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「ビタミンB6」はどの種類のがん予防に「効果」がある?管理栄養士が解説!

 公開日:2025/09/12
「ビタミンB6」はどの種類のがん予防に「効果」がある?管理栄養士が解説!

ビタミンB6の効果とは?メディカルドック監修医がビタミンB6の効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

越川 愛子

監修管理栄養士
越川 愛子(管理栄養士)

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保育園で食育や給食管理、栄養管理業務に従事しました。管理栄養士の資格取得後は、ドラッグストアを運営する会社でお客様への栄養相談や特定保健指導に携わりました。現在は保育園で子どもたちに食の楽しさや大切さを伝えられるよう、心を込めて給食づくりを行っています。

「ビタミンB6」とは?

「ビタミンB6」とは?

ビタミンB6は水溶性ビタミンの1つで、「ピリドキシン」「ピリドキサール」「ピリドキサミン」という3つの化合物の総称です。食事で摂ったたんぱく質は体内で一度アミノ酸に分解された後、人体に必要なたんぱく質に再合成され、細胞や皮膚、髪、骨、筋肉などの材料になります。ビタミンB6はアミノ酸の分解と再合成の両方の過程において、酵素のサポートをするPLP(ピリドキサールリン酸)という補酵素に再合成されて働きます。脂質の代謝や赤血球のヘモグロビン合成、免疫機能の維持にも欠かすことができません。さらに神経伝達物質の合成にも関与しており、神経の働きを正常に保つためにも大切なビタミンです。

ビタミンB6の一日の摂取量

ビタミンB6の一日の摂取量

必要なビタミンB6の量は、年齢や性別によって異なります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
(推奨量)
成人男性(18~64歳):1.5mg/日
成人女性(18~64歳):1.2mg/日
妊婦:1.4mg/日(付加量+0.2)
授乳婦:1.5mg/日(付加量+0.3)
また過剰摂取により健康障害が起こる可能性があるため、摂取の上限(耐用上限量)が設定されています。
成人男性(18~64歳):55〜60mg/日
成人女性(18~64歳):45mg/日

ビタミンB6の効果

ビタミンB6の効果

アミノ酸の代謝を助ける

食事から摂ったたんぱく質は、アミノ酸へと消化、吸収されます。その後一部が体内でたんぱく質に再合成され、筋肉や骨、皮膚、髪などの材料になります。ビタミンB6はこうしたアミノ酸代謝に必要な酵素の働きを助ける「補酵素」となります。

免疫機能の正常な働きの維持

ウイルスや細菌などから身を守るための防御システムを免疫といい、免疫細胞が大きな役割を担っています。免疫細胞の主な材料はたんぱく質です。たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6は免疫細胞の活性化に関与し、免疫機能を維持しています。

皮膚の抵抗力の増進

皮膚の新陳代謝を促進する作用があり、代謝リズムを整えます。肌の粘膜や健康維持にも関係しており、皮脂の過剰分泌などを抑え、ニキビ予防にも効果が期待できます。

神経伝達物質の合成

神経伝達物質とは、脳の神経細胞の間でさまざまな情報の橋渡しをする物質です。ストレスに応じて体の機能を適応させるアドレナリンやノルアドレナリン、それらをコントロールして精神を落ち着かせるセロトニン、不安の抑制や睡眠の質を高めるγ-アミノ酪酸(GABA)などの神経伝達物質の合成に関わっています。

大腸がんの発症予防

ビタミンB6の摂取量が少ないグループに比べて、多いグループの方が大腸がんのリスクが低下するという国内での調査結果から、ビタミンB6が大腸がんの予防因子であることが報告されています。

ビタミンB6が不足すると現れる症状

ビタミンB6が不足すると現れる症状

皮膚炎

ビタミンB6は皮膚炎を予防することから発見されたビタミンといわれています。ビタミンB6には皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促す作用があるため、乱れると肌荒れやくすみ、ハリの低下などを招きます。また皮脂の量を調整する作用もあるため、皮脂分泌の過剰などで起こるニキビや角質が気になるなどの症状は、ビタミンB6不足が原因かもしれません。

舌炎・口角炎・口内炎

ビタミンB6は皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあるため、不足すると口内炎、口角炎、舌炎などの原因になります。またビタミンB6が不足すると細菌への抵抗力が低下し、炎症を起こしやすくなります。

貧血

ビタミンB6は赤血球のヘモグロビンの形成に必要なビタミンです。欠乏により貧血を起こすことがあります。鉄分、ビタミンB12、葉酸を補っても貧血が続く場合は、ビタミンB6が欠乏しているかもしれません。

冷え性

ビタミンB6は筋肉の代謝に関わる栄養素であり、エネルギー産生を通じて体温維持をサポートすると考えられています。特に寒い季節は体内で熱を生み出す過程が活発になり、ビタミンB6の需要も高まります。明確な因果関係が確立されているわけではありませんが、不足すると代謝が滞り、体温調節がうまくできず、冷えを感じやすくなる可能性があります。

錯乱、脳波異常

ビタミンB6は神経伝達物質の合成に関わっているため、不足によって脳波の異常や痙攣発作が生じることが報告されています。

ビタミンB6が不足しやすい人の特徴

ビタミンB6が不足しやすい人の特徴

抗生物質を長期に服用している人

抗生物質を長期間服用している人などでは腸内細菌のバランスが崩れ、ビタミンB6を合成する働きが低下し、不足する場合があります。

妊娠、授乳中の女性

女性の場合は妊娠中、授乳中、経口避妊薬の服用時は、ホルモンの関係でビタミンB6の必要量が増加し、体内のビタミンB6が不足しやすくなります。一部の研究では、ビタミンB6の不足がつわりの症状と関連している可能性が示唆されています。

たんぱく質の摂取量が多い人

ビタミンB6はたんぱく質の代謝に必要な補酵素のため、たんぱく質の摂取量が多いほどビタミンB6の必要量も多くなります。そのため筋肉トレーニングやスポーツのためにたんぱく質を多く摂っている人では、ビタミンB6を多く摂る必要があります。不足によりたんぱく質の代謝が滞り、筋肉の生成や修復が遅れる可能性があります。

ビタミンB6を過剰摂取すると現れる症状

ビタミンB6を過剰摂取すると現れる症状

感覚神経障害(感覚性ニューロパチー)

ビタミンB6は取りすぎた分は尿として排泄されるので、通常の食事では過剰症になることはほとんどありません。しかしサプリメントなどでビタミンB6を大量に摂取した場合、神経の損傷が起こることがあります。足に痛みやしびれが生じたり、自分の腕や脚がどこにあるか(位置覚)がわからなくなったり、振動を感じられなくなり歩行困難になることもあります。

横紋筋融解症

頻度は不明ですが、新生児や乳幼児に医薬品のビタミンB6を大量に用いた場合、横紋筋融解症が現れることがあります。急性腎障害等の重篤な症状に至ることも認められています。

皮膚の病変

米国での研究によると、皮膚が痛みを伴って赤くなる皮膚病変が起こるとの報告があります。

シュウ酸腎臓結石

一部の研究では、ビタミンB6の過剰摂取により腎結石のリスクが高まる可能性があると指摘されていますが、明確なメカニズムは確立されていません。

精巣の萎縮

男性の場合、精巣の萎縮や精子数の減少などが起こると示唆されています。

ビタミンB6を多く含む食品

ビタミンB6を多く含む食品

レバー

牛レバーは100gあたり0.89mgと特に多く含まれますが、鶏レバーや豚レバーにも多く含まれます。レバー以外では、脂質の少ない赤身の肉に豊富に含まれるので豚ヒレ肉や鶏胸肉などを意識して摂るとよいでしょう。

かつお、まぐろ

ビタミンB6は調理による損失が大きいため、刺身で食べられるかつおやまぐろでは効率よく摂取することができます。

にんにく

100gあたり1.53mgと多くのビタミンB6を含んでいます。しかし1食あたりの摂取量は少なめです。さまざまな食品と合わせ、効率よく摂取しましょう。

バナナ

100gあたり0.38mg含まれています。バナナは季節を問わず購入でき、調理が不要でそのまま食べることができます。価格も安定しているためおすすめの食品のひとつです。

さつまいも

100gあたり0.20mg含まれています。ビタミンB6は水に溶け出しやすい性質があるため、電子レンジ加熱や蒸す、焼く、炒めるなどの調理方法がおすすめです。

ビタミンB6の効果的な摂取方法

ビタミンB6の効果的な摂取方法

ビタミンB6を多く含む食品の摂取

ビタミンB6はバナナやさつまいも、米ぬか、玄米などの植物性食品に多く含まれています。動物性食品では、かつおやまぐろなどの青魚や肉、レバーなどに多く含まれます。 食品に含まれるビタミンB6の体内での利用率は70〜80%と言われています。食品によって差があり、植物性食品よりも動物性食品のビタミンB6の方が体内での利用率が高いです。その一方で植物性食品の方が調理に伴う損失が少ないと言われています。そのため特定の食品ではなく、さまざまな食品から効率よく摂ることがおすすめです。

ビタミンB6と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンB6はアミノ酸の再合成を手助けする補酵素として働くため、たんぱく質と合わせて摂取するとよいでしょう。 ビタミンB6は水溶性ビタミンのため、水に溶け出しやすい性質があります。熱や光に弱いため、調理法には工夫が必要です。新鮮な魚は刺身で食べることで、調理に伴う損失を抑えることができます。調理に水を使う場合はゆで汁や、煮汁ごと食べられる調理がよいでしょう。野菜は生で食べられるサラダ、調理には電子レンジ加熱、焼く、蒸す、炒めるなどの加熱方法がおすすめです。

ビタミンB6の効果を高める摂取タイミング

ビタミンB6は過剰に摂取しても体内に蓄積されずに尿として排泄されるため、毎日こまめに摂取することがおすすめです。1日2〜3食に分けることで、効率よく摂取できます。 サプリメントを利用する場合も同様に、こまめに摂りましょう。ビタミンB6は単体で不足することはあまりありません。ビタミンB群のビタミンは互いに共同して働いているため、サプリメントは他のビタミンB群が複数配合された物を選ぶことで、より効率的に栄養素の不足を補うことができます。ただし、サプリメントでは過剰摂取による健康障害の報告があります。成分含有量を確認し、過剰摂取に注意しましょう。

「ビタミンB6の効果」についてよくある質問

「ビタミンB6の効果」についてよくある質問

ここまでビタミンB6の効果を紹介しました。ここでは「ビタミンB6の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ビタミンB6が一番多く含まれている食べ物について教えてください。

越川 愛子越川 愛子

ビタミンB6は野菜類、穀類、魚介類、種実類、肉類などさまざまな食品に含まれています。その中で一番多く含まれている食品は唐辛子です。100gあたり3.81mg含まれています。続いて、米ぬか 3.27mg、ガーリックパウダー 2.32mgです。バジル 1.75mg、乾燥パセリ 1.47mgなどにも多く含まれています。ただし、一般的な摂取量は少ないため、日常的な供給源としてはかつおやまぐろ、レバーなどの方が現実的です。

ビタミンB6は美容に効果的なのでしょうか?

越川 愛子越川 愛子

ビタミンB6は皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあるため、お肌を美しく保つために重要なビタミンです。皮膚の新陳代謝を促進してきれいな肌を導いたり、皮脂の分泌を適正に保ちニキビや肌荒れを予防改善してくれます。また髪や爪の材料となるたんぱく質の分解、再合成をサポートするため、丈夫で健康的な髪や爪を育てます。

まとめ

ビタミンB6は健康や生命維持に欠かせない栄養素のひとつです。幅広い食品に含まれていますので、毎日の食事に意識的に取り入れ、バランスの取れた食生活を心がけましょう。健康的な生活を維持するためには、適切な量の摂取が重要です。特にサプリメントや医薬品を利用する際は用法用量を守り、過剰摂取に注意しましょう。

「ビタミンB6」と関連する病気

「ビタミンB6」と関連する病気は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内科の病気

皮膚科の病気

神経系の病気

  • 感覚神経障害(感覚性ニューロパチー)

「ビタミンB6」と関連する症状

「ビタミンB6」と関連している、似ている症状は20個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足のしびれ
  • 錯乱、脳波異常
  • イライラ・不安
  • 免疫力低下
  • うつ状態
  • 睡眠障害
  • けいれん発作
  • 歩行困難
  • 食欲不振
  • 疲労感・倦怠感
  • むくみ
  • 湿疹
  • 聴覚過敏
  • 肌荒れ、ニキビ
  • つわり

この記事の監修管理栄養士