FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「卵巣がんの検査費用」はご存知ですか?検査方法や卵巣がんを疑う症状も解説!

「卵巣がんの検査費用」はご存知ですか?検査方法や卵巣がんを疑う症状も解説!

 公開日:2024/07/22
「卵巣がんの検査費用」はご存知ですか?検査方法や卵巣がんを疑う症状も解説!

「服のウエストがきつくなった」「下腹がポッコリ出てみっともない」

このように感じても、卵巣がんの初期段階では自覚症状が軽く、婦人科で検査をしようと考える方はほとんどいません。そればかりか、太ったと勘違いして下腹のダイエットに励む女性もいるでしょう。

卵巣がんは症状が出たときにはステージがかなり進行している危険性があり、早期発見のためには検査が重要になってきます。しかし、症状もないのに一体どのタイミングでどのような検査を受ければよいのでしょうか。

そこで今回は、卵巣がんの検査の種類や費用とともに検査を受けるタイミングについても解説します。この記事を参考に、症状が現れる前に定期検診を受けてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣がんは、子宮の両側にある卵巣に発生する悪性腫瘍です。年間8,000人以上の女性に発症し、4,500人程の方が卵巣がんで亡くなるとされています。
卵巣がんの大多数を占める上皮性卵巣がんと呼ばれる悪性腫瘍は一般的に40~60歳代女性を中心に発症しますが、稀に10~20歳代の若い女性に好発する卵巣胚細胞腫瘍もあるので注意してください。
卵巣がんはサイレントキラーとも呼ばれ、進行しても腹部の圧迫感を覚えるくらいで明確な症状が現れるわけではありません。スカートのウエストがきつくなったからと婦人科を訪れてはじめて、卵巣がんの疑いがあると検査を勧められる場合もあるでしょう。
卵巣がんの原因ははっきり解明されてはいませんが、排卵を繰り返して表面の細胞が傷つくことによって、異常を引き起こすためと考えられています。

卵巣がんの検査費用は?

卵巣がんの検査方法には、腫瘍マーカー検査・エコー・CT・MRI検査などがあります。検査費用や種類は各自治体によっても異なりますが、腫瘍マーカー検査の費用は約2,200~3,300円(税込)でしょう。
また、内診とセットにしたマーカー検査は約4,400円(税込)で、所要時間は数分程度なので時間を作って受けてみてください。
エコーと呼ばれる経膣超音波検査は、早期発見が難しいといわれる卵巣がんに対して大変有効な検査です。卵巣だけでなく子宮の大きさや内膜の厚さ、卵巣の中が正常であるかなど触診ではわからない2~3cmの小さな腫瘍まで調べることができます。
このエコー検査は約5,500円(税込)で、所要時間は10分程度かかります。CT・MRI検査費用は医療機関によって異なり、所要時間は数十分程度かかるでしょう。

卵巣がんの検査方法

卵巣がんが疑われた場合は、以下のような検査を順に行います。ただし、卵巣がんかどうかの正確な診断をするためには病理検査が必要なため、まず手術で病変を摘出して組織診断によって卵巣がんを確定します。

触診・内診・直腸診

まず、お腹を触る触診によって、子宮や卵巣の状態を調べます。膣から指を入れて状態を確認する内診を行った後、お尻の肛門から指を入れる直腸診で、直腸とその周辺に異常がないかを調べます。

超音波検査

エコーと呼ばれる超音波を腹部にあて、卵巣から跳ね返ってくる反射の様子を画像にします。卵巣腫瘍の大きさ・性質・状態をみて、腫瘍と周囲の臓器との位置関係を調べます。
より近くから観察したい場合は、膣の中から子宮や卵巣にエコーをあてる経腟超音波断層法検査を行うこともあるでしょう。

CT検査

CT(Computed Tomography)検査は、X線を使った検査です。リンパ節転移や、卵巣から離れた場所・臓器への転移を調べます。

MRI検査

MRI検査は、トンネルのような装置のなかで強力な磁石と電波を用いて体内の断面をさまざまな方向から画像にして、骨盤の内部を細かいところまで調べることができます。卵巣と子宮・膀胱・直腸などの関係にとどまらず、腫瘍内部・リンパ節の状態まで観察できます。

病理検査(細胞診・組織診)

手術で切除した卵巣腫瘍は、薄くスライスして標本が作製されて、顕微鏡で拡大して観察します。顕微鏡検査では、がん組織の有無・組織のタイプなどを診断します。
卵巣腫瘍では、特に良性・境界悪性・悪性の判定および組織型の確定を行った後、今後の術式が最終決定されます。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、専用の分析装置を使って血液や尿などの体液に含まれる腫瘍マーカーの値を測定します。

卵巣がんの検査を受けた方がよい症状は?

卵巣がんの自覚症状には、腹痛や腹部の違和感などがあります。食後すぐに腹部が膨れるような膨満感を覚えることもあるでしょう。食欲不振が続くと、体重が減少することがあります。
ただし、いずれの症状も見過ごされることも少なくありません。以下のような症状が現れた場合は、なるべく早めに専門家の診断を受けてください。

頻尿・便秘

卵巣がんが進行すると、食欲低下・便秘・下痢・頻尿など消化器系の症状が現れることがあります。ただし、ほかの疾患とも重なるため、卵巣がんにみられる症状と合わせて判断することが大切です。

排尿時の違和感

卵巣がんの進行に伴い、消化器系にも影響が出ることがあります。特に腫瘍が膀胱に圧迫をかけるため、排尿障害が生じることがあります。
頻繁にトイレに行きたくなる頻尿のほか、排尿量の減少・排尿時の痛みや違和感などの症状が現れるかもしれません。

脚のむくみ

腫瘍が大きくなると、膀胱や直腸を圧迫して頻尿や脚のむくみが現れることがあります。また、卵巣がんの手術でがんの病変とともにリンパ節を摘出した場合、リンパ浮腫と呼ばれるむくみが生じることがあります。

お腹の突っ張り

卵巣がんが進行すると、大きくなった腫瘍による圧迫症状がみられるようになります。腹水が溜まってきて、お腹の突っ張りや膨満感が強くなります。
太ったと勘違いして運動やダイエットをする女性もいますが、お腹だけが出ている場合は卵巣がんの症状を疑ってください。

腹痛

腹水が増量し腹痛が起こることがあるでしょう。腹水のほかに胸水も認められるようになると、呼吸が苦しくなることもあります。卵巣腫瘍茎捻転といって卵巣が捻れたり破裂したりすることもあり、この場合は激痛を伴うので注意が必要です。

卵巣がんの検査費用についてよくある質問

卵巣がんは遺伝的要因によるものが10%を占めているといわれますが、直接の発生原因や過程についてははっきり解明されていません。ここでは「卵巣がんの検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんは国が指針として定めている検診はありますか?

馬場 敦志医師

現在のところ、国が指針として定めている検診はありません。残念ながら有効な卵巣がんの検診法はまだなく、これからの開発が待たれています。気になる症状がある方は、早めに医療機関を受診して早期発見・早期治療を心がけましょう。検査の受けられる医療機関などの詳細については、がん相談支援センターで確認してください。

家族に卵巣がんの人がいる場合は早めに検査を受けた方がよいですか?

馬場 敦志医師

日本人女性の約1%は生涯のうちに卵巣がんを発症するといわれており、一般的には遺伝する疾患でもありません。ただし、遺伝的に卵巣がんにかかりやすい家系の方は若い年代でも発症するリスクがあり、親から子へ50%の確率で遺伝します。この傾向は遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と呼ばれ、卵巣がんに罹患した患者さんの約10%を占めています。もちろん、遺伝子に変異がある女性でも必ずしもがんになるとは限りません。気になる方は、遺伝医学の専門家のいる医療施設で遺伝カウンセリングを受けてみてください。

編集部まとめ

今回は、卵巣がんの検査方法・費用・検査を受けたほうがよい症状などについて解説してきました。

卵巣がんは欧米型のがんともいわれ、初経が早い・閉経が遅い・出産経験がない女性は発症リスクが高くなる傾向にあります。

また、遺伝性腫瘍の家系の方は卵巣がんが多いことが知られています。このような要因のある方は、早めにがん検査を受けましょう。

また、リスク要因のない女性においても卵巣がんの発症は40歳代から増加しはじめ、50歳代がピークになります。

たとえ症状が出ていなくても、定期的に婦人科検診を受診し、早期発見・早期治療を心がけてください。

卵巣がんと関連する病気

卵巣がんと関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

卵管がんは卵管に発生する悪性腫瘍です。腹膜がんは卵管から発生しているものと考えられており、その大部分は漿液性がんという組織型のがんです。卵巣がんが乳がんと関連することに意外性を感じる方もいらっしゃるでしょう。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断された方は、卵巣がんと乳がんの両方を発症しやすい傾向があります。BRCA遺伝子に病的な変異がある場合は、卵巣がん・乳がん・膵臓がんなどの発症リスクも高まるので注意してください。また、子宮の周りには大腸・小腸・膀胱などさまざまな臓器があり、転移や侵食の可能性も考えられます。リンチ症候群などの子宮内膜症は、類内膜がん・明細胞がんなど組織型の卵巣がんの発生と無関係ではありません。

卵巣がんと関連する症状

卵巣がんと関連する症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 腹部の違和感・膨満感
  • 下腹部のしこり・ハリ
  • 頻尿・排尿障害
  • 食欲低下
  • 便秘・下痢

いずれの症状も、自分では判断がつかないことがあります。少しでも腹部に違和感がある場合は、婦人科で検査を受けるよう心がけましょう。

この記事の監修医師