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「腹膜がんの手術」で子宮摘出の可能性も? お腹の張りなど“見逃せないサイン”も解説!

 公開日:2026/02/06
「腹膜がんの手術」で子宮摘出の可能性も? お腹の張りなど“見逃せないサイン”も解説!

腹膜がんは卵巣がんや卵管がんと性質が似ている病気で、自覚症状が出にくいため早期発見が難しいとされています。

治療は卵巣がんに準じた方法で行われますが、基本的にはまず手術を行い、化学療法へと移ります。

今回は腹膜がんで行われる手術方法や手術後の治療・化学療法の副作用・退院後の注意点などについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腹膜がんとは

腹膜とは、胃・腸・肝臓・胆のうなどの消化器官と子宮・卵管などの女性器を包んでいる大きな細胞膜のことです。その腹膜から生じたがんが腹膜がんですが、腹膜がんにはさまざまな定義があります。
現在は卵巣がんによく見られる漿液性腺がんで、卵巣がんや卵管がんでない腫瘍を腹膜がんと診断しています。ほかのがんと比べて希少ながんで、特徴は腹膜内の病気であるために早期では症状が出にくく、早期発見がむずかしいという点です。
がんが進行すると現れる症状は、腹部膨満感や腹痛・腰痛・消化不良・食欲不振・吐き気・不正出血・排便異常などです。腹膜がんの診断は触診や内診のほか、超音波検査・CT検査・MRI検査などの画像検査です。
より正確な診断は病変の一部を採取しますが、腹膜がんは腹腔内の深い位置にあるために、まず手術をして病変の組織診を行います。これによりがんの進行期が診断され、具体的な治療方法が決まります。

腹膜がんの手術方法

腹膜がんは腹腔内に広範囲に進行した状態で見つかることが少なくないため、治療方法は原則として進行卵巣がんの治療に準じたものです。
初めに手術により病変をできる限り取り除く方法が選択されます。先に手術が行えない場合は、術前化学療法を行って手術ができる状態になったら手術を行います。
具体的な手術方法は、次のとおりです。

開腹・腹腔鏡による腹腔内の観察

まずは開腹もしくは腹腔鏡による腹腔内の観察を行います。腹腔鏡による観察とは、腹部に2~5mm程度の小さな穴を開けて細いカメラを挿入して腹腔内を観察する方法です。
腹腔鏡による観察は、開腹するよりも出血量が少なく術後の回復も早い方法です。

子宮全摘・両側付属器切除

診断の結果、ステージ1期と推定された場合は、病変をすべて摘出するための手術を行います。
手術では子宮・卵巣・卵管などを取り除くため、ステージ1A期の若年の患者さんで妊娠を希望される方には、妊孕制温存治療(妊娠する機能を残しつつ行う治療)を選択する場合もあります。
ステージ2~4期と推定され手術が適当と判断した場合に行われるのは、子宮全摘および左右卵巣・卵管の切除手術です。

骨盤・傍大動脈リンパ節の郭清

骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節は腹膜がんや卵巣がんの転移が起こりやすい部位です。
リンパ節への転移を認めた場合は、リンパ節郭清(切除)を行います。傍大動脈リンパ節は、みぞおち付近の高さで背骨のすぐ前をまっすぐ走っている大きな血管の周囲にあるリンパ節です。

大網切除

大網とは、胃から垂れ下って腸をおおっている大きな網のような脂肪組織のことです。腹腔内で炎症を起こした場所を包み込んで、ほかに影響を与えないような働きを持っています。
腹腔がんや卵巣がんなどでは転移が起こりやすい臓器のため、切除する場合が少なくありません。大網を切除しても大きな障害が出るなどの影響はほとんどありません。

腹腔内の腫瘍切除

腹腔内の大腸・小腸・脾臓などにがんが転移している場合は、その部位をできるだけ切除します。

腹膜がん手術後の診断と治療法

腹膜がんの病変を切除する手術を行った後は、切除した組織の病理診断や化学療法を行います。

組織診による病理診断

手術によって切除した腫瘍の病理検査は、腹膜がんの進行期などの詳しい情報を知るために行うものです。病理診断は具体的な治療方法などを決定するうえでも重要です。

化学療法

化学療法とは、いわゆる抗がん剤による治療のことをいいます。
腹膜がんは卵巣がんと同じように抗がん剤治療が効きやすいがんであるため、手術前・手術後において抗がん剤を使うことが少なくありません。
手術前の化学療法はがんを小さくして手術が可能なレベルにするために行いますが、手術後の場合は手術の効果をより高めることが目的です。
腹膜がんで使用される主な抗がん剤は、パクリタキセルとカルボプラチンです。副作用としては、次のようなものがあります。

  • 手足のしびれや痛み
  • 脱毛
  • 筋肉痛や関節痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 全身倦怠感
  • 肝障害
  • 腎障害

維持療法

維持療法とは、再発予防の化学療法のことです。患者さんの状況に応じてPARP阻害薬とベバシズマブの併用や単独での使用などが選択されます。
PARP阻害薬は、DNAの損傷を修復する働きのあるPARPタンパクを阻害することで、がん細胞の増殖を抑える薬です。ベバシズマブは、がん細胞に酸素や栄養を送る血管が新しく作られるのを邪魔することで、がんの増殖を抑える薬です。
PARP阻害薬の副作用と見られる症状は疲労・貧血・吐き気などで、ベバシズマブは骨髄抑制・高血圧・末しょう神経障害・食欲減退・吐き気・口内炎・脱毛・肝障害・鼻血などの副作用が見られます。

腹膜がん手術の入院期間と退院後の生活

腹膜がんの手術を行う場合の入院期間と退院後の生活で注意するべき点は次のとおりです。

入院期間

入院期間は手術方法や患者さんの状況にもよりますが、通常は3~6週間程度だと考えてください。手術後の化学療法は、数ヵ月にわたる場合がほとんどです。

退院後の注意点

日常生活での注意点は、患者さんや治療の状況により異なりますので、担当の医師とよく相談してできるだけ身体に負担のない生活をしてください。
手術や化学療法によって体力が大きく低下しています。自宅である程度家事がこなせるようになれば、散歩などの軽い運動を始めましょう。手術痕に痛みを感じたり違和感があったりした場合、また熱っぽいなど気になることがあったときは担当の医師に相談してください。
化学療法への不安や疑問などがあったときも、医師・看護師などに相談をしましょう。

腹膜がん手術についてよくある質問

ここまで腹膜がんの診断・治療方法・手術などを紹介しました。ここでは「腹膜がんの手術」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

腫瘍が見つかったらすぐに手術を行いますか?

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腹膜がんの場合、腫瘍の性質やステージを診断するためには開腹・腹腔鏡による手術で病変を取り出さなければなりません。そのため、初めに手術を行うことが少なくありません。病理診断のためだけでなく、できるだけすべての病巣を取り除くことで、転移や再発を予防するという目的もあります。

手術後の合併症を教えてください。

閉経の前に卵巣を切除すると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減り、更年期のような症状が現れることがあります。これを卵巣欠落症状といい、身体的にはのぼせ・ほてり・発汗・肩こり・頭痛・膣からの分泌物の減少などが、精神的には抑うつ・不安・不眠・意欲低下・イライラなどの症状が現れます。多くの患者さんに見られる合併症が腸閉塞ですが、今のところ予防法や対処法がありません。退院時に医師や栄養士から腸を守る食事指導を行うことがありますのでそれに従い、定期的な経過観察も受けるようにしてください。

編集部まとめ

卵巣がんや卵管がんとよく似た症状が現れる腹膜がんは、治療方法も卵巣がんと同様です。

基本的にはどのステージにおいてもまず手術を行い、その後に化学療法を行うことがほとんどです。

手術も化学療法についても不安が尽きないとは思いますが、現在はがん治療に伴う苦痛のケアを行う緩和ケアも充実しています。

気になる症状があるときは、放置せずにできるだけ早く医療機関を受診してください。

腹膜がんと関連する病気

「腹膜がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

卵巣がんも卵管がんも腹腔内に発生するがんで、治療方法も同じです。

腹膜がんと関連する症状

「腹膜がん」と関連している、似ている症状は8個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

早期の腹膜がんでは症状がほとんど出ないため、以上のような症状に気付いたときは、できるだけ早く医療機関での受診をおすすめします。

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