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「マンガン」は身体に何の「効果」があるかご存じですか?管理栄養士が解説!

 公開日:2025/10/20
「マンガン」は身体に何の「効果」があるかご存じですか?管理栄養士が解説!

マンガンの効果とは?メディカルドック監修医がマンガンの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

會田 千恵美

監修管理栄養士
會田 千恵美(管理栄養士)

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認定こども園で管理栄養士として給食管理・調理・食育を行っています。離乳食アドバイザー(一般社団法人母子栄養協会)・食育インストラクター1級(NPO日本食育インストラクター協会)・和食文化継承リーダー認定を取得し、子供たちが食に興味をもち、おいしいと笑顔で言ってもらえるように励んでいます。

「マンガン」とは?

マンガン(manganese)は、原子番号25、元素記号Mnのマンガン族元素の1つです。 微量ミネラルの一つで、成人の体内に10~20㎎存在し、その25%は骨に、残りは生体内にほぼ一様に分布しています。 アルギナーゼ、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、ピルビン酸カルボキシラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ等の構成成分です。

マンガンの一日の摂取量

成人(18歳以上)の1日の目安量は、男性で3.5㎎、女性で3.0㎎。 耐容上限量は、男女共に11㎎。 ※現状においてはマンガンの必要量を推定できないと判断し、マンガンの必要量を上回ると考えられる日本人のマンガン摂取量に基づき目安量が算定されています。 一方、完全静脈栄養施行患者においての補給で投与法を誤ると中毒が発生する症例があり、食事由来ではないが、マンガンの過剰摂取による健康障害は無視できないことから、耐容上限量を設定しています。

マンガンの効果

骨の形成促進効果

マンガンは、骨の成分であるリン酸カルシウムの形成を促進させる働きがあります。 グリコシルトランスフェラーゼという酵素の構成成分であり、骨形成時のプロテオグリカンの合成に重要な酵素で、軟骨において、コラーゲンとともにその主成分を担っています。軟骨の細胞を促進させる効果があります。

代謝の補酵素としてエネルギーの生成を助ける効果

糖代謝の酵素のピルビン酸カルボキシラーゼやスーパーオキシドジスムターゼの構成成分です。脂質代謝では、脂肪酸の合成の補酵素としても作用し、グルタミン酸の代謝にも関与しています。様々な代謝に関与し、エネルギーの産生になくてはならないものです。

血液の健康維持に関与する効果

マンガンは、体内の抗酸化酵素であるマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)の構成成分として、細胞の酸化ストレスを軽減し、血液細胞を含む全身の細胞の健康維持に寄与します。直接的に赤血球の合成や血液凝固因子の活性化に関与する栄養素ではありませんが、間接的に血液の健康を支える役割を担っています。

活性酸素を減らす効果

活性酸素は、悪玉コレステロールを酸化し、血管壁に沈着させて血管を傷つける作用があります。マンガンスーパーオキシドジスムターゼは、活性酸素を分解するため、抗酸化作用があります。

いろいろな機能を維持する効果

神経伝達物質に関与し神経機能の維持をしたり、甲状腺ホルモンや性ホルモンの合成に関わりホルモン機能の維持をしたり、網膜や毛髪などの体内の色素を維持する効果があります。

マンガンが不足すると現れる症状

骨がもろくなる

骨の形成に関わっているため、骨がもろくなったり、骨格が変形したり、発育が悪くなったりします。

止血しにくい

止血する効果が減ってしまい、止血しにくくなる可能性があります。

神経伝達機能の低下

神経伝達機能の低下により、記憶力の低下や、物忘れ、運動失調などの症状が出る可能性があります。

疲れやすい

エネルギーの代謝への関与が不足し、エネルギーの生成ができずに疲れやすくなる可能性があります。

生殖機能の低下

妊娠しにくい、性機能の低下、発育不良などの症状が出る可能性があります。

マンガンを過剰摂取すると現れる症状

マンガンの過剰摂取により中毒を起こし、パーキンソン病に似た症状が出る場合があります。

無気力・無欲状態

パーキンソン病に似た症状の初期症状として、無気力・無欲状態、脱力、食欲不振、疲労感などの症状が現れる場合があります。

不眠

中期症状になると、寝付けない、睡眠の途中で目が覚める、熟睡した感じがしないなどの睡眠障害が現れる場合があります。

けいれん・震え

中期症状のほかの症状として、下肢のけいれん、躯幹・四肢の震えなどの症状が起こる場合があります。

筋肉の硬直

筋硬直や、表情がなくなる仮面様顔貌、歩行・平衡拙劣化など、身体の動きがうまくいかない症状が出る場合があります。

めまい・頭痛・疲労感

極端にマンガンを過剰摂取した場合、鉄の吸収が阻害され、鉄欠乏性貧血を引き起こす可能性が指摘されています。貧血が進行すると、めまい、頭痛、疲労感、倦怠感、動悸、息切れなどの症状が現れることがあります。ただし、通常の食事におけるマンガン摂取量でこれらの影響が生じることはまれです。

マンガンを多く含む食品

玄米や黒米

玄米:100g中2.06㎎ 黒米:100g中1.95㎎ 精白米(うるち米):100g中0.81㎎ 精白米だけで炊かずに、玄米や、五穀米などを加えて炊くと摂取量をアップできます。

そば粉

そば粉(中層粉):100g中1.17㎎ そば粉(全層粉):100g中1.09㎎ そば粉(内層粉):100g中0.49㎎ 半生そば:100g中0.99㎎ そば粉の表層部分に多く含まれているので、皮も一緒に引いた粉のほうが多く含まれます。 小麦粉にもマンガンは含まれますが、そば粉のほうが多いので、二八そばより十割そばのほうがより多く含まれます。

大豆製品

凍り豆腐:100g中4.32㎎ 煎り大豆:100g中3.24㎎ きな粉:100g中2.75㎎ 油揚げ:100g中1.55㎎ ひきわり納豆:100g中1.0㎎ 木綿豆腐:100g中0.41㎎  絹ごし豆腐:100g中0.34㎎ 食品中の水分量の少ない方がより多くマンガンが含まれます。そのため、絹ごし豆腐よりも木綿豆腐のほうが多く含まれています。

モロヘイヤやほうれん草などの野菜

モロヘイヤ:100g中1.32㎎ ほうれん草:100g中0.32㎎ ブロッコリー:100g中0.28㎎ 緑色の野菜に多く含まれています。

お茶

玉露(浸出液):100g中4.6㎎ (茶葉):100g中71.0㎎
煎茶(浸出液):100g中0.31㎎ (茶葉):100g中55.0㎎
紅茶(浸出液):100g中0.22㎎
烏龍茶(浸出液):100g中0.24㎎
茶葉のほうがより多く含まれているので、粉茶にしてケーキやクッキーなどに入れて食べるとより多く摂取することができます。

マンガンの効果的な摂取方法

マンガンを多く含む食品の摂取

マンガンは穀類や野菜、種実類や豆類、貝類などほとんどの食品に含まれています。 玄米や胚芽に多く含まれるので、玄米を入れてご飯を炊いたり、全粒粉の小麦粉でつくられたパンも、多く含まれます。毎食食べる主食に取り入れると摂取しやすくなります。 玉露の浸出液は100㏄で1日の目安量を摂取できてしまいます。

マンガンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンKと一緒に摂取すると効果を高めてくれます。 簡単な料理を紹介します。 納豆1パックにごま・葱・しそ・付属の調味料を入れて混ぜて、油揚げ1枚を半分に切りその中に納豆を入れてオーブントースターで表面がカリッとするまで焼く。 ごまやしそにもマンガンは入っているので、納豆に含まれるビタミンKを一緒に摂ることでマンガンの効果を上げてくれます。

マンガンの効果を高める摂取タイミング

マンガンは食べたものの代謝に関わる栄養素なので、食後に摂取すると効果を高めてくれます。 マンガンは、バランスの良い食事を摂っていれば、サプリを飲まなくても不足することもないです。

「マンガンの効果」についてよくある質問

ここまでマンガンの効果を紹介しました。ここでは「マンガンの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

マンガンは体の何に良い影響を与えますか?

會田 千恵美會田 千恵美

マンガンは骨の形成やホルモンの合成など、成長に良い影響を与えるとともに、体内の機能を維持したり、骨粗しょう症や、抗酸化作用で老化防止などの良い影響を与えます。

まとめ

マンガンは身体の機能維持や成長に必要不可欠な栄養素です。バランスのとれた食事をしていれば、過不足なく摂取していけます。サプリを使用する場合も耐容上限量が定められていることを意識し、用法用量を守って、摂取し過ぎないように活用することをお勧めします。

「マンガン」と関連する病気

「マンガン」と関連する病気は9個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内科・循環器系の病気

  • 糖尿病(インスリンの合成の能力低下)
  • 骨粗しょう症
  • 成長障害
  • 傷の治癒の遅延
  • 心血管系疾患

婦人科の病気

  • 生殖機能障害
  • 不妊(精子欠如)
  • 妊娠障害

「マンガン」と関連する症状

「マンガン」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 全身の倦怠感
  • 疲労感
  • 運動障害
  • 不眠
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 難聴
  • 傷がなおりにくい

この記事の監修管理栄養士