「ビタミンCを摂りすぎる」と現れる症状はご存知ですか?【管理栄養士監修】

ビタミンCを摂りすぎるとどうなる?Medical DOC監修医がビタミンCの一日の摂取量・効果・摂りすぎると現れる症状・不足するとどうなるか・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
ビタミンCとは?
ビタミンCは、ヒトが体内で合成できない、水溶性のビタミンです。
皮膚や軟骨などを構成するコラーゲンと呼ばれるタンパク質の生成をしたり、鉄の吸収を高める働きをしたりします。
また、免疫系が適切に働くのを助けたり、体内の酸化を防止したりとさまざまな作用があるのが特徴です。
美容や風邪予防などで役立つといわれているビタミンCですが、摂りすぎるとどうなるのでしょうか。
不足した場合の症状や効果、効率的な摂取方法についても併せて紹介していきます。
ビタミンCの一日の摂取量
成人において推奨される一日の摂取量は100mgといわれています。ところが、喫煙者や受動喫煙者、妊娠中の女性や授乳中の女性においては推奨量以上に摂取が必要とされています。喫煙者は禁煙するのが一番ですが、どうしても止められない間はビタミンCを多めに摂取するようにしましょう。
ビタミンCの効果
免疫力の強化
免疫力の強化のためにビタミンCが発揮する効果は、リンパ球の活性を高めることです。これによりウイルスに感染しにくくなります。また、皮膚や粘膜を構成するタンパク質であるコラーゲンを産生するのに不可欠なのもビタミンCであり、皮膚や粘膜を丈夫にして病原体が体内に入るのを防ぎます。
ストレスへの抵抗力を高める
ストレスを感じると産生されるコルチゾールというホルモンは、脈拍や血圧を上昇させてストレスに対抗します。コルチゾールを産生するのにビタミンCを必要とするため、ビタミンCを適正量摂取することはストレスへの抵抗力を高めるといわれています。
壊血病を防ぐ
ビタミンCは壊血病を防ぐ効果があります。ビタミンCには体内のタンパク質であるコラーゲンを生成する働きがあるため、不足すると血管壁が破れ、出血しやすくなるなどの症状が起こることがあります。
肌の状態を整える
ビタミンCは、皮膚を構成するタンパク質であるコラーゲンを構成するのに不可欠です。そのためビタミンCをしっかり摂っていると肌のハリが出やすくなります。またビタミンCはシミやソバカスを防ぐ効果も期待できます。
抗がん作用
ビタミンCは酸化作用を持つ物質として働き、その結果生じる過酸化水素ががん細胞の成長を遅らせるといわれています。これにはビタミンCの血中濃度をある程度維持する必要があり、静脈注射におけるビタミンC高容量投与が、がん細胞の成長抑制に働くとして期待されています。
アレルギー症状を防ぐ
体内に存在する肥満細胞は、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンを放出しています。しかし宮城大学の研究では、ビタミンC存在下の肥満細胞において、ビタミンCの用量に比例して抗アレルギー作用が働くことがわかりました。そのためビタミンCはアレルギー症状を防ぐことが期待できます。
骨折を予防する
骨を構成しているミネラルの量を骨塩量といいます。ビタミンCが不足すると骨塩量が低下し、骨が脆くなります。骨が脆くなった結果、骨折しやすくなるため、ビタミンCは骨折を予防できるといえます。
動脈硬化を予防する
その他のビタミンCの効果のひとつが、 血圧と脂質代謝に影響して、動脈硬化を予防することです。ビタミンCは血圧の上昇を抑制し、脂質代謝を促進します。これらの影響によって動脈硬化を予防する効果があります。
ビタミンCを摂りすぎると現れる症状
吐き気、下痢、腹痛
胃腸に影響して症状が現れることがあります。嘔吐したり下痢をしたりすると体内が脱水状態になってしまうため、水分補給をしっかりしましょう。症状が悪化した際は内科で受診することをおすすめします。また、日本で定められているビタミンCの上限量は1日あたり2000mgです。この量を目安にビタミンCを摂取すると安心でしょう。
尿路結石ができやすくなる
腎機能が低下していたり、長期的にビタミンCを多量に摂取したりしている人の場合、尿路に石ができてしまうことがあります。激しい痛みと血尿が特徴的な症状です。尿路結石ができるということは腎機能の低下が考えられるため、泌尿器科で受診しましょう。
ビタミンCが不足するとどうなる?
壊血病になる
壊血病には、以下のような症状があります。
疲れやすくなる
体重減少
鈍痛
皮膚・粘膜・歯肉からの出血
歯が抜ける
傷の治りが悪くなる
貧血
抵抗力の低下
古傷が開く
これらは3~12ヵ月におよぶ長期的で高度なビタミンC欠乏でないと起こりません。まずは基本的な食生活を整えるとよいでしょう。
風邪を引きやすくなる
ビタミンCは免疫力を高める作用があります。ビタミンCが不足すると病原体が体内に入りやすくなり、増殖もしやすくなるため風邪を引きやすくなります。風邪をひいたらしっかり休息をとることが必要です。
肌荒れする
ビタミンCが不足すると、肌にハリがなくなったり、シミやソバカスが出てきたりします。これらが気になる場合、美容皮膚科への受診をおすすめします。ただし、美容皮膚科は自由診療であることが多いため、費用が高額になることもあります。事前に調べてから受診するとよいでしょう。
がんのリスクが上がる
ビタミンCが不足するとがんのリスクが上がります。がんの症状は全身に起こるものと身体の一部に起こるものなど、さまざまです。がんが疑われる場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
アレルギー症状が出やすくなる
ビタミンCが不足すると、アレルギー症状が出やすくなります。アレルギー症状の種類はさまざまです。その症状によって受診する診療科も対処法も異なるため、アレルギーと疑われる症状があればその症状について調べましょう。ただし、アナフィラキシーショックが疑われる場合は、エピペンと呼ばれる注射を所持していれば注射をし、119番通報をしましょう。
骨折しやすくなる
ビタミンCが不足すると骨折しやすくなります。骨折すると、患部に痛みや腫れが生じ、ひどい場合は患部が動かせなかったり外見が変形したりすることもあります。骨折が疑われる場合は、速やかに整形外科で受診するようにしましょう。
動脈硬化が起こりやすくなる
ビタミンCが不足すると、動脈硬化が起こりやすくなります。動脈硬化が起こると、胸痛や頭痛・めまい・間欠性跛行などが起こることがあります。間欠性跛行とは、歩いていると脚が痛くなって歩けなくなり、しばらく休むとまた動けるようになる症状です。動脈硬化が疑われる症状が出現したら、循環器科で受診するようにしましょう。
ビタミンCを効率よく摂取する方法
ビタミンCを多く含む食品の摂取
ビタミンCを多く含む食品は以下のようなものがあります。
柑橘類
赤・緑ピーマン
キウイフルーツ
カンタロープ・メロン
焼いたじゃがいも
トマト
アセロラ
ブロッコリー
緑茶
グァバ
同じ野菜でも旬の野菜はビタミンの含有率が上がります。旬の野菜を上手に取り入れて、より効率的にビタミンCを摂取しましょう。
ビタミンCと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ビタミンCと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品は、以下のようなものがあります。
非ヘム鉄を含む食品(鶏卵・絹ごし豆腐・納豆・ほうれん草など)
ビタミンEを含む食品(植物油・ナッツ類・ほうれん草・ブロッコリーなど)
ビタミンCを 非ヘム鉄と一緒に摂取すると、非ヘム鉄の吸収が高まります。また、ビタミンEと一緒に摂取すると抗酸化作用が向上します。そのため、老化の防止や生活習慣病の予防にも役立つでしょう。非へム鉄を摂取する際は鉄の吸収を妨げるタンニンが含まれる飲み物を一緒に摂取しないようにしましょう。タンニンが含まれる飲み物は、コーヒー・紅茶・ウーロン茶・緑茶などがあります。
ビタミンCの効果を高める摂取タイミング
ビタミンCは体内で生成することがほとんどできません。そのため 食事時に安定して摂取する必要があります。摂取を避ける時間帯について、日焼けやシミの原因になるため、朝の摂取は避ける方がよいといわれています。しかし、これは誤情報です。日焼けやシミの原因となるソラレンが含まれているとされる多くの野菜や果物は、実際には普通に食べる分にはほとんど問題ないとされています。タイミングについての誤情報が出回っていますが、バランスの良い食生活のなかでビタミンCを取り入れるのが重要です。
「ビタミンCの摂りすぎ」についてよくある質問
ここまで「ビタミンCの摂りすぎ」について紹介しました。ここでは「ビタミンCの摂りすぎ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ビタミンCを一日に2000mg以上摂取すると、どのような効果がありますか?
武井 香七 医師
ビタミンCは多く摂取しても尿中に排出されるため、通常より多く摂取しても追加の効果は期待できません。一日に3000~4000㎎のビタミンCの摂取をして下痢が発生したとの報告もあり、厚生労働省は食品以外からのビタミンC摂取を一日1000㎎以下に抑えるよう推奨しています。また、日本で定められているビタミンCの上限量は1日あたり2000mgです。そのためビタミンCは適切な量をこまめに摂取するようにしましょう。
編集部まとめ
ビタミンCを過剰に摂取すると、下痢や腹痛、吐き気が起こることがあります。
また、腎機能が低下している方は尿路結石を発症することがあります。
不足すると壊血病になったり、がんのリスクが上がったりしてしまうため、適切な量をこまめに摂取することが大切です。
ビタミンCを摂取する際は、旬の野菜や果物を選ぶとより効率的に摂取できるため、おすすめです。
また、非ヘム鉄やビタミンEを一緒に摂取するとより効果的に摂取ができるため、ぜひ参考にしてください。
「ビタミンCの摂りすぎ」と関連する病気
「ビタミンCの摂りすぎ」と関連する病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
泌尿器科の病気
尿路結石は激しい痛みを伴います。医師から腎機能が低下していると言われている方や長期的にビタミンCを多量に摂取している方は、ビタミンCの摂りすぎに注意しましょう。
「ビタミンCの摂りすぎ」と関連する症状
「ビタミンCの摂りすぎ」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
ビタミンCを摂りすぎると、胃腸に影響して症状が現れることがあります。嘔吐したり下痢をしたりした際は水分をしっかり摂って、脱水状態にならないように注意しましょう。