「タウリンの効果」はご存知ですか?過剰摂取による副作用も解説!
タウリンの効果とは?Medical DOC監修医がタウリンの効果・副作用・効果的な摂取方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「タウリン」とは?
タウリンとは、生体中のほとんどすべての組織に存在している アミノ酸誘導体です。含硫アミノ酸である、メチオニンとシステインから合成されています。浸透圧調節やたんぱく質安定化、抗酸化・抗炎症作用があり、生体の恒常性維持のために重要な役割を果たしていると考えられています。タウリンは全身の細胞に分布していますが、心臓や肝臓、脳などは高濃度です。タウリンはヒトの体内に含まれている量は体重の0.1%です。適切なタウリン濃度を保つことは、細胞の正常な機能を維持し、健康維持にも重要です。なお、タウリンの成分は医薬品に含まれます。そのため、タウリンを含むものはすべて医薬品、医薬部外品として承認を受けている必要があります。
タウリンの効果・効能
肝機能を高める
タウリンは肝臓で胆汁酸の分泌や幹細胞の再生を促進し、細胞膜を安定させます。胆汁分泌を促進させた結果、 コレステロール値を低下させてくれるのです。細胞膜を安定させることで、肝臓の損傷や炎症を防ぐ効果もあるといわれています。ハムスターの実験ですが、タウリンを摂取した場合、高脂肪・高コレステロールのハムスターより肝臓サイズが小さく肝脂質が低いという結果が出ました。それはトリグリセロールと胆汁酸の産出量が多く、糞便コレステロールが高いためだと考えられています。そのため、ヒトでも脂肪肝予防の効果があると考えられているのです。
高血圧や動脈硬化の予防
タウリンを摂取することで、血管弛緩が誘発されるので循環器疾患に効果があると考えられています。交感神経が亢進しているときにタウリンを投与すると、血中アドレナリンやノルアドレナリン量が減少し、 血圧が低下することが報告されています。その他、アンジオテンシンの活性を抑制、ナトリウムの尿中排泄を促進する作用があるからです。高血圧が予防できれば、動脈硬化や血管内皮機能障害のリスクも低下させることができます。その他、タウリンの補給がアテローム性動脈硬化症の発症の進行を遅らせることが動物実験では実証されています。
脳や目の機能維持
タウリンは神経細胞やシナプスの膜を通るカルシウムイオンを調節し、過剰時に引き起こされる神経興奮状態を鎮める働きをします。これにより 怒りやストレス、目の疲れなどの興奮状態を鎮め、機能維持につながると期待されているのです。目の新陳代謝も促進するとされているので、角膜修復の作用もあるとされています。タウリンはすべての眼組織に含まれていることもわかっています。ラットの眼の研究の結果、タウリンは網膜・硝子体・角膜・虹彩・毛様体に有効的な豊富なアミノ酸であるとの報告があるからです。メカニズムはまだ明確ではありませんが、網膜では視細胞の発達に不可欠で、ストレス関連の神経損傷などの細胞保護剤として作用することもわかっています。
皮膚老化を防ぐ
皮膚の重要な働きの一つは、水分保持です。表皮や角質層の水分バリアが壊れることで皮膚老化やしわにつながります。タウリンは皮膚に多く存在しているので、タウリンを摂取することで表皮の水分調節能が保持され、 皮膚老化を防ぐことができます。
タウリンの過剰摂取による副作用
副作用は少ない
タウリンの副作用については 明確にあるといわれていません。持病をお持ちの方のなかには、過剰に摂取することで悪心や下痢、腹部不快感などの消化器官への影響が心配です。その他にも発疹や不眠症、頻尿なども起こる可能性があります。
タウリンの効果的な摂取方法
タウリンを多く含む食品の摂取
普段摂取している食品のなかでタウリンを多く含むものがあります。例えば、 牡蠣やサザエなどの貝類、たこ・いかなどの軟体動物に多く含まれています。牡蠣では100gあたり約1000mg、サザエは100gあたり約900mgです。ブリやマダイ、ホッケなどの魚類もよいでしょう。タウリンは水溶性のため、食品を生のまま食べるか焼くことをおすすめします。煮る料理に使用した場合には、ぜひスープとして食べて溶け出してしまったタウリンを摂取してください。
タウリンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
これと合わせれば効果がより上がる、というものはありません。ですが、食品以外でタウリンが含まれているのは栄養ドリンクです。細胞再生を促進してくれることから、疲労回復の成分として期待され含まれていることが多いです。疲労回復として、ビタミンB群や適量のカフェインと一緒に摂取するのもよいでしょう。 タウリンは医薬品であるため、医薬品としての承認がないサプリメント商品では摂取することができないので注意が必要です。
タウリンの効果を高める摂取タイミング
一般的に消化・吸収のことを考えると、摂取のタイミングとしては寝る前に飲むことで効率的に身体を回復させることができます。朝起きたときにすっきりするでしょう。有効成分をしっかりと吸収したいときには食後のタイミングがおすすめです。腸内の食品と一緒に吸収してくれるので、栄養をキャッチしやすくなります。
「タウリンの効果」についてよくある質問
ここまでタウリンの効果を紹介しました。ここでは「タウリンの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
タウリンは筋力トレーニングに効果はありますか?
武井 香七 医師
ある研究結果では、一時的にタウリンを多量に摂取しても運動のパフォーマンスには大きく変わりないとの報告があります。その代わり、体重1kgあたり100mgのタウリンを2週間連続摂取すると、運動継続時間が長 くなるとの研究結果があります。筋肉中のタウリン濃度が上昇するからです。ですので、疲労予防でタウリン摂取を検討している方は、 毎日少しずつ摂取することがおすすめといえます。タウリンの医療用添付文書によれば、タウリンの血中半減期がおよそ2時間との記載があります。血中濃度がピークになるのは1時間前後だと考えられますので、その時間を目安に摂取するのもよいでしょう。
タウリンの一日の摂取量を教えてください。
武井 香七 医師
適切な摂取量は示されていないのが現状です。ですが 一般的に1日の摂取量は500~2000mgが推奨されています。タウリンの安全性については、一日摂取量が3000mg以内なら安全な範囲と結論を出した論文もあります。
編集部まとめ
タウリンについては細胞や臓器など、さまざまなものに有効だといわれています。ですが動物実験では明確な結果があるものの、ヒトに対しての実験では明確な結論は少なく、いまだ研究が行われています。過剰に摂取したときの副作用報告も明確なものはありません。 タウリンは魚介類に多く含まれているため、魚をよく食べる日本人は欧米人に比べ摂取量が多いとされています。サプリメントや栄養ドリンクで摂取することだけを考えず、 バランスのよい食事を心がけましょう。
「タウリンの効果」と関連する病気
「タウリンの効果」と関連する病気は8個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
- 肝機能障害
- 脂肪肝
- 腎臓病
「タウリンの効果」と関連する症状
「タウリンの効果」と関連している、似ている症状は2個程あります。
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関連する症状
- 心臓や肝臓の機能低下
- 目の網膜の機能障害