「男性乳がんのしこりに痛み」はある?症状についても解説!医師が監修!
胸にしこりがある場合は、男性でも乳がんの可能性があります。
男性であっても乳腺は存在しており、乳腺でがんが生じれば乳がんとなります。
乳がんの特徴はしこりが有名ですが、胸にしこりができる病気はほかにも女性化乳腺症(女性化乳房症)などがあり、どちらも男性でもなる病気です。
胸のしこりは放置せずに早期に受診することで、重大な病気を見落とさずに早期治療ができるでしょう。
この記事では乳がんのしこりの特徴や、女性化乳腺症(女性化乳房症)との見分け方などを解説します。
監修医師:
上 昌広(医師)
目次 -INDEX-
男性乳がんとは?
乳がんは乳房の組織である乳腺や小葉に生じるがんで、女性が患者数の大半を占めていますが、男性に生じることもあります。男性にも乳腺は存在しており、男性ホルモンの影響で乳汁を作る機能は抑えられていますが、乳腺にがんが生じれば男性でも乳がんとなります。
乳がんの全患者数のうち男性の割合は約1%で、女性の8人に1人が生涯のうちに乳がんになるのに対し、男性は1,000人に1人の割合です。男性乳がんの治療は基本的には女性と同じで、同じ進行度であれば女性の乳がんと治療成績に大きな差はありません。
しかし、男性は胸にしこりなどの違和感があっても乳がんとは気付きにくく、発見されたときには進行してしまっているケースが少なくありません。
男性乳がんのしこりに痛みはある?
乳がんの主な症状は胸のしこりで、痛みを伴わないことが大半です。女性も男性も同じく胸のしこりを押しても痛みは少なく、コリコリと動かせるのが乳がん初期の腫瘍の特徴です。
ただし、炎症性乳がんの場合には皮膚のただれとともに痛みが生じることがあります。女性と違って男性は大きな乳房がない方が大半ですが、乳頭の付近に硬いしこりができて違和感を覚えるケースは少なくありません。
男性乳がんの症状としこりの特徴
男性であっても乳がんの症状と特徴は女性と変わらず、早期発見と早期治療が重要です。乳がんは体表面の浅い部分にできるため初期の段階から気付きやすく、早期発見できれば身体への負担が少ない治療を選択できる可能性が高くなります。
しかし、男性は胸に違和感があっても乳がんとは思わず検査が遅れてしまうケースが少なくありません。乳がんを疑うべき、代表的な症状を解説します。
周りの皮膚が引きつる
乳腺にしこりができて膨らむと、周りの皮膚が伸ばされて引きつる感覚があります。胸の皮膚が引っ張られて違和感を覚え、触ってコリコリと硬くなっている部分があったら、早めに乳がん検査を受けましょう。
乳頭が陥没する
男性の乳がんは乳頭付近に症状がでることが多く、乳頭後部にしこりができるだけでなく、乳頭が陥没することもあります。乳腺にできたがんが周りの細胞に広がり、浸潤によって皮下組織が壊されている状態です。
腋窩リンパ節が腫れる
腋の下には乳腺につながるリンパ管が多数とおっており、腋の下のリンパ節を腋窩リンパ節といいます。
腋窩リンパ節は乳腺で生じたがんがリンパ管に侵入して到達しやすいリンパ節で、がんが転移しやすい部位です。腋窩リンパ節が腫れてコリコリと硬くなっている場合は、乳がんの転移の可能性があります。
乳頭から出血する
乳頭から出血したり、透明な分泌物が出たりする場合には、乳頭の下でがんが大きくなっている可能性があります。
もともと乳頭が大きく硬い方の場合、しこりに気付かず出血するまで発見が遅れることが少なくありません。
しこりはゴツゴツして硬い
乳がん以外にも胸部にしこりができる病気はありますが、乳がんの場合はゴツゴツして硬いしこりができるのが特徴です。
女性の乳房のようにやわらかく膨らむのではなく、ゴツゴツして硬い物体が皮膚の下にできるため、触って知覚できる場合が少なくありません。皮下脂肪が多い方の場合は触知しにくく、胸の膨らみによって気がつくケースもあります。
触ってもしこりがあまり動かない
乳がんのしこりは初期段階では触って動かせますが、進行すると胸部に癒着して動かなくなります。
癒着して固定された腫瘍がある場合、乳がんステージ3B期となり、外科手術による切除が難しくなります。動いていたしこりが動かなくなってきたら、早めに乳腺外科を受診してください。
女性化乳腺症(女性化乳房症)の症状との見分け方
男性乳がんと似た症状の病気の一つに、女性化乳腺症(女性化乳房症)があります。乳腺が女性ホルモンによって膨らむ症状で、男性乳がんかと思って受診した方が女性化乳腺症(女性化乳房症)であったケースは少なくありません。
乳がんは乳腺など乳房の組織にできるがんで、男性にも乳腺があるため乳がんになる可能性はあります。同じように女性化乳腺症(女性化乳房症)のリスクもあるため、乳がんとは異なる女性科乳腺症の特徴を解説します。
乳頭がかゆい
女性化乳腺症(女性化乳房症)は乳腺の炎症であり、乳腺は乳頭につながっているためかゆみや痛みがでることが少なくありません。乳頭が赤く腫れたり、分泌物が出たりする場合には男性であっても女性化乳腺症(女性化乳房症)の可能性があります。
ただし、乳がんの初期でも似た症状が出ることがあるため、早めに病院で検査を受けましょう。
触ると痛みがある
乳がんのしこりは痛みがないことが大半で、触るとゴツゴツして硬い感触があります。女性化乳腺症(女性化乳房症)で乳腺が肥大している場合には、しこりが硬くなく、押すと痛みを感じます。
女性化乳腺症(女性化乳房症)では触らなくても疼痛が続くことがあり、胸部や乳頭の痛みで受診する患者さんが少なくありません。
しこりで乳房に圧迫感がある
女性化乳腺症(女性化乳房症)が進行すると、乳房が大きく膨らみ胸部に圧迫感が生じます。男性の胸が膨らむ原因は女性化乳腺症(女性化乳房症)のほかにも、肥満によって胸部に皮下脂肪が増えて乳房のようになっている場合があります。
肥満の場合はしこりがないため圧迫感が少なく、乳頭を押しても痛みは生じません。乳頭付近に大きなしこりができて圧迫感があり、痛む場合には女性化乳腺症(女性化乳房症)か男性乳がんの可能性があるため早めに受診してください。
触るとグミのような感触がする
女性化乳腺症(女性化乳房症)のしこりはグミのようにやわらかく、弾力があります。しこりの部分を親指と中指で下からつまむように持ち上げると触知しやすく、触ると痛みがあるのが特徴です。
乳腺が腫れるように肥大化しているため、乳がんのように胸部に癒着して動かなくなることはありません。
男性乳がんのしこりの痛みについてよくある質問
ここまで男性乳がんの症状・女性化乳腺症(女性化乳房症)との見分け方などを紹介しました。ここでは「男性乳がんのしこりの痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
男性乳がんは何科を受診すればよいですか?
上 昌広(医師)
乳がんの診察は、男性であっても乳腺科で受診してください。男性なのに乳腺科で受診するのは恥ずかしいと思う方も少なくありませんが、女性の同伴者に付いてきてもらうことで心理的負担を軽減できます。
男性乳がんの原因を教えてください。
上 昌広(医師)
- 高齢
- 肝疾患
- アルコール多飲
- 肥満
また、胸部への放射線被ばくも、男女問わず乳がんのリスク因子です。
編集部まとめ
男性乳がんの症状であるしこりの特徴や、女性化乳腺症(女性化乳房症)との違いを解説してきました。
男性乳がんのしこりには痛みがなく、女性化乳腺症(女性化乳房症)のしこりは痛みがあってやわらかいのが大きな特徴です。
しかし、実際には詳しく検査しないと判別はできないため、胸にしこり・痛みなどの違和感が生じた場合は、早めに検査を受けることが大切です。
男性乳がんは全乳がんの約1%ですが、発見が遅れて進行してしまうケースも少なくないため、まずは乳腺科か内科にご相談ください。
男性乳がんと関連する病気
「男性乳がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 乳腺症
- 線維腺腫
- 葉状腫瘍
乳腺など乳房の組織で起こる病気はしこりや胸部の肥大を伴うものがあり、乳がんと区別が難しくなります。男性であっても乳腺や小葉など乳房の組織は少ないながらも存在しているため、これらの病気になる可能性はゼロではありません。
男性乳がんと関連する症状
「男性乳がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胸のしこり
- 乳頭の陥没
- 乳頭からの出血・分泌物
- 乳頭や乳輪のただれ・びらん
乳がんは皮膚の近くで生じることもあり、初期から知覚しやすいがんです。男性は胸の違和感を乳がんとは思わず、放置してがんが進行してしまうことが少なくありません。がんは早期発見・早期治療によって身体の負担を軽減できますので、症状がある場合には早めに検査を受けるようにしましょう。