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「胃ポリープの切除法」はご存知ですか?切除後の食事についても医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/22
「胃ポリープの切除法」はご存知ですか?切除後の食事についても医師が徹底解説!

胃ポリープの切除法とは?Medical DOC監修医が胃ポリープの種類・切除法・切除後の食事・原因・できやすい人の特徴・治療法・放置するとどうなるか・検査法・予防法などを解説します。

齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は一般外科、消化管内視鏡検査、生活習慣病を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、高砂内科・消化器科クリニックに勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。

「胃ポリープ」とは?

胃の粘膜の一部が盛り上がってできた病変を「胃ポリープ」と呼びます。胃ポリープは多くの場合、自覚症状はありませんが、胃ポリープの中には放置すると悪性化する可能性もあるため、定期的な検査と適切な治療が重要です。

胃ポリープの種類

胃ポリープの代表的なものは胃底腺ポリープと過形成性ポリープがあります。胃腺腫はポリープと似ていますが、厳密には異なり、良性上皮性腫瘍です。それぞれの特徴を理解して、胃ポリープの知識をつけましょう。

胃底腺ポリープ

胃の入り口に近い部分にできるポリープで、ピロリ菌感染との関連は低いと考えられています。大きさは数ミリ程度で、通常は症状を引き起こしません。無症状であることがほとんどで、がん化の可能性は極めて低いので一般的には経過観察を行います。

過形成性ポリープ

ピロリ菌感染や慢性的な胃炎を背景に生じることが多いポリープです。稀にがん化するものがあるため、特に2cmを超えるような大型のものや大きさが増大傾向のものは切除を検討します。無症状ですが、大きくなると出血や腹痛を引き起こすことがあります。

胃腺腫

胃腺腫は厳密にはポリープではなく、良性上皮性腫瘍です。がん化のリスクがあるため、2cm以上のものや生検結果で悪性度が高いと判断された場合には切除を行います。無症状であることが多い病変です。

胃ポリープの切除法

胃ポリープの切除は、内視鏡(胃カメラ)を用いて行われます。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

ワイヤーをポリープの根元にかけてポリープを切除します。比較的小さなポリープの切除に用いられます。切除したポリープは、回収して組織検査することで、良性・悪性の判断をします。消化器内科や内視鏡専門クリニックなどで、日帰りで可能です。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

生理食塩水をポリープの粘膜の下に注入し、リング状のワイヤーをかけて絞り込み、高周波電流で焼き切る手術です。消化器内科や内視鏡専門クリニックなどで、日帰りまたは1泊程度の入院で治療が可能です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

薬剤を粘膜下層に注入し、マーキングの上、病変部の粘膜をナイフで切り取ります。EMRよりも大きなポリープを切除することができます。消化器内科や内視鏡専門クリニックなどで、数日間の入院が必要となる場合があります。

胃ポリープ切除は日帰りで帰れる?入院は必要?

ポリープの大きさや種類、切除方法によって異なりますが、多くの場合は日帰りまたは1泊程度の入院で可能です。より深さが深いポリープでは入院の上、手術後の経過観察で内視鏡をする場合があるので、入院が数日〜1週間程度になる場合もあります。

胃ポリープ切除後の食事は何を食べたらいい?

切除後は、胃への負担を軽減するために、消化の良いものを中心に摂取することが大切です。

麺類

温かいお粥、うどん、そうめんなど消化の良い炭水化物をとりましょう。

高タンパクで脂肪の少ない食品

豆腐、白身魚、鶏むね肉など脂質の少なく、消化にお腹の負担にならないものをよく噛んで食べるようにしましょう。

スープ類・野菜類

野菜スープ、温野菜、果物などを積極的に摂り、ビタミン・ミネラルを補給しましょう。

胃ポリープができる原因

胃ポリープができる原因は様々ですが、以下のようなものが考えられます。

ピロリ菌感染

ピロリ菌は胃の粘膜に炎症を引き起こし、ポリープの発生を促すことがあります。消化器内科を受診し、胃カメラを受けましょう。胃カメラでピロリ菌の感染が疑われる場合には、ピロリ菌検査に進み、陽性であれば除菌治療を行います。ピロリ菌除菌により、胃ポリープや胃がんのリスクを下げることができます。

慢性胃炎

長期間続く胃炎は、ポリープの発生リスクを高めます。胃炎の原因を特定し、適切な検査・治療を受けましょう。胃炎がある方は消化器内科にて定期的な胃カメラで経過観察が必要です。

薬剤の影響

一部の薬剤(例:プロトンポンプ阻害薬)の長期服用は、ポリープの発生を促す可能性があります。自己判断で薬の服用を中止せず、医師に相談しましょう。

胃ポリープができやすい人の特徴

以下のような特徴や生活習慣を持つ人は、胃ポリープができやすい傾向があります。

ピロリ菌非感染者

ピロリ菌に感染していない胃には胃底腺ポリープが見られることが多いとされています。胃底腺ポリープはがん化が極めて稀なので経過観察をします。

胃薬を内服している人

胃底腺ポリープは胃酸分泌を抑制する胃薬を長期服用により新たに発生したり、増加するという報告があります。

ピロリ菌感染者

ピロリ菌によって胃の粘膜に炎症が起こり、萎縮性(いしゅくせい)胃炎を起こします。この萎縮性胃炎は過形成性ポリープの発生源となります。ピロリ菌の感染者の方には除菌治療がおすすめです。

胃ポリープを放置するとどうなる?

胃ポリープを放置すると、以下のようなリスクがあります。

がん化

特に胃腺腫はがん化のリスクがある前がん病変であるため早期発見・治療が重要です。その他に過形成性ポリープのごく一部もがん化の可能性がありますので、経過観察が必要です。

出血

ポリープが大きくなると、出血しやすくなります。貧血や吐血などを引き起こすこともあります。

胃の出口の閉塞

ポリープが大きくなりすぎると、胃の出口を塞いでしまい、吐き気や嘔吐などを引き起こすことがあります。

胃ポリープの検査法

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

消化器内科や内視鏡専門クリニックなどで、口から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸を観察します。ポリープを発見した場合、同時に組織検査を行うことも可能です。日帰りで可能です。

バリウム検査

バリウムという造影剤を飲んでレントゲン撮影を行い、胃の形状や病変の有無を調べる検査です。日帰りで行う検査です。

腹部超音波検査(エコー検査)

超音波を使って、胃や周辺臓器の状態を調べる検査です。日帰りが可能な検査です。

CT検査

X線を使って、胃や周辺臓器の詳細な断層画像を撮影する検査です。日帰りで検査できます。

胃ポリープの予防法

胃ポリープの予防には、以下の方法が有効です。

ピロリ菌感染の予防・除菌

ピロリ菌感染を予防・除菌することで、過形成性ポリープの発生リスクを低減できます。
ピロリ菌感染の予防のためには生水を飲まないことや、食事の際は、箸やスプーンなどを共用しないなどがあります。定期的にバリウムや胃カメラ、ピロリ菌検査を受けることも予防につながります。

胃炎の予防・治療を行う

胃炎を予防・治療することで、ポリープの発生リスクを低減できます。胃炎の予防のためには刺激物(香辛料、アルコール、カフェインなど)や塩分を控える、規則正しい食生活を送る、ストレスを溜め込まないで十分な睡眠をとるなどがあります。

定期的な検査

定期的な検査で早期発見・治療を行うことで、がん化のリスクを低減できます。症状がなくても、定期的に胃がん検診や内視鏡検査を受けましょう。

「胃ポリープの切除」についてよくある質問

ここまで胃ポリープの切除などを紹介しました。ここでは「胃ポリープの切除」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃ポリープの切除費用について教えてください。

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

胃ポリープの切除費用は、ポリープの大きさや数、切除方法、入院の有無などによって異なります。日帰りでの切除の場合:3割負担の方で、1万円〜3万円程度が目安となります。数日間入院した場合、3割負担の方で、5万円〜10万円程度かかることもあります。高額療養費制度を利用して、医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分は払い戻しを受けることができます。

編集部まとめ 胃ポリープを早期に見つけるため検査を受けよう!

胃ポリープは、自覚症状がないことが多いため、定期的な検査が重要です。ポリープの一部はがん化することがあるため、慎重な経過観察や早期治療を行うことが重要です。普段から食事や生活習慣を正した上で、定期的な胃がん検診や内視鏡検査を受けることでがん化のリスクを低減し、健康な胃を守ることができます。

「胃ポリープ」と関連する病気

「胃ポリープ」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

胃ポリープと関連するものとして、上記のような病気が挙げられます。それぞれの病気はお互いに関連していたり、似たような症状がみられたりします。定期的な検診で胃の病気を早期に発見するようにしましょう。

「胃ポリープ」と関連する症状

「胃ポリープ」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

胃の健康を守るためには、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理、そして定期的な検査が大切です。少しでも気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。

この記事の監修医師