「ブドウ糖の効果」はご存知ですか?ブドウ糖が不足すると現れる症状も解説!
ブドウ糖の効果とは?Medical DOC監修医がブドウ糖の効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「ブドウ糖」とは?
ブドウ糖は人体にとって重要な栄養素で、脳の主要なエネルギー源です。通常は脳がエネルギーをえるために効率的に利用されます。しかし、長期間の飢餓や糖質制限時には、ケトン体も脳のエネルギー源になります。果物や穀類など自然界に数多く存在する代表的な単糖類です。ぶどうから発見されたため日本ではブドウ糖と呼ばれていますが、医療ではグルコースといいます。グルコースは、ほかの単糖類である果糖や乳糖(ブドウ糖とガラクトースの結合)と結びついて、ショ糖やでんぷんなどを構成します。摂取された糖質は消化吸収され、ブドウ糖に分解されてエネルギー源として利用されます。
激しい運動で消耗
糖尿病で血糖値が低下
このようなとき、素早くエネルギーを補給して血糖値を上げることができます。ブドウ糖は即効性のある重要な栄養素として取り入れられる物質です。また血液に含まれるブドウ糖は血糖といいます。血糖の濃度はインスリンによってコントロールされ、濃度が上がるとインスリンの働きで中性脂肪に変換されて脂肪細胞に蓄えられます。ブドウ糖は人体に必要不可欠な栄養素ですが、過剰摂取は糖尿病や肥満の危険性もあるため注意が必要です。
ブドウ糖の一日の摂取量
ブドウ糖は、脳・赤血球・腎臓の髄質・一部の筋肉を動かすエネルギー源として重要です。一日に必要な摂取量は炭水化物からの摂取が推奨される量のおよそ150gといわれています。臓器のエネルギー消費量は補う必要があるため、少なくとも一日100g程度はブドウ糖を摂取することが大切です。ブドウ糖を含む糖質は炭水化物に多く含まれています。そのため、一日の食事から摂るエネルギー全体の50〜65%を炭水化物が占めるように意識した食生活を心がけましょう。
例えば、一日に必要とされるエネルギーは成人女性で1,400〜2,000kcal、成人男性は2,000〜2,400kcal程度です。2,000kcalが必要な場合、50〜65%に相当するエネルギー量は1,000〜1,300kcalです。炭水化物は1gで約4kcalなので、一日摂取量は250〜325gとなります。もちろん、身長・年齢・性別・一日の活動量に応じて必要な摂取量には個人差があるので、必要な摂取量を知ることからはじめましょう。
ブドウ糖の効果
記憶・認知力が向上する
ブドウ糖は短期記憶に関与する海馬に影響し、人間の記憶・認知力を向上することが明らかになっています。ラット研究で腹腔にブドウ糖を注入すると、海馬のブドウ糖量が増加して位置記憶が向上する結果となりました。学生が勉強で疲れたときにブドウ糖を摂取すると、血糖値の上昇を抑えながら脳機能をサポートできるでしょう。また、高齢者の認知機能の衰えや認知症を予防できる可能性があります。
精神を安定させる
ブドウ糖を含む糖分の摂取は精神の安定や気分の改善に役立つことが知られています。ある研究では、動物に砂糖を摂取させると快感を示す行動を取る結果が報告されました。また、乳児を対象とした研究でも、笑顔を示す・さらに欲しがる・眠るなどの快感の症状を示しています。快感の症状が現れるのは、糖分を摂取したことにより、脳の快感中枢が刺激されるからです。また血中のトリプトファンが脳内に取り込まれることで、セロトニンが生成されて精神を安定させます。トリプトファンは人間の健康維持に欠かせない必須アミノ酸です。セロトニンやメラトニンの材料になります。幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンはストレス緩和、睡眠促進ホルモンとしてメラトニンが機能します。これらのホルモンを生産するには、インスリンの存在が不可欠です。ブドウ糖はインスリンの放出・脳内のトリプトファン輸送を促進・脳内でセロトニンの産生を高めるといった3つの役割を果たしています。
パフォーマンスの向上
ブドウ糖の摂取は脳のエネルギー供給とともに集中力を高めてくれます。研究結果において、集中力が高まることで学力テストの向上や作業効率の向上が認められました。小学生と中学生の学力分析データでも、朝食を毎日食べている子どもの方が学力が向上していると判明しています。朝食は寝ている間に脳・肺・心臓などの各臓器の活動や、体温の維持に消費されるエネルギーを供給するために重要な役割を果たしています。朝食をしっかり取ってブドウ糖を供給することは、生活環境や生活習慣は日頃の学習や作業能力のパフォーマンス向上に重要だといえるでしょう。
ブドウ糖が不足すると現れる症状
低血糖
健常者の血糖値は空腹時で70〜110mg/dL程度です。一方、血糖値がおよそ70mg/dL以下になると低血糖として交感神経症状が現れます。交感神経の症状は以下のとおりです。
汗をかく
不安になる
脈が速くなる
手や指が震える
顔色が青白くなる
上記のような症状がなく、無自覚性低血糖になる場合もあります。血糖値が60mg/dLより低くなると、頭痛・目のかすみ・集中力の低下といった中枢神経症状がみられます。低血糖になりやすい状況を把握することも大切です。
食事量や炭水化物摂取の不足
服薬後の食事時間の遅れ
激しい運動中や運動後
空腹での運動
インスリン注射や服薬多量
飲酒
入浴
低血糖が疑われる場合はブドウ糖10g、またはブドウ糖を含む飲料水を150〜200mlを飲みましょう。ヤクルト・濃縮還元のフルーツジュース・スポーツドリンクなどがおすすめです。症状が改善したら食事を摂りましょう。症状が改善しない場合には、内科・救急科・内分泌内科・代謝内科で受診してください。
意識障害
血糖値が50mg/dLを下回ると意識障害を引き起こす可能性があります。ブドウ糖不足で血糖値が下がると血糖を上げるホルモンが分泌され、このホルモンの作用で震えや動悸の症状が起こります。著しい低血糖になると痙攣や昏睡になる可能性も高いです。意識障害になると、自身でブドウ糖やブドウ糖を含む飲料水を摂取できません。また無理にブドウ糖を摂取すると、誤嚥や窒息の原因になります。もし家族が意識障害を起こした場合は、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして口唇と歯肉の間に塗布してください。処置と同時に救急車を呼び、医療機関で診察を受けてください。
ブドウ糖を多く含む食品
フルーツ
ブドウ糖の名のとおり、ぶどうにブドウ糖は豊富に含まれています。ぶどう以外にもフルーツにはブドウ糖・果糖・ショ糖が含まれています。糖質は原則1gあたり4kcalのエネルギー源です。フルーツはブドウ糖だけでなく、水分・ビタミンC・カリウム・食物繊維の補給にも役立ちます。例えば、朝の忙しい時間にバナナ1本食べるだけで、ブドウ糖を補給してパフォーマンスの向上につなげられるでしょう。しかし、フルーツは果糖を豊富に含んでいるため、過剰摂取すると中性脂肪の増大や肥満につながります。摂取量には注意しましょう。
炭水化物
炭水化物は糖質と食物繊維を含んだ栄養素です。ブドウ糖を含む糖質を豊富に含んでいるため、効率よく補給することができます。スポーツの前後におにぎりやサンドイッチを食べることで、パフォーマンスの向上や低血糖を防げます。
ラムネ
ラムネはブドウ糖を多く含む食品です。ラムネの主成分はブドウ糖で全体の約90%がブドウ糖で占められています。手頃な価格で年齢を問わずおやつとして親しまれているラムネは、コンパクトで非常時にも効果を発揮する優れものです。
ブドウ糖の効果的な摂取方法
ブドウ糖を多く含む食品の摂取
ブドウ糖は主食のものからフルーツやおやつまで幅広く存在しています。なかでも効率よくブドウ糖を摂取したい場合は、結晶化したブドウ糖がおすすめです。ブドウ糖を効率よく補給できるゼリー飲料も販売されています。
ブドウ糖と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ブドウ糖の効果を高めるには、肉類や緑黄色野菜に含まれるビタミンB1・B2を一緒に摂取しましょう。炭水化物・たんぱく質・脂質といった3大栄養素のバランスがよい食事を摂ることが大切です。
ブドウ糖の効果を高める摂取タイミング
ブドウ糖の効果を高めるのは、朝食のタイミングとパフォーマンスの前後です。ブドウ糖がエネルギー源として消費した分を補給できるタイミングを狙いましょう。ただし、睡眠中にもブドウ糖が消費されるからといって寝る前に糖分を摂りすぎるのは禁物です。
「ブドウ糖の効果」についてよくある質問
ここまでブドウ糖の効果を紹介しました。ここでは「ブドウ糖の効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ブドウ糖摂取によるデメリットについて教えてください。
武井 香七 医師
ブドウ糖は体内に貯蔵できず、不足しがちになります。一方、ブドウ糖や砂糖の過剰摂取は糖尿病や肥満の原因にもなります。摂取量を守ることが大切です。
編集部まとめ
本記事では、ブドウ糖の効果・一日の摂取量・種類・不足すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法を解説しました。
ブドウ糖は脳がエネルギーとして利用できる人体にとって重要な栄養素です。特に朝食はしっかり摂ってブドウ糖の不足を補いましょう。
「ブドウ糖」と関連する病気
「ブドウ糖」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病神経障害
エネルギー源として必要不可欠なブドウ糖ですが、血糖値が高くなると血管を破壊して動脈硬化や目の網膜・腎臓・神経を傷害する3大合併症を引き起こす可能性があります。
「ブドウ糖」と関連する症状
「ブドウ糖」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 喉が乾きやすい
- 多尿
- 倦怠感
- 体重減少
上記の症状はブドウ糖の排出が増えたりインスリンの働きが悪くなったりして起こるエネルギー不足の状態です。症状がみられた場合は病院を受診しましょう。