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「膀胱がんの5年生存率」はご存知ですか?初期症状や原因も解説!

 公開日:2024/06/25
「膀胱がんの5年生存率」はご存知ですか?初期症状や原因も解説!

膀胱がんの5年生存率は、がんが発見される時期によって大きく変わります。早期に発見された膀胱がんの場合、5年生存率は高いですが、がんが進行するにつれて生存率は下がります。
本記事では、膀胱がんの5年生存率について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・膀胱がんの初期症状と原因
  • ・膀胱がんの治療方法
  • ・5年生存率

膀胱がんの5年生存率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

膀胱がんとは?

膀胱がんは、膀胱内の尿路上皮と呼ばれる粘膜から発生する悪性腫瘍です。膀胱は、腎臓で生成された尿を一時的に蓄え、排出する機能を持つ骨盤内の重要な臓器です。
膀胱がんの発生は尿路上皮細胞のみで、筋肉や脂肪細胞から発生する悪性腫瘍は肉腫と区別されます。膀胱がんは、早期発見と適切な治療が重要で、膀胱の健康維持には注意が必要です。

膀胱がんの初期症状と原因

膀胱がんの初期症状は見過ごされやすいですが、血尿の症状が現れるとされています。血尿の症状は、排尿の不快感や頻尿、残尿感といった膀胱刺激症状と共に現れることがあります。このような症状は、膀胱内のがんが排尿機能に影響を及ぼすために起こります。
膀胱がんの主な原因には、喫煙、化学物質への曝露、遺伝、加齢などがあります。特に、喫煙、職業的暴露によるリスクが高いとされるため、化学物質への接触を避けることが重要です。
また、遺伝的要素も膀胱がんのリスクを高めることが知られており、家族に膀胱がんにかかった人がいる場合は特に注意が必要です。
したがって、これらの症状やリスク要因に注意を払うことが、膀胱がん予防と早期発見に不可欠です。

膀胱がんのステージについて

膀胱がんのステージは、がんの広がり具合に応じて0期からIV期まで分類されます。

  • ・0期:この段階の膀胱がんは、膀胱の最内層に限定されています。0期はさらに二つに細分化されます。0a期は乳頭状の非浸潤がんで、カリフラワーのように盛り上がった腫瘍が特徴です。0is期は、上皮内がんと呼ばれ、膀胱の内壁に平らに広がる腫瘍です。
  • ・I期:がんは膀胱の内壁の粘膜下層まで浸潤していますが、筋層には達していません。
  • ・II期:この段階では、がんが膀胱の筋層に浸潤しています。
  • ・III期:がんは膀胱の筋層を超え、周囲の脂肪組織や近接する生殖器への浸潤が見られます。
  • ・IV期:がんは膀胱を越えて腹壁や骨盤壁に浸潤し、リンパ節や体のほかの部位へ転移しています。

膀胱がんのステージは、がんの治療計画を立てるのに重要であり、進行度に応じて治療方法が異なります。早期発見が生存率を大きく改善するため、定期的な検診が推奨されます。

膀胱がんの検査方法

膀胱がんを診断するためには、いくつかの検査方法が用いられます。以下で具体的な検査方法について解説します。

尿検査

尿検査は、尿中の血液やがん細胞の有無を検出します。がん細胞が見つかる場合もあれば、見つからない場合もあります。特に高度な悪性度を持つがんでは、尿中に異常細胞が見られる可能性が高くなります。痛みが少ないこの検査は、膀胱がんの診断に広く用いられています。

超音波検査

超音波検査は、放射線の使用がなく、検査前に約500ccの水を飲むことで、内部の状態を明瞭に観察できます。特に、1センチメートル以上の膀胱がんは、膀胱の粘膜から突出するカリフラワー状の腫瘍として見られます。
ただし、腎臓や膀胱は観察しやすい一方で、尿管や腎盂は超音波検査では見えにくいため、超音波検査と並行して膀胱鏡検査や尿細胞診検査を行うことが推奨されます。

膀胱鏡検査(内視鏡検査)

膀胱鏡検査は、尿道を通じて内視鏡を膀胱内に挿入し、直接膀胱の内部を観察する検査方法です。この手法により、膀胱内のがんの存在、その正確な位置、大きさ、そして表面の特徴を詳細に確認できます。
膀胱鏡検査は、がんの診断だけでなく、治療方針を決定するのに重要な役割を果たします。

CT検査

CT検査は、放射線を使用して体内の詳細な断面画像を取得する方法で、膀胱がんの診断や転移の有無を調べるのに適しています。
このCT検査は、膀胱がんがほかの臓器やリンパ節に転移していないかを確認するのに、役立ちます。

尿路造影

尿路造影は、血管に造影剤を注入し、膀胱がんを特定する検査方法です。尿路造影は、造影剤が画像のコントラストを向上させ、膀胱内のがんやそのほかの異常をより鮮明に確認できます。
ただし、全ての患者さんが造影剤を使用できるわけではなく、腎機能に障害がある方や、特定の糖尿病治療薬を服用している方は、造影剤の使用に制限があります。

膀胱がんの治療方法

膀胱がんはどのように治療するのでしょうか?以下で、「手術療法」「化学療法」「放射線療法」について解説します。

手術療法

膀胱がんの治療には2種類の手術方法が存在し、がんの進行度や患者さんの状態に応じて選択されます。

  • ・経尿道的腫瘍切除術(TURBT):この手術では、腰椎麻酔下で尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、腫瘍を切除または焼灼します。早期の膀胱がんに対して効果が期待でき、大きな切開を必要としません。
  • ・開腹手術(膀胱全摘除術):進行した膀胱がんに対して行われ、全身麻酔下で膀胱および周囲の臓器を摘出します。摘出後は、尿の排泄方法を再建する尿路変向術や代用膀胱造設術が必要になります。

これらの手術方法により、膀胱がんの治療と患者さんの生活の質を向上できるでしょう。

化学療法

膀胱がんの治療における化学療法は、がん細胞の成長を防ぐ薬剤を用いた治療法で、以下の方法があります。

  • ・表在性がんの治療:初期の再発リスクが低い場合、TURBT後24時間以内にアントラサイクリン系薬剤(エピルビシンやドキソルビシンなど)を膀胱内に一度だけ注入します。
    再発リスクが高い場合、TURBT後2〜3週から週1回、計6〜8回の膀胱内抗がん剤注入療法やBCG注入療法を行います。
  • ・膀胱内BCG注入療法:表在性がんや上皮内がんの再発予防に、BCG(結核菌ワクチン)を週1回、計6〜8回膀胱内に注入し、再発や効果を確認した後の維持療法もあります。
  • ・浸潤性がんの治療:再発予防のため、手術前後にメトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチンの組み合わせ(M-VAC療法)やゲムシタビンとシスプラチンの組み合わせ(GC療法)を用いる全身化学療法を実施します。
    化学療法は、再発リスクの低減や転移防止に役立つものの、副作用が伴うことがあるため、治療選択には医師との十分な相談が必要です。

放射線療法

放射線療法は、X線を利用して膀胱がん細胞を破壊し、がんの成長を抑制する治療方法です。治療期間は数週間にわたって、毎日少量の放射線を照射してがん細胞を死滅させます。
放射線療法は、膀胱を温存したい筋層浸潤性膀胱がん患者さんや、膀胱全摘除術が適さない患者さんに対し、ほかの治療法と組み合わせて適用されることがあります。
放射線療法は、膀胱がんに直接作用する一方で、照射部位の周囲の組織(例えば皮膚や直腸)にも影響を与え、皮膚炎や直腸炎などの副作用を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

膀胱がんについてよくある質問

ここまで膀胱がんを紹介しました。ここでは膀胱がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膀胱がんの5年生存率はどのくらいですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

膀胱がんの5年生存率は、がんのステージによって大きく異なります。ステージ1では約82.0%、ステージ2では約53.9%、ステージ3では約40.2%、そしてステージ4で約18.3%です。
膀胱がんの5年生存率は、がんの種類や治療方法、患者さんの年齢などによって異なるため、定期的な検診と初期症状への注意が重要です。

膀胱がんの進行スピードはどのくらいですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

膀胱がんの進行速度は、がんが非筋層浸潤性か筋層浸潤性かによって大きく異なります。非筋層浸潤性膀胱がんは進行が遅いですが、適切な治療がなされない場合、筋層への浸潤リスクがあり、進行が速くなる恐れがあります。
一方の筋層浸潤性膀胱がんは、進行が早く、周囲の組織やリンパ節、遠隔臓器への転移リスクが高まります。

まとめ

ここまで膀胱がんの5年生存率についてお伝えしてきました。
膀胱がんの5年生存率の要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・膀胱がんの初期症状は、血尿、排尿不快感、頻尿などが現れるため、症状が見られる場合には、早急に病院を受診しよう
  • ・手術療法ではTURBTや膀胱全摘除術が選択され、化学療法では薬物投与やBCG注入療法が行われ、放射線療法はX線を使ってがん細胞を破壊させる
  • ・膀胱がんの5年生存率はステージによって異なり、ステージ1では約82.0%、ステージ4では約18.3%と低下するため、早期発見と治療の重要

膀胱がんと関連する病気

膀胱がんと関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

膀胱がんと関連する症状

膀胱がんと関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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