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「カテキンの効果」はご存知ですか?過剰摂取による症状も解説!

 公開日:2025/05/20
「カテキンの効果」はご存知ですか?過剰摂取による症状も解説!

カテキンの効果とは?Medical DOC監修医がカテキンの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・デメリット・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

中島 三容子

監修管理栄養士
中島 三容子(管理栄養士)

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一般企業で約20年自動車部品の設計補助業務に従事したのち、栄養士の世界へ。2022年に管理栄養士資格取得後は、国家試験対策教材の制作サポートや食育コーディネートに携わる。また、持続血糖測定の管理事務および保健指導を行い、ひとりひとりの「なんとなくわかっちゃいるけど」に寄り添いアプローチする。

「カテキン」とは?

「カテキン」とは?

ポリフェノールの一種で、タンニンと呼ばれる水溶性の苦味・渋味成分の代表格が「カテキン」です。カテキンは、ポリフェノールの中でも白色の色素成分であるフラボノイド系フラバノール類に分類されます。カテキンには複数の種類がありますが、緑茶に含まれる主なカテキン4種類(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)のうち3種類が日本の化学者により発見されました。茶カテキンが特定保健用食品として許可され市販されるなど、これらの成分のもつ生体調節機能には健康維持や病気の予防に役立つ可能性があるとして注目されており、国内外でさまざまな研究が行われています。

カテキンの一日の摂取量

カテキンの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準2025年版に、カテキンの摂取量の基準はありません。特定保健用食品の有効性試験として、BMIやコレステロールが高めの健常成人に対し、茶カテキン1日あたり約400~650mgの継続摂取で体脂肪減少やコレステロール値低下がみられたとの報告があります。また、安全性試験として1日あたり約1400mgの茶カテキンを4週間摂取させた結果、有害事象はなかったと報告されています。ただし、食品安全委員会はカテキンの「安全性については、摂取量に関する信頼できるデータが見当たらない。」としており、カテキンを抽出したサプリメントの安全性については今後も十分な検討が必要です。

カテキンの効果

カテキンの効果

コレステロール値の改善

茶カテキンは、特定保健用食品の「コレステロールが高めの方の食品」として許可されています。茶カテキンは、小腸でのコレステロールの吸収を阻害します。これにより、血清総コレステロール値、LDLコレステロール値の低下が期待できるとの報告があります。

体脂肪の減少

茶カテキンは、特定保健用食品の「体脂肪が気になる方の食品と内臓脂肪が気になる方の食品」として許可されています。茶カテキンは小腸で膵リパーゼの働きを阻害し、脂肪の吸収を抑制して便中へ脂肪を排泄します。さらに、肝臓での脂肪燃焼を促進することで、体内の余分な脂肪(皮下脂肪、内臓脂肪)を減少させやすくするとの報告があります。

抗酸化作用

活性酸素には毒性があり、体内の細胞を酸化させて老化や病気の原因になります。カテキンは、ストレスや加齢などさまざまな要因で増えてしまった活性酸素を無毒化することで抗酸化作用を持つと言われており、肌の老化防止や動脈硬化の抑制の可能性があります。

殺菌・抗菌作用

カテキンは、細菌の細胞膜を破壊する殺菌作用、毒素を解毒する抗菌作用を示し、O-157(腸管出血性大腸菌)などの食中毒菌やピロリ菌、ミュータンス菌などの増殖を抑えるとの研究結果が報告されており、食中毒や胃潰瘍、虫歯や歯周病の予防にも寄与することが示唆されています。また、カテキンのもつ殺菌・抗菌作用によって腸内細菌叢が改善したとする研究結果も見られます。

血糖値の上昇抑制

カテキンは、主に小腸で糖の吸収を抑制することで、食後血糖の急上昇を防ぐとされ、 また、カテキンはインスリンの働きを助けることで、血糖コントロールを改善するとされています。これらにより、糖尿病や動脈硬化の予防効果が期待できるとしています。

カテキンのデメリット

カテキンのデメリット

肝臓への負担

緑茶など通常の食品に含まれるカテキンの量では、肝臓への影響はほとんどないと考えられていますが、国外ではカテキンがダイエット用サプリメントの原料としても使われており、緑茶サプリを摂取した一部の人に肝機能障害が生じたという報告があります。

鉄分吸収の阻害

濃い緑茶などを大量に摂取した場合、体内でカテキンが結合し高分子のタンニンに変わります。野菜や海藻などの植物性食品に含まれている非ヘム鉄は、タンニンとともに摂取することで吸収率が低くなります。

胃への負担

カテキンが結合したタンニンは、酸化しやすい性質をもった渋み成分です。酸化したタンニンはタンニン酸へと変化し、このタンニン酸が胃粘膜が薄くなる原因になっている可能性があると言われています。

服用中の薬の効果への影響

カテキンの医薬品との相互作用として、β遮断薬(降圧薬)であるナドロールの血中濃度低下や脂質異常症用薬であるスタチン系医薬品やワルファリンの血中濃度増加などが報告されており、服用中の薬の意図した効果が得られないことがあります。服薬の際は、水または白湯をお勧めします。

カテキンを過剰摂取すると現れる症状

カテキンを過剰摂取すると現れる症状

通常の飲食による摂取では過剰摂取によるリスクはほとんどありませんが、サプリメントなどで高濃度のカテキンを摂取した場合には注意が必要です。

肝機能障害

サプリメントなどで高濃度のカテキンを摂取した場合、肝臓に負担がかかり、肝機能障害を引き起こすことがあると報告されています。肝機能検査の異常値を示す場合には、内科を受診してください。また、サプリメントなどの摂取を検討する際には主治医や薬剤師に相談しましょう。

鉄欠乏性貧血

カテキンの過剰摂取により鉄分の吸収が阻害されることで、鉄欠乏性貧血のリスクとなるため、鉄の必要量が増す妊婦や既に鉄剤を服用中の方は注意が必要です。爪の変形や頭痛、倦怠感などの症状が現れた場合には、ただちに内科を受診してください。

消化器系の不調

カテキンの過剰摂取で生じるタンニン酸はタンパク質を凝固させる働きがあり、胃の粘膜を荒らすことで、消化不良や吐き気、下痢などの原因となります。このような症状が現れた場合は、主治医もしくは消化器内科を受診しましょう。

カテキンを多く含む食品

カテキンを多く含む食品

緑茶

カテキンは、緑茶に特に多く含まれています。緑茶は、茶葉を採取した後にすぐに蒸す煎るなどの加熱をし、茶葉に含まれる酵素を失活させて茶カテキンの酸化を抑えることで製造されます。緑茶には茶葉の栽培方法や加熱方法の違いにより、玉露、抹茶、煎茶、釜炒り茶、番茶、ほうじ茶などがあります。

ウーロン茶・紅茶

ウーロン茶、紅茶は、緑茶と同じカメリアシネンシスという植物から作られ、カテキンを多く含みます。お茶の発酵は茶葉に含まれる酵素による茶カテキンの酸化を意味しており、緑茶は不発酵茶、ウーロン茶は半発酵茶(酵素の作用時間を発酵茶の半分にすることで茶カテキンの酸化を発酵茶の半分に抑える製法)、紅茶は発酵茶に分類されます。

ココア・チョコレート

カテキンは、ココアやチョコレートにも多く含まれています。ただし、一般的に砂糖や飽和脂肪酸も多く含むため、摂取量や頻度には注意が必要です。

果物

果物のりんごやいちご、ブルーベリーなどにも含まれており、そのまま手軽に摂ることができます。

豆類

カテキンは、豆類のささげ、そらまめ、小豆にも含まれています。

カテキンの効果的な摂取方法

カテキンの効果的な摂取方法

カテキンを多く含む食品の摂取

カテキンは特に緑茶に多く含まれています。

カテキンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

カテキンはお湯の温度が高く、抽出時間が長いほど多く抽出されます。本来緑茶は70〜80度で40秒程度抽出しますが、カテキンをより多く摂取したい場合には、90度のお湯を使い60秒程度まで抽出時間を延ばすと良いでしょう。

カテキンの効果を高める摂取タイミング

カテキンの血中濃度は摂取後約90分をピークに減少し、その後は速やかに消失します。そのため、カテキンの効果を持続させるには、1度に大量に摂るのではなく、1日に複数回(2時間おきに5回程度など)こまめに摂ることをお勧めします。

「カテキンの効果」についてよくある質問

「カテキンの効果」についてよくある質問

ここまでカテキンの効果を紹介しました。ここでは「カテキンの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

カテキンを毎日摂取するとどんな効果が現れますか?

中島 三容子中島 三容子

体脂肪が多めの方に脂肪をつきにくくしたり、コレステロールが高めの方にLDLコレステロールを減らすなど、さまざまな効果が示唆されています。ただし、特定保健用食品の注意事項として「多量に摂取することにより、疾病が治癒したり、より健康が増進できるものではありません。」と記載されているように、用量を守ることが肝要です。

カテキンが一番多く含まれているお茶について教えてください。

中島 三容子中島 三容子

カテキンが一番多く含まれている緑茶にはさまざまな種類があります。玉露や抹茶は日光をさえぎって生育させた若葉が使われており、うま味成分のテアニンも多く含む特徴があります。さらに、抹茶は粉末にした茶葉からその成分を全て摂ることができます。ただし、緑茶にはカテキンの他にカフェインやシュウ酸も多く含まれており、それらの過剰摂取によるリスクには特に注意が必要です。カフェインの過剰摂取では不眠や動悸、めまいなどの症状が現れることがあり、シュウ酸の過剰摂取では尿路結石や腎障害のリスクとなります。

編集部まとめ

カテキンは、疫学的調査で有効性が認められ、様々な効果が期待されています。しかし、その機序には未解明の部分が多く、今後もさらなる研究が必要です。ひとつの成分に注目するのではなく、太古の昔から人類がしてきたように、バランスのとれた食事や適度な運動とともに、カテキンを含む食品を少しずつこまめに取り入れることが健康への第一歩です。

「カテキン」と関連する病気

「カテキン」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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