「カフェインの効果」はご存知ですか?摂取後どれくらいで効果が発揮されるかも解説!

カフェインの効果とは?Medical DOC監修医がカフェインの効果・一日の摂取量・多く含む食べ物・飲み物・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取タイミングなどを解説します。

監修管理栄養士:
佐藤 直美(管理栄養士)
2015年管理栄養士免許取得。
目次 -INDEX-
「カフェイン」とは?
カフェインは、コーヒー豆、茶葉、カカオ豆、ガラナなどに含まれている食品成分の一つで、これらを原料につくられたコーヒーやお茶などの飲料に多く含まれています。
カフェインには、水を含まない無水カフェインもあります。薬の効果を高めることを目的として鎮咳去たん薬や風邪薬、鼻炎用内服薬、解熱鎮痛薬、乗物酔い薬、ドリンク剤などに配合されます。
また、カフェインには、運動中の疲労感を軽減させ、長時間の運動が続けられることや、集中力を高める効果もあると言われています。医薬品として処方されるほか、食品添加物(苦味料)として嗜好性を改善したり食欲を増進させるために用いられてきました。
カフェインの一日の摂取量
健康な成人は最大400mg/日(コーヒーをマグカップ(237ml入り)で約3杯)までとします。
・カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は最大200 mg/日(マグカップで約1.5杯)までとされています。
・10~12歳児:85mg以下
・7~9歳児:62.5mg以下
・4~6歳児:45mg以下
※カナダ保健省の数値参照
カフェインの効果
カフェインには中枢神経を興奮させて体を活発化させる作用があるため、たとえば仕事の合間にコーヒーなどを飲むと頭がすっきりしたり、眠気を覚ましたりといった効果が期待できます。
眠気を覚ます
・カフェインには、覚醒作用があります。
私たちをリラックスした状態に導く成分「アデノシン」の働きをブロックし、中枢神経を刺激する作用があります。この刺激により、神経伝達物質の一つであるドーパミンが活発に放出され、脳を一時的な覚醒状態へと導くのです。ドーパミンの増加を促すため、眠気を解消するだけでなく、同時に集中力や注意力の向上も期待できます。
疲労を和らげる
・カフェインは、一時的に疲労を和らげる効果があります。
カフェインによって脳の中枢神経系が刺激され覚醒効果をもたらすことで、一時的に身体的・精神的な疲労感の軽減を実感できます。
頭痛を軽減する
・カフェインには血管を収縮させる効果があるため、血管が拡張することで生じる偏頭痛の改善に役立ちます。
脂肪燃焼効果がある
・カフェインには交感神経を優位にする作用があり、脂肪組織から脂肪酸を分解しやすくします。
むくみを予防する
カフェインには利尿作用があり、体内の余分な水分を排出することでむくみの軽減に寄与する可能性があります。ただし、これはあくまで利尿作用による間接的な影響であり、医学的に「むくみ予防効果」として確立されているわけではありません。また、過剰な利尿作用により必要な水分まで排出される可能性があるため、適量の摂取を心がけることが大切です。
カフェインを多く含む食べ物・飲み物
コーヒー
・コーヒー100ml当たり約60mg含まれています。
※コーヒー1杯150ml当たりでは約90mg
お茶
・玉露(浸出液):160mg
・紅茶(浸出液):30mg
・緑茶・煎茶/ほうじ茶/ウーロン茶(浸出液):20mg
・玄米茶/番茶(浸出液):10mg
※100mlあたりに含まれるカフェイン含有量
栄養ドリンク
・製品1本当たり約50㎎
エナジードリンク
・30~40 mg/100 mL
(製品1本150ml当たりでは、80~151 mg)
チョコレート
・ハイカカオチョコレートは、100gあたり70~120mg。
一般的なミルクチョコレートは100gあたり25~35mg。
カフェインの効果はどれくらいの摂取量で発揮される?
有酸素運動の30分前に、「濃いコーヒー」に相当する量のカフェイン(体重1kgあたり約3mg)を摂取すると、脂肪燃焼の速度が大幅に増加するという可能性を示した研究結果が発表されています。
カフェインの効果はどれくらい持続する?
・カフェインの効果は、個人差はありますが、摂取後30分~2時間程度で最大となり、半減期(効果が半分になる時間)は2~8時間と幅があります。
・半減期が 5時間であった場合、たとえば朝9時に400mgのカ フェインを一度に摂取すると、14時に200mg相当、19時に100mg相当のカフェインが体内に残存することと なります。夕方以降に100mg以上のカフェインを摂取 することで入眠困難や徐波睡眠(熟睡)の減少、中途覚 醒の増加が生じるため、400mgを超えるカフェインを 摂取することは、1日のどの時点であっても(仮に朝の 摂取であったとしても)、睡眠に悪影響を与える可能 性があります。
また、眠気覚ましにカフェインを摂取している人も少なからず いると思いますが、慢性的な摂取では効果が減弱し依存 も生じます。
カフェインを過剰摂取すると現れる症状
低カリウム血症
カフェインを極端に過剰摂取すると、血中のカリウム濃度が低下し、低カリウム血症を引き起こす可能性があります。この症状は、通常の摂取量では起こることはほとんどありませんが、稀に重篤な場合には命に関わるケースも報告されています。低カリウム血症が疑われる場合には、速やかにカリウムを補給することで症状が軽減することがあります。しかし、症状が悪化したり改善が見られない場合は、早急に内科を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。
骨粗鬆症
カフェインの利尿作用によってカルシウムが尿中に多く排出されると、カルシウム不足気味の人は骨粗鬆症のリスクが高くなります。
高血圧
肝機能が弱っている人がカフェインを摂り過ぎると、高血圧のリスクが上がります。
頭痛
カフェインを過剰に摂取した後、急に摂取を控えると、離脱症状として頭痛が発生することがあります。また、摂取量が極端に多い場合、身体への負担が増し、頭痛を引き起こすこともあります。このような症状が現れた場合は、まず水分を十分に摂取し、カフェインの摂取量を減らすことで症状が緩和する可能性があります。
疲労感
カフェインには疲労解消の効果があるといわれていますが、人によっては疲労感が残ることがあるため注意が必要です。「疲労がなくなった」ように感じるのは、カフェインに含まれるアデノシンという成分の覚醒作用によるものだと
カフェインのデメリット
薬の効果への影響
・カフェインは目覚まし効果のある成分で、眠気を除去する薬の成分にもなっています。カフェインと一緒に飲むと薬の効果が弱くなったり強くなりすぎたり、副作用が出やすくなったりする薬があります。
胃腸や膀胱の働きに影響する
・カフェインには腸の蠕動運動を促し便通を良くする効果もあります。しかし人によってはカフェインの刺激が軟便や下痢につながる場合もあります。
・膀胱が刺激され、頻尿になる場合もあります。多活動膀胱など、元々頻尿の持病がある方、またはトイレに行きにくい状況の時などは注意して摂取する必要があります。
ミネラルの吸収を阻害する
・鉄分の吸収を阻害して貧血に繋がったり、カルシウム不足から骨がもろくなったりする恐れがあります。
・特に妊婦の場合、カフェインの過剰摂取が流産や胎児の発育に影響を与える可能性があるため注意が必要です。ただし、1日あたり200mg以下(コーヒー約1杯半程度)を目安に摂取を管理すれば、リスクは低いとされています。適量を守りつつ、必要に応じてノンカフェイン製品を利用することをおすすめします。
カフェインはどのタイミングで摂取すると良い?
昼寝の前
覚醒効果が現れはじめる時間には個人差がありますが、昼寝の30分ほど前に摂取すると、起きるタイミングでカフェインの覚醒効果が働き、スッキリと目覚められるというケースもあります。
運動の前
・有酸素運動の30分前に、「濃いコーヒー」に相当する量のカフェイン(体重1㎏あたり約3mg)を摂取すると、脂肪燃焼の速度が大幅に増加するという可能性を示した研究結果が発表されています。この量は、体重60kgの人で約180mgに相当します。具体的には、通常のコーヒー約2杯(1杯150mLあたり約90mgのカフェインを含む)にあたります。
集中したい時
・カフェインは集中したいときに摂取するのがおすすめです。
摂取したカフェインが交感神経を刺激して、アドレナリンの分泌を促し、集中力アップにつながります。
作業に入る前にカフェインを摂取し、集中力を高める準備をしておくとよいでしょう。
「カフェインの効果」についてよくある質問
ここまでカフェインの効果を紹介しました。ここでは「カフェインの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
カフェインはどれくらいの量で摂りすぎとなりますか?
佐藤 直美 医師
・健康な成人の1日のカフェイン摂取量は最大400mg/日以上だと摂りすぎということになります。
・妊婦の1日当たりのカフェイン摂取量は200mg以上だと摂りすぎということになります。
カフェインの摂取を止めると頭痛が和らぐ理由について教えてください。
佐藤 直美 医師
カフェインには血管を収縮させる作用があります。このため、一部の頭痛(片頭痛など)を軽減する効果がある一方で、緊張型頭痛の症状を悪化させる場合もあります。過剰に摂取している場合、血管の収縮が強まり、頭痛が誘発される可能性があります。
カフェインの摂取を中止すると、血管が拡張して通常の状態に戻るため、こうした頭痛が和らぐことがあります。
編集部まとめ カフェインの摂取は適量が大事
カフェインを過剰摂取すると、体外にカリウムやマグネシウムを排出してしまい、低カリウム血症・骨粗しょう症・高血圧・頭痛・疲労感・睡眠障害などの症状が起こる可能性があります。ただし、適量であればカフェイン摂取によるメリットは多くあるため、1日コーヒーカップ3~4杯程度におさめるようにしましょう。
カフェインの摂りすぎが気になったら、水分とともに果物、野菜、豆、海藻、キノコをたくさん食べてミネラルを補給しましょう。カリウムやマグネシウムを含むミネラルウォーターは、水分とともに一緒に補給したい成分が簡単に摂れるのでおすすめです。
子供、妊婦、授乳中の方、カフェインに敏感な方は、カフェイン摂取量をより少なくするため、カフェインを取り除いたノンカフェイン製品(麦茶・そば茶・黒豆茶・トウモロコシ茶など)を利用するのも選択肢の一つです。
「カフェイン」と関連する病気
「カフェイン」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
婦人科の病気
- 月経前症候群(PMS)
- 子宮筋腫
「カフェイン」と関連する症状
「カフェイン」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。