「ストレスを感じると甘いもの」を食べたくなる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

ストレスを感じると甘いものを食べたくなる原因とは?メディカルドック監修医が無性に食べたくなる原因や食べたくなった時の対処法などを解説します。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
目次 -INDEX-
「甘いもの」を食べると「ストレス」は緩和されるの?

結論からいうと、甘いものを食べることでストレスが一時的にやわらぐことはありますが、根本的な解決にはなりにくいと考えられます。甘いものや好みの食べ物を食べると、脳の報酬系が刺激され、気分が少し楽になったり、「ほっとした」と感じたりすることがあります。ストレスを感じたときにチョコレートやケーキなどの甘いものに手が伸びやすいのは、この「ごほうび」のような感覚が関係していると考えられています。
また、ストレスが強いときは、手っ取り早くエネルギーをとりたい感覚が強まりやすく、食べやすくて満足感の得やすい甘いものを求めやすくなることがあります。実際、ストレスがかかると、高脂肪・高糖質の「食べて気分が上がりやすい食品」を選びやすくなることが報告されています。
ただし注意したいのは、甘いものによる気分の改善は長続きしにくいことです。砂糖の多いお菓子や飲み物を一度にたくさんとると、食後に眠気やだるさを感じたり、またすぐ何か食べたくなったりする人もいます。こうした流れが続くと、「ストレスを感じたら甘いもの」という行動パターンが習慣化しやすくなります。
さらに、甘いものに頼る習慣が続くと、体重増加や血糖コントロールの悪化につながることもあり、長い目でみると健康面の不安がストレス要因になる場合もあります。つまり、甘いものはストレスを感じにくくする一時的な助けにはなっても、ストレスそのものを解決する方法ではありません。大切なのは、ストレスの原因に向き合うことと、甘いものとの付き合い方を整えることです。
「ストレス」を感じると「甘いもの」を食べたくなる原因

ストレスを感じたときに甘いものを欲しくなる背景には、心理的な要因と体の反応の両方が関わっています。決して「意志が弱いから」だけではなく、ストレス時に起こるホルモンの変化や、これまでの食習慣の積み重ねが影響していると考えられています。
コルチゾール(ストレスホルモン)などの影響
ストレスを感じたときには、副腎からコルチゾールなどのホルモンが分泌されます。コルチゾールは、体がストレスに対処するためにエネルギーを確保しようとする流れに関わっており、食欲が高まりやすくなることがあります。特に、疲れているときや気持ちが張りつめているときほど、手軽に満足感を得やすい高カロリー・高糖質のものを求めやすくなるとされています。
脳の報酬系(ドーパミン)の活性化
甘いものを食べると、脳の報酬系と呼ばれる「気分のよさ」や「満足感」に関わる仕組みが刺激されます。そのため、ストレスでつらいときに甘いものを食べると、一時的に気持ちが軽くなることがあります。 「頑張った自分へのごほうびにスイーツを食べる」という行動は、多くの人にとって自然なものですが、それを繰り返していると、脳が「つらいときは甘いもの」と覚えやすくなります。その結果、ストレスを感じるたびに甘いものを欲しやすくなることがあります。
血糖値の変動
ストレスが強いときは、食事のタイミングが乱れたり、早食いになったり、甘いものだけで済ませてしまったりしやすくなります。こうした食べ方が続くと、食後の血糖値の変動が大きくなりやすく、結果としてまた甘いものが欲しくなる、という流れにつながることがあります。 特に、食事を抜いたあとに甘いものだけを急いで食べると、満足感が長続きしにくく、「もっと食べたい」と感じやすい人もいます。ストレスで甘いものがやめにくくなる背景には、ストレスそのものだけでなく、こうした食事の乱れも関係している場合があります。
睡眠不足との関連
ストレスが強いと、眠りが浅くなったり、睡眠時間が短くなったりしやすくなります。睡眠不足になると、食欲に関わるホルモンや脳の働きが変化し、甘いものや脂っこいものなど、高カロリーな食べ物を欲しやすくなることが知られています。 そのため、「ストレスがたまる → 眠れない → 甘いものが欲しくなる」という流れが起きることがあります。睡眠不足は、甘いものへの欲求を強める大きな要因の一つです。
心理的な習慣(条件づけ)
ストレスを感じたときに甘いものを食べて「楽になった」という経験を繰り返すと、脳はその組み合わせを覚えます。すると、少し嫌なことがあっただけでも「甘いものが欲しい」と感じやすくなります。 これは“条件づけ”と呼ばれるもので、習慣化すると自分では気づかないうちに繰り返してしまうことがあります。つまり、ストレス時の甘いもの欲求には、体の反応だけでなく、これまで身についた行動パターンも深く関わっています。
甘いものが無性に食べたくなる原因

ときには「どうしても甘いものが食べたい」「今すぐ何か甘いものを口にしたい」と強く感じることがあります。こうした強い欲求も珍しいことではなく、いくつかの要因が重なって起こると考えられます。先ほどのストレスによる原因と重なる部分もありますが、特に次のような場合に起こりやすいとされています。
低血糖状態
食事の間隔が長く空いたり、食事量が少なすぎたりすると、強い空腹感とともに甘いものを欲しやすくなることがあります。特に、朝食を抜いたまま仕事をしていたり、昼食が大きく遅れたりすると、「とにかく早く糖分がほしい」と感じる人もいます。 また、甘いもの中心の食事をしたあとに、しばらくしてまた空腹感が強くなることもあります。こうしたときは、甘いものが欲しいというより、体がエネルギー不足を訴えている可能性があります。日頃から食事の間隔を空けすぎないこと、甘いものだけで済ませないことが大切です。
栄養バランスの偏り
極端なダイエットで主食を減らしすぎたり、忙しくて食事を抜いたりすると、体は手っ取り早いエネルギー源を求めやすくなります。その結果、「甘いものが食べたい」という気持ちが強くなることがあります。 また、たんぱく質や食物繊維が少ない食事は満足感が続きにくく、間食への欲求が高まりやすくなります。 一方で、特定のビタミンやミネラル不足だけで甘いもの欲求を説明できるとは限りません。大切なのは、「何かの栄養素が足りない」と単純に考えるより、食事全体のバランスが崩れていないかを見直すことです。
ダイエットで「甘いものは絶対ダメ」と強く制限しすぎると、かえってその食品が頭から離れなくなり、欲求が強まることがあります。無理な我慢が続くと反動が起きやすいため、極端な制限は逆効果になることもあります。
女性ホルモンの変動
女性では、月経前後に甘いものを食べたくなる人が少なくありません。これは、月経前に起こるホルモンバランスの変化や、気分の揺れ、不快感などが関係していると考えられています。 月経前はイライラや不安感、だるさなどが出やすく、それをやわらげるために甘いものに手が伸びやすくなることがあります。毎月決まった時期に強く甘いものを欲する場合は、こうしたホルモン変動の影響も考えられます。
慢性的なストレス
慢性的なストレスは、睡眠不足や疲労とも結びつきやすく、それがさらに甘いものへの欲求を強めることがあります。睡眠不足になると食欲が増えやすく、特に糖質や脂質の多い食品を欲しやすくなることが分かっています。 また、心や体が疲れているときは、「手っ取り早く元気を出したい」という気持ちから甘いものを選びやすくなります。つまり、慢性的なストレスは直接的にも間接的にも、甘いものが欲しくなる背景になりやすいのです。
薬の影響・メンタル不調・摂食障害のサイン
体調や治療薬によって、食欲や体重が変わることがあります。また、短時間に大量に食べてしまい、自分では止められない状態が繰り返される場合は、過食症や過食性障害など、専門的な評価が必要なことがあります。 甘いものへの欲求が強いだけでなく、生活に支障が出ている、罪悪感が強い、隠れて食べてしまう、体重変化が大きい、といった場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
嗜好習慣・糖質依存
日常的に甘いものをよく食べている人ほど、甘い味に慣れて、より甘いものを欲しやすくなることがあります。これは正式な病名としての「依存」とまでは言えない場合も多いですが、甘いものへの依存的な食行動や習慣化してやめにくい状態が起きることはあります。 特に、ストレス時に甘いものを食べることが当たり前になっていると、「なくても困らないはずなのに、つい探してしまう」という状態になりやすくなります。こうした場合は、意志だけで我慢しようとするより、環境や食べ方を整える方がうまくいきやすいです。
甘いものが無性に食べたくなった時の対処法

強い甘いものの誘惑に駆られたとき、どう対処すればよいのでしょうか。無理に我慢しすぎると反動が出やすい一方、好きなだけ食べてしまうと健康への影響が心配です。ここでは、一般の方でも取り入れやすい対処法を紹介します。
一呼吸置いて「本当に甘いものが欲しいのか」考える
甘いものが食べたいと思ったら、まずは深呼吸して、少し立ち止まってみましょう。すぐに食べるのではなく、「本当に甘いものが食べたいのか」「疲れているだけなのか」「ただ何となく口寂しいだけなのか」を考えてみるのがポイントです。 温かいお茶や水を飲んで数分過ごすと、衝動が少しおさまることもあります。こうした“間”をつくるだけでも、惰性で食べてしまうのを防ぎやすくなります。
血糖が乱れにくい食べ方を選ぶ(タンパク質から、低GI食品、ゆっくり味わって食べる)
甘いものへの強い欲求を減らすには、日頃の食事を整えることが大切です。特に、主食を極端に抜きすぎると、かえって甘いものが欲しくなりやすいことがあります。毎食、無理のない範囲で主食・たんぱく質・野菜をそろえるよう意識してみましょう。 たんぱく質を含む食品(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など)は満足感を保ちやすく、食事の偏りを減らす助けになります。朝食でたんぱく質を少しでもとると、間食欲求が和らぐ人もいます。
また、血糖の上がり方が比較的穏やかな食品としては、玄米、豆類、オートミールなどがあります。こうした食品をうまく取り入れると、甘いものへの欲求が出にくくなることがあります。
どうしても甘いものを食べたい場合は、少量をゆっくり味わうのがおすすめです。急いでたくさん食べるよりも、「おいしい」と感じながらゆっくり食べた方が満足感が得られやすいことがあります。果物や無糖ヨーグルトに少し甘みを足すなど、比較的軽めの選択肢を使うのも一つの方法です。
ストレスの原因にアプローチする
甘いものの食べ過ぎを防ぐには、もとのストレスに対処することが大切です。軽い散歩やストレッチ、入浴、好きな音楽、深呼吸、瞑想、誰かに話すことなど、甘いもの以外で気持ちを落ち着かせる方法をいくつか持っておくと役立ちます。 ストレスが少しでも軽くなると、「甘いものに頼りたい」という気持ちも起こりにくくなることがあります。大切なのは、自分に合う気分転換方法を増やしておくことです。
完全に我慢しない
完全に禁止すると反動が出やすいため、適量を楽しむことも大切です。たとえば「週に2回まで」「買うのは1個だけ」など、先にルールを決めておくとコントロールしやすくなります。 糖分は総エネルギーの10%未満、可能であれば5%未満が目安にすると良いでしょう。また、甘いものは空腹時に単独で食べるより、食後のデザートとして少量楽しむ方が、食べ過ぎを防ぎやすい場合があります。さらに、食後に10〜15分ほど歩くなど、軽い運動を組み合わせると食後血糖の上がり方を抑える助けになることがあります。無理のない範囲で取り入れてみましょう。
危険サインがあれば、医療機関へ(必要に応じた検査)
甘いもの欲が生活に支障が出るほど強い、過食が止まらない、急激な体重変化がある、強いのどの渇きや尿の増加がある場合は、病気の評価が必要なことがあります。糖尿病では「のどが渇く」「尿が増える」といった症状が出ることがありますし、過食発作がある場合は摂食障害の評価が必要なこともあります。自分だけで抱え込まず、内科、心療内科、精神科、必要に応じて栄養相談などを利用することが大切です。
「ストレスと甘いもの」についてよくある質問

ここまでストレスと甘いものについて紹介しました。ここでは「ストレスと甘いもの」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
甘いものが食べたくなるのは何か栄養が不足しているのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
必ずしも特定の栄養不足とは限りませんが、食事の間隔が空きすぎていたり、たんぱく質や食物繊維が少ない食事が続いていたりすると、甘いものを欲しやすくなることはあります。
また、マグネシウム不足とチョコレート欲求の関連を示唆する話はありますが、明確な因果関係ははっきりしていません。大切なのは、「何かひとつ足りないから」と考えるのではなく、ホルモン、脳、睡眠、ストレス、食習慣が重なって起きている現象だと理解することです。
まとめ
ストレスを感じると甘いものを食べたくなるのは、珍しいことではありません。ストレス時には、脳の報酬系、ストレスホルモン、睡眠不足、食事の乱れなどが重なって、甘いものへの欲求が強まりやすくなると考えられています。これは意志の弱さだけで説明できるものではありません。
一方で、甘いものは一時的に気分を楽にしてくれても、根本的なストレス対策にはなりにくく、食べ方によっては「また欲しくなる」流れにつながることがあります。だからこそ、完全に悪者にするのではなく、量・タイミング・食べ方を工夫しながら付き合うことが大切です。
普段から、食事のバランスを整える、睡眠を確保する、甘いもの以外のストレス対処法を持つ、といった対策をとることで、結果として過剰な甘いもの欲求を減らす助けになります。自分の体と心の状態を振り返りながら、必要があれば専門家の力も借りて、無理のない形で整えていきましょう。
「ストレスと甘いもの」と関連する病気
「ストレスと甘いもの」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内科の病気
慢性的なストレスをはじめ、体への負担が大きい状況では甘いものを欲しやすくなりますが、この悪循環をどこかで断ち切る必要があります。普段から、食事のバランスを整える、睡眠を確保する、甘いもの以外のストレス対処法を持つ、といった対策が有効と思われます。
「ストレスと甘いもの」と関連する症状
「ストレスと甘いもの」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
「甘いものが欲しくてたまらない」「食べすぎてしまう」「急激な体重変化がある」「強いのどの渇きや尿の増加がある」などの症状がある場合には、早めの医療機関への受診をお勧めします。
参考文献




