トマトなどに含まれる「カロテノイドの効果」とは?不足すると現れる症状も解説!

カロテノイドの効果とは?メディカルドック監修医がカロテノイドの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
工藤 恭子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「カロテノイド」とは?

カロテノイドの種類

カロテン類
カロテン類は、緑黄色野菜に豊富に含まれるβ-カロテン、トマトのリコペンなどがあり、体内でビタミンAに変わります。そのため、プロビタミンAとも呼ばれます。キサントフィル類
キサントフィル類には、みかんのβ―クリプトキサンチン、唐辛子のカプサンチンなどがあります。動物食品に含まれるカロテノイドとして、鮭やイクラのアスタキサンチンがあります。カロテノイドの一日の摂取量

カロテノイドの効果

活性酸素の発生を抑えて取り除く
私たちの体は呼吸から酸素を取り込み、食事から栄養を摂ることで日常生活に必要なエネルギーを作り出します。その過程では酸素の一部が活性酸素へ変化します。 活性酸素は動脈硬化を起こしやすくする物質を作り出すため、がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。カロテノイドの一種、β-カロテンには抗酸化作用があります。疾病リスクの低減
カロテノイドには抗酸化作用があり、免疫機能の維持や動脈硬化の予防に関わっていると考えられています。また、種類も多いため、さまざまな疫学調査研究が行われており、血管系疾患の予防、目の健康維持、骨密度の維持、がんの予防などの効果が期待されています。野菜摂取量の指標となる
皮膚のカロテノイド蓄積量は野菜の摂取量の指標となることが分かっています。 野菜(特に緑黄色野菜)を食べると、野菜に含まれるカロテノイドが体に吸収され、やがて皮膚に蓄積します(2~4週間かかります)。あくまでも目安量ですが、皮膚のカロテノイド量を測れば野菜摂取量を推定することが出来ます。皮膚や粘膜の健康を保つ
カロテノイドは皮膚や粘膜の健康を維持するのに重要な役割を持ちます。 皮膚の古くなった細胞(角質)から新しい細胞(角質)へ生まれ変わるサイクルを整える働きがあるため、肌の潤いを保つ天然保湿因子を整えることができ、乾燥やしわを予防出来ます。光刺激反応に欠かせない
ビタミンAの末端構造に分類されるレチノールとレチナールは、目の網膜細胞の保護作用や視細胞における光刺激反応に重要な物質で、夜間視力の維持を助けます。カロテノイドが不足すると現れる症状

夜盲症
乳幼児ではビタミンA欠乏により、角膜乾燥症から失明にいたることがあります。成人では薄暗い所の物が見えにくくなる夜盲症を発症します。皮膚の乾燥
カロテノイドは皮膚や粘膜の健康を維持するのに重要な役割を持つため、不足すると皮膚の生まれ変わるサイクルを整えることや肌の潤いを保つことが出来ず、乾燥やしわの原因になります。皮膚が乾くと鱗状になります。肺、腸、尿路の内壁が肥厚して硬くなります。免疫力の低下
カロテノイドには抗酸化作用があり、免疫機能の維持や動脈硬化の予防に関わっていると考えられているため、不足すると風邪や各種感染症(インフルエンザ、コロナ等)に罹りやすくなります。成長阻害
細胞や組織が増える時に必要なので、子どもの成長に大事な働きをすると言われています。不足すると成長阻害などの原因になります。骨及び神経系の発達抑制
生物の成長や形態形成、細胞分化や増殖に関係する栄養素のため、不足すると骨及び神経系の発達抑制につながります。カロテノイドを多く含む食品

緑黄色野菜
カロテノイドのα―カロテン、β―カロテンを多く含み、抗酸化作用があり、がん予防に有効とされます。体内でビタミンAとして働きます。トマト・スイカ・柿など
カロテン類の一種のリコペンを多く含み、抗酸化作用があります。野菜や果物にある「細胞壁」により、吸収が阻害されます。加熱や破砕(細かく砕くこと)などで細胞壁を破壊することで吸収率を高めることができます。トマトソースやシチュー、スープなど、加熱調理して食べるのがおすすめです。みかん・あんずなど
キサントフィル類の一種β―クリプトキサンチンを多く含んでいます。ビタミンAとしても働きます。抗酸化作用があり、発がん抑制効果があります。鮭・エビ・カニなど
キサントフィル類の一種アスタキサンチンを多く含んでいます。おもに魚介類に含まれる赤い色素成分です。過酸化脂質の生成を抑制する抗酸化が期待されています。赤ピーマン・赤とうがらしなど
キサントフィル類の一種ゼアキサンチンを多く含んでいます。抗酸化作用があります。カロテノイドの効果的な摂取方法

カロテノイドを多く含む食品の摂取
緑黄色野菜や果物を中心に、甲殻類、魚類などから摂ることができます。カロテノイドと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
カロテノイドは油に溶けやすい性質があることが分かっており、炒めたり揚げたりして食べると体内で吸収されやすくなります。油の摂取を控えたい方は、脂質の多い卵や肉類と一緒に摂取すると良いでしょう。カロテノイドの効果を高める摂取タイミング
規則正しい生活の中で、3食きちんと食べること、主食・主菜・副菜を揃えることで、様々な食品からカロテノイドを摂ることが出来ます。野菜の摂取量に関しては厚生労働省が1日に350g(緑黄色野菜120g、淡色野菜230g)摂るように推奨しているので、一食に1~2品の野菜料理を食べるようにしましょう。トマトに含まれる「リコペン」は朝が一番吸収率が良いという研究結果もあります。「カロテノイドの効果」についてよくある質問

ここまでカロテノイドの効果を紹介しました。ここでは「カロテノイドの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
カロテノイドに老化防止の効果はありますか?
工藤 恭子 医師
カロテノイドは体内で抗酸化物質として作用するため、動脈硬化や老化の予防や免疫機能の維持にも有効といわれています。ストレスや食品添加物、たばこ、激しい運動、多量の飲酒、紫外線などによって活性酸素が大量に生成すると細胞を傷つけ、老化を進行させたり、動脈硬化のリスクを上げる物質ができます。その活性酸素の発生や働きを抑制する作用があるので、老化防止に効果があります。
カロテノイドに美容の効果はありますか?
工藤 恭子 医師
カロテノイドのなかでもβ-カロテンは効率良くビタミンAに変換されることが分かっています。ビタミンAには皮膚の古くなった細胞(角質)を新しい細胞へ生まれ変わらせるサイクルを整える働きがあるため、お肌の潤いには欠かせない栄養素です。 私たちの肌は日々紫外線などのさまざまな要因によってダメージを受けています。肌がダメージを受けると、皮膚を整えるサイクルが整わずに、乾燥やしわなどの肌トラブルを起こす原因になるといわれています。 そのため潤いのある肌の維持にはサイクルを整えるため、カロテノイドを積極的にとりましょう。
まとめ
カロテノイドは天然に存在する赤色、黄色、オレンジ色の色素成分であり、緑黄色野菜や果物を中心に、甲殻類、魚類などから摂ることができます。主なカロテノイドには、α-カロテン、β-カロテン、リコペン、β-クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンがあり、それぞれ異なった特徴があります。カロテノイドは体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康にとって重要な働きをしています。また抗酸化物質として作用するため、動脈硬化や老化の予防や免疫機能の維持にも有効といわれています。その他、血管系疾患の予防、目の健康維持、骨密度の維持、がんの予防などの効果も期待されています。カロテノイドを効率良く摂取するためには油を使って加熱調理したり、卵や肉類などの脂質と一緒に摂ったりするようにしましょう。「カロテノイド」と関連する病気
「カロテノイド」と関連する病気は3個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。血管系の病気
- 心臓血管系疾患(心筋梗塞、心不全、狭心症等)
眼科系の病気
- 夜盲症
整形外科系の病気
「カロテノイド」と関連する症状
「カロテノイド」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 夕方の目のカスミ
- 骨折
- 動悸、息切れ
参考文献




