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「肺腺癌」とは?症状・原因についても解説!

 更新日:2023/03/27
「肺腺癌」とは?症状・原因についても解説!

日本では、成人における死因の1位は癌です。中でもテレビや新聞などのメディアを中心に、「肺腺癌」という言葉を耳にする機会が増えています。

病名を見ても分かるように肺に関する癌のひとつですが、たばこを吸わない方や若い方が発症することでも知られています。

また近年では、肺腺癌が発症する過程が徐々に解明されてきました。

癌は、日本人の2人に1人は発症するといわれるほど身近な病気です。ご自身や大切な方が発症する可能性もあるため、肺腺癌の症状や治療方法についても知っておきましょう。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

肺腺癌とはどんな病気?

悩む女性

肺腺癌とはどんな病気ですか?

  • 肺腺癌とは、肺がんのひとつです。肺がんは組織の型によって、小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分かれます。非小細胞肺がんはさらに3つに分けられ、そのひとつが肺腺癌です。
  • 肺腺癌は唾液を作る唾液腺や胃液を分泌する緯線などのように、線組織と似た形をしています。癌ができる箇所としては、肺の奥に発生するケースがよくみられます。
  • また肺腺癌は、肺がんのなかでも発生する頻度が高いことが特徴です。肺がん全体のおよそ半数ほどが、肺腺癌だとされています。

肺がんの一種なのですね。発症した際にみられる症状は何ですか?

  • 肺腺癌は、初期の段階では明確な症状が出にくいことが特徴です。肺腺癌を含む肺がんは特有の症状がないため、気付くのが遅れてしまうことも珍しくありません。
  • 症状が進行するにつれ胸の痛みや咳、痰などの症状が現われます。呼吸器疾患と見分けが付きにくいですが、長期間続くときは癌の疑いもあるため注意が必要です。
  • また癌が転移した場合には、転移した箇所に症状や異変が起きることがあります。例えばめまいやふらつきの症状があるときは、脳への転移が疑われます。

発症する原因は何ですか?

  • 肺腺癌が発症する原因については、現在のところ明確に解明されていません。遺伝子などの研究も進められていますが、根拠としては不十分な現状です。
  • ただし喫煙との関係性については、さまざまな研究で指摘されています。タバコには発癌性物質が含まれており、肺細胞の遺伝子を傷つけることで癌が生じると考えられています。
  • またアスベストと接触するなどの職業的な要因、大気汚染なども肺腺癌を引き起こす危険因子とされているようです。

喫煙者ではない人の発症も多いと聞いたのですが…。

  • 肺腺癌は喫煙者だけでなく、非喫煙者の発症も男女問わず多くみられます。喫煙することで発症するリスクが高まるとされていますが、直接的な原因は分かっていません。
  • ただし肺腺癌は、受動喫煙の影響を強く受けるとされています。例えば喫煙者が配偶者の場合、喫煙しない人でも発症する確率が高い傾向にあります。

肺腺癌の診断・検査とは?

診察

肺腺癌の検査内容を教えてください。

  • 肺腺癌の疑いがある場合には癌かどうかの判断と進行状況、治療に体が耐えられるかなどの検査が必要です。そのため項目ごとに、精密検査を行います。
  • まずは、癌かどうか判断するための検査です。主に胸部CTなどを使って、他の病気でないか詳しく検査が行われます。癌の疑いが強い場合には診断を確定させるために、さらに詳しい検査が必要です。この段階では気管支鏡検査や生検を行い、細胞や組織を採取して癌細胞のタイプを調べます。
  • 癌が確認されたときは、転移についても調べなければなりません。転移が疑われる箇所のMRI検査やPET検査、腫瘍マーカーなどを活用し転移の確認と治療方針を検討します。
  • 大まかな治療方針が定まったら、治療薬を決めるための検査も必要です。薬の効果を高めるために、遺伝子検査や癌細胞のPD-L1タンパクの検査などが行われます。
  • 一般的には上記のような検査が行われますが、症状や状態によってはさらに詳しい検査が必要となる場合があります。

検査結果が出てからどのくらいで治療が始まるのでしょうか?

  • 治療開始までの期間は、癌の進行具合や治療を受ける予定の病院によって異なります。目安としては、検査後1~3週間ほどで治療が始まる医療機関が多いようです。
  • ただし癌の進行が進んでいるときは、早めに治療を行う必要があります。そのような場合には、目安の期間より早く治療が開始されることがあります。
  • なお治療が始まるまでの期間に、入院の手続きや準備を行うことが一般的です。症状や医療機関によっては、追加での検査が必要となる場合もあります。

肺腺癌の治療方法

医療従事者

肺腺癌の治療方法を教えてください。

  • 肺腺癌の治療には大きく分けて「手術」と「放射線治療」、「薬物治療」という3つの治療法が用いられます。各治療法を病期(ステージ)に併せて、使い分けるのが一般的です。
  • ステージ1・2のときには、主に手術による治療が用いられます。初期の段階であるため癌の進行が進んでおらず、癌を完全に切除できれば完治も望めます。
  • ステージ3に入ると、薬物治療や放射線治療が必要です。このステージに入ると癌の進行が進み転移をしているため、手術では完全に切除しきれません。薬物や放射線を使い癌細胞にダメージを与え、増殖を抑えるなどの処置が必要です。
  • 薬物治療で使用される薬にはさまざまな種類があり、症状や治療方針に応じて使い分けます。また放射線治療はX線を癌細胞に照射し、ダメージを与える治療法です。症状や患者の状態に応じて、薬物治療と組み合わせて行われます。

転移する可能性は高いのでしょうか?

  • 肺腺癌を含む肺がんは、癌のなかでも再発が多いといわれています。肺がんが再発する原因として、多いのが転移によるものです。肺がんにおける再発全体の約8割は、転移によるものとされています。
  • また肺腺癌は初期の段階では症状が出にくいため、気付かない間に転移が進むことも珍しくありません。なお肺腺癌を含む肺がんは反対側の肺やリンパ節、骨や肝臓に転移しやすいとされています。場合によっては、脳や鎖骨上に転移する場合もあるため注意が必要です。

治療後に注意することなどあれば教えてください。

  • 手術を行った際には、胸部に痛みや違和感が生じることがあります。手術で肋骨付近の神経や骨膜を刺激するためと考えられていますが、半年から1年ほどで収まります。
  • ただし真っ赤な痰が出る、38度以上の発熱が続くような場合には注意が必要です。体に異常が起きている可能性があるため、速やかに治療を受けた医療機関へ連絡してください。
  • また、喫煙は控えなければなりません。気管支が刺激され咳や痰が増加し、肺炎を起こしやすくなります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 肺腺癌は肺がんのなかでも発症する割合が多く、身近な病気のひとつです。初期の段階では症状が出にくいため、気付かないうちに転移していることもよくあります。
  • また非喫煙者の方や若年層の方における発症も多く、原因も明確に解明されていません。
  • しかし肺腺癌は早期発見ができれば、転移や再発するリスクを抑えられます。リスクの軽減に加え初期の段階で治療を行えば、完治させることも可能です。
  • 早期発見するためにも気になる症状が続くようなときには、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

腕を伸ばす女性
肺腺癌をはじめとする癌は禁煙、食生活の改善などで予防はできますが、完全に防ぐことはできません。早い段階で治療を行えば完治も見込めるため、早期発見が大切です。

しかし肺腺癌は症状が出にくいことから、自覚症状がなく気付くのも容易ではありません。初期の段階で見つけるには、定期的な検診などを行う必要があります。

なお気になる症状が続く場合には、セカンドオピニオンなども有効です。最初の医院では発見できなかった癌などの疾患を、発見できる可能性があります。

現在では国が推奨するものをはじめ、民間でも癌検診やリスク検査が行われています。これらを積極的に活用して、肺腺癌の早期発見に努めましょう。

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