「ブドウ糖の多い食べ物」はご存知ですか?過剰摂取すると現れる症状も解説!

ブドウ糖の多い食べ物とは?Medical DOC監修医がブドウ糖の多い食べ物・一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
正留 昭子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ブドウ糖」とは?
ブドウ糖(グルコース)とは自然界に最も多く存在する単糖類です。単糖類とは糖の最小単位のことです。一般名は「グルコース(英:glucose)」ですがブドウから発見されたことから日本語では「ブドウ糖」と呼びます。食品中にはブドウ糖そのものだけでなく、ブドウ糖が形を変えた物も存在しています。普段私たちが主食として食べているご飯やパンなどの炭水化物や砂糖などの糖質の構成要素です。炭水化物はでんぷんですが、でんぷんはブドウ糖がたくさん結合してできています。料理やお菓子などによく使用される砂糖(ショ糖)はブドウ糖と果糖が結合したものです。ブドウ糖は単糖類のため、速やかに吸収されます。血液中に入ったブドウ糖は体の隅々まで流れて、エネルギー源となります。特に、脳のエネルギー源です。血液中のブドウ糖は血糖と呼ばれ、血糖値で表されます。食後は血糖値が高くなりインスリンが作用します。空腹時は低血糖となるためグルカゴンが作用し、一定に保たれています。この仕組みにより余ったブドウ糖は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、不足時には利用されているのです。
ブドウ糖の一日の摂取量
ブドウ糖としては摂取量の定めはありませんが、摂りすぎには注意が必要です。肥満や虫歯予防の観点から食事以外の菓子や飲料などに含まれる糖質について、WHOは一日の総エネルギーの10%程度が望ましいとし、5%以内に留めることを推奨しています。
ブドウ糖の効果
エネルギー源
脳や筋肉のエネルギー源となります。消化吸収により体内で分解されたブドウ糖は、血液の中の血糖となり、体の隅々に行きわたります。その他は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、生活動作はもちろん消化や体温維持、体内臓器維持などに使われます。脳で1日に利用されるブドウ糖は120g程度といわれています。
集中力・記憶力向上
集中力が続かなかったり、なかなか覚えられないなどのときは脳のエネルギーが不足しているのかもしれません。ブドウ糖は脳のエネルギー源となるため、集中力や記憶力が高まるといわれます。
疲労回復
仕事やスポーツ、その他いろいろな作業後などの疲労時は血糖値が低いかもしれません。肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンがブドウ糖となりエネルギーとして利用されますが、素早くエネルギーを補給して血糖値を上げるにはブドウ糖の補給がよいでしょう。速やかな疲労回復となります。
よい睡眠
セロトニンは精神の安定や良質な睡眠に関与する神経伝達物質で、その元となるトリプトファンは必須アミノ酸の一つです。トリプトファンが脳内に入るには、他のアミノ酸との競合を経て血液脳関門を通過する必要があります。この過程で、インスリンが作用することで血液中の他のアミノ酸濃度が低下し、相対的にトリプトファンが脳内に取り込まれやすくなると考えられています。そのため、ブドウ糖を含む食品を摂取することが、トリプトファンの効率的な吸収を促進する可能性があります。
ブドウ糖の多い食品
くだもの
ぶどう:8.4g/100g
ライチ:7.3g/100g
甘酒・ジュース
甘酒:3.4g/100g
ブドウジュース(ストレート):6.7g/100g
はちみつ・マーマレード
はちみつ:6.6g/1回分
マーマレード:5.8g/1回分
ラムネ菓子
多くはブドウ糖から作られていますが、砂糖を使用するメーカーもあります。外側に「ブドウ糖〇%使用」と記載があるものが多いようです。
ブドウ糖タブレット・粉末ブドウ糖
タブレットタイプや粉末で、個包装されています。携帯にも便利です。粉末タイプは水に溶けやすいので飲み物にもよいでしょう。
ブドウ糖が不足すると現れる症状
疲労感
作業後等血糖値が下がっているのかもしれません。エネルギーとなる血糖低下により、脳や体が疲れやだるさを感じやすく疲労感となります。「疲れた時は甘いもの」などと言いますが、エネルギーとなるブドウ糖の含まれる食べ物が回復の助けとなるでしょう。
イライラ・精神不安
ブドウ糖摂取によりインスリン放出を促し、セロトニン生成物質であるトリプトファンの吸収を促進し、イライラや精神不安を緩和します。
神経に栄養を与え、活動を支えるグリア細胞にブドウ糖は関与しているとされているそうです。グリア細胞は脳の血管壁の周囲にあり、グルタミン酸を取り込むと喜びのようなプラス感情をもたらし、取り込めなくなると不快感となるといわれています。
思考力低下
脳のエネルギーが不足し、集中力・判断力の低下、注意力の散漫となり、思考力が低下します。
ブドウ糖を過剰摂取すると現れる症状
肥満
ブドウ糖の含まれる食物を必要以上に摂り続けると、エネルギー過剰となり肥満を引き起こします。また、生活習慣病のリスク大となります。血管の内側の壁を傷つける活性酸素が発生し、動脈硬化を引き起こす可能性があります。また、網膜症・腎症・神経障害や、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患などの動脈硬化性疾患を引き起こす可能性もあります。
口渇・多飲・多尿
高血糖となると、血管内外のブドウ糖の濃度差が生じます。この是正のため細胞から血管内に水分が移動し、尿として排泄されます。体内に水分が不足し脱水傾向となり、口渇、多飲、多尿などの症状の原因となります。
虫歯
ブドウ糖を多く含む食品や飲み物を摂取すると、口腔内に残った糖分が細菌(特にミュータンス菌)の餌となり、酸を生成します。この酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯を引き起こします。特に、砂糖やブドウ糖を多く含む食品を頻繁に摂取したり、歯磨きが不十分な場合にリスクが高まります。
ブドウ糖の効率的な摂取方法
ブドウ糖と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ビタミンB1とB2は、ブドウ糖をエネルギーに変える過程で必要となるビタミンです。そのため、一緒に摂取することで体内でのエネルギー変換効率が高まると言われています。
ブドウ糖と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
ブドウ糖と一緒に摂取する食品や栄養素そのものが直接的に効果を下げるわけではありませんが、過剰摂取によるエネルギーの供給過多が問題となる場合があります。例えば、高脂肪食品や加工食品とブドウ糖を一緒に摂取すると、エネルギー過多により肥満のリスクが高まります。また、糖分や脂質の多い食品を頻繁に摂取すると、インスリン抵抗性が進行し、糖尿病や生活習慣病を引き起こす可能性があります。
ブドウ糖の効果を高める摂取タイミング
3時のおやつなど食事と食事の間が開くときは血糖値が比較的低く、エネルギー補給され効果が高く高まります。
また疲れた時、受験勉強などで脳をよく使う時やスポーツ時などの摂取により、早期の疲労回復や作業効率の向上につながることでしょう。試験当日の朝食には、体内でゆっくり消化されてブドウ糖となりエネルギー産生される穀物などを摂り、試験直前には、タブレットやラムネ菓子などを摂ると効果的と言われます。
空腹で眠れない時などは、眠る前1時間程度までに温めた牛乳とブドウ糖をとるとよいといわれます。
「ブドウ糖の食べ物」についてよくある質問
ここまでブドウ糖の食べ物などを紹介しました。ここでは「ブドウ糖の食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
脳にブドウ糖を供給する食べ物について教えてください。
正留 昭子
脳に効率よくブドウ糖を供給するには、ブドウ糖を直接含む食品や、それに変化する炭水化物を摂取することがおすすめです。例えば、タブレット型や粉末状のブドウ糖は直接摂取できるため、素早くエネルギー補給が可能です。疲労時や集中力を高めたいときにはラムネ菓子も適しています。また、炭水化物を含むご飯やパンなどは消化・吸収されてブドウ糖に変わるため、日常的なエネルギー源となります。摂取する際は血糖値の急激な上昇を避けるため、適量を守ることが重要です。
ブドウ糖を多く含む飲み物について教えてください。
正留 昭子
ブドウ糖を多く含む飲み物としては、甘酒や100%ジュース(特にブドウジュース)が挙げられます。これらは液体のため吸収が早く、疲労回復やエネルギー補給に役立ちます。また、ブドウ糖果糖液糖が添加されている清涼飲料水やスポーツドリンクも選択肢となりますが、摂取量が過剰にならないよう注意が必要です。健康的な選択肢として、紅茶や牛乳に少量のはちみつを加えることで、自然なブドウ糖を補給する方法もおすすめです。
編集部まとめ
ブドウ糖は人の生活にはなくてはならない、脳のエネルギー源であり、精神安定にも関与しています。上手に摂取し、幸せな生活を送りましょう。
「ブドウ糖」と関連する病気
「ブドウ糖」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「ブドウ糖」と関連する症状
「ブドウ糖」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 口渇
- 多飲
- 多尿
- 疲労感
- 不安
- イライラ