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「マグネシウムの効果」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

 公開日:2024/12/26
「マグネシウムの効果」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

マグネシウムの効果とは?Medical DOC監修医がマグネシウムの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「マグネシウム」とは?

「マグネシウム」とは?

マグネシウムは、人体に多く含まれるミネラルの1種です。成人の場合、約25gのマグネシウムが体内に存在し、そのうちの50〜60%が骨に含まれています。

マグネシウムが人体にどのような効果をもたらすのか、よく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

マグネシウムは骨の形成や体内に含まれる酵素の活性化・筋機能や神経機能の調節・血圧の調整など、さまざまな効果を持っています。

今回の記事では、マグネシウムの効果や不足・過剰摂取時の症状、摂取方法について紹介します。マグネシウムを適切に取り入れて、健康な身体を目指しましょう。

マグネシウムの一日の摂取量

マグネシウムの一日の摂取量

成人におけるマグネシウムの1日の食事摂取推奨量は、以下のとおりです。

18~29歳:男性340mg・女性270mg
30~64歳:男性370mg・女性290mg
65~74歳:男性350mg・女性280mg
75歳以上:男性320mg・女性260mg

妊娠中の場合は、上記の量に加えて40mg摂取することが推奨されています。サプリメントや医薬品など、食事以外でマグネシウムを摂取する場合、1日の摂取量の上限である耐容上限量は成人で350mgです。通常の食事からマグネシウムを摂取する場合は上限量はありませんが、食事以外でマグネシウムを補う場合は、摂取量に注意しましょう。

マグネシウムの効果

マグネシウムの効果

骨・歯の形成

マグネシウムは、約50~60%がリン酸マグネシウム・炭酸水素マグネシウムとして骨に含まれており、骨の形成に欠かせないミネラルです。リンやカルシウムとともに骨や歯を構成し、骨格の発達や骨の弾性を維持する役割があります。骨を丈夫にする成分としてまず思い浮かぶのはカルシウムですが、カルシウムと同じくらい、マグネシウムも健康な骨を維持するために必要な成分です。

酵素の活性化

マグネシウムは、体内のさまざまな酵素の働きを活性化する補酵素の役割も持っています。マグネシウムが補酵素として働く酵素は300種類以上あり、人体におけるほぼすべての生合成反応・代謝反応・エネルギー産生に寄与するミネラルです。

筋機能の調節

マグネシウムは、筋機能の調節、特に筋肉の収縮に大きく関わります。マグネシウムはカルシウムと互いに作用し合っており、筋収縮の際に重要なカルシウムの細胞膜通過時に能動輸送を担っているのもマグネシウムです。カルシウムの筋収縮を含む細胞活動と、マグネシウムによる筋の興奮抑制機能によって、正常な筋収縮活動が行われています。よって、マグネシウムはカルシウムとのバランスも重要になる成分です。

神経機能の調節

マグネシウムは、神経機能の調節にも寄与しています。骨に含まれていないマグネシウムの一部は神経に存在しており、神経機能の制御を行う酵素の補助因子としての役割を持っているためです。神経機能の調節のみならず、神経情報の伝達作業に必要なカルシウムやカリウムイオンの輸送にも、マグネシウムが関わっています。

血糖値・血圧の調整

血糖値や血圧の調整も、マグネシウムが担う役割の1つになります。血糖コントロールや血圧の調整を行う酵素の働きを支える補酵素であるためです。ここまで見てきたように、マグネシウムの補酵素・補助因子としての働きは多岐に渡っており、人体の生命活動に欠かせない効果を持つミネラルであることがわかります。

マグネシウムが不足すると現れる症状

マグネシウムが不足すると現れる症状

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症の原因はさまざまですが、骨形成に欠かせないマグネシウムの不足でも起こるといわれています。症状は、通常であれば骨折しないような軽度の転倒による骨折・背中や腰の痛み・身長の縮みなどです。骨粗鬆症が疑われる症状が見られる場合は、内科や整形外科を受診しましょう。また、骨粗鬆症は国や市町村による検診も行われているため、定期的な検診で骨がもろくなっていないか確認することも大切です。

不整脈

不整脈は、脈のリズムが不自然に変わる病状です。脈が普段よりも速くなる、あるいは遅くなる状態を指すほか、不規則な脈打ちも不整脈に入ります。不整脈による症状は、動悸・息切れ・眩暈・胸痛・失神などです。平常時に異常な動悸や意識の消失が現れた場合、激しい運動は控え、安静にしてください。不整脈が疑われる症状が出た場合は、早めに循環器内科を受診しましょう。

虚血性心疾患

虚血性心疾患は、心筋に血液が回らなくなることで起こる病気で、狭心症や心筋梗塞がこれにあたります。どちらも胸部が締め付けられるような強い痛みが症状として現れ、狭心症の場合は数分程度、心筋梗塞の場合は30分以上痛み続けるのが特徴です。虚血性心疾患は、放置すると命に関わるため、疑わしい症状が出た場合はすぐに循環器内科を受診しましょう。

高血圧

マグネシウムが不足すると、高血圧の状態が続きやすくなるようです。高血圧は自覚症状が出にくいため注意が必要ですが、放置すると動脈硬化を招き、心臓や脳の病気を引き起こす可能性があります。生活習慣を整え、定期的な検診で血圧の状態を知っておくことが重要です。高血圧と診断された場合は、内科や循環器科を受診しましょう。

筋肉収縮異常

マグネシウムの不足によりカルシウムとマグネシウムのバランスが崩れると、筋肉の収縮に異常が起こります。カルシウムによる筋収縮の作用が強く働くために発生するものであり、これにあたるのが筋肉の痙攣です。痙攣が起こった際には、ゆっくりストレッチすることで症状の緩和が可能です。病院に受診する際は、整形外科や内科になります。

マグネシウムを過剰摂取すると現れる症状

マグネシウムを過剰摂取すると現れる症状

下痢・軟便

サプリメントや医薬品でマグネシウムを摂取しすぎると、下痢や軟便になることがあります。突発的な下痢であれば、水分補給・消化によい食事・下痢止め薬の服用で症状の緩和が可能です。長く下痢や軟便状態が続く場合は、内科もしくは消化器内科を受診しましょう。

マグネシウムを多く含む食品

マグネシウムを多く含む食品

豆類

豆類は、代表的なマグネシウム補給源です。以下の種類が、マグネシウム供給源になる豆類として挙げられます。

大豆
インゲン豆
エンドウ豆
レンズ豆
落花生

大豆の加工品である豆腐やがんもどきなども、マグネシウムを多く含む食材です。

ナッツ類

ナッツ類も、マグネシウムの供給源になります。マグネシウムを効率よく摂取できるナッツ類としては、アーモンドやカシューナッツが代表的です。

全粒粉

全粒粉は、マグネシウムを摂取するのにとてもよい食材とされています。マグネシウムを効率よく摂取したい場合、主食を全粒粉のパンやパスタに変更するのがおすすめです。

緑色の葉物野菜

ほうれん草をはじめとする濃い緑色をした葉物野菜も、マグネシウムを効率よく摂取するのによい食材として挙げられます。マグネシウム不足が気になる場合は、緑の葉野菜を意識して食べるようにしましょう。

乳製品

牛乳・ヨーグルトなど、乳製品の一部にもマグネシウムが含まれています。乳製品からマグネシウムを摂取したい場合は、成分表示を確認し、マグネシウムが含まれている製品を選びましょう。

魚・海藻

動物性食品のなかでは、キンメダイやカツオ、マグロなどの魚がマグネシウムの豊富な食品として挙げられます。また、ひじきをはじめとする海藻も、マグネシウムの摂取におすすめの食材です。

マグネシウムの効果的な摂取方法

マグネシウムの効果的な摂取方法

マグネシウムを多く含む食品の摂取

前章で挙げたように、マグネシウムを多く含む食材は以下の6種類です。

豆類
ナッツ類
全粒粉
緑の葉物野菜
乳製品
魚・海藻

マグネシウム不足が気になる方は、これらの食材を意識して食事に取り入れてみましょう。

マグネシウムと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

マグネシウムはカルシウムと互いに作用し合い、丈夫な骨の形成や筋機能の調整を行っているため、カルシウムと一緒に摂取するのがおすすめです。カルシウムは、以下の食品に多く含まれています。

乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)
ケール
ブロッコリー
白菜
骨のやわらかい魚

これらの食材と組み合わせて、マグネシウムとカルシウムをバランスよく摂取しましょう。

マグネシウムの効果を高める摂取タイミング

マグネシウムをサプリメントで摂取する場合、胃酸を中和して消化不良を引き起こすので、空腹時に飲むのが効果的です。またサプリメントによる摂取は、マグネシウムの過剰摂取を引き起こす可能性があるため、用量を守って服用しましょう。

「マグネシウムの効果」についてよくある質問

「マグネシウムの効果」についてよくある質問

ここまでマグネシウムの効果を紹介しました。ここでは「マグネシウムの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

マグネシウムは毎日摂取したほうがいいのでしょうか?

武井 香七武井 香七 医師

サプリメントによるマグネシウムは、1日の上限量(350mg)を超えなければ毎日摂取しても大丈夫です。過剰摂取に注意したうえで、体調も見ながら摂取の頻度を調整しましょう。

マグネシウムは女性にどんな効果をもたらしますか?

武井 香七武井 香七 医師

マグネシウムにはホルモンの分泌を調整する効果があるため、女性ホルモンのエストロゲンが原因の1つとされる月経前症候群(PMS)の改善に効果的です。また、閉経後の女性が発症しやすい骨粗鬆症を防ぐ効果もあります。

編集部まとめ

今回は、マグネシウムの効果や摂取方法について解説しました。マグネシウムは、生命活動に欠かせないミネラルの1つです。
マグネシウムは、不足だけでなく過剰摂取でも健康に悪影響を及ぼします。摂取できる量に注意しつつ、マグネシウムを食事に取り入れて、健康的な毎日を過ごしましょう。

「マグネシウム」と関連する病気

「マグネシウム」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

骨関節疾患の病気

循環器科の病気

  • 高血圧症

「マグネシウム」と関連する症状

「マグネシウム」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 筋肉の痙攣
  • 下痢・軟便

この記事の監修管理栄養士