繊維の効果を高める摂取タイミング

避けてほしい時間帯はないのですが、夕食よりも朝食の方が1日を通して血糖値が低くなることが知られているためおすすめします。
飲むタイプは、食前食後どちらでも効果の期待はできます。食前に摂取することで血糖値 を緩やかにする効果が期待できます。粉末タイプでは、食前と食後どちらでも摂取可能ですが、ダイエット目的であれば食前に摂取することで満腹感を得やすく食べすぎ防止の期待ができます。食後に摂取することで便のカサを増やし排便を促す効果が期待できます。

「不溶性食物繊維」についてよくある質問

「不溶性食物繊維」についてよくある質問

ここまで不溶性食物繊維について紹介しました。ここでは「不溶性食物繊維」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

不溶性食物繊維を簡単に摂取する方法はありますか?

西岡 佳余子西岡 佳余子

白米から玄米、食パンから全粒粉パン、オートミールなどに置き換えると、不溶性食物繊維の摂取量を簡単に増やすことができます。

バナナに不溶性食物繊維は含まれていますか?

西岡 佳余子西岡 佳余子

バナナの可食部100gあたりに含まれている食物繊維は1.1g、水溶性食物繊維は0.1g、不溶性食物繊維が1.0gです。

まとめ

食物繊維は腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整え、便通の維持や健康管理に重要な役割を果たします。不足すると悪玉菌が優勢になり、便秘や腸内フローラの乱れを招くことがあります。また、腸内環境は免疫機能や代謝とも関係しており、食物繊維の摂取は生活習慣病の予防にもつながります。食物繊維には糖質やコレステロールの吸収を穏やかにする働きがありますが、摂り過ぎはミネラルの吸収を妨げる可能性があります。不溶性と水溶性の2種類があり、いずれも過剰摂取には注意が必要です。日本人は摂取量が不足しがちなため、日常の食事で意識的に取り入れることが大切です。

「不溶性食物繊維」と関連する病気

「不溶性負食物繊維」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

不溶性食物繊維と関連する病気

「不溶性食物繊維」と関連する症状

「不溶性食物繊維」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 下痢や軟便
  • 便秘の悪化

この記事の監修管理栄養士