「大腸ポリープができやすい人の食生活」はご存知ですか?医師が徹底解説!
大腸ポリープができやすい人の食生活とは?Medical DOC監修医が大腸ポリープができやすい人の食生活・特徴・原因・予防する食べ物・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「大腸ポリープ」とは?
ポリープとは、病名ではなく、粘膜の一部がいぼの様に盛り上がった腫瘤の総称です。大腸ポリープは大腸にできる球状の突起物のことをいいます。
大腸ポリープの種類
大腸ポリープは大きく分けて、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分類されます。これらのポリープは病理組織で区別されます。それぞれのポリープの違いについて解説しましょう。
腫瘍性ポリープ
腫瘍性ポリープは良性の「腺腫(せんしゅ)」と悪性のがんに分けられます。腺腫は大きくなるほどがんを含む可能性が高くなります。6mm以上の腺腫はがんを含む可能性が高くなるため切除が勧められます。大腸がんの大部分は腺腫ががん化したものです。ポリープを早期に診断し、がん化する前に切除することが必要です。ポリープの形状や見た目、個数や患者さんの全身状態から切除の判断をします。
非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性ポリープは、「過誤腫性ポリープ」「炎症性ポリープ」「過形成性ポリープ」などに分類されます。非腫瘍性ポリープの多くは良性のため、切除せず経過観察をすることが多いです。しかし、大きくなると出血や、腸閉塞や腸重積の原因となることもあるため切除を検討することもあります。
大腸ポリープができやすい人の食生活
大腸ポリープ、大腸がんのリスクになる食生活について今までの研究で分かってきたものがあります。以下に挙げられるようなリスクに気をつけましょう。
赤肉・加工肉の摂取過剰
赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ハム、ソーセージなど)の摂取量が多いと大腸がんのリスクになることが今までの研究で分かっています。しかし、日本人は本来赤肉の摂取量がそれほど多くないため、過剰な摂取を避ければよいと言われています。そのため、肉類を極端に多く食べる生活を避けることが重要です。
食物繊維が少ない
食物繊維の摂取量が極端に少ないと大腸がんのリスクとなる可能性があると報告されています。まだ、推奨される摂取量については、結果が出ていませんが、食事をバランスよく食べることは、大腸がんの予防につながると考えられます。
大量の飲酒
1日平均1合以上の飲酒者は、お酒を飲まない人と比較して大腸がんになりやすいと言われています。男性では飲酒しない人と比較して、一日平均1合~2合飲酒する人は1.4倍、2合以上飲酒する人は2.1倍大腸がんになりやすいという結果が出ています。飲酒量は1合未満の適量としましょう。(日本酒1合は焼酎0.6合、ビール大瓶1本、ワインをグラス2杯(200ml)、ウイスキーダブルで1杯程度です。)
高カロリー食
肥満は大腸がんのリスクとして知られています。このため、高カロリーな食事を食べ続けると、肥満となり大腸がんの危険性が増すと考えられます。太りすぎないように、適度なカロリー摂取をするようにしましょう。
大腸ポリープができやすい人の特徴
食事以外にも大腸ポリープや大腸がんができやすい危険因子があります。食事以外の特徴についてまとめます。これらの特徴がある方は注意しましょう。
喫煙
(本文内容)
・男性・女性別の年齢層・体型の特徴など
・発症しやすい生活習慣
・なりにくい人の特徴など
たばこを吸う人は吸わない人に比べて大腸がんの発生率は1.4倍でした。このように大腸がんの発生は喫煙が影響していることが分かっています。禁煙することで大腸がんのリスクを減らすことができます。禁煙をしましょう。
肥満
男性において肥満度を表すBMI(体重(kg)÷身長(m)2)が25未満の人と比較して27以上で大腸がんのリスクが上昇することが分かりました。女性でははっきりとしたリスクの上昇は見られませんでした。しかし、肥満はインスリンの効きが悪くなることで、高インスリン血症やインスリン様成長因子(IGF-I)の上昇をきたし、これが大腸がんと影響すると言われています。このため、男女とも肥満が大腸がんのリスクとなり得ると考えられます。肥満を解消することも大腸がんの予防につながります。
年齢
年齢が上昇するほど、大腸ポリープや大腸がんのリスクとなります。腫瘍性ポリープは30代より増加します。大腸がんも同様に増加していきます。そのため、30代ごろより定期的な大腸がん検診をすることも大切です。
大腸ポリープができる原因
大腸ポリープ・大腸がんの原因としていくつかのリスク因子が分かっています。これらのリスク因子を参考にし、今後の予防に役立てましょう。
遺伝
大腸がんの患者さんの70%は発がんを促進する遺伝子や発がんを抑制している遺伝子の異常により起こっていると考えられています。一方で約5%の方で生まれながらに持っている遺伝子の異常が原因で大腸がんとなっています。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などがこれにあたります。残りの約20~30%は明らかな原因はわからないですが、何らかの遺伝的素因の関与があり血縁者に大腸がんを認めると言われています。このため、血縁者に大腸がんの方がいる場合には、注意をする必要があります。
家族性大腸腺腫症はがん抑制遺伝子の異常で起こる遺伝性の病気です。若い時から大腸にポリープがみられ、40代で約50%、60代までにほぼ100%大腸がんが発生すると報告されています。家族性大腸腺腫症の方では10代から定期的な大腸内視鏡検査を行うことが推奨されています。
食事・生活習慣の乱れ
今まで解説した大腸ポリープ・大腸がんの危険因子からもわかるように、生活習慣の乱れが関連しているといわれています。赤肉・加工肉の過剰摂取、食物繊維の摂取不足、大量な飲酒、喫煙、肥満、運動不足は発生に影響しています。まず、少しずつでも生活習慣の乱れを改めていくことが大切です。
加齢
加齢は避けることはできませんが、年を取ることは大腸ポリープ・大腸がんの危険因子です。このため、40代より大腸がん検診を受け、予防が勧められます。また、家族歴がある方では、特に注意をして若い時から大腸カメラなどの検査をすることをお勧めします。
大腸ポリープを予防する食べ物・食生活
肉食に偏らず、野菜などの食物繊維を摂り、過食を予防するバランスの良い食事が大切です。また、節酒も重要ですので、ぜひ実践しましょう。
食物繊維
大腸がんにおいて、食物繊維が非常に少ない人で大腸がんのリスクが高くなることが報告されています。予防するためのはっきりとした摂取量についてはわかっていません。多く摂ればとるほど大腸がんを予防できるというわけではないようです。しかし、食物繊維の摂取量不足は明らかな大腸がんのリスクとなるため、極端に野菜、キノコなどの食物繊維が少ない偏食にならないようにしましょう。
カルシウム・ビタミンDを含む食事
大腸がんのリスクはカルシウムの摂取量が少ない人と比較して、摂取量が多くなると、大腸がんの発生リスクが低くなりました。また、カルシウムとビタミンDの両方の摂取量が多いと大腸がんの発生リスクが低くなることもわかっています。カルシウムはがんの発生に関与する二次胆汁酸を吸着する事、細胞増殖や分化に直接作用してがんの発生を予防していると考えられています。ビタミンDはカルシウムの吸収に影響しているため、両方の摂取量が高い群で大腸がんのリスクが低くなったと考えられています。これからのさらなる研究が待たれますが、カルシウムやビタミンDを多く含む食事を摂ることも大腸がんを予防すると考えられます。
カルシウムが多い食材:牛乳、チーズ、ヨーグルト、煮干し、昆布、ひじき、ゴマ
ビタミンDが多い食材:きくらげ、シラス、鮭、いわし、さんま、しいたけ、卵黄
大腸ポリープの予防法
今までの危険因子をふまえ、予防法を考えましょう。
- ・禁煙
- ・節酒
- ・適度なカロリー摂取
- ・バランスの良い食事(肉食が過剰にならず、食物繊維をしっかりとる、カルシウムやビタミンDの摂取もする)
- ・定期的な運動をして肥満を防ぐ
これらの事に気を付け、大腸がんを予防しましょう。特に家族歴がある方では注意が必要です。また、40代以上で定期的に大腸がん検診を受けることも非常に有効です。早期に治療をすれば大腸がんは完治が見込める病気です。症状が分かりづらいため、定期的ながん検診で早期に発見しましょう。
「大腸ポリープができやすい人の食事」についてよくある質問
ここまで大腸ポリープができやすい人の食事などを紹介しました。ここでは「大腸ポリープができやすい人の食事」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸ポリープができるのは体質と関係ありますか?
和田 蔵人 医師
遺伝的要因も関係があると考えられています。家族で大腸がんの既往がある方がいる場合には気を付ける必要があります。
大腸ポリープができた場合、控えた方がいい食品を教えてください。
和田 蔵人 医師
大腸がんの危険因子となる食べ方をしないようにしましょう。具体的には、アルコール、赤肉や加工肉の食べ過ぎ、カロリーを多く摂りすぎて太らないようにすることが大切です。
大腸ポリープ切除後に控えた方がいい食品を教えてください。
和田 蔵人 医師
ポリープを切除した直後はなるべく腸に負担をかけるものを避けて消化の良いものの摂取が勧められます。食物繊維が多い野菜や果物の摂取、脂っこいもの、刺激になるような香辛料、アルコールを避けましょう。
日にちが経った後は、大腸ポリープ・大腸がんを防ぐために赤肉・加工肉を避け、アルコールは適量で過剰にならないようにすることが勧められます。また、食物繊維はしっかり摂り、バランスの良い食事にしましょう。
編集部まとめ
大腸ポリープ・大腸がんは日本人で非常に多い病気であり、近年増加傾向です。大腸がんは、生活習慣を整えることで予防をすることもできます。禁煙・節酒とともに過剰なカロリーを避け、バランスの良い食事を摂り、適度な運動をすることが大切です。
しかし、大腸ポリープは自覚症状がないことが多く、40代を過ぎたころから定期的ながん検診を受け早期に大腸がんを発見し治療することも大切です。特に、家族歴がある方では注意が必要です。消化器内科で相談をしてみましょう。
「大腸ポリープができやすい人の食事」と関連する病気
「大腸ポリープができやすい人の食事」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器内科の病気
消化器内科の病気
大腸ポリープができやすい人の食事は食生活が乱れていることが多く、いわゆる生活習慣病の合併の可能性も高いです。これらの病気がある方では、大腸がんの危険性も高いと考え、定期的ながん検診を受けましょう。
「大腸ポリープができやすい人の食事」と関連する症状
「大腸ポリープができやすい人の食事」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 体重増加
- 便秘
- 息切れ
- 血が混ざった便
大腸ポリープの多くは症状がありません。しかし、肥満などの影響で大腸ポリープができやすく注意が必要です。また、大腸ポリープがある方では、便秘・下痢などの便通異常や消化管出血に伴う貧血などが起こることもあるため、症状がある場合には消化器内科を受診しましょう。