「胃ポリープの切除費用」はご存知ですか?保険適用・自費診療それぞれ医師が解説!


監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「胃ポリープ」とは?
胃の粘膜がでっぱり、内側に突き出たものを胃ポリープと呼びます。胃ポリープは主に3つのタイプに分かれています。ポリープの形態から胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、そして特殊型(炎症性・症候性・家族性)に分かれます。それぞれのポリープは内視鏡検査を行い、ポリープの形状を直接確認して見た目から判断したり、ピロリ菌感染の有無や周囲の粘膜の特徴などから総合的にポリープの種類を判断します。 胃ポリープの多くは良性であり、通常は経過観察をすることが多いです。しかし、ポリープが大きくなってがんが含まれる可能性が考えられたり、出血をきたし貧血の原因となる場合にはポリープを切除することを検討します。胃ポリープの種類
胃ポリープのほとんどは胃底腺ポリープと胃過形成性ポリープです。今回はこの2種類のポリープの特徴について解説いたします。胃底腺ポリープ
胃底腺ポリープはピロリ菌に感染していない胃粘膜に発生します。周囲の粘膜と同じ色調をしており、表面は平滑で2~3mm程度の小さなポリープが複数みられることも多いです。制酸薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を内服することでポリープが大きくなったり、数が増えることが報告されています。胃底腺ポリープは胃がんを発生することは非常に稀であり、通常は経過観察を行います。胃過形成性ポリープ
胃過形成ポリープはピロリ菌感染により炎症がおこった粘膜に発生することが多いです。形状は赤みが強く、表面が凸凹しています。大きさは小さなものから大きくなると2cmを超えることもあります。過形成ポリープと診断された場合には、まずピロリ菌の感染が無いかを調べることが勧められます。ピロリ菌の感染がある場合には、除菌をすることでポリープが小さくなったり、消えることも報告されています。しかし、10mm以上の大きさの過形成ポリープは、がんの発生する頻度が約2%と言われています。そのため、胃カメラでの定期的な経過観察が必要です。ピロリ菌を除菌してもポリープが大きくなったり、形状からがんが含まれることが疑われる、出血して貧血の原因となる、大きさが2cmを超えるような大きな過形成性ポリープの場合には切除が検討されます。胃ポリープの切除費用
内視鏡の検査や胃ポリープの切除は、医師が治療を必要と判断した場合には保険が適用されます。ここでは、胃ポリープの切除の費用を保険が適用された場合、自費診療の場合に分けて解説いたします。保険適用の場合
胃ポリープの切除は保険が適用されることが多いです。胃内視鏡でのポリープ切除術を行った場合、保険3割負担の場合には自己負担金はおおよそ16000〜18000円程度となります。しかし、検査する医療機関の診察料や、検査の際の麻酔などの使用薬剤の違いにより費用は変わります。詳しくは検査予定の医療機関へ問い合わせください。自費診療の場合
自費診療の場合の費用は医療機関によってさまざまです。胃ポリープの切除を自費診療で行った場合には、60000~100000円程度となることが多いですが、医療機関ごとに設定する料金が異なります。必ず治療を行う医療機関へ確認をしてください。切除費用以外の費用
胃ポリープを切除する場合、切除費用の他にもかかる費用があります。例えば、診察自体にかかる診察料、内視鏡検査の際に麻酔を使用する場合にはこの薬剤の費用、ポリープを切除し悪性所見が無いか確認をするために病理検査を出す場合には病理診断料などがかかります。また、このほかにもピロリ菌の検査など追加の検査を行う場合には別途費用がかかります。医療機関の違いや、病変の個数や病変の状態などによっても費用は変わってくるため、詳細は直接受診する医療機関に問い合わせることをお勧めします。入院が必要となった場合
胃ポリープの切除は外来で行われることも多いですが、次のような場合には入院が必要となる事もあります。 ・ポリープが大きい場合 ・ポリープが複数あったり、広範囲に切除部位がある場合 ・出血しやすい病気があったり、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を内服している場合 ・内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層隔離術(ESD)などの特殊な切除を行う場合 ・患者さんの状態や病変の状態により切除前後の入院管理が必要と判断した場合 以上のような場合には入院の上、胃ポリープ切除を行います。一般的には3日〜1週間程度の入院となる事が多いですが、治療内容により異なることもあるため入院する医療機関へ確認を行いましょう。胃ポリープの切除方法
胃ポリープの大きさや、形状により選択される切除方法が異なります。以下に切除方法について解説いたします。内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)
茎があるような胃ポリープの場合には、ポリペクトミーを行います。内視鏡の先からスネアと呼ばれる環状の細い鋼製ワイヤーを出して胃ポリープの茎の部分にかけます。その後に輪の部分をしばってから電流を流し、ポリープを切除します。その後切除したポリープは回収し、病理検査に提出し、がんが含まれていないか診断します。内視鏡的粘膜切除術(EMR)
隆起していないポリープの場合には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行って切除することができます。病変の下に生理食塩水などを注入して病変を盛り上がらせ、病変にスネアをかけます。その後にしばってから通電して、病変を切除し回収します。しかし、この方法では大きな病変は適応となりません。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
内視鏡的粘膜下層剥離術とは、粘膜下層に生理食塩水もしくは薬剤を注入して病変を浮かせた後ナイフで病変を剥ぎ取る方法です。EMRでは胃で2cmまでしか適応できませんでしたが、このESDが行われる様になってからサイズが大きくなっても内視鏡で治療ができるようになりました。胃の病変ではリンパ節転移がなく、以下の条件に当てはまるものが適応となります。 ・潰瘍を伴わない、粘膜内に留まる分化型がん ・潰瘍を伴う、3cm以下の粘膜内に留まる分化型がん ・潰瘍を伴わない、2cm以下の粘膜内に留まる未分化型がん「胃ポリープの切除費用」についてよくある質問
ここまで胃ポリープの切除費用について紹介しました。ここでは「胃ポリープの切除費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃ポリープの切除で入院が必要になった場合、どれくらい入院しますか?
和田 蔵人 医師
胃ポリープが大きかったリ、複数ある場合や、病変の状態によりEMRやESDを行う場合には入院して胃ポリープの切除を行います。また、出血しやすいなど患者さんの状態によっても入院の上胃ポリープを切除することもあります。このような場合、治療方法や患者さんの状態によっても入院に日数は異なりますが、3日〜1週間程度の入院となる事が多いです。詳しくは、ポリープを切除する予定の医療機関へ確認をしましょう。
まとめ 胃ポリープは消化器内科で定期的な経過観察を
胃ポリープは胃底腺ポリープと胃過形成性ポリープが大部分です。両方のポリープとも良性で、経過観察をすることが多いです。しかし、胃過形成性ポリープは大きくなるとがんを含む可能性があります。また、表面から出血し、貧血となる可能性もあるためこの場合には切除の適応となります。定期的に内視鏡検査で経過を観察することが大切です。胃ポリープと診断された場合には、主治医に切除の必要性や定期的な観察の必要があるかを含め確認をしましょう。
「胃ポリープ」と関連する病気
「胃ポリープ」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「胃ポリープ」と関連する症状
「胃ポリープ」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
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