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「大腸がんは血液検査」で発見できるのか?5つの初期症状も医師が解説!

 公開日:2026/01/05

大腸がんは早期に発見できれば治療しやすく生存率が高いがんです。各種検査で発見に努めますが、そのなかに手軽な血液検査があります。

本記事では大腸がんの血液検査では何を調べて何がわかるのかを解説し、併せてさまざまな初期症状や、血液検査以外の検査方法も紹介します。

大腸がんの検査方法や症状が気になる方は参考にしてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大腸がんとは

大腸がんが発生するのは内面の粘膜上で、そこから外面の漿膜(しょうまく)に向かって浸みるように広がり(浸潤=しんじゅん)ます。さらにリンパ液や血液に乗って遠くの臓器に転移したり、腹腔を覆う腹膜上に散らばったりして広がります。
がんが発生しやすいのは肛門に近い直腸とS字結腸で、この2部位で70%以上を占める高率です。
大腸がんの5年相対生存率は約75%と高く、転移のない限局性大腸がんに限ると97%に達します。この事実は、転移していない早期に発見して治療すれば、完治が見込めるがんであることを示しています。

大腸がんは血液検査で発見できる?

血液検査だけで大腸がんを診断するのは困難です。大腸がんの血液検査は、主にがん細胞が作るタンパク質(=腫瘍マーカー)の種類や量を測定する検査です。大腸がんではCEA・CA19-9・p53などのマーカーが測定対象で、なかでも特にCEAの陽性率が高くなります。
検査は採血でマーカーの量を測って経過を観察したり、治療の効果を評価したりする方法です。マーカーの値は基本的にがんの量に比例するものですが、がん以外の疾病・飲酒・喫煙・月経などの影響も受けます。
また、がんが進行しないと値が上がらない傾向や、がんが進行しているのに値が上がらない場合もあり、マーカーの値だけでは診断できません。血液検査は画像や病理検査などと併せて、確定診断の参考にする検査との位置づけです。

大腸がんの初期症状

大腸がんでは早期のうちは無症状である場合がほとんどです。進行するにつれて初期症状が表れますが、がんの発生場所や進行状態により症状はまちまちです。以下で主な症状を解説します。

便の性状変化

正常だった便通が乱れ、便秘や下痢が多くなったという場合、それは大腸がんの影響かもしれません。お腹の左側のS字結腸や直腸付近では、便の水分が吸収されて硬い便が通ります。
ここにがんが発生すると便が通りにくくなるため、細い便が出たり便秘になったり、何度も排便を繰り返す下痢のような症状が出ることもあります。

血便・便秘

自覚症状がない早期の大腸がんでも、微量の出血が発生している場合があります。このような出血は目視することが難しく、便潜血検査によって発見されます。
進行するにつれて目視できる程度に出血が増えたのが血便です。
がん組織の増殖で大腸内壁が狭くなり便の通りが悪くなると、便秘の症状も出てきます。

お腹のハリ・痛み

がんの病巣によって便やガスの通りが悪くなると、腹部のハリ・痛みの症状が感じられます。主に硬い便が通る下行結腸やS字結腸にがんがある場合におこる症状です。
初期のうちは便やガスによるハリ・痛みですが、大腸がんが進行した場合は腹水によるハリ・痛みもあります。

体重減少

何も思い当たる理由がないのに体重が減る場合、大腸がんに限らずがんの疑いがあります。がん細胞が増殖するために、身体から脂肪やタンパク質などの栄養を消費して体重が減るためです。体重減少が続く場合には症状が進行している可能性があります。

嘔吐

嘔吐は腹痛と同じく、大腸がんによって大腸内壁が狭まることで見られる症状です。身体の左側にある下向結腸・S字結腸・直腸に病巣がある場合に多くみられます。

貧血

がん組織には栄養を取り込むための血管が作られますが、もろく出血しやすい血管です。大腸がんでも早期から慢性的に出血が続くため、ヘモグロビンが不足する鉄欠乏タイプの貧血になります。
通常は血便・下血が先に現れ、倦怠感・立ちくらみ・動悸などの貧血症状はさらに進行してから表れます。

血液検査以外の大腸がんの検査

腫瘍マーカーを検出する血液検査は、大腸がん診断の補助的な検査です。ほかにも以下のような検査があります。

  • 便潜血検査
  • 直腸指診
  • 注腸造影検査
  • 大腸内視鏡検査
  • 腹部のCTやMRI

それぞれの目的や検査内容を解説します。

便潜血検査

この検査は、便に含まれる目に見えない微量の血液を試薬で検出します。陽性であれば下部消化管(主に大腸)のどこかでの出血を意味しており、次の段階の精密検査で出血の原因を確定させて大腸がんの早期発見を目指す検査です。
この検査の陽性率は5〜10%で、そのうちの約2〜3%の方に大腸がんが見つかります。陽性者の多くは、良性のポリープまたは痔疾からの出血です。

直腸指診

直腸指診は医師が肛門から指を挿入して直腸内を触診します。大腸がんのなかでも、罹患の可能性が高い直腸がんを簡単に検査できる方法です。下剤などの前処置は不要で、肛門から10cm程度までの範囲を調べられます。
この検査で直腸がんの70%が発見できるとされる検査です。確定診断のための精密検査は、大腸内視鏡検査が行われます。

注腸造影検査

下部消化管造影検査ともいい、便潜血検査が陽性の場合に行う精密検査の1つです。肛門から造影剤と空気を入れてX線で撮影します。大腸内にある病変の位置と形状が把握できる検査です。
内視鏡同様大腸内を空にする前処置が必要で、検査時間は40分程度かかります。内視鏡と比べ一長一短があり、状況に応じて使い分けます。

大腸内視鏡検査

この検査も便潜血検査が陽性の場合に行う精密検査です。肛門から入れた内視鏡で、盲腸から肛門までをカラー画像で精密に観察できます。また、病変部の採取やポリープ切除が同時にできる点が大きなメリットです。
前処置に時間と手間がかかる点は注腸造影検査と同じで、時間は通常15~30分程度です。

腹部のCTやMRI

X線を使うCTと磁気を使うMRIは全身の断層画像を撮影します。早期の大腸がん発見には不向きですが、進行した大腸がんの評価や他臓器との位置関係、リンパ節などの転移の状況を調べる検査に使われます。
CT・MRIとも状況によっては造影剤を静脈から入れて、より精密な画像診断が可能です。また、近年は新しい大腸三次元CTも開発され、診断に使用されています。

大腸がんの血液検査についてよくある質問

ここまで大腸がんの血液検査などを紹介しました。ここでは「大腸がんの血液検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

大腸がんの原因について教えてください。

大腸がんは生活習慣や家族の病歴との関わりが指摘されています。運動不足・喫煙・飲酒・肥満などが要因とされ、食生活では野菜・果物の摂取不足や赤身肉・加工肉の摂取が発症リスクを高める要因です。また、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系は大腸がんになりやすいといわれます。

大腸がんの治療法にはどのようなものがありますか?

大腸がんの主な治療法は以下のとおりです。
・内視鏡手術
・外科手術
・化学療法
・放射線療法
このような治療法を、ステージ・がんの性質・患者さんの状態によって選択・実施します。確立した標準治療はありますが、それを基本に患者さんの意思や生活環境を考えあわせ、主治医との話し合いで決められます。

編集部まとめ

大腸がんの血液検査に関して解説しました。採血だけで済む血液検査でがんの検診ができれば簡単で便利ですが、やはりそれは難しいようです。

がんの初期症状もいろいろありますが、症状として感じられるのはある程度進行してからになります。

大腸がんの早期発見には、やや遠回りに感じても便潜血検査から精密検査に進む方法が堅実でしょう。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

家族性大腸腺腫症・リンチ症候群は、いずれも遺伝的に大腸がんを発症するリスクがあるといわれる病気です。潰瘍性大腸炎・クローン病では因果関係は不明ですが、大腸がんの発症リスクが統計的に指摘されています。これらの病歴がある方は定期的に検査を受けるなど、発見が遅れないように注意を払ってください。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

いずれも大腸がんの症状で、ほとんどがある程度進行して表れる症状です。早期発見には、このような症状が出る前の、目に見えない微量な出血を検知する便潜血検査が有効です。

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