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「外反母趾」とは?治療法・原因・予防法についても解説!医師が監修!

 更新日:2023/08/17
「外反母趾」とは?治療法・原因・予防法についても解説!医師が監修!

足の親指の付け根が大きく出っ張り痛みをともなう外反母趾は、進行すると歩行が困難になってしまいかねない病気です。
この記事をご覧の方の中にも足にさまざまな違和感を感じ、不安に思われている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは辛い症状が表れる外反母趾の原因や検査方法・治療方法・予防方法まで詳しく解説していきます。
外反母趾に関する疑問や不安を解消し、改善を目指すお役に立ててください。

小池 達也

監修医師
小池 達也(医師)

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大阪市立大学医学部卒業。現在は白浜はまゆう病院整形外科所属、骨リウマチ疾患探索研究所所長、大阪市立大学大学院医学研究科高齢者運動器変性疾患制御講座を兼務。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医。

外反母趾の特徴

痛いハイヒール

外反母趾とはどのような状態ですか?

  • まず外反母趾の「外反」とは体の中心に対して外側に反る状態を表し、「拇指」とは親指を表します。この言葉が示すように、外反母趾とは足の親指が体の外側に向けて反ってしまう状態になる病気を指します。
  • 外反母趾になると足の親指の付け根が外側に大きく出っぱり、親指がとなりの指の方向へ曲がってしまう症状「くの字状」の変形が見受けられるのが特徴です。
  • このような状態になると突出した患部が靴などによる圧迫や摩擦で赤く腫れ、痛みやしびれなどを感じるようになります。外反母趾が初期の段階では患部を圧迫している靴などを脱げば痛みが改善しますが、症状がひどくなると靴を脱いでも改善せず歩行に困難をきたしてしまうケースもあります。

外反母趾の原因を教えてください。

  • 外反母趾の最も大きな原因としてあげられるのは、足の形に合わない「靴」を履き続けることによる影響です。
  • 靴に足が当たる摩擦や圧迫・痛みなどの影響によって、拇指(足の親指)にまつわる骨・筋肉・腱のバランスが崩れてしまうことが原因として考えられます。痛い患部をかばうように歩き、他の箇所まで悪影響が及んでしまうといった具合です。
  • また、自己免疫疾患による関節の炎症で関節破壊や変形を起こす「関節リウマチ」も、外反母趾を誘発させる原因のひとつです。
  • なお、家族に外反母趾の病歴を持つ「遺伝的要素」もあると考えられており、遺伝による足の形や筋肉の付き方・弱さなどが影響する可能性もあります。

なぜ女性の方が患者数が多いのですか?

  • 外反母趾は主に靴の影響により引き起こされる病気で、特に女性が履くことが多い「ハイヒール」のように先が尖ったかかとの高い靴が顕著な例ともいえます。女性はおしゃれのためや仕事などのシーンで足先に負荷がかかる靴を履くシチュエーションが多く、外反母趾になってしまうリスクが高いと考えられるのです。
  • また、同じく女性に多い病気といわれている「関節リウマチ」が外反母趾の原因のひとつとされていることや女性は男性に比べて筋肉量が少なく関節が柔らかいことも、女性の患者が多いといわれる要因と考えられます。

外反母趾でみられる症状が知りたいです。

  • 外反母趾は靴を履くと親指の付け根が痛くなり赤く腫れる症状などから始まり、足の裏にタコやウオノメができる・拇指(足の親指)が人差し指側に曲がるなどの症状が表れます。
  • 腫れや関節のゆがみにより「いつも履いている靴がきつい」と感じるようになったり、靴を履いていない状態でも痛みを感じるようになったりするのも特徴です。
  • 症状がすすむと、拇指(足の親指)が隣の人差し指に重なってしまう・痛みや腫れの影響などにより歩行が困難になることもあります。

外反母趾の検査と治療

患者に説明する医師

どのような検査をしますか?

  • 外反母趾は外見から比較的顕著な症状がみうけられるため見た目での診断が可能です。さらに見た目の診断と「痛み」の度合が判断基準となり、拇指(足の親指)の付け根を押されると痛む・靴を履くと痛む・靴を履かず触ってもいないのに痛むといった症状によって判断します。
  • そのほか、拇指(足の親指)の状態をレントゲンで調べることによって症状の進行具合をみる場合もあります。足の親指の骨(第1基節骨)と、足の親指につながる足の甲の骨(第1中足骨)が重なる角度(外反母趾角)を調べることによって症状の進行具合を把握し、治療方法を検討したり手術適応があるかどうかを調べることが可能です。
  • 見た目や痛み・レントゲンといった検査をしたうえで総合的に治療方法を検討します。外反母趾を疑う症状が見受けられたら、整形外科や外反母趾専門の医療機関を受診してください。

外反母趾の治療方法を教えてください。

  • 外反母趾の治療方法はじつにさまざまな方法があり、まずは医師の診断を仰ぐことが重要です。
  • 比較的軽度な外反母趾には保存療法(手術をしない治療方法)が適応されることが多く、足に負担が少ない靴の選び方を学ぶことや足の指の筋力を鍛えたりストレッチをしたりすることが有効です。例えば、足の指の部分にゆとりがあって柔らかな靴を選ぶ・床に敷いたタオルの上に足を置き足の指を使ってタオルを手前にたぐり寄せ、足底の筋肉を鍛える運動(タオルギャザリング)・足の指でグー・チョキ・パーをつくるあしゆびジャンケンなどがあります。
  • また外反母趾が軽度から中等度で痛みがあり生活に支障を感じる場合は、装具を装着して足の補正や痛みの緩和を目指す装具療法という方法もあります。これにはテーピングや医療用インソールなどを用いた方法などがありますが、患者様お1人おひとりの症状によって方法も効果も異なります。必ず医師の診断や処方にしたがって治療していくことが大切です。

手術が必要なケースもあると聞きます…。

  • 先述した医師の指導による保存療法や装具療法で痛みや変形の改善がみられない場合は、手術が有効な治療方法のひとつとして選択肢にあがります。患者様1人ひとりの足の症状にもよりますが、手術で足の形を正常に戻すことにより外反母趾の根本的治療が目指せるのがメリットです。
  • 外反母趾の術式はおよそ150種類以上も存在するといわれており、それらの術式を患者様の症状に合わせて組み合わせることにより治療を行います。一般的な目安としては手術に要する時間はおよそ1時間以内で、状態が良ければ翌日から歩行可能・普通の靴を履いて歩けるようになるまでは2ヵ月ほどです。
  • しかし手術にかかる時間や入院、術後のリハビリテーションにおいても患者様の症状によってさまざま異なります。術後の再発を防ぐためにも足の外科手術をよく行っている病院で受診し、手術をすすめられた場合は医師によく相談のうえご検討なさってください。

外反母趾のリスクと予防方法

外反母趾のケア

外反母趾が進行するとどのようなリスクがありますか?

  • 見た目の変化や痛みなどをともなう外反母趾になってしまった場合、日常生活に少なからず影響があることは否めません。これまで申し上げてきた通り、外反母趾による足先の痛み・腫れ・変形などを放置しておくと症状が悪化し、歩けなくなってしまうリスクがともないます。
  • 拇指(足の親指)の関節が大きく飛び出すように変形することにより、今まで履いていた靴やおしゃれな靴が履けなくなるのもリスクのひとつといえるでしょう。外反母趾は進行すると足先にかかる負担によって、巻き爪になる・タコやウオノメができやすくなる・小指が内側に曲がってしまう内反小趾・O脚・偏平足などを併発してしまうリスクもあります。
  • また、足先の痛みで不安定な歩行になることから体にゆがみが生じ、膝痛・腰痛・肩こり・頭痛などを引き起こすリスクもあると考えられます。

外反母趾の予防方法が知りたいです。

  • 日常的に行える予防方法は、自分の足の形に合う靴を知り、ハイヒールなど足に負担がかかる靴を避けることです。フォーマルやビジネスのシーンでどうしても避けられないときは、必要なときだけ履き替える準備をしておくことをおすすめします。
  • また、足の指を開く運動や筋肉を鍛えるトレーニング・かかとから足をつき体重をしっかりと足先に移動させながら正しく歩くといった歩行方法に気を配ることも有効です。
  • 辛い外反母趾にならないために、日常的な心がけによる予防方法を実践していくことをおすすめします。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

  • 外反母趾は先述してきた通り足の指の形や筋肉のつき方・骨などのバランスが崩れることに加え、偏平足などによって足のアーチが崩れることによっても引き起こされる場合があります。
  • 外反母趾が見うけられない健康な足には親指からかかとにかけての「縦のアーチ」と親指から小指にかけての「横のアーチ」があります。ご自身の足にきれいなアーチがあるのか注目してみるのもひとつの手です。
  • また、足に負担がかかる靴などによる影響のほかにも、肥満や筋力低下などによる影響も受ける傾向があるためご注意なさってください。
  • いずれにしても外反母趾は症状に個人差があり、治療方法・手術方法も豊富にある病気のため、初期症状を疑ったら早めに医療機関の受診をおすすめします。

編集部まとめ

快調にウォーキング

外反母趾は遺伝による足の形や筋肉のつき方・関節リウマチなどによる影響や、ハイヒールのように先が細くかかとが高いなど足に負担がかかる靴を履き続けることによって引き起こされてしまう病気です。
足の親指の付け根が痛い・腫れるような症状を感じたら、早めに医療機関を受診して治療・予防を心がけることで改善が望めます
また、外反母趾にならないためには自分の足に合う靴の選び方を知り、足の筋肉を鍛えるトレーニングや体操・ストレッチを行うことが有効です。
日々の生活の中で外反母趾の予防・治療を心がけながら、健やかな歩みを手に入れてください。

この記事の監修医師