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「膀胱がんを放置」するとどうなる?症状や原因も解説!【医師監修】

 公開日:2024/11/30
「膀胱がんを放置」するとどうなる?症状や原因も解説!【医師監修】

膀胱がんといわれてあなたはどのような病気をイメージしますか。膀胱がんという病名を知ってはいても、具体的なイメージができない方もいるかもしれません。

今回は膀胱がんを放置する危険性について解説していきます。あわせて症状や治療方法に関しても紹介するので、膀胱がんと診断されて治療を検討している方だけでなく、膀胱がんについて知りたい方も参考にしてください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

膀胱がんとは?

膀胱がんとは、その名前のとおり膀胱にできるがんです。膀胱がんの罹患率は、1万人に18.5人といわれています。膀胱がんは次の3つに分類できます。

  • 筋層非浸潤性がん……膀胱の粘膜までで筋層には届かず、膀胱内腔に隆起した状態です。侵襲度の低くライフスタイルへの影響もさほどない治療が行える段階になります。
  • 筋層浸潤性がん……膀胱内腔に隆起するのみならず、筋層に達している状態です。筋層への深達度によって治療方法や予後が変わってきます。手術による尿路変更を伴うこともあります。
  • 転移性がん……がんが膀胱内のみならずほかの臓器にも転移している状態です。転移の部位や状態にもよりますが、いずれの治療も困難なケースもあります。

膀胱がんを放置する危険性

膀胱がんは70〜80%のケースで早期発見されていますが、再発率が高いことも特徴です。しかし早期に膀胱がんと判明し継続して治療と定期的な受診をおこなうことで、日常生活への影響が少なく過ごすことが可能です。
もし、あなたが出現した症状を「大したことないだろう」と自己判断し、放置するとどうなるのでしょうか?がんは膀胱がんに限らず、治療をせずにいると進行していく病気です。
膀胱がんも初期症状を軽視し放置すると、徐々に大きくなり、さまざまな症状を呈し治療方法の選択肢が少なくなります。

膀胱がんの症状

膀胱がんにはどのような症状があるのでしょうか?主な症状について説明していきます。

血尿

血尿とは尿のなかに血液が混ざっている状態です。膀胱がんの症状のなかでも、よく見られる症状の1つです。
その割合は膀胱がん患者さんの8割以上ともいわれています。初期では血液混入が少量のため、肉眼的には血尿だとわからないこともあります。無症状かつ肉眼的な血尿という症状が出現し、そこではじめて身体の異変に気付くことも少なくありません。
またこの肉眼的血尿は数日で消失してしまうこともあります。

頻尿

日本泌尿器科学会では頻尿は朝から夜までの排尿回数が8回以上と定義されています。
さらに1日の排尿回数は個人差がさまざまなため、8回以下でも自分自身で排尿回数が多い、と感じる場合も頻尿といえるとされています。

排尿時の痛み

通常、排尿時に痛みは伴いません。しかし膀胱がんの場合、排尿時に尿道や膀胱周囲に痛みや違和感を伴うことがあります。
この排尿時の痛みは、尿道の粘膜が損傷したり細菌による感染を起こした時に出現することがほとんどです。

残尿感

排尿後に尿が残っているような感覚やスッキリしない感じがあることを残尿感といいます。
この症状は尿の排出経路である、膀胱から尿道口までの通過障害が主な原因です。
すなわち膀胱がんにより、尿の排出経路で通過障害が生じている場合に、有する症状といえます。

切迫した尿意

膀胱がんでは、我慢ができないような急におしっこがしたくなるという症状が出現することもあります。
これはがんが膀胱を刺激することで生じる症状です。

膀胱がんの治療方法

進行度や範囲により選択できる治療方法が変わってくるのが、膀胱がんの治療法です。また膀胱がんの状況によっては、複数の治療方法を組み合わせて行うこともあります。
一般的に膀胱がんの状況(悪性度や深達度)を把握する目的でまず行われるのが、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)です。この際に切除した部位を検査に提出し、その結果を踏まえて治療方法が決まります。
ここからは、その際に提案されるであろう、主な膀胱がんの治療法5つについて解説していきます。

膀胱内注入療法

筋層非浸潤性膀胱がんに対する膀胱内にBCG薬液(ウシ型弱毒結核菌)や抗がん剤を注入して行う治療法です。
BCG薬液・抗がん剤のどちらを注入するのか、どの程度の回数や期間をおこなうのかはリスク分類をもとに判断されます。
治療には尿道口からカテーテルと呼ばれる細い管の挿入が必要です。カテーテルの先端が膀胱に到達したら残尿を排出させ、BCG薬液または抗がん剤をカテーテルを経由して注入します。
注入後は1〜2時間程度排尿を我慢し膀胱内に貯めておき、その後排尿をして終了です。

手術

膀胱がんの外科的手術は、一般的に膀胱全摘出術です。膀胱全摘出術では男性の場合は膀胱・前立腺・精巣、女性の場合は尿道・子宮・卵巣まで一緒に摘出する術式になります。
また尿をためておく役割の膀胱を摘出するため、尿を身体の外に出すための尿路変更術があわせて必要です。
尿路変更術は次の3種類から、状態やライフスタイルを考慮し決定します。

  • 回腸導管:小腸の一部を尿の導管として利用し、尿の排出口としてストーマを造設します。尿意はなく自然に排出されるため、ストーマにはパウチと呼ばれる集尿袋を装着します。
  • 自排尿型新膀胱造設術:小腸や大腸で膀胱の代替を作成します。尿意は感じないため、ある程度の時間で腹圧をかけ、トイレで排尿する仕組みです。尿道に再発がある場合は適応外になります。
  • 尿管皮膚瘻:切除した尿管が直接皮膚とつながれ、ストーマとなります。そのためパウチと呼ばれる集尿袋の装着が必要です。

経尿道的膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)

表在性膀胱がんに対し、標準治療法として多く行われるのが経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)です。
この術式では、尿道口から膀胱鏡という内視鏡を挿入し、膀胱内の腫瘍を細かく切除をして除去をします。細かく切除された病変を病理診断に出すため正確さに不安定さがありました。
一方で経尿道的膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)は、腫瘍病変を一塊で切除するため、病理診断で膀胱がんの進行度や広がりの程度をより正確に行えます。

薬物療法

薬物療法とは、病気や症状の改善を目的として薬剤を投与することです。
膀胱がんにおける薬物療法は前述した膀胱内注入療法のほかに、点滴で抗がん剤を注入する全身療法、膀胱動脈にカテーテルを経由して抗がん剤を注入する動注化学療法があります。

放射線治療

放射線治療は病巣部に高エネルギーの放射線をがん細胞に照射し、がん細胞を破壊し増殖を抑制する治療法です。
膀胱がんでは膀胱と骨盤に外照射を行います。60〜66Gyが推奨される総線量です。1回の照射は1.8〜2.0Gyのため、回数としては30回前後になります。

膀胱がんを放置する危険性についてよくある質問

ここまで膀胱がんを放置する危険性と症状・治療法などを紹介しました。ここでは「膀胱がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膀胱がんは男性の方がかかりやすいですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

一般的に膀胱がんは男性の方が女性よりかかりやすいとされています。膀胱がんの第一の危険因子は喫煙です。日本では喫煙者の割合が男性の方が高いため、膀胱がんの危険因子も男性に多く見られます。その差は約3〜4倍といわれています。

膀胱がんが転移しやすい臓器を教えてください。

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

治療後も膀胱内で局所再発することがあります。また遠隔転移がしやすい臓器はリンパ節・肺・骨・肝臓などです。遠隔転移は、がん細胞がリンパ液や血液の流れにより運搬され流れ着いたと考えられています。

編集部まとめ

今回は膀胱がんを放置した場合の危険性と、症状や治療方法について解説しました。膀胱がんの多くは血尿や頻尿といった症状からはじまります。

この初期症状を「大したことないだろう」と放置してしまうと、のちに進行した状態での発覚となり、尿路変更を伴う手術が必要となります。

膀胱がんと関連する病気

「膀胱がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

膀胱がんの初期症状と膀胱炎、尿路結石の症状はよく似ています。膀胱がんでは痛みは伴いませんが、膀胱炎を併発することや腫瘍部に結石ができることもあるため注意が必要です。
膀胱炎では抗生剤の内服により症状は緩和していきます。

膀胱がんと関連する症状

「膀胱がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

がんにより排尿に関連した症状が出現します。症状が一過性のこともあり、放置しがちになります。
一過性の症状でも違和感がある際は、早めに泌尿器科で受診してください。

この記事の監修医師