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「食物繊維の効果」とは?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

 更新日:2025/09/11

食物繊維の効果とは?メディカルドック監修医が食物繊維の効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

久家 知子

監修管理栄養士
久家 知子(管理栄養士)

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一時期は、栄養士から離れていた時期もありましたが、双子を出産後、一念発起し管理栄養士の資格を取得。現在は病院で勤務。食を通して健康について考える日々。

「食物繊維」とは?

「食物繊維」とは?

文部科学省「日本食品標準成分表」には、食べ物に含まれている食物繊維は、「人の消化酵素では消化できない成分」と定義されています。 整腸作用など身体の中で有用な働きをすることが注目され、健康維持に役立つので「第6の栄養素」ともいわれることもあります。

食物繊維の種類

食物繊維の種類

実は多くの種類がありますが、代表的なものに水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類にわけられます。

水溶性食物繊維

水に溶け腸内細菌のえさとなり腸内環境を整えてくれます。 果物に含まれるペクチン、こんにゃくに代表されるグルコマンナン、海藻に含まれるフコイダンやアルギン酸、その他アガロース、アガロペクチン、カラギーナン、ポリデキストロースなどがあり、粘り気があります。

不溶性食物繊維

水に溶けず繊維が水を吸い嵩を増やすことで、便秘を防いでくれます。野菜の皮などに含まれるセルロース、エビ・カニの殻に多く含まれるキチンやキトサン、その他ヘミセルロースなどがあります。水溶性食物繊維との違いは水に溶けないところです。

食物繊維の一日の摂取量

食物繊維の一日の摂取量

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、一日当たりの目標量(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は18~64歳以上で男性20~22g以上、女性17~18g以上とされています。 

食物繊維の効果

食物繊維の効果

食物繊維が数多くの生活習慣病の発症予防に寄与します。具体的には、体重、血中総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセライド、収縮期血圧、空腹時血糖で有意な改善が認められています。25~29 g/日の摂取量で最も顕著な効果が観察されたとの報告があります。

心筋梗塞の発症及び死亡リスクの低下

食物繊維の摂取量が多いほど、心筋梗塞の発症リスクおよび死亡リスクが低下することが示されています。特に水溶性食物繊維は血中コレステロールの低下を促し、動脈硬化の進行を抑えることで心筋梗塞予防に寄与します。

脳卒中の発症リスクの低下

食物繊維の摂取量が多いと、脳卒中の発症リスクが低下することが研究で示されています。特に水溶性食物繊維は血圧を下げる効果があり、血管の健康を保つことで脳卒中の予防に貢献します。

循環器疾患の発症及び死亡リスクの低下

食物繊維の摂取量が多いほど、循環器疾患の発症および死亡リスクが低下します。水溶性食物繊維は血中コレステロールを低下させ、不溶性食物繊維は血圧を改善し、全体的に血管の健康維持に寄与します。

2型糖尿病の発症リスクの低下

食物繊維の多い食事は、2型糖尿病の発症リスクを低下させます。特に水溶性食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにし血糖値の急上昇を抑えることで、インスリン感受性を改善し、糖尿病予防に効果があります。

乳がん・胃がん・大腸がんリスクの低下

食物繊維の摂取は、乳がん・胃がん・大腸がんの発症リスク低下に寄与します。食物繊維は腸内環境を改善し、発がん物質の排出を促進することで、特に消化管系がんの予防効果が期待されています。

食物繊維が不足すると現れる症状

食物繊維が不足すると現れる症状

体重増加

食物繊維不足は満腹感の低下を招き、過食や体重増加につながります。対策として、野菜や豆類を積極的に摂取しましょう。症状が改善しない場合、栄養相談や食事指導を受けるため、内科や栄養科を受診すると良いです。

コレステロール値の悪化

食物繊維不足は血中コレステロール値の上昇を招き、動脈硬化リスクが増加します。対策として、海藻やオートミールを摂取しましょう。改善しない場合は、内科で血液検査を受け、食事指導や治療を検討してください。

トリグリセライド値の上昇

食物繊維不足はトリグリセライド値の上昇を招き、心血管リスクが高まります。大豆製品や全粒穀物を増やすことで改善が期待されます。症状が悪化する場合は内科で血液検査を受け、必要に応じて食事指導や治療を受けましょう。

血糖値の上昇

食物繊維不足は血糖値の急上昇を引き起こし、糖尿病リスクを高めます。対策として、野菜や豆類を食事に取り入れましょう。症状が悪化する場合、内科で血糖検査を受け、食事指導や治療が必要です。

便秘

食物繊維不足は便のかさが減り、排便が困難になる便秘を引き起こします。水分と野菜を増やし、腸の動きを促すのが効果的です。症状が改善しない場合は、内科や消化器科で相談し、薬や食事指導を受けましょう。

食物繊維を多く含む食品

食物繊維を多く含む食品?

肉類や魚介類などの動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれています。

穀物類

玄米、シリアル、全粒粉パン など
穀物類は体を動かすエネルギー源となる炭水化物で知られていますが、炭水化物は糖質と食物繊維で構成されているので、食物繊維も実は多く含まれています。  

野菜類

切り干し大根(乾)、ドライトマト、らっきょう、ごぼう
皮ごと食べられる食品も多くあり、スープなどに入れたりすることで、食物繊維だけでなくビタミンやミネラルといった栄養素も含まれています。

果物類

干し柿、いちじく(乾)、プルーン(乾)、アボガド
生より乾燥させたものの方が食物繊維は多く含まれます。野菜と同じくビタミンやミネラルも多く含まれています。果物には果糖といわれる糖質も多いため、食べすぎには注意したいですね。

海藻・きのこ類

ひじき(乾)、カットわかめ(乾)、刻み昆布、焼きのり,乾燥きくらげ、乾燥しいたけ
こちらも、乾燥したものの方が生よりも食物繊維量が多く含まれています。 煮物や汁物などに入れるとよいでしょう。また炊き込みご飯として入れるのもいいですね。

豆類

乾燥おから、さらしあん、あずき、大豆
食物繊維だけでなく、植物性たんぱく質、ビタミン、ミネラルやポリフェノールなどの機能性成分も多く、小さな粒にぎゅっと詰まっています。

食物繊維の効果的な摂取方法

食物繊維の効果的な摂取方法

食物繊維を多く含む食品の摂取

・主食で補う(白米に麦を混ぜる。白米を玄米に変える。食パンを雑穀パンに変えるなど)
・いろいろな食材をバランスよく取り入れる(野菜、きのこ、豆、海藻や芋など)

食物繊維と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

・具体的な食品名
ヨーグルトなどの乳酸菌やビフィズス菌
・具体的な摂取方法
ヨーグルトにドライフルーツを入れる
・一緒に摂取するとどんな効果があるか
善玉菌のえさになってくれるので、腸内環境を整えてくれます。

食物繊維の効果を高める摂取タイミング

・摂取する時間帯
どの食事の時でもよいでしょう。できたら毎食摂取することをお勧めします。
・摂取を避ける時間帯
深夜帯を含め、特に避ける必要はありませんが、規則正しい時間帯での摂取が望ましいです。
・飲むタイプ・粉末タイプは食前と食後どちらが良いかなど
食事のはじめに摂取すると、血糖値の急激な上昇を穏やかにします。飲むタイプ・粉末タイプどちらも良いところがあるので自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

「食物繊維の効果」についてよくある質問

「食物繊維の効果」についてよくある質問

ここまで食物繊維の効果を紹介しました。ここでは「食物繊維の効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

食物繊維を過剰摂取すると体にどんな影響をもたらしますか?

久家 知子久家 知子

厚生労働省が定める「日本人のための食事摂取基準(2025年版)」では食物繊維の耐容上限値は設定されていません。食物繊維の過剰摂取は、下痢や腹部膨満感、ガスの増加を引き起こすことがあります。また、不溶性食物繊維を多量に摂ると、消化吸収が遅くなることで、他の栄養素の吸収が妨げられる可能性があります。特にミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛など)の吸収低下に注意が必要です。さらに、便のかさが増えすぎることで便秘を悪化させることもあります。適量を守り、水分とともにバランス良く摂取することが大切です。

食物繊維は毎日摂取した方がいいのでしょうか?

久家 知子久家 知子

はい、食物繊維は毎日摂取することが推奨されます。食物繊維は腸内環境を整えるだけでなく、血糖値や血中コレステロールの調整、満腹感の維持にも役立ちます。これにより、生活習慣病の予防や体重管理が可能となります。

まとめ

WHO の炭水化物摂取量に関するガイドラインでは、1 日当たり 25~29gの食物繊維の摂取が、様々な生活習慣病のリスク低下に寄与すると報告しています。一方、国民健康・栄養調査に基づく日本人の食物繊維摂取量の中央値は、全ての年齢区分でこれらよりかなり少なく、日本人成人(18 歳以上)における食物繊維摂取量の中央値は13.3 g/日です。まずは、毎日今食べている量プラス3~4gを意識して食べることで、生活習慣病を予防し健康で豊かな生活をおくりましょう。

「食物繊維」と関連する病気

「食物繊維」と関連する病気は4個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器系疾患の病気

循環器系疾患の病気

代謝性疾患の病気

  • 2型糖尿病
  • 肥満

がん(悪性腫瘍)の病気

「食物繊維」と関連する症状

「食物繊維」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 消化器系の症状(便秘、下痢、腹部膨満感)
  • 血液関連の症状(高血糖、高コレステロール血症、高トリグリセライド血症)
  • 体重管理関連の症状(体重増加、肥満)
  • 腸内環境関連の症状(腸内環境の悪化、ガス過多)

この記事の監修管理栄養士