【食道がんセルフチェック】飲み込むときの”違和感”は要注意?なりやすい人も医師が解説!

食道がんに自分で気付く方法はあるのでしょうか。食道がんは、飲食物を胃に送る役割を果たす食道にできるがんです。
食道がんになっても早い段階で見つかれば早期治療でき、完治できる可能性があります。
本記事では、食道がんのセルフチェック方法・なりやすい人の特徴・検査方法を解説します。
食道がんに関してよくある質問も解説するので、食道がんが心配な人やなりやすい人の特徴にあてはまる方は、ぜひ参考にしてください。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
食道がんとは?
食道がんの多くは、食道の内面を覆う粘膜表面からできます。食道がんには、主に扁平上皮がんと腺がんの2つのタイプがあります。
日本人の食道がんの約9割は、粘膜を形成する扁平上皮細胞にできる扁平上皮がんです。腺がんは主に食道下部に生じ、逆流性食道炎が主な原因とされています。食道がんは女性より男性の方がなりやすく、年齢では60代以降の罹患率が高くピークは60代後半~70代です。
食道がんは初期症状に乏しく、気付かないうちに進行するケースが少なくありません。進行すると、気管・大動脈・肺・肝臓などのほかの臓器に広がることもあります。
早期にリンパ節転移しやすいといわれており、食道周囲・胃の周囲・首の付け根・腹部奥などのリンパ節への転移にも注意が必要です。
食道がんセルフチェックの方法
食道がんは初期症状が出にくいとされていますが、セルフチェックで早めに異常に気付ければ早期発見につながります。以下では、食道がんのセルフチェック方法を解説します。
飲み込むときの違和感
食道がんになると、飲み込むときに以下のような違和感を覚えることがあるでしょう。
- 飲み込みにくい
- 食べ物がつかえる感じがする
- 胸に違和感やチクチクした痛みがある
- 熱いものを飲み込むとしみる感じがする
がんが大きくなると食道の内側が狭くなり、飲み込みにくさやつかえる感じがするようになります。症状が一時的に消えることもありますが、繰り返したり継続したりするようであれば検査を受けてください。
声がかれる
食道がんが声帯の動きをつかさどる反回神経に影響を及ぼすと、声がかすれるようになります。反回神経付近のリンパ節に転移すると反回神経が麻痺し、声帯に異常が起こって声がかすれます。
また、がんが大きくなって気管や気管支に広がったり圧迫したりすると、ひどい咳が出ることもあるでしょう。
体重の減少
がんが食道内で大きくなると飲み込みにくくなり、食事量が減って体重の減少が見られます。はじめは飲み込みにくい・つかえる感じがする程度ですが、次第に固形物を飲み込めなくなり、やわらかい食べ物しかのどを通らなくなるでしょう。
さらに進行すると食道がふさがれ、水や唾液さえも飲み込めなくなります。徐々に飲み込めなくなってきた場合は食道がんの可能性が否定できないため、検査をおすすめします。
胸や背中の圧迫感や痛み
がんが食道の外に広がると、胸や背中の圧迫感や痛みを感じるでしょう。食道は、肺・気管・気管支・大動脈・心臓・背骨などさまざまな臓器に接しています。
接している周囲の臓器にも広がって肺・心臓・背骨などを圧迫すると、胸・背中に圧迫感や痛みを感じるようになるでしょう。
また、食道がんは血流に乗って広がり、肺や骨に転移しやすいといわれています。胸や背中の圧迫感・痛みが続く場合は、医療機関で検査を受けましょう。
食道がんになりやすい人の特徴
食道がんは、女性よりも男性の方がなりやすいといわれています。性別のほかに、食道がんになりやすい方にはどのような特徴があるのでしょうか。以下では、食道がんになりやすい方の特徴やリスクを高める要因を解説します。
アルコールをよく摂取する
アルコール飲料に含まれるエタノールと代謝過程でできるアセトアルデヒドには、発がん性があります。日頃摂取するアルコール量が多いと発がん性物質を多く取り込むことになり、食道がんのリスクが高まるでしょう。
特に、少量のお酒でもお顔が赤くなる方は、エタノールやアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱いため注意が必要です。分解されにくいと体内に発がん性物質が長時間残り、頭頚部がん・食道がんのリスクが高まるといわれています。
日本人の約4割は、アセトアルデヒドの分解酵素の働きが弱い体質です。コップ1杯程度のお酒でお顔が赤くなる方は酵素の働きが弱い可能性があるので、飲酒は控えめにした方がよいでしょう。
喫煙習慣のある
たばこの煙には発がん性物質が多く含まれていることから、喫煙習慣のある方も食道がんになりやすい方です。喫煙は発がん性物質を取り込むだけではなくDNAの損傷を引き起こし、がんの発症リスクを高めます。
喫煙習慣があると、食道がん以外にも肺がん・咽頭がん・喉頭がん・副鼻腔がんなどのリスクが高くなります。逆流性食道炎のリスク因子でもあり、食道腺がんを引き起こす可能性もあるでしょう。
喫煙年数が長い方や1日あたりの喫煙本数が多い方は、特に食道がんのリスクが高いため注意が必要です。
熱い食べ物や飲み物を好む
熱い食べ物や飲み物が好きな方は、食道扁平上皮がんになりやすいといわれています。熱いものを口にすると食道が熱損傷を受け、食道がんのリスクが高くなります。
熱い飲食物が好きな方は少し冷ましてから口にするよう意識すると、食道がんのリスクを減らせるでしょう。
食道がんの検査方法
セルフチェックで該当する項目がある方や、なりやすい方の特徴に該当し何らかの自覚症状がある方は、医療機関での検査をおすすめします。
検査はがんの有無だけではなく、適切な治療方法を選択するためにも重要です。食道がんの検査方法には、主に内視鏡検査・画像検査・病理検査・超音波検査があります。
内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査は胃カメラ検査ともよばれ、お口や鼻から内視鏡を挿入してがんの広がり・場所・個数などを評価します。直接食道の粘膜や病変を確認できることから、画像検査で発見しにくい初期のがんも見つけられる可能性があり、早期発見に有用です。
ヨードで食道を染色すると、異常な箇所が白く抜けて見えるため病気の場所がはっきりします。内視鏡検査では、病理検査用にがんの疑いがある組織の採取も行います。
画像検査
造影剤を飲んでレントゲン撮影を行い、がんの有無・位置・食道の狭窄の程度・潰瘍の深さなどを診断します。進行度を検査するときは、CT検査・MRI検査で体の内部を断面撮影し、他臓器への浸潤や転移を調べます。
PET検査とよばれる精密検査を行い、全身のがんの位置や広がりを確認する場合もあるでしょう。PET検査はがん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査で、骨への転移や1cm程度の小さな病変も発見可能です。
病理検査
病理検査は、がんの確定診断に欠かせない検査です。食道がんが疑われる場合は、上部消化管内視鏡検査でがんの可能性がある組織を採取します。
病理検査では、採取した組織を専門の病理医が顕微鏡で調べ、がん細胞の有無や種類などを診断します。
超音波検査
体の表面から超音波を照射し、がんの深さやリンパ節転移を調べる検査です。頚部腹部超音波検査では首と腹部を観察し、肝臓・腹部リンパ節・頸部リンパ節などへの転移を調べます。
超音波内視鏡検査は内視鏡の先端に超音波装置を取り付け、食道がんの深さ・周辺臓器への浸潤・食道周辺のリンパ節転移を調べ、進行度を診断します。
食道がんのセルフチェックについてよくある質問
ここでは「食道がんのセルフチェック」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
セルフチェックで食道がんの早期発見は可能ですか?
食道がんは遺伝しますか?
編集部まとめ
食道がんは初期症状が乏しく、発見が遅れやすいといわれています。
しかし、なりやすい方の特徴を知り、セルフチェックで該当する症状がないか確認することで早期発見できる可能性があります。
食道がんは、早期発見・早期治療が大切です。
食道がんになりやすい人の特徴のお持ちの方は、無症状でも一度胃カメラの検査などの受診をおすすめします。
食道がんと関連する病気
「食道がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 胃がん
- 頭頚部がん
- 肺がん
食道がんは、上記の既往歴がある方の発症頻度が高いといわれています。また、食道がんの重複がんとしてもよく見られます。食道がんはほかの臓器と関連して発症・進行する場合があるため、気になる症状があれば早めに検査を受けましょう。
食道がんと関連する症状
「食道がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胸の痛み
- 背中の痛み
- 咳
- 声のかすれ
上記の症状は、肺・心臓・のどなどの病気でも見られます。咳や声のかすれは、風邪と勘違いしてしまうこともあるでしょう。気になる症状が続く場合は、自己判断せず早めに医療機関で受診してください。
参考文献



