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「心不全を疑うむくみ」はどこを押すと分かるかご存知ですか?初期サインも医師が解説!

 公開日:2026/05/11
「心不全を疑うむくみ」はどこを押すと分かるかご存知ですか?初期サインも医師が解説!

むくみは、日常生活でもよく見られる症状ですが、実は心臓のSOSである可能性があります。特に心不全によるむくみは、放置すると命に関わることもあるため、早期発見が重要です。

「もしかして心不全かも?」と不安を感じている方へ向けて、この記事では心不全とむくみの関係性や、むくみ以外の初期サインを解説します。また、病院で行われる検査、治療法についても紹介します。

太田 光彦

監修医師
太田 光彦(おおた循環器内科エコークリニック)

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【経歴】
1994年3月 芦屋市立潮見小学校 卒業
2000年3月 私立高槻高等学校 卒業
2006年3月 神戸大学医学部医学科 卒業
2008年3月 西神戸医療センター 初期研修 修了
2008年4月 西神戸医療センター 循環器科
2011年4月 榊原記念病院 循環器内科 専修医
2014年4月 同病院 主任専修医
2015年5月 神戸市立医療センター中央市民病院 副医長 心エコー室長
2019年4月 虎の門病院 循環器センター内科 医長 心エコー室長
2021年11月 虎の門病院 弁膜症外来 開設
2025年4月 おおた循環器内科エコークリニック 開設 【資格・所属学会】
日本循環器学会 循環器専門医
日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
日本超音波医学会 超音波専門医・超音波指導医
日本心エコー図学会 SHD心エコー図認証医
日本心臓弁膜症学会
厚生労働省 臨床研修指導医
東京都 難病指定医(循環器系疾患)
順天堂大学医学部附属順天堂医院 心臓血管外科 非常勤助手
虎の門病院 循環器センター内科 非常勤医(水曜 エコー技術指導)

心不全とは

心不全は、心臓のポンプ機能が低下することで全身に十分な血液を送り出せなくなった状態です。心臓は、全身に酸素や栄養を含んだ血液を送り出す役割を果たしています。この働きが落ちると、全身の臓器が必要とする血液量が不足したり、血液が滞ってうっ血したりするため、息切れやむくみといったさまざまな症状が現れます。心不全が起こる背景には、心臓に負担をかける別の病気が隠れていることがほとんどです。これを基礎心疾患と呼びます。代表的な基礎心疾患としては、心臓の筋肉に栄養を送る血管が詰まったり狭くなったりすることで起きる、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患が挙げられます。また、血流を一定方向に保つ弁の働きが悪くなる弁膜症や、心臓の筋肉そのものに異常が生じる心筋症なども主な原因です。さらに、長期間にわたる高血圧は血管や心臓に強い圧力をかけ続けるため、心不全を引き起こす危険因子となります。

心不全とむくみの関係性

心不全を疑う重要なサインのひとつにむくみがあります。健康な方でも長時間の立ち仕事、水分や塩分の摂りすぎでむくみを感じることはありますが。しかし心不全によるむくみには危険性が潜んでいるため、注意が必要です。ここでは、なぜ心臓の働きが悪くなると身体がむくむのか、その具体的な関係性について解説します。

心臓のポンプ機能の低下により引き起こされる

心不全になると、心臓から血液を十分に送り出せなくなるだけでなく、戻ってくる血液を受け入れきれなくなり血液が渋滞を起こすうっ血という状態に陥ります。うっ血によって血管内の圧力が異常に高まると、血液中の水分が血管の壁から周囲の組織へと少しずつ染み出し、皮膚の下に溜まってしまいます。これが心不全によるむくみのメカニズムです。さらに、全身に送り出される血液量が減ると腎臓の働きも低下し、水分や塩分を過剰にため込みやすくなります。これもむくみを悪化させる要因の一つです。

重力と還流障害により足がむくみやすい

足先まで運ばれた血液が心臓へ戻る際には、重力に逆らって血液を下から上へ押し上げなければなりません。健康な状態であれば、ふくらはぎの筋肉がポンプとして働き、血液をスムーズに押し戻す働きをします。ただし心臓のポンプ機能が弱まっていると、重力の影響を強く受けてしまい、足の静脈に血液が滞りやすくなります。そのため、すねや足の甲などが腫れてしまうことが多くなるでしょう。
 

原因が心不全あるいは別の場合でむくみの状態が異なる

心不全によるむくみは、すねあたりを指で数秒間強く押した際、くぼみができてもとに戻りづらいのが大きな特徴です。また、両足に均等に現れることが多く、動いたときの息切れや体重の急激な増加を伴う傾向があります。

心不全のむくみ以外の初期サイン

心不全の初期症状は、足や顔のむくみだけではありません。心臓のポンプ機能が低下して全身の血流が滞ると、さまざまな症状が現れます。ここでは、むくみ以外に見逃してはいけない初期サインについて解説します。

軽い運動で動悸や息切れがある

心臓の働きが低下すると、全身の筋肉や臓器に十分な酸素を含んだ血液を送り出せなくなります。すると、身体がその酸素不足を補おうとして、無意識に呼吸の回数や心拍数を増やします。これが、少し動いただけで起こる息切れや動悸のメカニズムです。

急激な体重増加がある

心臓の働きが落ちて全身の血流が悪くなると、腎臓へ流れる血液の量も減ってしまいます。その結果、尿として外に排出されるはずの水分量が減り、体内にどんどん水分が蓄積されていきます。短い期間で、2〜3kg体重が増加した場合は心不全の悪化によって身体に水が溜まっている可能性があります。そのため、早急に医療機関を受診するようにしましょう。日頃から決まった時間に体重を量る習慣をつけることが、早期発見につながります。

疲労感や食欲不振がある

全身への血流量が不足すると、筋肉に必要な酸素や栄養を十分に運べないため、疲労を感じやすいです。胃や腸などの消化器官の周囲でうっ血が生じると、食欲不振や腹部膨満感、吐き気を感じることがあります。これらも心不全によるサインである可能性があるため、むくみや息切れなどほかの症状とあわせて注意深く観察することが大切です。

心不全の検査と具体的な治療法

心不全が疑われる場合、医療機関では心臓の状態や原因となっている病気を見極めるために、さまざまな検査を行います。ここでは、病院で行われる主な検査内容と、代表的な治療法について解説します。一人ひとりの状態に合わせた治療を行うことで、生命予後の改善につながるでしょう。

心不全に対する検査

血液検査ではBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)やNT-proBNPと呼ばれるホルモン値を調べます。心エコー検査では、超音波を使って心臓の動きや弁の状態、血液の逆流がないかなどを確認します。胸部レントゲン検査は、心拡大や胸水貯留の有無を確認する検査です。心電図は、心房細動や房室ブロックなど、心不全を引き起こす不整脈の鑑別が可能です。これらの検査は、心不全の原因や重症度を評価するために欠かせません。

薬物療法

むくみや息切れなどのうっ血症状に対して、体内の余分な水分を尿として排出させる利尿薬が処方されます。血管を広げて血圧を下げ、心臓への負担を軽くする血管拡張薬や、心臓の過剰な働きを抑えて休ませるβ遮断薬なども使用します。患者さんの症状や原因疾患に合わせて、複数の薬を組み合わせて治療を行うのが薬物療法です。

食事療法や運動療法

塩分過多の食事は、心臓への負担が増え、心不全悪化の原因となりやすいそうです。1日あたりの塩分量の目安は、患者さんの状態によって異なるため、管理栄養士による栄養指導を受けましょう。運動療法については、以前は心不全の患者さんは絶対安静がよいとされていましたが、現在では心臓リハビリテーションが推奨されています。医師や理学療法士の指導のもとで、無理のない範囲で有酸素運動や筋力トレーニングを行うことで、体力を維持し、息切れなどの症状を改善する効果が期待できます。

原因疾患に対する手術やカテーテル治療

狭心症や心筋梗塞が原因であれば、血管を広げるカテーテル治療やバイパス手術を行います。弁膜症の場合は、悪くなった弁を修復したり人工の弁に取り替えたりする手術が有効です。近年では、胸を大きく開かずに太ももの血管などからカテーテルを入れて弁の治療を行うなど、身体への負担が少ない治療の選択肢も広がっています。

心不全のむくみについてよくある質問

ここまで心不全の初期サインから検査、治療方法まで紹介しました。ここでは「心不全のむくみ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

心不全によるむくみが疑われる場合は何科を受診すべきですか?

太田光彦(おおた循環器内科エコークリニック)太田 光彦医師

受診すべき診療科は、循環器内科です。心臓を専門的に診断、治療する診療科のため、日本循環器学会 循環器専門医がいるクリニックや病院の循環器内科を受診しましょう。

コーヒーやアルコール飲料は1日にどの程度飲んでもよいですか?

太田光彦(おおた循環器内科エコークリニック)太田 光彦医師

以下の症状を自覚する場合は危険な状態で、命に関わる可能性があるため、早急に受診しましょう。

  • 安静時の息苦しさ、夜間の咳
  • 横になると息苦しいが、座ると楽になる
  • 普段より血圧が著明に高いまたは低い

早期発見が予後を左右するので、異変を感じたら、かかりつけ医に相談するか救急車を呼びましょう。

編集部まとめ

足のむくみは日常生活でもよく見られる症状ですが、心臓の働きが低下することによって起こる心不全のサインである可能性も十分に考えられます。

むくみだけでなく、少し動いただけで息切れがする、急激に体重が増加するといった症状が見られる場合は注意が必要です。

心不全は一度発症すると完治することは難しいため、早期に発見し、適切な治療と生活習慣の改善を行うことで生命予後の改善につながります。

少しでも気になる症状がある場合は、自己判断で放置せず、できるだけ早めに循環器内科などの医療機関を受診するよう心がけましょう。

心不全と関連する病気

各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

心不全に関連する病気には以上のような種類があるため、定期的な検診を行い、早期発見や早期治療を心がけることが大切です。

心不全と関連する症状

各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 体重増加
  • 起坐呼吸
  • 呼吸困難や息切れ
  • 易疲労感
  • 食欲不振

動悸や息切れは、日常生活で引き起こしやすい方も少なくないでしょう。いつも以上に動悸や息切れを感じやすい場合や、身体の様子に違和感を覚える場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師