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女性に多い「スキルス胃がんの予後」は悪い?5年生存率約10%の理由と症状も医師が解説!

 公開日:2026/04/10
女性に多い「スキルス胃がんの予後」は悪い?5年生存率約10%の理由と症状も医師が解説!

メディカルドック監修医がスキルス胃がんの予後・5年生存率・症状・原因・なりやすい人の特徴・検査・治療法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は消化器外科、消化器内科、産業医を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、永仁会病院に勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

「スキルス胃がん」とは?

スキルス胃がんは、胃がんの中でも特に治療が困難とされる悪性度の高いがんです。「スキルス」とはギリシャ語で「硬い」を意味する言葉で、その名の通り胃壁が硬く厚くなることが特徴です。このがんは、がん細胞が胃壁の深い層に浸潤し、正常な胃壁組織を破壊しながら線維化を引き起こします。その結果、胃の収縮能力が低下し、食事の通過が困難になります。スキルス胃がんは全胃がんの約10~15%を占め、特に40歳以下の若い女性に発症しやすいという特徴があります。進行が早く、発見時にはすでに進行した状態であることが多いため、「予後不良」とされることが多いがんです。しかし、適切な治療により予後の改善が期待できる場合もあります。

「スキルス胃がん」と「胃がん」の違いとは?

スキルス胃がんと一般的な胃がんの最も大きな違いは、がんの進行パターンと組織学的特徴にあります。一般的な胃がんは、胃の粘膜表面から発生し、徐々に深部へと進行していきます。内視鏡検査で比較的発見しやすく、早期発見が可能な場合が多いのが特徴です。一方、スキルス胃がんは胃壁の深い層から発生し、水平方向に広がりながら胃壁全体を厚くしていきます。これにより胃壁が硬く厚くなり、胃の伸展性が失われます。診断面では、スキルス胃がんは内視鏡検査でも発見が困難な場合が多く、発見時にはすでに進行した状態であることが特徴です。また、腹膜播種(腹腔内への転移)を起こしやすいという特徴もあります。

スキルス胃がんの予後は良い?悪い?

スキルス胃がんは、残念ながら一般的な胃がんと比較して予後は不良です。この理由は複数の要因が関係しています。まず、スキルス胃がんは発見時にすでに進行した状態であることが多く、早期発見が困難な点です。次に、スキルス胃がんは腹膜播種を起こしやすいという特徴のためです。腹膜播種とは、がん細胞が腹腔内に散らばって転移することで、この場合の治療は非常に困難です。しかし、近年の医療技術の進歩により、集学的治療(手術、化学療法、放射線治療の組み合わせ)によって予後の改善が期待できる場合もあります。早期発見と適切な治療により、良好な経過をたどる患者さんも存在します。

スキルス胃がんの5年生存率はどれくらい?

スキルス胃がんの5年生存率は、病期(ステージ)によって大きく異なりますが、全体的には一般的な胃がんよりも低い傾向にあります。 スキルス胃がんは早期発見が困難であることが多く、この段階で発見される症例は限られています。日本の報告では、スキルス胃がんの累積5年生存率は10.2%です。また、今までのスキルス胃がんに関する報告をまとめると、ステージ別にステージⅡ/Ⅲの治癒切除後の5年生存率は、24.3%~30%程度、ステージⅣなどで非治癒切除では0%~6%程度でした。ただし、5年生存率は統計的なデータであり、個々の患者さんの状態、年齢、治療に対する反応性などにより大きく異なります。また、近年の治療法の進歩により、従来よりも良好な成績が得られる場合も増えています。

スキルス胃がんの主な症状

上腹部痛

スキルス胃がんの最も一般的な症状は、上腹部の痛みです。この痛みは、がん細胞が胃壁に浸潤し、胃の収縮能力が低下することで生じます。症状の特徴として、持続的な鈍痛や圧迫感があり、食事とは関係なく現れることが多いです。消化器内科や内科を受診し、症状の詳細な問診と適切な検査を受けることが重要です。特に40歳以下の女性で持続的な上腹部痛がある場合は、緊急性を持って受診することをお勧めします。

食欲不振・体重減少

スキルス胃がんでは、食欲不振と体重減少が重要な症状として現れます。これは、がんによる胃の機能低下と全身状態の悪化が原因です。急激な体重減少を伴う場合は、悪性疾患の可能性を考慮する必要があります。消化器内科での詳細な検査が必要です。特に、原因不明の体重減少が続く場合は、早急に内視鏡検査やCT検査などの精密検査を受けることが重要です。

嘔吐・胃もたれ

スキルス胃がんでは、胃の収縮能力が低下するため、嘔吐や胃もたれが頻繁に起こります。これは、食べ物が胃に停滞しやすくなることが原因です。症状が持続し改善しない場合は、スキルス胃がんの可能性を考慮する必要があります。消化器内科での詳細な検査が必要です。特に、嘔吐が頻繁に起こり、水分摂取も困難な場合は、脱水や栄養不良の危険性があるため、早急に受診することが重要です。

腹部膨満感

スキルス胃がんでは、腹部の膨満感が持続的に現れることがあります。これは、胃の機能低下による消化不良や、腹水の貯留が原因となることが多いです。持続的な腹部膨満感や腹水の貯留が疑われる場合は、悪性疾患の可能性を考慮する必要があります。消化器内科での詳細な検査が必要です。特に、腹部膨満感が急速に進行する場合や、腹水の貯留が疑われる場合は、緊急性を持って受診し、腹部超音波検査やCT検査などの精密検査を受けることが重要です。

スキルス胃がんの原因

ヘリコバクター・ピロリ菌感染

ヘリコバクター・ピロリ菌感染は、スキルス胃がんの重要な原因の一つです。この細菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期間にわたって胃粘膜を傷害し、がん化のリスクを高めます。特に、若い女性に発症しやすいスキルス胃がんでは、ピロリ菌感染の関与が強く疑われています。症状としては、初期には無症状であることが多いですが、慢性胃炎の進行により上腹部不快感、食後の胃もたれ、食欲不振などが現れることがあるため注意しなければなりません。消化器内科での検査を受け、感染が確認された場合は除菌治療を行うことが重要です。

遺伝的要因

スキルス胃がんには遺伝的要因が関与していることが知られています。症状としては、遺伝的要因そのものによる直接的な症状はありませんが、若い年齢での胃がん発症や、家族内での胃がん多発が特徴的です。遺伝的要因の評価には、詳細な家族歴の聴取と遺伝子検査が必要です。家族内に胃がんや乳がんの患者が複数いる場合は、遺伝子カウンセリングを受けることも検討されます。消化器内科や腫瘍内科などでの相談を受け、必要に応じて遺伝子検査を行いましょう。遺伝的リスクが高い場合は、定期的な内視鏡検査による早期発見が重要です。

生活習慣要因

生活習慣要因もスキルス胃がんの発症に関与しています。特に、食事習慣、喫煙、飲酒などが重要な要因とされており、注意しなければなりません。塩分の過剰摂取は胃粘膜を慢性的に刺激し、がん化のリスクを高めます。また、喫煙は胃粘膜の血流を悪化させ、修復機能を低下させます。過度の飲酒も胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こします。長期間の喫煙や飲酒により、胃粘膜の萎縮が進行する場合もあり、気をつけなければなりません。生活習慣の改善には、減塩食、禁煙、適度な飲酒量の維持、バランスの取れた食事が重要です。消化器内科での生活指導を受け、必要に応じて禁煙外来や栄養相談を利用することが効果的です。

スキルス胃がんになりやすい人の特徴

年齢・性別(特に若い女性)

スキルス胃がんは、一般的な胃がんとは異なる疫学的特徴を持っています。最も特徴的なのは、若い女性に発症しやすいということです。若い女性でも持続的な上腹部症状がある場合は、軽視せずに医療機関を受診することが重要です。消化器内科での詳細な検査を受けることが勧められます。特に、家族歴がある場合や症状が持続する場合は、緊急性を持って内視鏡検査などの精密検査を受けることが必要です。

家族歴・遺伝的素因

家族歴はスキルス胃がんの重要なリスク要因の一つです。特に、若い年齢での胃がん発症や、家族内での胃がん多発は遺伝的要因の関与を示唆します。遺伝的素因により若い年齢での発症や進行が早い場合があります。家族歴がある場合は、消化器内科や腫瘍内科での相談を受け、必要に応じて遺伝子カウンセリングを受けることが重要です。定期的な内視鏡検査による早期発見が推奨され、継続的な経過観察が必要です。

既往歴・基礎疾患

既往歴や基礎疾患もスキルス胃がんの発症に関与する可能性があります。特に、慢性胃炎、胃潰瘍、萎縮性胃炎などの胃疾患は重要なリスク要因です。ヘリコバクター・ピロリ菌感染による慢性胃炎は、長期間にわたって胃粘膜を傷害し、がん化のリスクを高めます。消化器内科での定期的な経過観察と内視鏡検査が重要です。既存の胃疾患がある場合は、症状の変化に注意を払い、定期的な検査により早期発見に努めることが必要です。

スキルス胃がんの検査法

内視鏡検査(胃カメラ)

内視鏡検査は、スキルス胃がんの診断において最も重要な検査です。しかし、スキルス胃がんは通常の胃がんと異なり、内視鏡検査でも発見が困難な場合があります。消化器内科や内視鏡科で行われる検査で、細いカメラを口または鼻から挿入し、胃の内部を直接観察します。入院は通常必要ありませんが、検査前の絶食が必要です。検査時間は約10〜20分程度で、鎮静剤を使用した場合は、当日の運転は禁止です。

胃造影検査(胃バリウム検査)

スキルス胃がんの発見については胃カメラよりも、バリウム検査のほうが適している場合もあります。胃カメラで内側から胃の壁を見ても変化がわからないことが多く、早期発見しにくいことがあります。しかし、バリウム検査では全体の胃の形を俯瞰して観察できるので、スキルス胃がんの発見に有効です。検査は消化器内科で行い、検査前の絶食が必要です。検査時間は約10分程度で、入院は通常必要ありません。

CT検査

CT検査は、スキルス胃がんの進行度や転移の有無を評価するために重要な検査です。特に、腹膜播種の検出に優れています。放射線科で行われる検査で、造影剤を使用して腹部全体を撮影します。検査により、がんの進行度の判定や、手術の適応を決定することができます。また、治療効果の判定にも使用されることが多いです。入院は通常必要ありませんが、造影剤を使用するため、検査前の絶食が必要です。

腹腔鏡検査

腹腔鏡検査は、スキルス胃がんの腹膜播種の診断において重要な検査です。CTでは検出困難な微小な腹膜播種の発見が可能です。消化器外科で行われる検査で、全身麻酔下で腹部に小さな切開を加え、腹腔鏡を挿入して腹腔内を直接観察します。必要に応じて、腹水の細胞診検査も行われます。入院が必要で、通常1〜2日程度の入院期間が必要です。全身麻酔を使用するため、検査前の詳細な術前検査が必要です。

スキルス胃がんの治療法

手術治療

手術治療は、スキルス胃がんの根治的治療の中心となる治療法です。しかし、スキルス胃がんの特性上、手術の適応は限られる場合があります。スキルス胃がんでは、がんが胃壁全体に広がっていることが多いため、胃全摘術が選択されることが多いです。胃だけでなく、リンパ節郭清も同時に行われます。消化器外科に入院が必要で、通常数週間程度の入院期間が必要です。

化学療法

化学療法は、スキルス胃がんの治療において大変重要です。手術前の術前化学療法、手術後の術後化学療法、進行例での緩和的化学療法があります。腫瘍内科や消化器外科で行われる治療で、複数の抗がん剤を組み合わせて投与することも多いです。治療により、がんの縮小や進行の抑制、症状の改善が期待されます。治療は、入院または外来で行われ、通常数週間サイクルで複数回繰り返されることが多いです。

放射線療法・緩和医療

放射線療法は、症状緩和や局所制御を目的として行われることがあります。また、進行した症例では、疼痛管理や症状緩和を目的とした緩和医療が重要な役割を果たします。放射線療法は放射線科で行われ、通常は外来で実施されることが多いです。緩和医療は、疼痛管理、栄養管理、精神的ケアなどを多職種チームによって包括的に提供されます。入院の必要性は患者さんの状態や治療内容により決定されます。

「スキルス胃がんの予後」についてよくある質問

ここまでスキルス胃がんの予後について紹介しました。ここでは「スキルス胃がんの予後」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

スキルス胃がんが転移する確率はどれくらいですか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

スキルス胃がんは他の胃がんと比較して転移しやすい特徴があります。診断時に既に転移を認める場合が多く、特に腹膜播種や多臓器転移があり、ステージⅣと診断されるケースが多い病気です。スキルス胃がんは、診断時に約60~80%の症例で遠隔転移や腹膜播種が認められるという報告があります。ただし、これらの数値は診断時の病期や患者さんの状態により大きく変わるため、個々の症例について主治医とよく相談することが重要です。

スキルス胃がんの末期症状について教えてください。

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

スキルス胃がんの末期症状として、腹膜播種による腹水貯留に伴う腹部膨満感、食事摂取困難、嘔吐などが挙げられます。また、全身状態の悪化により、強い倦怠感、体重減少、貧血、呼吸困難などが現れることがあります。疼痛も重要な症状の一つで、腹痛や背部痛が持続することがあります。これらの症状に対しては、適切な緩和医療により症状の軽減を図ることが可能です。症状の管理については、緩和医療専門医や主治医と密に連携し、患者さんの生活の質の向上を目指した治療を行うことが重要です。

まとめ スキルス胃がんは、早期発見が肝心!

スキルス胃がんは、その特徴的な浸潤パターンと早期発見の困難さから、予後が不良とされる胃がんの一種です。しかし、適切な診断と治療により、予後の改善が期待できます。重要なのは、早期発見と適切な治療です。家族歴がある方や、持続する胃の症状がある方は、定期的な検査を受けることをおすすめします。また、ピロリ菌の除菌治療や生活習慣の改善により、予防に努めることも大切です。スキルス胃がんの診断や治療は複雑で、専門的な知識と経験が必要となります。症状がある場合は、早期に消化器内科や胃腸科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。医療技術の進歩により、以前は治療困難とされていた症例でも、新しい治療法により予後の改善が期待できるようになってきています。

「スキルス胃がん」に関連する病気

「スキルス胃がん」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

良性疾患から悪性疾患まで様々な病気がありますが、胃がんのリスクが高い方は定期的な健診や胃がん検診などを受けることをおすすめします。

「スキルス胃がん」に関連する症状

「スキルス胃がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胃痛
  • みぞおちの痛み
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 腹部膨満感
  • 全身倦怠感

これらの症状は他の疾患でも見られるため、持続する場合は医療機関での相談をお勧めします。

この記事の監修医師