目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「食道がん」になりやすい年齢層はご存知ですか?早期発見方法も解説!【医師監修】

「食道がん」になりやすい年齢層はご存知ですか?早期発見方法も解説!【医師監修】

 公開日:2025/07/31

食道がんは、胃がんや肺がんなどに比べると、聞き馴染みがないかもしれません。

しかし、食道がんは早期発見が重要ながんです。初期の段階では自覚症状が少ないですので、最後までこの記事を読み、早期発見のきっかけにしていただければ幸いです。

予防法についても述べますので、ぜひ参考にしてください。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

プロフィールをもっと見る
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

食道がんとは?

食道がんを患うことは、ほかの病気になるリスクが伴いやすいといわれています。どのような原因で食道がんになってしまうといわれているかも下記にまとめました。

食道がんの危険性

リンパ節転移しやすく、食道がんの20%は重複がんが発生するといわれています。
重複がんとは、同時期または別の時期に複数の臓器にがんが発生することをさしますが、転移とは異なります。重複がんとして多いのは胃がん・咽頭がん・喉頭がん・大腸がん・肺がんなどです。
治療部位が増えることになりますので、身体への負担が大きかったり、治療が困難になってしまったりすることもあります。

食道がんの発生要因

考えられている主な原因は喫煙と飲酒です。
飲酒によってアセトアルデヒドという発がん性物質が体内に発生します。このアセトアルデヒドを代謝しにくい人は食道がんリスクが高いことがわかっています。
その他に、果物や野菜の摂取不足・ビタミン不足・過度な食事制限や偏った食事による栄養状態の悪化も、食道がんの発生に影響するといわれています。

食道がんの治療法

治療方法はがんの深達度によって異なります
がんの深達度は0期から4期まであります。粘膜にとどまるがんである0期では内視鏡的切除術が標準治療です。この治療方法は、食道を温存できる治療法として推奨されています。病変が広かったり、内視鏡的切除術後に食道が細くなる可能性が高かったりするときには、放射線治療や手術が適応になることもあります。
第1期は、がんが粘膜下層にとどまり、リンパ節転移や多臓器への転移を伴わないもののことです。治療に即して、手術と化学放射線療法のどちらを受けるかは担当の医師の説明を受けたうえで選択してください。
2・3期については、がんが粘膜下層を越えて、固有筋膜層か食道外膜まで達している場合やリンパ節転移を伴うもののことです。全身状態がよく手術耐性のある身体であるときには、化学療法を行ってから手術をする方法が標準治療とされています。体力的に手術ができない場合や、手術を希望しない場合には化学放射線療法や放射線治療単独療法を行います。
第4期は多臓器転移や遠方のリンパ節に転移を伴うもののことです。これは化学療法が標準治療です。痛みや苦痛がある場合には、緩和ケアや対症療法症療法などが行われます。

食道がんになりやすい年齢・性別

2019年の食道がん死亡者数は、全悪性新生物の死亡者数の3.1%にあたります。
男性の死亡者数は10万人あたりの死亡者数15.9人と7番目に多い疾患でもあります。
女性の方が少なく10万人あたり3.2人です。
男女比では、約5.1:1と男性に多い
です。年齢は60代と70代に好発し、全体の約70%をしめています。

早期発見の方法

病期を早期発見するためには、症状について知り、少しでも異変を感じたら早急に検査を受けることが大切です。
どのような検査を行うのかと、症状について下記にまとめました。

内視鏡検査を受ける

内視鏡はわずかな色調の変化や凹凸を発見することができるので、食道がんの早期発見に有効です。現在は、NBI併用拡大内視鏡による評価をかなりの割合で行っています。
内視鏡検査では、いくつかの検査をしていきます。まずはヨード染色です。ひと目見て病変だと気付くことができても、それがどの範囲まで浸潤してしまっているのかわかりません。それをわかるようにするのがこの方法で、病変の範囲を明確にすることができるのです。
その後、がんの組織型を特定するため組織を採取し、病理組織学的検査を行うまでが検査の流れです。
食道がんのリスクがある高齢者・男性・飲酒や喫煙習慣がある人は、自覚症状がなくても、定期的に年1回の胃カメラ検査を受けるのがよいでしょう。

初期症状に注意する

食道がんは転移しやすく、早期のがんでもリンパ節転移を起こしやすいこともわかっています。ご自身の違和感、初期症状を見逃さないことが大切です。
初期症状としては、飲み込むときの違和感、引っ掛かりなどが症状として見受けられます。
その後、進行してからの自覚症状として挙げられるのは胸の違和感です。飲食物を飲み込んだときに胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲み込むとしみたりすることがあれば要注意です。
これらの症状は常時起こるわけではなく、一時的に消失することもあります。常に症状がないからと安心するのではなく、おかしいなと感じたら病院受診を検討してください。
自覚症状2つ目は飲食物のつかえ感と体重減少です。
これは、食道がんが大きくなり食道を狭めてしまっている状態でおきる症状です。食道が狭くなることで食べものがつかえやすくなったり、飲み込みづらくなったりします。
その結果、飲食することが難しくなるので食事摂取量が減り、体重も減少していきます。
3つ目は胸や背中の痛み・声のかすれ・咳の増加です。これらの症状はがんが食道壁を越え、周囲の肺や背骨などにまで広がっているため起こります。

注意すべき危険因子

どのような方が食道がんになりやすいか、危険因子についてまとめました。下記にあてはまる方は、日々の生活を見直してみてください。

年齢が60歳以上である

細胞における遺伝異常の蓄積によって発病することが多いのががんです。
がんを患う患者さんは男女ともに高齢になればなる程高くなる傾向にあります。男性は50歳代から増加する傾向があるので、用心するに越したことはないでしょう。

喫煙者である

非喫煙者に比べて、喫煙者が食道がんになるリスクは約7倍といわれています。たばこの煙には4000種類以上の化学物質と250種類以上の毒物、発がん物質が含まれているからです。
国際がん研究機関IARCはたばこを最も危険な発がん物質に分類しています。喫煙者でなくても、たばこの副流煙にふれる機会の多い方は注意が必要です。
主流煙に比べて、副流煙にはニコチンが約2.5倍、発がん性物質であるニトロソアミンは約50倍含まれています。

お酒をよく飲む

飲酒によってアセトアルデヒドという発がん性物質が体内に発生します。
このアセトアルデヒドを代謝しにくい人は食道がんのリスクが高いことがわかっています。

飲食物がのどにしみる

飲食物がのどにしみるのは、食道がんの初期症状の可能性があります。
症状が持続しなくても、一度検査を検討してみましょう。

お酒を飲んで顔が赤くなる

顔が赤くなるのは、アルコールを分解する消化酵素の働きが遅いからです。
肝臓の働きが弱いと、発がん性物質であるアセトアルデヒドが分解できず、体内に残ってしまいます。

食道がんと年齢についてよくある質問

ここまで食道がんの症状や危険因子などを紹介しました。ここでは「食道がんと年齢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

20代で食道がんになる可能性はありますか?

本多 洋介本多 洋介 医師

国立がん研究センターのがん統計データによると20代で食道がんを患う患者さんはほとんどいないことがわかります。ですが、絶対に食道がんにならない、とはいえませんので気になる症状があれば病院を受診することをおすすめします。

食道がんを予防するための有効な対策を教えてください。

本多 洋介本多 洋介 医師

リスク因子である、飲酒や喫煙を控えるのが有効です。野菜と果物を摂取することで、食道がんのリスクを減らせるという研究結果があります。ただ、野菜や果物を摂取するだけでなく、十字花科の野菜の野菜で有意な関連があることがわかっています。キャベツや大根、小松菜などに含まれるイソチオシアネートという発がんを抑制する成分を多く含んでいるからです。成分まで意識してバランスのよい食事を心がけましょう。

編集部まとめ

食道がんはこれまで述べたように、自覚症状がでにくく、わかりにくいがんです。

そのため、異変に気付いて受診したときにはかなり病期が進行してしまっていた、ということが多いです。自分は大丈夫という考えをもたないことが大切です。

わずかな変化にも敏感になり、異変を感じたときには検診を受けるようにしましょう。

食道がんと関連する病気

「食道がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

食道がんは、がんが見つかったときには進行しており、ほかの部位に転移している可能性の高いがんです。
上記のがんは、食道と近く転移しやすいとされている部位のがんです。食道がんの症状を知るだけでなく、これらのがんについても調べてみることをおすすめします。

食道がんと関連する症状

「食道がん」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 体重減少
  • 胸や背中の痛み
  • 嗄声
  • 飲み込むとしみる
  • 胸の奥がチクチク痛む
  • のどのつかえ感

これらの症状は日々の生活で、意識をしないとわかりにくい症状です。
これらの症状が、ほかにどのような病気の可能性があるのかを知り、ご自身の小さな変化を見逃さないよう注意してください。

この記事の監修医師