「子宮体がんがステージ2に進行する」と”おりもの”は何色になる?他の症状も解説!

女性特有のがんのひとつ、子宮体がんは子宮頸がんに比べると発症しやすい年齢が高く、発症年齢のピークは50〜60歳代です。 子宮体がんの進行スピードは、年齢・遺伝的要因・ホルモンバランスなど、いくつかの要因が影響を与えます。 これらの要因が組み合わさることで、がん進行の加速も考えられます。リスクを低減させるためには、生活習慣の改善や定期的な検査が重要です。 この記事では、子宮体がんステージ2と診断された場合の治療方法や症状、5年生存率を解説します。ご自身やご家族で心配事がある方は参考にしてください。

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
子宮体がんとは?
子宮は、妊娠したときに胎児を育てる子宮体部と、分娩のときに産道の一部となる子宮頸部に分けられます。子宮体部にできるがんが子宮体がんです。子宮体がんは、成人女性に増えてきているがんのひとつです。そのほとんどは、子宮内膜という組織から発生するため子宮内膜がんとも呼ばれています。
子宮体がんの発生に深く関わっているのが、女性ホルモンのひとつ卵胞ホルモン(エストロゲン)です。
卵胞ホルモンには子宮内膜の発育を促す作用があるため、子宮内膜増殖症から子宮体がん(子宮内膜がん)へ進行するといわれています。
卵胞ホルモンが原因となるだけでなく、卵胞ホルモンとは関係ない原因で発生する場合もあります。
危険因子は、出産の経験がないこと・卵胞ホルモン製剤単独のホルモン療法・閉経が遅いこと・肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症などです。
子宮体がんの症状
自覚症状のなかでは不正出血が多く、月経ではない期間や閉経後に出血がある場合は注意が必要です。褐色のおりもの
褐色のおりものは、血液が混ざることが原因です。生理前や生理後に褐色のおりものが出る場合はあまり心配する必要はありません。褐色のおりものが続く場合は、不正出血の可能性があり、子宮体がんなどの病気を疑い検査をする必要があります。
不正出血
不正出血は、生理期間以外に起こる性器からの出血のことです。血液の色は個人差が大きく、真っ赤な鮮血から褐色・ピンク色などがあります。生理前後の褐色の不正出血は、出血から時間が経ち血液が酸化したものであり、それほど心配はいりません。
ただし長期間褐色の不正出血が続く場合は婦人科で検査を受けましょう。
下腹部の痛み
褐色のおりもの・不正出血は初期の症状ですが、進行期になると痛みも出てきます。特に閉経が近い方は月経が不規則で、月経による痛みなのか判断が難しいので、婦人科を受診してください。
性交時の痛み
痛みは下腹部の痛みだけでなく、性交時の痛み、排尿時の痛みも伴います。性交時の痛みは子宮や膣の異常を表し、痛みが継続する場合は注意が必要です。腰痛
がんが子宮体部から骨盤内の周辺組織に広がり始めると、下腹部や骨盤・腰に痛みや不快感が現れます。がんが周辺の組織に影響を与え、神経を刺激するためです。下肢のむくみ
がんが進行すると、下肢や腹部までむくみが広がります。がんの進行に伴う体液の滞留が原因です。子宮体がんステージ2の治療法
子宮体がんの進行の程度は、進行期として分類します。進行期はステージ1〜ステージ4と分類され、数字が大きくなると、より進行したがんであることを示しています。
- ステージ1…がんが子宮体部にとどまっている。
- ステージ2…がんが子宮体部を超えて子宮頸部に広がっている。子宮の外には広がっておらず、子宮内にとどまっている。
- ステージ3…がんが子宮の外に広がっているが小骨盤腔(骨盤に囲まれる空間)を超えて外には広がっていない。または骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節(大動脈周囲のリンパ節)に転移がある。
- ステージ4…がんが小骨盤腔を超えて別の部位へ広がっている。または膀胱や腸の粘膜に広がっていたり遠隔転移したりしている。
手術
子宮体がんの治療の基本は、子宮と両側の付属器(卵巣・卵管)を取り除く手術です。手術によりがんを取り除くと同時にがんの広がりを診断して進行期を決定し、手術で取り除いたがんの病理検査により術後の再発リスクを決定します。
決定した進行期と術後再発リスク分類から、さらに放射線治療や薬物療法などを行うかどうかの判断が必要です。
本人の希望や生活環境、年齢や体の状態などを総合的に判断し、担当医と治療方針を決定します。
根治的放射線治療
放射線治療は、高エネルギーのエックス線やガンマ線でがん細胞にダメージを与え、がんを小さくする治療法です。手術前の推定進行期がステージ1またはステージ2で、ほかにかかっている病気や高齢・肥満などの理由で手術ができないときに、根治的放射線治療を検討します。
薬物療法
手術後に、再発リスクの軽減を目的として薬物療法を行うことがあります。点滴や内服薬による抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)治療です。手術によりがんが切除できない場合、切除しきれない場合、がんが再発した場合にも抗がん剤治療を行います。
細胞障害性抗がん薬を複数用いる併用療法ができない場合や効果が不十分な場合に、黄体ホルモン薬を用いた内分泌療法を行うこともあります。
子宮体がんステージ2の5年生存率
がんが子宮にとどまっている範囲で治療すれば、80%以上の方は5年後も生存が可能です。がんを克服するには早期発見・早期治療が重要です。5年生存率とは
5年生存率とは、がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合のことで、がん医療を評価する重要な指標のひとつです。5年生存率を治癒の目安としています。ステージ2の5年生存率
ステージ2の5年生存率は87.6%です。純生存率(Net Survival:ネット・サバイバル)で集計された数値です。国際的にも広く採用され、純粋にがんのみが死因となる状況を仮定して計算されます。
子宮体がんのステージ2についてよくある質問
ここまで子宮体がんのステージ2の治療法・症状・5年生存率などを紹介しました。ここでは「子宮体がんのステージ2」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
子宮体がんのステージ2の状態を詳しく教えてください。
子宮体がんのステージ2では、がんが子宮体部を超えて子宮頸部に広がっているが、子宮の外には広がっていない状態です。子宮頸部へ浸潤しているステージ2を疑う場合は、低侵襲手術(ロボット手術・腹腔鏡手術)の適応がなく、開腹手術を用いた手術療法を行います。
子宮体がんステージ2の治療後から仕事復帰までの期間はどのくらいですか?
仕事も病気もそれぞれなので、仕事復帰までの期間は一概にはいえません。子宮体がんステージ2で、術後の再発リスク判定が低リスクの場合は経過観察、中・高リスクの場合は放射線治療・薬物療法を行います。状況により異なりますが、治療終了後から数週間〜数ヵ月の回復期間が必要であり、仕事復帰までは3〜6ヵ月以上の期間が必要です。
編集部まとめ
子宮体がんは、女性特有のがんのひとつです。ステージ2は、がんが子宮体部だけでなく子宮頸部に広がった状態です。 ステージ2では、がんが子宮以外のほかの臓器やリンパ節に広がっていないため適切な治療を行えば予後は良好であり、早期に治療を行う必要があります。 主な治療法は、子宮の全摘手術です。手術後の病理検査により再発リスクを決定し、放射線治療や薬物療法などを行う必要があるかを判断します。 子宮体がんは、早期治療ができれば80%以上の方は5年後も生存可能です。このため早期発見・早期治療が重要となります。 不正出血などの気になる症状がある場合には、早めに婦人科を受診し検査を受けることをおすすめします。子宮体がんと関連する病気
「子宮体がん」と関連する病気は、7個程あります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの病気も、子宮体がんと同様に、早期発見・早期治療が重要です。気になる症状がある場合は、専門の医師の診察を受けることをおすすめします。
子宮体がんと関連する症状
「子宮体がん」と関連する症状は、6個程あります。各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 褐色のおりもの
- 不正出血
- 下腹部の痛み
- 性交時の痛み
- 腰痛
- 下肢のむくみ

