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「卵巣がんの入院期間」はどれくらい?症状や治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/11/10
「卵巣がんの入院期間」はどれくらい?症状や治療法も解説!【医師監修】

卵巣は、下腹部の左右に1つずつ備わっている器官です。今回の記事では、この卵巣から発生する卵巣がんについて、病気の概要や現れやすい症状、治療方法などを解説します。

また、記事の後半では手術をする場合の入院に必要なものや、仕事に復帰するまでの療養期間についての質問にも答えていきます。

卵巣がんと診断されて治療を検討している方のほか、卵巣がんについて知りたい方もぜひ参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣がんは、卵巣に発生する悪性腫瘍です。
卵巣は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンを分泌するほか、卵子を放出する役割を果たしています。
卵巣がんは卵巣の表面を覆っている表皮から発生するケースが多く、卵巣がんのおよそ90%が上皮性腫瘍です。発症リスクには家族歴のほか、子宮内膜症の既往、妊娠・出産回数などが関連するといわれています。

卵巣がん手術の入院期間はどのくらい?

卵巣がんの手術を受ける場合、一般的には、腹腔鏡手術のほうが開腹手術よりも入院期間が短い傾向があります。
入院期間は手術の種類や術後の経過などによって異なり、1~2週間程が入院期間の目安となるでしょう。

卵巣がんの症状

前述のとおり、卵巣がんは初期症状に乏しいといわれています。しかし、がんが進行するとさまざまな症状が現れるため注意が必要です。
ここからは、卵巣がんになった方が自覚することが多い症状について紹介します。

初期には自覚症状をほとんど感じない

初期の卵巣がんでは、自覚症状はほとんどないといわれています。そのため、自覚症状が気になり受診する頃には、がんが進行していることもあります。
早期発見のためには、症状がない時期から定期的に検診を受けることが大切です。

下腹部にしこりができる

卵巣がんが進行すると、腫瘍が増大して下腹部にしこりを感じることがあります。
時間帯や日にちを変えて何度か触れても同じ場所にしこりがある場合は、早めの受診をおすすめします。

食欲不振になる

卵巣がんが進行すると、腫瘍が胃や腸などの消化器を圧迫することで食欲が減退することがあります。
食欲不振にはさまざまな原因があり卵巣がんに特有な症状ではありませんが、急激に食欲が落ちた場合は卵巣がんに限らず、重篤な異常が起こっている場合もあるため注意が必要です。
受診する診療科に迷ったら、まずは普段通っている医療機関で相談するのもよいでしょう。

服のウエストがきつくなる

卵巣にできた腫瘍が大きくなると、前述のとおりしこりが触れるほか、はっきりしこりが触れない場合でも服のウエストがきつく感じることがあります。
悪性腫瘍である卵巣がんだけでなく良性の卵巣腫瘍にも共通する症状ですが、精査のためにも早めの受診をおすすめします。

頻尿・便秘になる

卵巣がんが膀胱や腸を圧迫すると、頻尿や排尿困難のほか便秘など排泄に関する症状が現れることがあります。
特に排尿や排便が滞ると、不快感があるだけでなく腎盂腎炎になったり腸の潰瘍や穿孔を起こしたりと重大な合併症につながる可能性もあります。排泄に関して気になる症状がある場合も、まずは医療機関を受診してみるとよいでしょう。
泌尿器科や胃腸科を受診した場合も、原因として婦人科疾患が疑われた場合は、必要に応じて婦人科を専門とする病院を紹介してもらえます。

脚がむくむ

卵巣がんが進行すると、鼠径部(足の付け根)付近を通っているリンパ液や血液の流れが滞るため、脚がむくむことがあります。
むくみ自体には生活習慣や体質などさまざまな原因がありますが、特に片脚だけがむくむ場合は病的な原因が隠れている可能性があるため、早めの診察を検討しましょう。

お腹が前に突き出る

卵巣がんが進行すると、腫瘍自体が大きくなるほか腹水が異常に増える場合があります。
このような状況では、まるで妊娠したようにお腹が前に突き出ることがあります。腹囲が変わり始めた頃は「太ったのかもしれない」と様子をみて受診に至らない方もいるでしょう。
しかし、前述のとおり腫瘍や腹水により内臓が圧迫されると、さまざまな体調の変化が現れやすくなるため早めに受診をして原因を調べることをおすすめします。

卵巣がんの治療方法

卵巣がんの治療には、主に手術・放射線治療・薬物療法の3つの方法があり、がんの進行状況や患者さんの体調に応じて選択肢が変化します。
それぞれどのような治療なのか概要をみていきましょう。

手術

卵巣がんが疑われる場合、手術が可能な状態と判断されれば、ほかの治療よりも手術を第一選択としてすすめる医師が多いでしょう。
腫瘍の大きさやがんの広がりに応じて術式を検討し、腫瘍と周辺組織のみを切除したり、卵巣を含めてがんが広がっている可能性がある周辺器官やリンパ管をすべて摘出したりします。
手術の規模や術後の経過により入院期間は異なりますが、通常1週間~2週間程の入院が必要です。

放射線治療

放射線治療は、がん細胞を破壊するために高エネルギーの放射線を照射する治療方法です。
卵巣がんの場合、最初の治療として放射線治療が選択されることは少なく、再発した場合につらい症状を抑える目的で施行されることが多いでしょう。

薬物療法

薬物療法とは、薬剤によりがん細胞を攻撃したり増殖を抑えたりしてがんの縮小・死滅を図る治療方法です。使用する薬剤により、化学療法や分子標的療法、内分泌療法などがあります。
また、免疫の仕組みを用いてがん細胞を攻撃する免疫療法も、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる薬剤を使用するため薬物療法に含まれます。
薬剤療法は、がんの広がりが大きく手術で取り除くのが困難と判断された場合や、手術後の再発予防として行われるケースが多いでしょう。
卵巣がんは早期に治療を行っても再発率が高く、その一方で薬物療法が奏功するケースも多い病気とされています。そのため、手術が行える段階でがんが発見された場合でも薬物療法を並行して行うことがあります。

卵巣がん手術の入院期間についてよくある質問

ここまで、卵巣がんの主な症状や治療方法などを紹介しました。ここでは「卵巣がんの入院期間」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

手術後仕事復帰できるまでどのくらいかかりますか?

馬場 敦志医師

体調の回復には個人差がありますが、退院から1~3週間程で仕事に復帰できる方が多いです。ただし、仕事復帰までの期間は患者さんの体調や手術の規模のほか、業務内容にも依存します。一般的には、開腹手術よりも腹腔鏡手術、力仕事よりもデスクワークのほうが早期に復帰できる可能性が高いでしょう。早く仕事を再開しなければと焦る気持ちはあるかもしれませんが、医師と相談しながら無理のないペースで復帰することが大切です。

入院時に用意すると便利なものを教えてください。

馬場 敦志医師

入院時に必要なものとしては、着替えや洗面用具、履物などがあります。また、普段使用している薬剤がある方は、薬の現物やお薬手帳も持参するとよいでしょう。その他、術式や体質により術後の出血量は異なりますが、術後に膣からの出血が続いた場合に備えて生理用品の持参をおすすめします。入院に必要なものは術式や医療機関によって異なる場合があるため、準備に関して不明な点や不安なことは事前に医療機関スタッフに確認することをおすすめします。多くの医療機関では入院が決まると持ち物についても案内されるため、こうした説明に沿って準備を進めていきましょう。

編集部まとめ

卵巣がんになっても初期には自覚症状がほとんどないといわれているため、診断されたときには「体調は悪くないのに本当にがんなのだろうか」と驚く方も多いでしょう。

なかには、まったく不調を感じないのに手術をすることを不安に感じたり「もう少し様子をみられないか」と考えたりする方もいるかもしれません。

しかし、自覚症状が出る段階まで腫瘍が大きくなったりがんが広がったりする前に発見・治療することは、良好な予後のためにとても大切です。

卵巣がんを早期発見するために、定期的な検診を受けるとともに、気になる症状があれば早期の受診を心がけましょう。

卵巣がんと関連する病気

「卵巣がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状や原因など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

卵巣にできる腫瘍のうち、良性のものに卵巣嚢腫があります。悪性腫瘍にあたる卵巣がんと異なり急激に増大することは少ないですが、卵巣嚢腫が大きくなると破裂したり茎捻転を起こしたりして強い腹痛を引き起こすことがあるため注意が必要です。
また、卵巣がんと近い部位にできるがんとして卵管がんがあります。卵管は卵巣から放出された卵子を子宮へ送る管で、卵管がんも卵巣がんと同じく上皮性のがんが多いといわれています。

卵巣がんと関連する症状

「卵巣がん」と関連する症状は8個程あります。
各病気の症状や原因など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 下腹部のしこり
  • 腹囲の増大
  • 食欲低下
  • 尿の出にくさ
  • 脚のむくみ
  • 腹水の貯留

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