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「心筋炎の主な3つの症状」はご存知ですか?前兆となる初期症状も医師が解説!

 公開日:2024/05/21
「心筋炎の主な3つの症状」はご存知ですか?前兆となる初期症状も医師が解説!

心筋炎の症状とは?Medical DOC監修医が心筋炎の症状・初期症状・チェック法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心膜炎」とは?

心膜炎は、心臓を覆う膜である心膜が炎症を起こす疾患です。通常は細菌やウイルスによる感染が原因で発症します。主な症状は胸痛ですが、その他、発熱、全身倦怠感、息切れなどもみられます。診断のために行う検査は、身体検査、血液検査、心電図、心エコーなどです。治療法は原因によって異なりますが、一般的には抗生物質や炎症を抑える鎮痛剤が用いられます。適切な治療でほとんどの症例で治癒しますが、まれに重症化する疾患なので、胸痛などの症状が出現した場合は、早めに医療機関を受診して下さい。

心筋炎の代表的な種類

代表的な種類はウイルス性心筋炎です。原因ウイルスとして、コクサッキーやインフルエンザがあります。その他の原因としては、リウマチ熱や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患です。症状はウイルス性心筋炎と似ていますが慢性化することがあるので注意が必要です。インターフェロンや抗がん剤などの薬剤が原因となることもあります。薬剤の副作用によるものです。アルコールやコカインなどの嗜好品が原因となることもあります。

急性心膜炎

急性心膜炎は、心臓を覆う膜である心膜が突然炎症を起こす疾患です。主な原因は細菌感染ですが、ウイルスや真菌感染、自己免疫疾患が原因となることもあります。最も一般的な症状は胸痛ですが、どんな痛みであるかをチェックする必要があります。刺すような痛みや、締め付けられるような痛みが多いです。左胸部に多くみられますが、右胸部や肩、背中に広がることも少なくありません。咳、深呼吸、体動により悪化する傾向があります。38℃前後の発熱が認められることが多く、数日から数週間続きます。それに伴い、全身倦怠感、心臓の鼓動を速く感じたり、不規則に感じたりする動悸も見られることが多いです。すぐにできる処置、症状の落ち着かせ方としては以下が重要です。まず、体を動かすと胸痛が悪化する可能性があるため、安静を促してください。次に、前かがみになると胸痛が軽減することがあるのでこの姿勢を促して下さい。炎症の軽減目的に、患部のアイシングが有効なこともあります。このような処置を行った後は早めに医療機関を受診して下さい。受診すべき病院や科は、心臓疾患を専門とする循環器内科です。急性心膜炎は重篤な合併症を引き起こす疾患なので、胸痛が非常に強い場合や呼吸困難や意識障害がある場合は、救急車を要請しましょう。

慢性心膜炎

慢性心膜炎は、心臓を覆う膜である心膜が長期間にわたって炎症を繰り返す疾患です。そのため、心膜が厚くなったり硬くなったりして、心臓の動きを妨げます。主な原因は感染症、膠原病、甲状腺疾患などですが、急性心膜炎が治りきらずに慢性化した場合もあります。
代表的な症状は胸痛です。前胸部に締め付けられるような痛みで、深呼吸、咳、体動時に悪化する傾向にあります。その他、軽度の発熱、安静時の息切れ、全身倦怠感、動悸、むくみが見られることも多いです。症状を落ち着かせるためには、体動で胸痛が悪化しますので安静にさせて下さい。医学的処置としては、炎症や胸痛を抑えるための薬物療法、むくみを取るための利尿剤投与、息切れが強い時の酸素吸入療法などがあります。受診すべき病院や科は、心臓疾患を専門とする循環器内科です。胸痛が非常に強い場合や呼吸困難や意識障害がある場合は、救急車を要請しましょう。

心筋炎の代表的な症状

代表的な症状として、胸痛、呼吸困難、動悸があります。以下が各症状のチェックポイントです。

胸痛

胸の中央部や左側に、しめつけられるような圧迫感、鋭い痛み、燃えるような痛みが起こります。数分間から数時間持続し、深呼吸、咳、体動で悪化する傾向にあります。このような場面に遭遇した際はまずは安静を指示しましょう。次に、前かがみや横になって体を楽にする姿勢を取らせる、衣服を緩めるようにします。深呼吸は胸痛を悪化させる可能があるので深呼吸を避けるなどを指示しましょう。以上の対処で症状を落ち着かせることができます。その後、循環器内科を受診させて下さい。胸痛が非常に強い、呼吸困難、めまいなどの症状がある場合は、救急車を要請しましょう。

呼吸困難

様々な症状が混在します。病状の初期においては、軽い活動や安静時に息切れを感じることが多いです。病気が進展すると、歩行や階段昇降などの行動で息切れがひどくなります。さらに病状が進展すると、仰向けで寝ると苦しくなったり、夜中に息切れで目が覚めたりする症状が出現します。これらの症状は、心臓機能が低下することにより体への酸素供給が不十分になるために生じる症状です。症状を落ち着かせるためには、安静、座った状態で前かがみにする、高めの枕を使って体を起こすなどの処置があります。これらが出現した場合は、酸素吸入が必要となる場合が多いので循環器内科を受診させて下さい。呼吸が非常に苦しい、意識がおかしいなどの所見を認める場合は、救急車を要請しましょう。

動悸

心臓の鼓動が速くなったり、遅くなったり、不規則になったりすることで起こります。胸痛、胸部圧迫感、胸部不快感、めまいを併発することもあります。こういった症状が起こった時は、安静、深呼吸、リラックスを心がけましょう。動悸は、身体活動やストレスによっても生じますので注意をしましょう。動悸は様々な疾患で起こりますので、鑑別診断を含め医療機関を受診して下さい。その際は循環器内科を受診して下さい。動悸とともにめまいや失神が起こった際は、命に係わる致死性不整脈の疑いがあります。迅速な対応が必要な場合が多いので救急車を要請しましょう。

心筋炎の前兆となる初期症状

代表的な前兆となる初期症状として呼吸困難、全身倦怠感、発熱があります。以下が各症状のチェックポイントです。

呼吸困難

呼吸困難の具体的な症状として、軽い運動や安静時で呼吸が苦しく感じる、呼吸が浅い感じがする、歩行や階段昇降で息切れがひどくなる、仰向けで寝ていると息苦しい、夜中に息切れで目が覚めるなどがあります。これらの症状は心筋炎以外の疾患でも起こりますので注意が必要です。呼吸困難が現れた場合のすぐにできる処置としては、安静、体を楽にする姿勢、深呼吸を促しリラックスを促すことが重要です。このような症状が起こった際は、循環器科や呼吸器科を受診しましょう。呼吸困難が急激に増強する、意識低下がみられる時は緊急を要します。迅速に医療機関を受診しましょう。

全身倦怠感

休息しても回復しないような全身倦怠感とともに、息切れや胸部圧迫感、動悸などの症状が現れた時は心筋炎の疑いがありますので内科や循環器科を受診して下さい。ただし、これらの症状は他の疾患でも起こることも多く、必ずしも心筋炎の前兆とは限りません。安静を心がけ、病院にて早めの診断を受けましょう。全身倦怠感が急激に進んだ場合は、迅速な対応が望まれますので救急車の要請を考慮しましょう。

発熱

数日間の発熱とともに胸部不快感が現れた時は、心筋炎の疑いがありますので内科や循環器科を受診して下さい。ただし、これらの症状は他の疾患でも起こることも多く、必ずしも心筋炎の前兆とは限りません。安静や水分補給を心がけ確定診断をする意味でも早めの受診をしましょう。

すぐに病院へ行くべき「心筋炎の症状」

ここまでは心筋炎の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

胸痛や発熱の症状がある場合は、循環器科へ

心筋炎は、心臓の筋肉に炎症が起こる病気です。初期症状は風邪のような軽いものですが、重症化すると命に関わることもあります。発熱に加え、胸部圧迫感や締め付けつけられるような胸痛が出現した場合は早期の循環器科受診をお勧めします。

受診・予防の目安となる「心筋炎の症状」のセルフチェック法

  • ・発熱がある場合
  • ・胸痛がある場合
  • ・胸部圧迫感がある場合
  • ・呼吸困難がある場合
  • ・全身倦怠感が強い場合

心筋炎を予防する方法

心筋炎は多くは感染症が原因となりますので、予防する方法としては、感染症の予防、免疫力の強化、早期治療が重要です。

感染症の予防

原因となる病原体を避けることが、最も効果を発揮します。手洗いを頻繁に行い、感染症の拡散を防ぐために人混みや感染源となる場所を避ける、マスク着用を考慮することが効果的です。また、予防接種が可能な対象疾患であれば接種をお勧めします。

免疫力の強化

免疫力強化は感染症対策の基本です。日常生活において、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスを管理し、適度な運動を行うことで免疫力を高めることができます。禁煙に心がけ、過度の飲酒を控えることも重要です。

早期治療

感染症を放置した場合は、発症リスクを高める可能性がありますので、発熱などの感染症の初期症状が認められた場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。

「心筋炎の症状」についてよくある質問

ここまで心筋炎の症状などを紹介しました。ここでは「心筋炎の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心筋炎を発症すると、どこにどんな痛みが現れますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

一般的には、胸の中央部や左胸部に痛みが起こります。締め付けられるような痛みで息苦しさを伴うことも多いです。

子どもが心筋炎を発症した場合、どんな症状が現れますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

大人と同様の症状が認められます。しかしながら以下の点に注意する必要があります。子どもは症状を訴えるのが苦手なので見逃されることがあります。発症すると重症化しやすい特徴があります。また経過が早いのも特徴です。

コロナの感染、後遺症で心筋炎を発症することはありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

あります。発症することは稀ですが、重症化するリスクが高く注意が必要です。コロナ後遺症としての心筋炎は、コロナ発症後の数週間から数ヶ月の 経過後に発症することが多いです。主な症状は、 発熱、胸痛 、息切れ 、全身倦怠感などです。予防策としてワクチン接種が有効と報告されています。また、新型コロナウイルスワクチン接種後の心筋炎が話題となりましたが、非常に稀であると報告されています。ただ、1回目よりも2回目接種後に、高齢者よりも思春期や若年成人に、女性よりも男性に多く見られます。

まとめ 心筋炎を疑ったら循環器内科へ!

心筋炎の初期症状は感冒と似た症状を呈しますが、適切な治療が遅れると命に関わる疾患です。従って、発熱、胸痛、呼吸困難、全身倦怠感などの症状がみられた場合は早期に医療機関を受診して下さい。日常生活においては感染症の予防や免疫力の強化に心がけることが重要です。

「心筋炎の症状」と関連する病気

「心筋炎の症状」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

消化器科の病気

心筋炎の症状は他の病気と区別がつきづらいです。胸の強い痛みがあったり、持続する場合には、循環器内科を受診しましょう。場合によっては、心臓以外の病気が隠れている可能性もあります。まず、精査をしてもらうことが重要です。

「心筋炎の症状」と関連する症状

「心筋炎の症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

心筋炎の症状は胸痛が特徴的といえますが、そのほかにもさまざまな症状が出ます。しかし、症状のみでは心筋炎の診断はつかず、他の病気が隠れている可能性も高いです。これらの症状がみられる場合には、何かしら体の不調がある事が多いです。病院へ行き、不調の原因を調べてもらうことが大切です。

この記事の監修医師