「カフェインの離脱症状」はご存知ですか?管理栄養士が徹底解説!

カフェインの離脱症状とは?Medical DOC監修医がカフェインの効果・一日の摂取量・致死量・カフェイン中毒の症状・摂取を控えた方がいい人の特徴などを解説します。

監修管理栄養士:
都々地尾 ゆき(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「カフェイン」とは?
カフェインは、コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれる天然のアルカロイドであり、主に中枢神経系を刺激する作用を持ちます。コーヒー豆や茶葉から抽出されたカフェインは食品添加物としても登録されており、清涼飲料水やガムなどに人工的に添加される場合もあります。さらに、カフェインは風邪薬や眠気防止薬、酔い止め薬等の市販の医薬品にも含まれていることがあります。
カフェインの一日の摂取量
カフェインは通常の摂取量であれば健康へのリスクは低いとされていますが、過剰摂取によっては急性中毒の可能性もあります。一般的に、1回あたり200mg(体重70kgの成人で約3mg/kg)までの摂取であれば健康へのリスクは増加しないとされています。また、習慣的なカフェイン摂取に関しては、妊婦を除く成人では1日あたり400mgまでであれば健康リスクは増加しないとされています。
カフェインの適切な摂取量に関する数値は日本ではまだ定められていませんが、個人差により違いがあるため、過剰摂取には注意が必要です。
カフェインの致死量
致死量とは生命を奪ってしまう最小量のことを指します。一般的には体重1kgあたり150〜200mgのカフェイン摂取が致死量の目安とされており、体重によって異なります。例えば体重60kgの人では約9000〜12000mgが致死量とされますが、3000mg程度でも重篤な症状が現れるケースもありますので注意が必要です。
カフェインの効果
覚醒作用と注意力の向上
カフェインは中枢神経系を刺激し、注意力や覚醒度を高める効果があります。これは、カフェインがアデノシン受容体を阻害することで、神経活動の鎮静化を抑制するためとされています。
認知機能の改善
カフェインの摂取は、計算能力や暗算作業量の向上に寄与することが報告されています。例えば、カフェインを含むインスタントコーヒーの飲用により、暗算作業量が増加したとの研究があります。
運動パフォーマンスの向上
カフェインは、スポーツパフォーマンスを高める効果があるとされています。特に、体重1kgあたり3~6mgのカフェイン摂取が、持久力やスピード、筋力などの向上に寄与することが示されています。 また、100m走において、カフェイン摂取により疾走タイムが短縮されたとの報告もあります。
代謝促進作用
カフェインは代謝を促進し、脂肪の燃焼を助けることで、ダイエット効果やメタボリックシンドロームの改善に寄与する可能性があります
抗酸化作用
コーヒーや緑茶など、カフェインを含む飲料には抗酸化作用を持つポリフェノール類も含まれており、老化防止やがん予防に役立つ可能性が示唆されています。ただし、カフェイン自体の抗酸化作用については明確な根拠は少ないとされています。
カフェインの離脱症状
頭痛
カフェイン離脱による頭痛は、脳の血管拡張によって生じる拍動性の痛みです。離脱後12〜24時間以内にこめかみや後頭部が痛み、数日続くことがあります。対処法としては、水分補給と安静のほか、市販の頭痛薬を使用することで症状が和らぐ場合があります。
カフェインを少量摂取して徐々に減らす方法もありますが、症状が悪化したり長引く場合は、頭痛外来や神経内科を受診し、カフェイン摂取歴を伝えてください。
著しい倦怠感や眠気
カフェインには覚醒作用があるため、摂取を減少または中止することで、強い倦怠感や眠気を感じることがあります。多くの場合睡眠をとることで少し回復しますが、完全に回復するまでには時間がかかることもあります。
不快または抑うつ気分、いらいら
カフェインは神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの分泌を促進し、気分を高める効果があります。そのため、カフェインを急に減らすと、精神的な不安定さや抑うつ気分を感じることがあります。また、些細なことにイライラすることが増えることもあります。
集中困難
カフェインには認知機能を高め、集中力を向上させる効果があります。摂取を中止したり減らしたりすると、脳の働きが一時的に鈍くなり、集中力が低下することがあります。
インフルエンザ様の症状(吐き気、嘔吐、筋肉の痛みやこわばり)
カフェインは体内で刺激的な作用を持ち、摂取を急に止めることで体が不調を訴えることがあります。これにより、吐き気や嘔吐、筋肉痛やこわばりといった症状が現れることがあります。これらはまれに「インフルエンザ様」と表現されることもありますが、一般的な離脱症状ではなく、一部の人に限られるため、強い体調不良を感じる場合は医療機関を受診しましょう。
カフェインの離脱症状はどれくらい続く?
カフェインの摂取を中断すると、12~24時間以内に離脱症状が現れ始め、1~2日後にピークを迎えることが多いとされています。
これらの症状は、通常2~9日間続くと報告されています。
上記症状を軽減させる対策としては、急激にカフェインを中断するのではなく、少量ずつ徐々に減らしていくと良いでしょう。いつまでも続く場合は、病院への受診をおすすめします。
「カフェイン中毒」とは?
カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されることにより起こる症状で、最悪のケースでは死に至る報告もされています。
カフェイン中毒の症状
頻脈・不整脈
カフェインには興奮作用があるため、多量に摂取すると心拍数の増加や不整脈が起こることがあります。症状が現れた場合、循環器内科に行くと良いでしょう。
悪心・嘔吐
カフェインは、胃酸の分泌を促進し胃の粘膜を刺激するため、吐き気や嘔吐を引き起こしやすくなります。内科を受診すると良いでしょう。
不眠
カフェインを過剰に摂取することで、交感神経が刺激され脳が興奮状態になり入眠が困難になります。摂取量を調整しても眠れない状態が続く場合は、心療内科・精神科をおすすめします。
意識障害
中枢神経の刺激により起こります。眠気や傾眠状態から、反応が鈍くなるほどの重い症状まで。神経内科や、重度の場合は迷わず救急外来を受診してください。
頭痛
カフェインは脳の血管を収縮させる作用がありますが、多量摂取を続けると逆に頭痛の原因になります。頭痛持ちの方は、症状や薬の種類によってカフェインの有無が影響する場合があります。市販薬の中にはカフェインが症状緩和に役立つ成分として含まれているものもあるため、薬剤師や医師に相談のうえ選ぶとよいでしょう。
カフェイン摂取を控えた方がいい人の特徴
妊婦・授乳婦
妊娠中、過剰にカフェインを摂取することで胎盤から通過し、胎児に影響を及ぼす可能性があるとされています。また、母乳からも乳児に移行するため、乳児の睡眠に影響を及ぼす可能性があるとされています。
心疾患や不整脈の既往がある人
カフェインは心拍数を増加させるため、心臓病や不整脈の既往がある場合、悪化させる可能性があります。
不安障害・パニック障害など精神的に過敏な人
カフェインは中枢神経を刺激するため、不安感やパニック症状を引き起こすことがあります。
睡眠障害がある人
カフェインは覚醒作用があるため、不眠症をさらに悪化させる可能性があります。
小児や未成年、高齢者
小児や未成年、高齢者はカフェインに対する感受性が高く、少量の摂取でも不眠や動悸などの症状が出やすいため、摂取量には注意が必要です。
「カフェインの離脱症状」についてよくある質問
ここまでカフェインの離脱症状を紹介しました。ここでは「カフェインの離脱症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
カフェインが抜けるとどんな症状が現れますか?
都々地尾 ゆき
カフェインが抜けると、頭痛、倦怠感や眠気、気分の落ち込みや苛立ち、集中力の低下などの症状が現れる場合があります。
カフェインの摂取を急に止めるとどうなりますか?
都々地尾 ゆき
カフェインの摂取を突然中止した場合、上記のような離脱症状が現れることがあります。これらの症状は、カフェインに対する身体的依存が関係しており、カフェイン摂取歴が長い人ほど現れる傾向にあります。
カフェインが体内に抜けるまでどれくらいかかりますか?
都々地尾 ゆき
カフェインが体内から完全に抜けるまでの時間は個人差がありますが、一般的に4~6時間でカフェインの半分以上が肝臓で分解され、尿として排出されると言われています。完全に消えるまでには12時間ほどかかることもあります。
編集部まとめ
普段から身近にあるカフェインですが、適量の摂取であればパフォーマンスを高めるためには良いですが、摂り過ぎると死に至るケースも報告されています。特に空腹時の多量摂取やアルコール飲料との併用は危険です。
主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食生活を心掛け、食後に楽しむ程度にカフェイン摂取を楽しんでください。
「カフェイン」と関連する病気
「カフェイン」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
神経科の病気
- 不眠・睡眠障害
- うつ
- 意識障害
内科の病気
- 頭痛
- 悪心
- 嘔吐
「カフェイン」と関連する症状
「カフェイン」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。